現在地の確認やコースタイムなどは、スマホを見ながらであれば常に把握することはできます。しかし、豪雨や吹雪の時にまで毎回スマホを取り出すのは現実的ではありません。
そんな時におすすめしたいのが音声案内機能。
今回紹介しているアプリの中では、「ジオグラフィカ」と「ヤマレコ」が音声によるルートや標高の案内をしてくれる機能を持っています。実際にジオグラフィカでルート案内を聞いてみると、現在の標高や到着までの予想時間、ゴールまでの直線距離、高度差などを教えてくれました(※)。
事前にルート作成しておき音声案内をさせておけば、最後までスマホを見ずに、迷わず下山できることも可能かも!?
④遭難対策に役立つ機能が充実しているのは「YAMAP」と「ヤマレコ」

オフラインでも詳細な地図と現在地がわかる点で非常に心強い地図アプリですが、最近はアプリ独自の遭難防止につながる機能が付与されています。
計画書提出機能
ヤマレコのプレミアムプラン限定の機能として、コンパスとの連携があります。
コンパスはオンラインで登山届けを提出できるシステム。もし遭難してしまった時にコンパスで登山届を提出できていれば、通報した時の捜索・救助活動がスムーズになります。
なお、予定ルートを計画・登録する機能は全てのアプリについています。自分が歩くルートを事前にきちんとチェックし、必要な装備や食糧などの計画を立てることは全ての登山に必要なことです、登山前に必ず確認しておくようにしましょう。
コースアウト時のアラート機能
ヤマレコでは予定ルートを入れておくことで水平距離で約50mを逸脱すると音声による警告が出るようになっています。大幅にコースアウトしてしまえば戻るのも一苦労。アラートが出ることで道迷いしていることに早めに気づけるのはありがたいですね。

YAMAPには「ルート外れ警告」として同じ内容の機能があります。こちらは有料のプレミアムプランに入れば使えるようになります。
家族に位置情報を伝える機能

少し道迷いした程度であれば戻ればOKですが、例えば滑落をして動けなくなったり気を失ったりしたら、自力で戻るどころか救助を呼ぶことすら困難になりますよね。
また心配している家族に、こまめに今どこにいるか教えてあげることができれば、安心してもらえるはず。
、
YAMAPの「みまもり機能」はネット経由で家族に位置情報を伝えることができる機能。
仮に圏外だったとしても、山の中で他のYAMAPユーザーとすれ違えばその時の位置情報を自動で交換し、どちらかがオンラインになった時に家族にYAMAPのサーバー経由で位置情報を家族に伝えることができます。

山の中でYAMAPユーザーが増えるほど、圏外エリアのどこにいてもすれ違ってさえいればその時の場所を知ることができるというわけです。
なんと既にこの機能を使って遭難者を発見したという事例もあるのだそう。
ヤマレコにはすれ違い通信によるオフラインの位置共有はできませんがオンラインになった時に都度家族に自動で場所を送信する「いまココ」機能があります。
「いまココ」機能は機内モードでは発動できません。充電が気になる場合は休憩の時に機内モードを解除するようにしておくのがおすすめ。
■絶対安心な機能ではないので慢心はNG
「みまもり機能」と「いまココ機能」についてご紹介しましたが、注意点としては圏外エリアの場合、どちらも遭難時にピンポイントで居場所を教えてくれるものではないということ。
また、有効なのはアプリを起動しているときだけ。電池が切れればどちらの機能でも居場所を特定するのは困難です。
遭難時に早く、確実に発見してもらえるようにココヘリへの加入は必ずしておくようにしましょうヤマレコではココヘリにお得に入会できるキャンペーンが用意されていますよ。
危険箇所や迷いやすい場所を教え合う「フィールドメモ」機能
ルート上の細かな注意点まで登山者自身が知らせ合うことができるのでユーザーの多いYAMAPならではの機能といえそうですね。
⑤スマートウォッチを持っているなら「ヤマレコ」か「YAMAP」で活用できる!

地図アプリである以上、地図を見る時は毎回スマホを取り出して・・・としていると煩わしいですよね。そんな方におすすめなのがスマートウォッチの連携機能。
ヤマレコはApple Watch、WearOS(by Google)対応のスマートウォッチの両方に対応。さまざまなスマートウォッチで現在地の確認やルート外れ警告などさまざまな情報を取得することが可能です。
特にヤマレコは近年こちらのスマートウォッチ対応に非常に力を入れており、この機能を使うためにヤマレコを選んでいる登山者もいるほど。今後の機能拡充にも期待ですね。
YAMAPは、2022年8月にApple Watch版YAMAPアプリが登場。活動データや地図を手元で確認できます。
なお、日帰り程度のスマートウォッチの使用は問題ありませんが、数日にわたる縦走や過酷な気象条件下では消費電力を抑えているとはいえそれなりにバッテリーを消耗します。モバイルバッテリーや接続ケーブルも忘れずに持っていくようにしましょう。
結局、私にオススメのアプリは?

