天狗岳は八ヶ岳連峰の入門に最適!
標高 | 所在地 | 最高気温 (6月-8月) | 最低気温 (6月-8月) |
2646m(東天狗) | 長野県茅野市 | 15.7℃ | 8.3℃ |
天狗岳は北八ヶ岳に位置し、八ヶ岳連峰の入門の山として最適な山。東天狗岳(標高2,646m)と西天狗岳(標高2,645.8m)の東西二峰からなり、東天狗岳すぐ北にある岩峰が、「天狗の鼻」のように見えることからその名前が付いたと言われています。
八ヶ岳とは山塊の総称
八ヶ岳は、長野県と山梨県にまたがっている山塊の総称で、最高峰は、標高2,899mの赤岳。岩峰が連なりアルペン的な南八ヶ岳と、原生林が生い茂りなだらかな山容が特徴の北八ヶ岳とに分けられます。
関東エリアや中部エリアからのアクセスもよく、また、日本百名山でもあることから、年間を通して人気のエリアです。
初級者のステップアップの山として人気
天狗岳を含む、八ヶ岳は山小屋が多く、連泊登山や縦走もでき、初級者からベテランまで楽しめ、全体的に危険箇所が少ないのも魅力。雪山登山を八ヶ岳から始める人も多く、1年を通じてステップアップの山として賑わっています。
地図は必ず携帯
登山で地図は常識。必ず携帯しましょう。こちらがおすすめです。
天気もチェック
登山前にはかならず現地の天気をチェックしましょう。
これは押さえたい!天狗岳の見どころ
天狗岳には多くの見どころがありますが、そのうちのおすすめをいくつか紹介します。
偽ピーク?な「天狗の鼻(天狗岩)」
東天狗岳山頂の約120m北にある岩峰。その名の通り、天狗の鼻のようにそびえていることから、天狗岳の象徴のような存在。山頂よりも山頂らしい、いわゆる”ニセピーク”。間違えて山頂と思い登ってしまう登山者もいるので注意。
マイナスイオンたっぷりの「苔の森」
天狗岳が位置する北八ヶ岳山麓は、緑豊かな深い森の中。コメツガやシラビソなどの樹木の下、苔に覆われた岩が幻想的で、まるで、スタジオジブリの映画『もののけ姫』の世界に入ったような錯覚を覚えます。天狗岳登山道の最初はこのような苔の森の中、マイナスイオンを浴びながら歩きましょう。
東天狗岳からの大展望!
東天狗岳からは、中央アルプス、南アルプスを遠望でき、特に、赤岳や硫黄岳の連なりが八ヶ岳の雄大さを感じさせ圧巻です。
次からは、初心者向け登山コースを2つ。まだまだ、たくさんの見どころがありますが、こちらでも紹介します。
【日帰り】唐沢鉱泉~天狗岳~黒百合平周遊コース
最高点の標高: 2598 m
最低点の標高: 1885 m
累積標高(上り): 1049 m
累積標高(下り): -1049 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:5時間45分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
天狗岳西側の代表的な登山口「唐沢鉱泉」から、西天狗岳、東天狗岳を登頂し、黒百合平を経由する周遊コース。天狗岳登山では、最も一般的な登山コースです。
登山口「唐沢鉱泉」から出発
唐沢鉱泉から出発。こちらを右へ進めば西天狗岳へ。左は黒百合平側なので、今回は下山ルートになります。
最高の眺望|第1展望台
登山口からは、しばらく深い苔の森の中を歩きます。1時間ほどすると周りが開け、第1展望台へ。ずっと展望が無い中を歩き、展望台へ立つと、ちょっと感動モノです。
まずは西天狗岳へ登頂
ひとつ目の山頂「西天狗岳」。中央アルプスをはじめ、遠くにアルプスの山々が望めます。進む方向に「天狗の鼻」と「東天狗岳」が間近に見えます。
最高峰東天狗岳へ
天狗岳最高点「東天狗岳」山頂に到着!登ってきた西天狗とともに、遠くに同じ八ヶ岳の硫黄岳や横岳、アルプスの山々が遠くに望めます。間近には天狗の鼻、その向こうには稲子岳の南壁と、迫力がある姿を見せてくれます。
黒百合平でちょっと一息
東天狗岳から中山峠を経由し、黒百合平へ。その名の通り、6月下旬から7月初旬にはクロユリのお花畑が見られます。山小屋の「黒百合ヒュッテ」があり、宿泊はもちろん、ランチや喫茶営業も行っているので、休憩に利用できます。
北八ヶ岳の森の中、唐沢鉱泉へ下山
黒百合平から下山。しばらくすると、渋の湯分岐を過ぎ、樹林帯へ入り、再び北八ヶ岳の苔の森へ。そのまま進むと唐沢鉱泉へ到着。天狗岳周遊登山の終わりです。
