九州を代表する山、阿蘇山の特徴
標高 | 山頂所在地 | 山域 | 夏(8月)の気温 | 冬(1月)の気温 |
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1,592m | 熊本県阿蘇市 | 九州山地 | 14.2~21.6℃ | – 8.3~- 1.5℃ |
阿蘇山(あそざん)は、九州中央部、熊本県阿蘇地方に位置する活火山で、阿蘇山のカルデラ内部にできた中央火口丘群の総称です。その中核を成し、ほぼ東西一列に並ぶ根子岳、高岳、中岳、杵島岳、烏帽子岳の五峰を阿蘇五岳(あそごがく)といいます。
山頂付近へのアクセスが非常に発達しているため、本格的な登山以外にも、1年を通じてハイキングや散策など観光目的で訪れるひとが多いのが特色です。本記事では、この山塊を大きく2つに分け、西側(杵島岳、烏帽子岳)と東側(根子岳、高岳、中岳)で紹介します。
阿蘇山の見どころを紹介!
大規模な草原地帯と水面のコントラストが美しい「草千里ヶ浜」
烏帽子岳(山塊西側)の手前に広がる広大な草原です。大草原だけでなく、雨が降った後には水が溜まり、水面に空や山が映り、とても美しい景色が広がります。散策路もあるので登山とあわせていかがでしょうか。
ダイナミックな地球の息吹を間近に感じる「火口群」
ルートによって大規模な火口を望むことでき、その姿からは地球の息吹を感じることができます。登山難易度はそれほど高くありませんが、これほどの絶景が拝めるのは阿蘇山のいいところです。
天にそびえ立つ荒々しい岩壁「天狗岩」
根子岳の西峰と東峰の間には「天狗岩」があります。穏やかな西側の風景と異なり、アルパインクライミングの領域となります。今回紹介する大戸尾根ルートでは、もちろんこの岩壁に登ることはありませんが、ルート上からその姿を垣間見ることができます。
阿蘇山へ行くうえで注意しておくべきことは?
見どころ満載の阿蘇山登山ですが、登山の際に気をつけておくべき点がいくつかあります。
阿蘇山は活火山!火山活動を注視して山行を決めよう
阿蘇山は現在も活動が続いている活火山です。気象庁より最新の噴火警報や予報が発表されるので、事前に確認したうえで行動を決めましょう。また火山ガスによる規制などもあるので、ルートは地元の情報も併せて確認しましょう
地震や豪雨災害による登山道状況も要確認!
2016年に発生した熊本地震や、その後の豪雨の影響などもあり、登山道に崩落や亀裂などが発生しています。現在通行できる登山道情報が熊本県により公開されているので、そちらの情報もしっかり確認しましょう。
またコース計画を柔軟に変更できるよう、事前に登山地図を用意しておくと役立ちます。
登山前には天気の確認を!
阿蘇山は1年を通して登山可能な山ですが、必ず天気と気温を確認したうえで出かけましょう。
西側のおすすめルート2選
【烏帽子岳】草千里ヶ浜をゆるり散策する周遊ルート
最高点の標高: 1294 m
最低点の標高: 1125 m
累積標高(上り): 242 m
累積標高(下り): -242 m
- 【体力レベル】★☆☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:2時間15分(往復)
- 【技術的難易度】★☆☆☆☆
- ・歩きやすい靴と動きやすい服装が必要
見どころで紹介した大草原を拝めるルートです。このルートは、登山というよりもハイキングに近いですが、大草原を周遊した後に山頂からから周囲一帯を見下ろすことができます。天気がいい日には南外輪の山々、奥に九州山地北端の山々を並んで見ることができます。
【杵島岳】活火山・阿蘇山の全容を遠望できる展望ルート
最高点の標高: 1289 m
最低点の標高: 1105 m
累積標高(上り): 507 m
累積標高(下り): -507 m
- 【体力レベル】★☆☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:1時間40分(往復)
- 【技術的難易度】★☆☆☆☆
- ・歩きやすい靴と動きやすい服装が必要
登山道は全面舗装されており、大変歩きやすくなっています。距離が短いのでルート①と合わせて登るのもオススメです。杵島岳の頂上からは眺めた火口を眺めることができ、壮大な景色が楽しめます。
東側のおすすめルート2選
