テント泊登山はじめの一歩【準備編】~食料計画&パッキング~

2021/03/15 更新

テント泊デビューの山行計画が決まり、必要な装備を揃えたら、いよいよ準備開始。いつまでに何をするか、当日どんな山ごはんを作るのかをしっかり考えて、忘れ物がないように準備を整えましょう。準備編では、多くのテント泊講習会などで講師を務める登山ガイドの平川陽一郎さんに、食料計画やパッキングのポイントを教えてもらいました。

アイキャッチ画像出典:PIXTA 撮影・編集:YAMA HACK編集部

テント泊登山はじめの一歩|準備編

登山の準備
出典:PIXTA
はじめてのテント泊の計画が決まったら、当日までに準備を整えましょう。必要なものをリストアップして、忘れ物などがないように。出発の日までを逆算して、いつまでに何をするかも考えて進めましょう。

【食料計画】 どんな山ごはんを作る?

テント泊登山時の食料計画
出典:PIXTA 撮影・編集:YAMA HACK編集部
テント泊の日程に合わせて、いつ何を食べるのかを考えて、必要な食材を用意します。食べることは山の大きな楽しみのひとつですが、すべての食材や必要な調理道具などを背負って歩くことを考えると、何でも好きなものを持って行けばいいという訳にはいきません。重さと食欲とのせめぎ合いに決着をつけることが、山の食料計画の最重要課題です!

登山の食事で重要なポイントは4つ

登山の食事で重要なポイントは4つ
出典:PIXTA 撮影・編集:YAMA HACK編集部
①短時間でできる
何かとすることが多いテント泊では、できるだけ早く効率的にできることが大切。早くできれば時間の節約になるだけでなく、ムダな燃料を使うこともありません。食材を事前にカットして持って行く、途中まで調理しておく、半調理の食材を選ぶなどの工夫をしましょう。

②傷みにくい
肉や魚、野菜などの生鮮食品を使う場合には、できるだけ鮮度の落ちにくい食材を選び、とくに気温の高い時期は、冷凍や油を使って調理してから持って行くなど、携行方法にも工夫が必要です。複数日にわたる際は、傷みやすいものから順に使用し、後半は乾燥食品や、常温保存できるものを使うようにしましょう。

③充分な栄養が補給できる
食べる楽しみや満足感に加え、長時間行動に必要な栄養素を摂取できることもとても重要。疲れて食欲がない時でも、カロリーを効率的に摂取できるものを中心にメニューを考えましょう。

④軽くてかさばらない
フリーズドライ食品などをうまく利用して、できるだけ軽量化を試みましょう。夕食と次の日の朝食で同じ材料を使ったり、夕食をリメイクして朝食にしたりすることで、食材を効率的に使うのも有効です。

平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
食べることは大きな楽しみですが、朝昼晩と3食とも手をかけることはできません。とくにテント泊初心者は、食事のために荷物を増やしすぎて、背負いきれずにバテてしまうことがよくあります。

朝食は手早く手軽に、昼食は行動食ですませ、夕食だけは好きなものを食べる、食事は質素にする分お酒やデザートなどの嗜好品はがまんしないなど、メリハリをつけるのがおすすめです。

レーション表を作ろう

レーション表イメージ
作成:YAMA HACK編集部(レーション表イメージ)
行程中のすべての食事を、朝、昼、夕食ごとにレーション表(献立表)にしてみましょう。何が必要か、充分なカロリーが摂取できるか、同じようなメニューばかりに偏っていないかなどを確認することができます。

また、最初に予定よりも食べすぎてしまい、途中で食材が不足したり、せっかく持って行ったのに食べ忘れたりということも防げます。

必要なものをリストアップ

準備するもの&買い出しリスト
作成:YAMA HACK編集部(準備するものリストイメージ)
献立が決まったら、出発までに必要なものを用意します。食材や調味料はもちろんですが、メニューに合わせたクッカーや火器、ナイフなどの調理器具、ホイルや保存袋や片づけに必要なペーパー類、ごみ袋などももれなくリストアップしましょう。

火器やクッカーを扱うときに鍋つかみとして使えるよう、軍手や手ぬぐいなど、熱に強い綿素材のものを用意するのも忘れずに。高所ではコンロの着火装置の火花が飛ばないこともあるので、予備としてライターも必ず持って行きましょう。

平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
メインの食事に合わせて、毎食意識してとりたいのがお茶類。標高が上がると動脈血酸素濃度が低くなって血液が濃くなるので、水分補給は積極的に行なわなくてはなりません。

行動中は水でも飲みやすいですが、食事のときはお茶のほうがたくさん飲むことができ、食欲のない時はごはんにかけてお茶漬けもできます。日本茶以外にも、好みでいろいろな種類を用意するのといいでしょう。そのまま飲んでもおいしく、調味料として料理にも使える、昆布茶もおすすめです。



【パッキング】 どう詰める? 忘れ物はない?

