日光のシンボル的な信仰の山、男体山とは?
標高 | 山頂所在地 | 山域 | 最高気温(6月-8月) | 最低気温(6月-8月) |
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2,486m | 栃木県日光市 | 日光連山 | 16.1℃ | 3℃ |
栃木の名峰、男体山。日光市にある標高2,486mの火山で、日本百名山をはじめ関東百名山や栃木百名山、一等三角点百名山のひとつにも数えられている山です。
火山らしいはっきりとした円錐形の姿が特徴的で、初登頂は奈良時代と歴史も古く、山岳信仰の対象としても知られています。日本では二峰並立の山は男神・女神とする慣習があり、山続きで東北側にある女峰山と対になることから男体山と名づけられたと言われています。
開山中のみ登山可能な信仰の山
男体山の二荒山神社の御神体山であり、境内地になります。そのため例年4月25日〜11月11日の登拝期間のみ登山が可能です。登拝料1,000円を納めて入山します。
4月25日に山開きとなる「開山祭」が行われ、日光二荒山神社中宮祠にある登拝門が開かれて男体山へ登ることができるようになります。そして、11月11日には登拝門を閉じ、登山シーズンを終わらせるための神事である「閉山祭」が執り行われます。
男体山の天気と地図
男体山に行く前に現地の天気と登山ルートを地図で確認しましょう。
男体山の見どころは?
男体山は山岳信仰の対象としての歴史はもちろん、紅葉をはじめとした美しい自然があります。その中から2つの見どころを紹介します。
奈良時代から続く登拝講社大祭。山頂からのご来光を見に行こう
男体山の麓に鎮座する二荒山神社中宮祠では、毎年7月31日から8月7日にかけて男体山登拝講社大祭が行われます。奈良時代の末から1200年以上に渡って続く祭りで、登拝に訪れる人や開かれる各種イベントを目的に訪れる人で賑わいます。
8月1日の午前0時には二荒山神社中宮祠登拝門の開門と同時に、数千人の参拝者が山頂の奥宮からのご来光を見るために登っていきます。夜間登山の先には、神秘的な山頂からのご来光と絶景を楽しめ、登拝之証(登山証明書)やご神水の授与も行われます。
珍しい食中植物「コウシンソウ」が見られるかも
男体山や女峰山をはじめとする日光火山群には、珍しい日本固有種の食中植物「コウシンソウ」が生育しています。標高2,000m前後の垂直に切り立つ岸壁に自生しています。
直径3cm以下の葉がロゼット状に広がり、高さ5cmほどの茎が伸びて1cmほどの薄い紫の花を咲かせます。葉や花茎の部分から分泌される粘液によって小型の虫を捕らえ、消化吸収します。
山麓の中禅寺湖の紅葉は圧巻!
男体山の麓にある中禅寺湖は紅葉の名所で、湖周辺の木々が赤や黄色の鮮やかな色彩で塗り替えられていく姿は圧巻です。また、紅葉が深まると、男体山の山肌も紅葉に染まり、他の季節とは趣の違う男体山を見られます。
紅葉の見頃はいつ?
男体山の麓にあたる中禅寺湖周辺は標高1,300m前後の高所にあるため、紅葉で色付き始めるのも平地よりも少し早めです。例年10月中旬から下旬にかけて見頃を迎えます。
男体山の頂上付近から麓へ向かって徐々に紅葉が進みます。中禅寺湖周辺では、カエデやウルシ、ブナ、ミズナラ、カツラなどの木々が紅葉で色付きます。
男体山のおすすめ登山コース
ここではもっとも一般的な往復コースと、三本松に抜ける縦走コースを紹介します。
往復コース|登山初級者も登りやすい山歩き
最高点の標高: 2458 m
最低点の標高: 1278 m
累積標高(上り): 2528 m
累積標高(下り): -2528 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:6時間30分(往復)
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
二荒山神社中宮祠からおよそ4時間程度で登頂できるため、登山初級者にも挑戦しやすいコースです。ただし急な登りが多く、高度が上がってくると岩場が多くなります。
まずは神社の社務所で登山受付を行います。登拝料を納め、右手奥にある登拝門を抜けて出発!
