気持ちいい稜線歩きを楽しめる山5選【西日本】
続いて西日本の気持ちの良い稜線歩きができる山を5座紹介します。日本アルプスや東日本の山と比べると標高は低いですが、眺めの良さはばっちりです!
雨乞岳(滋賀県)

滋賀県の東に位置する雨乞岳は、標高1,238m、鈴鹿山脈第2の高峰です。各方面から雨乞岳山頂へルートが開設されており、武平峠からのピストンは、東雨乞岳から雨乞岳に至る眺めの良い稜線歩きが楽しめます。
また、綿向山から雨乞岳へ至る稜線は眺めが素晴らしいことで知られています。ただ、この稜線を歩く縦走コースはルートが不明瞭なところもあり、大峠からイハイガ岳にかけては急斜面で、南側が崩落してキレットのように落ちています。コース上には笹漕ぎが必要な箇所もあったりと、難易度はやや高め。しかし、鈴鹿山脈の山並みを見渡せる大展望は素晴らしく、気持ちの良い稜線歩きが楽しめます。

冬は武平峠のある鈴鹿スカイラインが閉鎖されるため、武平峠を登山口として使うには御在所岳の麓から歩かなければなりません。または、北西の甲津畑からや南西の大河原からルートを見つけて登っていくことになります。
コースタイム的には日帰りで登れますが、登山者が決して多いとは言えないので自分でルートを見つけ、道迷いに気を付けながら登ります。積雪も多いので、アイゼンの他にスノーシューもあると便利。稜線は風が強く、雪は逆に固く締まって樹林帯の登りに比べると楽になります。
霊仙山(滋賀)

琵琶湖の東、鈴鹿山脈の最北端に位置する標高1,094 mの山で、なだらかな山の上部にはドリーネなどのカルスト地形が見られることで知られています。花の百名山としても有名で、多くの種類の花が見られます。
各方面から登山道が山頂へ延びており、北西側の登山口から山頂へアクセスする榑ヶ畑コースが最短コースで景色も良く人気です。それほど高い山ではないものの、6合目辺りから上は高い木が生えておらず、360度の展望が楽しめ、北方に目を向ければ伊吹山を望むことができます。

冬は雪が降らない内は夏と同じく気持ちの良い稜線歩きが楽しめます。雪が降り出し積もってくると、アイゼンやストックが必要になります。
山頂付近はだだっ広い平原が広がる台地で、難所はないものの目印がないため道迷いしやすく、特にホワイトアウトにならないよう天候に注意が必要です。天候さえ良ければ、難易度もそれほど高くなく、気持ちの良い雪山の稜線歩きが楽しめます。
西南尾根側は、下りでコース取りすると急な下りの箇所も歩くことになるので、アイゼンを効かせて降りていきましょう。雪庇を踏み抜かないように気を付ける必要もあります。
昭文社 山と高原地図 御在所・霊仙・伊吹 2025
高御位山(兵庫)

兵庫県加古川市と高砂市の境にある標高304mの山で、播磨富士とも呼ばれています。東京タワーの特別展望台より少し高いくらいの高さしかありませんが、播磨平野の海沿いでは最高峰となり、播磨平野や瀬戸内海を一望できる眺めの良さで人気があります。頂上には高御位神社があります。
稜線は歩いた道がはっきり視認できるほど展望が開け、花崗岩の岩場や低木が生い茂って低山とは思えないほど見事な稜線を見せてくれます。途中急斜面の岩場があるものの、頂上まで1時間半~2時間程度と初心者でも体力的に歩きやすいコースとなっているので、ハイキング気分で歩けます。頂上にある岩場の絶壁となっているところから眺める景色がGOOD!

兵庫県南東部や南西部は冬でも積雪が無く、降っても数年に1度、数センチ積もる程度。標高304mの高御位山もそれは同じで、雪山装備は基本必要ありません。冬は木々が枯れて山の色合いが茶色に変化しています。防寒対策は必要ですが、通年を通して気持ちの良い稜線歩きが楽しめますよ。
昭文社 山と高原地図 御嶽山 小秀山・奥三界岳・位山三山 2025
剣山(徳島)

四国山地の東部、徳島県三好市や那賀町の辺りにまたがって位置する剣山は、標高1,955m、日本百名山に数えられ、太郎笈(たろうぎゅう)という別名のある山です。西日本で2番目に高い山で、周囲には1,800m級の山々が連なり、剣山登山口から登山道の中央までリフトで上がれ、登りやすいのも特徴です。
剣山の西方に位置する三嶺まで10数kmに渡って続く稜線は、山歩きの醍醐味といえる眺望抜群の稜線歩きが楽しめることで人気の高いコースとなっています。コースのほぼ全域に渡って視界が開けており、1日中眺めの良い稜線を歩けます。四国山地の美しい山並みが360度広がっています。

冬は一変、雪化粧をした遠くまで続く剣山~三嶺の稜線が美しく、夏とは全く違う表情を楽しめます。冬の剣山は積雪が多く、降雪後すぐの場合はラッセルが必要になるシーンもあります。そのため、アイゼンやストックはもちろん、スノーシューも用意するのがおすすめ。稜線は風で雪が飛ばされ、積雪がやや少なく地面がむき出しになっている場合もあり。
また、目印がないので自分で道を見極め進んでいく必要もあり、ルートファインディングの経験は必要です。10数kmに渡る稜線なので、天候の見極めも重要です。
昭文社 山と高原地図 石鎚・四国剣山 東赤石山・三嶺・四国山地横断トレイル 2025
瓶ヶ森~伊予富士(愛媛)

日本三百名山で標高1,897m、笹に覆われたなだらかな平原の山頂が特徴的な「瓶ヶ森」と、同じく三百名山で標高1,756m、富士の名を冠する雄大な「伊予富士」とを結ぶ縦走路です。百名山の石鎚山の東に位置しています。
全長約7km、コース全体が標高1,700m前後でアップダウンが少なく見晴らしの良い稜線として知られ、気持ち良い山行が楽しめます。コースはよく整備されて難所はなく、脇には笹が生い茂っている斜面や平原が広がっています。遠くまで連なる四国山地の山並みが見渡せて壮観ですよ。

冬でも12月頃はまだ積雪はなく、穏やかな稜線歩きが楽しめます。降雪があると場合によっては数十cm~1m近く積もることもありますが、稜線の風が強く当たる部分は積もりが浅かったりとムラがあります。積雪がある場合はアイゼンとストックは必須で、長く続く稜線上でホワイトアウトしないよう天候の見極めも重要です。夏季では難所がなく歩きやすい稜線ですが、積雪期は尾根が細い箇所などで滑落しないよう注意してください。
昭文社 山と高原地図 石鎚・四国剣山 東赤石山・三嶺・四国山地横断トレイル 2025
気持ちの良い稜線を歩いて山登りの楽しさを満喫しよう!

眺めの良い稜線歩きが楽しめる山を20座紹介しました。
夏と冬では同じ稜線でも全然違う世界になりますが、それもまた山の面白さ。夏の難易度が低くても、冬になると途端にハードになる山もあり、同じ山でも初級者から上級者まで幅広く楽しめますよ。
紹介した山の稜線を参考に、是非山登りの醍醐味を味わってください!
山と渓谷社 分県登山ガイドセレクション 関東周辺の山ベストコース100
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