【中岳・高岳】迫力の火口を間近に見る!核心部ルート
- 【体力レベル】★☆☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:約3時間(往復)
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
※このルートは火口付近を通過するため、火山ガス(二酸化硫黄)にさらされる危険が非常に高いです。命の危険もあるため、慎重な判断のうえ、山行の可否を決定してください。
※臭気を感じたら、濡れタオルで口・鼻を押さえ、ただちに下山しましょう。
活火山である阿蘇山を最も力強く感じることができるコースです。往復で3時間程度と行程は長くはありませんが、火山ガスが流れているエリアを通過します。
登山口である阿蘇山西駅(山上ターミナル)からは「阿蘇山火口シャトル」というバスによる見学手段もあるので、そちらもおすすめです。
阿蘇山火口シャトル
【根子岳】本格的な登山で絶景を拝む大戸尾根ルート
最高点の標高: 1353 m
最低点の標高: 782 m
累積標高(上り): 811 m
累積標高(下り): -811 m
- 【体力レベル】★☆☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:2時間40分(往復)
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
見どころで紹介した、天狗岩を拝むルートです。今回の中では最も登山要素が強く、ピストンかつ距離が短いですが、景色がいいので阿蘇山を登るのであればぜひ一度は登りたいルートです。おおむね樹林帯となり、道が荒れているところもあるので注意をしましょう。ところどころ展望が開けており、天狗岩や阿蘇五岳、周囲の山々を見渡すことができます。
登山口へのアクセスは、爽快なドライブコース!
西側と中岳・高岳への登山口へのアクセスの際に、「阿蘇パノラマライン」というドライブコースを通ります。これは県道111号(阿蘇吉田線)と298号(阿蘇公園下野線)を指しており、日本離れした山岳風景を気持ちよくドライブできます。
さらに、阿蘇山の北外輪山には「ミルクロード」と呼ばれる県道339号(北外輪山大津線)もあります。ミルクロードから外輪山の麓までつづく「阿蘇市道狩尾幹線」という山道は、通称「ラピュタの道」と呼ばれています。せっくならば、クルマでドライブをしながら山へ向かうのもおすすすめですよ。
情報収集の拠点「阿蘇山上ビジターセンター」
阿蘇山登山のアクセス拠点となる草千里。そこにある「阿蘇火山博物館」の1階に環境省が開設したビジターセンターです。阿蘇山の自然紹介をはじめ、12台のVR機器によりリアルタイムの火口の様子が見られるなど、より阿蘇山について知ることができます。トレッキングに関する相談などもできるので心強いです。
また同じく草千里内には「ニュー草千里」という観光施設もあるので、食事やお土産物などを購入する際にも便利です。
烏帽子岳/杵島岳/中岳・高岳へのアクセス
【クルマの場合】
九州自動車道「熊本」IC−国道57号−県道298号−草千里駐車場−阿蘇山山西駅
【公共交通の場合】
JR豊肥線「阿蘇」駅−九州産交バス「阿蘇山西駅」行き乗車−「草千里阿蘇火山博物館前」「阿蘇山西駅」下車
根子岳へのアクセス
【クルマの場合】
九州自動車道「熊本」IC−県道36号、28号、39号経由−根子岳大戸尾根駐車場
【公共交通の場合】
・JR豊肥線「熊本」駅− 「立野」駅で南阿蘇鉄道に乗り換え→ 「高森」駅下車、九州産交バス(高森町民バス)に乗り換え−「中原」バス停下車
・熊本空港より九州産交バス「高森中央」行き乗車−「高森中央」バス停下車、九州産交バス(高森町民バス)に乗り換え−「中原」バス停下車
九州産交バス|高森町民バス
下山後は源泉かけ流し温泉へ
阿蘇山は活火山ということもあり、周辺には温泉も豊富に湧いています。今回は西側・東側いずれのルートからも立ち寄りやすい日帰り温泉を紹介します。
どんどこ湯
観光気分で阿蘇山に壮大な景色を見に行こう!
阿蘇山は登山のレベルとしては難易度が高くはありませんが、そこから望む景色は壮大。本格的に登山というよりは、トレッキングやハイキングに近いので、観光を兼ねて訪れるのもおすすめです。九州ならではの山々のスケールの大きさをぜひ感じてくださいね。