それぞれのアプリに特徴がありますが「結局、自分におすすめのアプリはどれ!?」と思った方もいるのではないでしょうか?そこで、登山スタイル別におすすめのアプリをご紹介します。
●YAMAP
全国のほとんどの山のコースタイムや水場の情報入り地図が無料でダウンロード可能。
・里山などの低山から日本アルプスまで幅広く登る人
・遭難対策につながる機能で少しでも安全に登りたい人
・活動記録をつけたい人、YAMAP内のコミュニティで共有したい人
●山と高原地図(通常版)/山と高原地図ホーダイ
主要な山岳エリアについて最も詳細な登山道情報が収録されており、綿密な計画を立てやすい。
・これまで紙の「山と高原地図」を使っていた人
・コースタイムや水場などの情報がほしい人
・綿密な登山計画を立てたい人
●ジオグラフィカ
地図のダウンロードが楽なうえ、音声ガイド機能は大きな魅力。2,000円以下で大幅な機能拡充も可能!
・音声ガイド、ナビゲーション機能が欲しい人
・雪山などスマホを取り出しづらい場所に行く人、いちいちスマホを取り出すのが億劫な人
・地形図上での現在地把握がメインでシンプルな操作性を求める人
●ヤマレコ
ルート表示など基本的な機能に加えて超マイナールートも表示される「みんなの足跡」は玄人から見ても心強い。
・マニアックなルートを含む低山から日本アルプスまで幅広い山域に出かける人
・スマートウォッチを持っている人
・山行記録をつけたい人、ヤマレコ内のコミュニティで共有したい人
現在地がわかったら、地図読みをしよう

どのアプリでも現在地とその周辺の地図が表示されます。せっかくアプリを入れたのであれば、現在地から見える景色と地図を比べて、等高線の数や形状によってリアルな地形がどのようになっているか見てみましょう。
地図が読めることで、計画を立てるときにそのコースがどのくらい急峻なのか、どんな景色なのかをなんとなく掴めるようになってきます。
有料会員になるのがおすすめ!
今回は山と高原地図ホーダイを除いて無料で使える機能を中心にご紹介しましたが、特にYAMAPやヤマレコに関してはここ数年で追加機能の開発がどんどん進んでおり、有料会員に対するメリットが増えてきています。
実際、比較検証用に全てのアプリで有料会員に登録してみましたが、登山を趣味にしている方であれば有料会員登録するのが絶対におすすめというのが素直な感想です。
もし長く使いたいけれど少しでも安く済ませたいという方、は地図のダウンロードと記録回数が無制限になるジオグラフィカの機能制限解除(1,900円)が最安といえるでしょう。
YAMAPとヤマレコについてはお試し期間や年間・月間プランが用意されており、しっかり試すことができるようになっています。自分にぴったりな機能があるかどうかをしっかり見極めて選ぶと良いでしょう。
山と高原地図ホーダイに関しては有料プランしかありませんが、紙版の山と高原地図を購入することで会費が1年分まるまる無料になるキャンペーンを実施しています。とんでもなくおトクなので、山と高原地図ホーダイの検討をしている方はぜひこの機会に入っておくのがおすすめです。
各アプリの有料会員(プレミアム会員)になったときのメリットは次のとおりです。
YAMAPプレミアム
- 最初の1ヶ月は無料
- 1ヶ月の地図ダウンロード枚数:2枚→無制限
詳細天気予報の確認:不可→可能
プレミアム地図の利用:不可→可能
みまもり機能LINE通知:なし→あり
ルート外れ警告:なし→あり
到着予想時刻表示:なし→あり
歩行ペース表示:なし → あり
その他、写真アップロード数の制限解除や登山記録の3D動画保存など、登山後の楽しみ機能が充実
ジオグラフィカの機能制限解除
- 記録回数:20回まで→無制限
- 表示キャッシュの容量:200MB→200MB〜無制限で選択可能に
- 限定地図の利用:不可→可能
- トラックの編集機能:なし→あり
- コースのダウンロード:制限あり→無制限
ヤマレコのプレミアムプラン
最初の30日間は無料
- 総容量:1GB→20GB〜300GB
- 計画書保存数:2件→無制限
- コンパスへの登山届提出:なし→あり
- アプリの地図ダウンロード数:同時に2つまで→無制限
- Apple Watchへの地図ダウンロード数:同時に1つまで→無制限
- その他、コミュニティの機能制限が大幅解除
モバイルバッテリーはもはや登山の【必須装備】

全てのアプリは「機内モード」にすることでGPS以外のすべての通信を遮断して電池の消耗を大幅に抑えることができますが、もしもの時、アプリの使用時間が長期に及べば当然電池切れの恐れが出てきます。
仮に、地図アプリを使っていなかったとしても、通信手段は最後の命綱。登山をするときは地図アプリのインストールはもちろん、スマートフォン用のモバイルバッテリーも必ず用意するようにしましょう。
「道迷い遭難」はゼロにできる。アプリを入れることが”当たり前”の文化になるように!

全国の遭難者は20年以上前から右肩上がり傾向で、現在は年間3000人ほど。そして、そのうち4割が道迷いといわれています。
もし登山者全員が地図アプリを使ってさえいれば、道に迷う人を約1200人も減らすことができます。
アプリをインストールして地図をダウンロードするまでわずか5分ほど。どんなに小さな山でも入山する前にできることなので、ぜひ次の登山から取り入れてみてください!
YAMAP
山と高原地図(通常版)/山と高原地図ホーダイ
ジオグラフィカ
ヤマレコ





