なっ、なんだこのブサイクなザックは!!
なんか左に歪んでる!
雨蓋もズレている!!
サブポケットも、ものを入れすぎてめっちゃ重くなってる!!!
ハッキリ言って0点なザックを発見!一体どんな荷物の入れ方をしたらこんなことになるのでしょうか?
ここまでひどくないものの、山を登っていると「荷物が入らなくて、ジャラジャラ外に荷物をつけているザック」や「カバンが大きくて、ぺちゃんこのザック」など、上手にパッキング(荷物を詰めること)ができていない後ろ姿を見かけます。
別に荷物が運べればOKでしょ?
ザックで荷物が運べればそれで良い!と、思っている人もいるのではないでしょうか。
でも、こんなこと気になった経験ありませんか?
・片方だけ重くて疲れる
・歩いている時にふらつく
・必要なものがすぐに取り出せない
・木の枝などに装備が引っかかってバランスを崩す
・外付けしているものが、人に当たる
・ザックが重い
これらの悩みは、パッキングがうまくできていないことが原因の場合も・・・。
同じ荷物でも、重く感じてしまう?
同じ約7kg荷物の入った、ザックを背負って比較。先に通常のパッキングを背負ってもらってから、その後ブサイクパッキングのザックを背負ってもらいました。
その感想がこちらです。
・左肩が痛い
・なんだがザック全体が重く感じる
見てわかるように左に重心が傾いているので、左肩が痛くなるのはなんとなくわかります。ですが同じ重さなのに、どうして体感の重さが変わったのでしょうか?
これは後ほど、パッキングの基本の考えを見ていきながら考えてみましょう。
基本がわかれば、どんなザックでも美しくパッキングできる!
最初にパッキングをするために大切な『重さ』 『使用頻度』 『緊急度』の視点での考え方を理解しましょう。
①重い物を背中を中心に
上下で重さについて考えましょう。重い荷物は背中の中心より少しだけ上にします。こうすることで歩行時の重心が安定し、無駄に体力を使わずにすむのです。
そして背中を中心に上下に行くほど軽い荷物を入れていきます。肩より上の部分を重くすると左右に振られやすくなるのでさけましょう。
次に横からの視点で考えます。てこの原理と同じで、体より遠くに重い物が集まると重く感じるため、背中に近い位置に重い荷物を持ってきます。
さきほどブサイクパッキングが重く感じていたのは、通常のパッキングの時と違い、重いもの(水2L)が体から遠い位置にあったからです。
左右のバランスも偏らないように注意が必要。左右のバランスが取れていれば問題ないですが、基本的には上段の「軽い・重い・軽い」で意識するほうが簡単にパッキングできます。
②使用頻度と緊急度が高いものはザックの上部に
取り出しやすさも考慮して、上部にはよく使うものや緊急時にすぐに取り出すべきものを入れます。逆に下部には行動中には使わない、使用頻度が低いものを入れましょう。
例えばレインウェアはほとんどの場合、上部に収納。下部に入っていると、雨が急に降った時に取り出して着ることができず濡れてしまうからです。
①と②をまとめるとこうなります。
具体例を見てみよう
小屋で一泊する時の荷物を入れてみると、こんな感じです。
この例を参考にしながら「重い物は体の近く」 「よく使うものは上」を意識してパッキングしてみてください。
例えば、行動食はハーネスベルトがある場合はそこに入れたり、レインウェアが雨蓋にどうしても入らない時はザックの上部に入れるなどをしても問題ありません。
その他、サイドポケットには地図や行動中の飲み物を入れたり、ハーネスベルトには行動食や携帯電話を入れたりします。
雨蓋って、何を入れたら良いの?
パッキングに関する質問で多いのが雨蓋に関すること。何を入れるのか迷う人が多いようです。
基本の考えは「すばやく取り出せる必要があり、軽いもの」。人によって変わりますが、レインウェアやファーストエイド、サングラスなどを収納しましょう。
意外と簡単?きれいなパッキングに挑戦してみよう!
