靴紐がほどけるのはなぜ?原因を知って対策しよう
そもそも、かなりの力をこめて結んでいるはずなのに、靴紐はなぜ簡単にほどけてしまうのでしょうか?
【ほどける原因①】歩行時の振動と足の屈曲

アメリカ・カリフォルニア大学の研究者によって発表されている原因の1つが『歩行の振動』。
登山中の何気ない動作によって、靴紐の結び目には力が加わっています。
「足を前に出す」「足にグッと力を入れて岩場を登る」これらの繰り返しにより、次第に固く結ばれた靴紐も徐々に緩んできて、気づいたらほどけていた……という現象に繋がると考えられています。
参考:The roles of impact and inertia in the failure of a shoelace knot

さらに、要因は靴の構造にも。登山靴は長時間歩行による疲労蓄積を抑えるため、ソールが固く足の屈曲がしにくいものがほとんど。しかし、本来私たちが歩行をする時は、足を蹴り出す際に屈曲が起こります(写真の動き)。
登山靴の中で、知らず知らずこの「自然な歩行の動き」を取ろうと足が内側から靴を押し上げている場合があるのです。相反する力がぶつかると……靴紐が緩むのは何となくイメージできますよね。
対策:正しい靴の履き方で振動を抑える
歩行時の振動や屈曲を完全になくすことはできませんが、少しでも軽減する方法としてできるのは、靴の履き方の見直し。
フィッティングが甘く靴の中に隙間があると、足が動いて靴に当たります。その振動によって靴紐がゆるみ、ほどける原因となるので、正しいフィッティングをすることが大切です。
靴の正しい履き方
- 靴紐をすべてゆるめる
- 足を靴に入れたらつま先を上げ、かかとを地面にトントンと突いて合わせる
- つま先は浮かせたまま、足の先から順番にフィットするように靴紐を締めていく(隙間ができやすい「土踏まず」部分は特に注意)
- 足首まで締め上げたら、最後の穴からつま先方向に引っ張りながら締め、かかとを固定する
- 紐を結ぶ(手順4までがしっかりできていれば、強い力で縛る必要はありません)
【ほどける原因②】靴紐の素材と形状

原因2つめは靴紐の「素材」と「形状」です。
一般的にナイロンなどの化学繊維の紐は滑りがよいため、ほどけやすいと言われています。綿素材は化学繊維素材よりも摩擦がありますが、泥が付いたり雨に濡れる登山では、水を含んで乾きにくいので適していません。

靴紐の形状は主に3つあり、「丸紐」「楕円形紐」「平紐」に分けられます。
滑りにくさの観点では、紐同士の接点が広く抵抗の大きい「平紐」が最もほどけにいと言えますが、「丸紐」よりも耐久性面では劣る点に注意が必要です。「楕円形紐」は、丸紐と平紐の中間の特性を持っています。
丸紐 | 楕円形紐 | 平紐 | |
---|---|---|---|
ほどけにくさ | ★☆☆ | ★★☆ | ★★★ |
耐久性 | ★★★ | ★★☆ | ★☆☆ |
対策:滑りにくい平紐タイプに交換する
化学繊維を使用した平型で、ほどけにくいグリップ加工を施したタイプが販売されているので、交換を検討するのもあり。
ただし、前述の通り、平紐は耐久性面では丸紐に劣るので、登山で使う場合は予備の紐を持参するなど対策をしておくと良いでしょう。
ミズノ ゼログライドシューレース
サイズ | 100cm、110cm、120cm、130cm、140cm、150cm |
---|---|
カラー | 17色 |
素材 | 本体:合成繊維 |
幅 | 4mm |
滑りにくくほどけにくい靴紐
紐の両面に滑りにくい特殊樹脂加工を施しているので、紐同士がしっかりグリップし、ほどけにくくなります。
結び方を工夫してストレスを減らそう!

最初はとにかく練習あるのみ! 1つ1つの行程を確かめながら、家で何度も練習をしましょう。慣れてきたら、指をうまく使って輪っかをサッと作れるようになりますし、感覚的に覚えて素早くできるようになります。
体に染み込ませるために、「普段のスニーカーもこの結び方しかしない!」と決めて慣れてしまいましょう。登山中のストレスがグッと減ること間違いなしですよ!
予備として持っておきたい替え紐を形状別に紹介
丸紐タイプ
コロンブス アウトドアシューズ用 丸紐タイプ
平紐タイプ
アシックス フラットシューレース 太タイプ
楕円形紐タイプ
アシックス オーバルシューレース
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