紙の地図は、道に迷ってから出しても遅い!

しかし、多くの人が勘違いしていますが、道に迷ってから紙の地図を広げても手遅れなんです。
なぜなら、紙の地図やコンパスは自分が今どこにいるのか分かっている状態で、道に迷わないために使うものだから。
紙の地図だけで正しくナビゲーションするには、地形やランドマークを利用して、現在地を把握し続ける必要があります。地図から地形や記号を読み取り、実際の谷、尾根、鞍部、ピークなどと照らし合わせていく作業は、時間も掛かり大変です。
本当に地図とコンパスだけで現在地、わかりますか?

コンパスで名前が分かっている建物や山、送電の鉄塔などの方位を測って現在地を特定する「クロスベアリング」という方法があります。
しかし、都合よくそんな目標物が見えることはほとんどありません。なぜなら、道に迷う時は谷間や樹林帯、霧などで視界が悪いことが多いからです。視界が悪ければ目標物は見えず、クロスベアリングは使えません。
道迷いに気づくと冷静な判断力を失う

紙の地図とコンパスを持っていても、現在地がわからなければどうしようもないのです。
じゃあ、実際に迷ったらどうしたらいいの?

答え:まずは、GPSを使いましょう

次に、助かるための最善策を考えよう

・可能なら来た道を戻る。
・登山道でない沢には降りない。
・安全な道を選んで、尾根やピークを目指してから降りる道を探す。
など、道迷い遭難対策の基本通りに行動します。また、無理しないことも大事です。危険と判断したら、躊躇せず救助要請をしましょう。
やってますか?登山前の地図読み

地図を見ながら脳内登山をしておくと、間違った時に『あれ?思ってた景色と違う。あるはずの建物が無いぞ(あるいは予想していた地形と違う)、間違ったかも?』と気づくことが出来ます。事前の脳内登山には、紙の地図が便利です。以下のポイントを抑えてやってみましょう。
事前地図読みのチェックポイント
・登山口から予定コースを順に見ていき、道の分岐をすべて確認しましょう。重要な分岐には、メモを書いておきましょう。
・通過するポイントには、予定時刻を記入。簡易計画書として、活用します。
・等高線の詰まり具合から、傾斜や地形の変化を読み取りましょう。上の写真のように、標高100mごとに線を書き足しておくと、傾斜を把握しやすくなります。
・地図記号から植生(広葉樹、針葉樹、畑など)や建物、橋、ダムなどを読み取り、歩いていくとどういう景色が出てくるかイメージしましょう。
登山中、異変を感じたり、間違いに気づいたら、GPSも併用してすぐに現在地を確認しましょう。
紙地図とコンパス、そしてGPSの併用を

しかし、GPS端末と紙の地図の両方を持っていれば、お互いに保険として使用可能です。紙の地図、コンパス、GPS端末は道迷い対策の必須装備と言えるでしょう。
ただし、紙の地図でもGPSでも、道具に頼り切ってはいけません。道具は頼るものではなく使うものです。それぞれの道具を使いこなせるように練習しましょう。