最初からいきなり急な石段を登っていきます。石段を登り切ると一合目の遥拝所へと辿り着きます。ここを過ぎると登山道に入ります。
一合目には「一合目」と彫られた石碑が鎮座。以後頂上まで石碑が立っているので自分の現在位置を把握しやすくなっています。
最初は樹林帯の中を登っていきます。
三合目を過ぎれば林道に入り、鳥居のある四合目で再び登山道へ。
四合目からは急な登りが1km近く続きます。足場の悪いガレ場がありますが、初級者も慎重に登れば大丈夫です。
四合目からおよそ1時間半で八合目へ。瀧尾神社と刻まれた石碑が立っており、避難小屋もあります。九合目を過ぎると森林限界を超え、樹林帯を脱出。眼下に中禅寺湖を見下ろすことができます。
山頂付近に近づくと岩や砂利の火山らしい景色が広がっています。
ついに頂上へ!二荒山神社の奥宮や避難小屋が建っています。山頂部の右奥には一等三角点があります。山頂からは360度の大パノラマを堪能でき、素晴らしい景色で疲れも吹き飛びますよ。
突き刺さるようにそびえ立つ剣。こちらも男体山頂上のシンボルのひとつです。
二荒山大神の大きな像も祀られています。
縦走コース|距離が長く、歩きごたえのある道
最高点の標高: 2458 m
最低点の標高: 1278 m
累積標高(上り): 2392 m
累積標高(下り): -2275 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:7時間45分(縦走)
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
男体山登頂後に、来た道を引き返すのではなく志津方面へと下り、戦場ヶ原の三本松へ下山するコースです。難しい箇所があるわけではありませんが、総距離が約15kmとロングコースなので、歩き抜く体力が必要です。
志津避難小屋までは男体山の斜面を下っていきます。志津乗越で林道へ入り、三本松方面へ向かいます。女峰山を縦走する場合は、大真名子山へと登っていきます。振り返れば男体山の姿が見えます。
志津乗越から後はずっと林道歩き。整備されている道なので歩きやすいです。ダケカンバとカラマツの林の中を西へ進んでいきます。
志津乗越からおよそ2時間ほど歩くと戦場ヶ原にある三本松へ到着です。三本松茶屋越しに男体山の雄姿を望めますよ!
男体山へのアクセス・駐車場情報
ここでは二荒山神社登山口、三本松へのアクセス方法を紹介します。
クルマの場合
東北道「宇都宮」IC−日光道−清滝バイパス−日本ロマンチック街道−第ニいろは坂−日本ロマンチック街道−国道120号−二荒山神社中宮祠登山口もしくは三本松園地
公共交通の場合
・JR東京駅−JR日光線「宇都宮」駅−「日光」駅下車、東武「日光」駅より東武バス「湯本温泉行」に乗車、「二荒山神社中宮祠」もしくは「三本松」バス停下車
・東北急行バス日光線「東京駅八重洲南口」バス停−東武「日光」駅より東武バス「湯本温泉行」に乗車、「二荒山神社中宮祠」もしくは「三本松」バス停下車
東北急行バス|日光線
東武バス|乗換案内
絶景は山の周りにも。日光の名所も巡ろう
日光エリアにある男体山周辺には立ち寄りたい観光スポットがたくさんあります。ここでは、特におすすめのスポット3カ所を紹介します。どれも比較的近い位置にあるので、計画にぜひ入れてみて下さい。
中禅寺湖
標高1,269m、日本で最も高い位置にある自然湖として知られ、2万年前の男体山噴火によって流れた溶岩が渓谷をせき止めたことで生まれた湖だと言われています。湖周約25km、人気の高い絶景ビューポイントがたくさんあり、定期運航している遊覧船に乗ることもできます。特に秋は紅葉スポットとしても人気で、見頃は10月中旬頃となっています。
戦場ヶ原
男体山の西方、中禅寺湖の北に位置する戦場ヶ原は、400ヘクタールの広大な面積を誇る湿原で、約2時間のハイキングコースや湿原を巡る自然研究路が整備されています。高山植物の宝庫でもあり、350種もの植物が自生しています。ワタスゲなどが見頃となる6~8月に訪れるのがおすすめです。紅葉は10月中旬頃が見頃で、湿原に生える草紅葉やミズナラ、カラマツの黄葉が楽しめます。
華厳の滝
落差97m、日本三大名瀑のひとつとして知られ、男体山の南東方向に位置しています。エレベーターで行くことができる観瀑台からは迫力ある滝の姿が目の前に!
新緑に縁どられる春、イワツバメが飛び交う6月、10月中旬から下旬に見頃を迎える紅葉のグラデーションにより鮮やかで雅な姿を見せる秋、周囲を流れる細い小滝が凍りブルーアイスに彩られる冬、と、1年を通して様々な姿が見られます。
初心者が日帰りで楽しめる2,000m級の山、男体山!
2,000m級の高山ですが、登山初級者でも比較的登りやすい男体山。頂上から眺める景色はもちろんのこと、麓の中禅寺湖周辺にあるスポットから眺める男体山も大変素晴らしく、その美しい山容を楽しむことができます。四季によって山が見せる表情も大きく変わり、年間を通して楽しめる山として人気の男体山にぜひチャレンジしてみて下さい!