先程の基本の考えを踏まえて、パッキングをしてみましょう。大切なのは『重さ』『使用頻度』『緊急度』でしたね。
①必要なギアを全て用意する
ここで忘れ物がないかチェック。簡単でよいので何に使うかを分けて配置しておくと、荷物をまとめる時にスムーズです。
②袋を使って荷物を小分けに
ザックに詰める前に、荷物をスタッフサックで目的別に大まかに分けます。細かなものは、さらに小さな袋で分けるのも〇。
荷物を用途ごとなどでまとめておくと、カバンの中でも探しやすくなります。また、着替えなどの濡れて困るものは、防水バックで濡れないようにしましょう。
③入れる時は縦向きに
ザックは基本的に縦長になっているので、荷物も同じように縦向きに入れていきます。
上向きに入れていると上部から荷物を取り出すザックの場合、何があるのが分かりやすく取り出しやすいです。
④荷物は両サイドから内側へ
荷物を両側から中心に向かって入れていくと、長方形になりバランスの良いシルエットになります。
バランスが取れているザックの方が安定するため、背負いやすいです。
⑤スペースは柔らかいもので埋める
ある程度荷物を入れていくと、どうしても隙間が。
隙間があると中で荷物が動くなど、バランスが悪くなるので柔らかめの小物や服を入れて隙間を埋めます。
ウェアなどを筒状にしておくと、隙間を埋めるときに重宝するのでおすすめ。
⑥最後にベルトを締めてカタチを整える
荷物を詰め終えて蓋をしたら、最後はザックのベルトをしっかりしめて隙間をなくします。
これで完成!
パッキングはやればやるほど上達します。登山に言った時にこれは使わなかった、など振り返ってみて道具の位置や取捨選択をしていきましょう。ただし使わなかったからといえ、ファーストエイドキットなどを削ってしまうのはNG!
よくある疑問と解決方法!
基本の通りにパッキングしたのに上手くいかない…?ここでは、よくあるパッキングの悩みとその解決方法を紹介。
Q:中身が見えなくて何が入ってるかわからなくなる
小分けに荷物を分けたのに、どれに何が入っているか分からないことはよくあること。似たような袋に入れると色分けしてもつい忘れてしまいますよね。そんなときにはフリーザーバッグがおすすめ。防水性もあり、安くて簡単に手に入ります。
Q:荷物が少なくてスッカスカ
容量に合わせてザックのサイズを変えるのがベスト。とはいえザックが他にない場合は、最初にザックの横にあるコンプレッションベルトを締めて小さめにしておくと、カタチが崩れずにパッキングが可能。
その他、ウェアは柔らかくカタチを変えやすいので、空いたスペース調整に重宝しますよ。
Q:荷物が多くて外付けしちゃう
外付けは引っかかりの原因となるので、できるだけ控えましょう。まずは不要なものがないか見直し、なければスタッキング(積み重ね)で省スペースができないか考えます。
食器や食べ物、ガス類はスタッキングして無駄なスペースを減らしやすいですよ。ギアを買う時にも「持ってるものと重ねられるか?」などを考えて選んでみましょう。
Q:背中に硬いものがあたって痛い
背中に当たる面が柔らかなザックは、入れるもので背負い心地に影響してきます。背中に当たる面は平らで柔らかめのものを入れ、硬いものはザックの真ん中にくるようにします。
着替えなどをクッション代わりにしたり、水を入れるポケットが背中側についているザックの場合は、そこに水を入れると硬い荷物の緩衝材になります。
『後ろ姿美人登山者』になって山を楽しもう!
人によって持っていく荷物や使用頻度・重要度はことなります。基本「重い物は体の近く」「よく使うものは上」をふまえて、自分のザックや登山スタイルに合わせてパッキングすることが大切。
何度かやってみて実際に登山してみると自分なりに改善したいところが出てくるはずです。パッキングが上手くなると見た目も美しく、快適な登山につながるので、ぜひやってみてください!