テント泊登山パッキングの基本
撮影・編集:YAMA HACK編集部
すぐに使うものは上に、重いものは体に近いところになどの、パッキングの基本は、テント泊も小屋泊も同じ。ただし荷物が多くなる分、よく考えてパッキングしないと、テント場に着いた時に、バックパックの中身をひっくり返すことになります。

できるだけすばやくテントを設営するために、先に使うものが取り出しやすいよう、作業を逆算して荷物を詰めることを意識しましょう。

平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス

行動食とテントをザックの一番上に入れる
撮影・編集:YAMA HACK編集部
行動中、バックパックの一番上にあるのは、行動食テント。天気が悪ければそこに雨具が加わります。

すぐに使わないテントが一番上というのを意外に思うかもしれませんが、テント場に着いたときに雨が降っていても、まずテントを張ってしまえば、他の荷物を濡らすことがありません。

とくに、絶対に濡らしたくないシュラフやマットは、テントが張れた後で最後に取り出すよう、詰めるときは最初にパッキングします。ザックカバーを使うだけでなく、防水パックに入れるなどの対策をしっかりしてからパッキングすることも必要です。



忘れ物をしないことがテント泊の絶対条件!

忘れ物がないかチェックリストを確認する登山者
撮影・編集:YAMA HACK編集部
テント泊での忘れ物は、命にかかわるトラブルの原因になりかねません。チェックリストを作り、何度も確認をする習慣を付けましょう。

どんな装備も、山で初めて使うことがないように、必ず事前にチェックしておくことも重要。人から借りたりもらったりしたもの、中古品を購入した場合なども、破損などがないかを確認しておきましょう。

平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
ダウンは、長期間保管しているとどうしてもロフトが減ってしまうので、パッキングする前に一度天日干しすることをおすすめします。

一度干しておけば、そのあとコンプレッションバッグに入れても、出したときの復元力が保たれます。このひと手間で睡眠の快適性に違いが出ますよ。

準備は万端? 不要なものがないかもチェックしてみて!

準備万端の登山者
出典:PIXTA 撮影・編集:YAMA HACK編集部
忘れ物をしないよう、足りないものがないようにすることも重要ですが、不要なものを減らすことも同じくらい重要。慣れないうちはどちらかといえば、不安で多く持ちすぎてしまう傾向があります。同じ用途のものが重複していないか、ひとつのものを多用途に使いまわせないかを考えましょう。

一度自分の定番が決まってしまえば、あとは季節や状況に合わせて部分的なカスタマイズをするだけで対応できます。よく考えて準備をし、使った後で振り返って次に生かす、これを繰り返すことで、テント泊の準備はどんどんスムーズになっていくはずです。

教えてくれた人|登山ガイド・平川陽一郎さん

平川ガイド
平川 陽一郎(ひらかわ よういちろう)
高校・大学の山学部で本格的な登山を学び、北アルプスや谷川岳を中心に国内外の山々でクライミングを行なう。卒業後は登山業界に入り、複数社の登山用品店で店長を務める。その後、ガイドとして独立。現在は、(株)finetrack直営店 TOKYO BASEとHIBIYA HUTを拠点に登山技術講座も数多く開催している。並行して、(公)日本山岳ガイド協会正会員のマウンテンガイド協会会長、ガイド協会の危急時対応技術指導員、(公)日本山岳会 埼玉支部国内山行委員や登山クラブ「やま塾」の代表として安全登山の啓発活動を行っている。

テント泊登山はじめの一歩


テント泊入門ガイド

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準備万端の登山者
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小川 郁代

犬と音楽とお酒大好きのインドア派が、クライミングと出会ってアウトドアの世界へ。登山、ハイキング、最近は沢登りとBCクロカンに夢中。山に行くだけじゃわからない「山のコト」を伝えたい。

登山専用コミュニティサイト「ヤマレコ」

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