【山小屋泊】稲子湯~黒百合ヒュッテ(泊)~東天狗岳~根石岳
最高点の標高: 2587 m
最低点の標高: 1503 m
累積標高(上り): 2124 m
累積標高(下り): -2124 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 1泊2日
- コースタイム:10時間50分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
【2日目】黒百合ヒュッテ(5分)→中山峠(110分)→東天狗岳(15分)→根石岳(20分)→箕冠山(35分)→夏沢峠(40分)→本沢温泉(100分)→みどり池(90分)→稲子湯
天狗岳東側の代表的な登山口「稲子湯」から、黒百合ヒュッテへ宿泊。翌日は、東天狗岳、根石岳(ねいしだけ 標高2,603 m)、箕冠山(みかぶりやま 標高2,580m)のミニ縦走を楽しみ、本沢温泉から稲子湯へ下山します。
登山口「稲子湯」から出発
登山口である「稲子湯」を出発。しばらくは森の中。10分程度歩いた場所にも「みどり池駐車場」があり、そちらに駐車することも可能。どちらも登山口として利用されています。
しばらくは、北八ヶ岳の森の中を、みどり池を目指します。
幻想的な森に囲まれたみどり池
北八ヶ岳の森を登っていくと、みどり池に到着します。しらびそ小屋がたたずむこの池は、リスや野鳥が遊ぶ原生林の森の中にあり、静かでのどかな風景を楽しめます。
中山峠から黒百合平へ向かう
中山峠へ到着。天狗岳は左方向ですが、宿泊のため、一旦、黒百合平方向に進みます。八ヶ岳登山ではよく使う、十字路の分岐点。進む方向を間違えないように、よく確認しましょう。
黒百合ヒュッテで宿泊
唐沢鉱泉コースで休憩場所として紹介した「黒百合ヒュッテ」に宿泊。天候が良ければ、夜は降るような満天の星に感動するかも。
雄大な八ヶ岳を楽しむ|東天狗岳~根石岳~箕冠山縦走
翌朝、黒百合ヒュッテを出発。中山峠から東天狗岳へ。絶景を楽しんだ後は、根石岳、箕冠山へ縦走。気持ちのいい尾根を歩き、約1時間程度、雄大な八ヶ岳のミニ縦走を楽しみましょう。
日本最高所野天風呂「本沢温泉 雲上の湯」
夏沢峠を経由し、下山路をたどります。約1時間程度で、日本最高所野天風呂「雲上の湯」がある「本沢温泉」に。かなりワイルドな温泉ですが、開放感抜群!勇気があれば入っていきましょう。入浴料1000円です。
本沢温泉を後にし、稲後湯登山口へ下山します。
黒百合ヒュッテ情報
今回の宿泊場所「黒百合ヒュッテ」は、黒百合平にたたずむ山小屋。ランチ、喫茶営業もしており、天狗岳を含む八ヶ岳登山の拠点として人気です。ピアノやジャズなどのイベントを多数開催しており、それを目当てに訪れる人も多数います。
天狗岳へのアクセス
今回紹介した2つの登山口へのアクセスはこちら。
唐沢鉱泉登山口
【クルマの場合】
中央自動車道「諏訪南」ICーエコーラインー三井の森別荘地ー唐沢鉱泉登山口
【公共交通機関の場合】
JR中央本線「茅野」駅ータクシーにて約55分(約7,700円) ※バス等はありません。
稲子湯登山口
【クルマの場合】
中央自動車道「長坂」ICー国道141号ー松原湖ー稲子湯登山口
【公共交通機関の場合】
JR小海線「小渕沢」駅ー小海町営バス松原湖線「小海駅前」バス停より乗車ー「稲子湯」バス停下車、または「みどり池入り口」バス停下車
※冬季はみどり池入口・稲子湯までのバスの運行はありません。詳細は、公式サイトで。
下山後は温泉!
今回紹介した登山口には、どちらも日帰り入浴可能な温泉があります。また温泉では宿泊もできますので、遠方の場合は、前泊すると便利です。
唐沢鉱泉
武田信玄の隠し湯とも言われる、由緒ある温泉宿。泉質は日本でも珍しい二酸化炭素冷鉱泉。通常は無色透明なお湯ですが、年に数回だけ乳白色に変わることがあり、当たった時は何かいいことがあるかも!?
稲子湯旅館
開湯100年を超える湯治場の稲子湯温泉。山小屋の雰囲気がする一軒宿で、泉質は二酸化炭素硫黄冷鉱泉。シンプルな内湯の温泉です。
天狗岳登山は、魅力ある八ヶ岳へ始めの一歩
八ヶ岳は、難易度の低いコースから高いコースまでバリエーションが多く、自分のレベルに合った登山が楽しめます。展望もよく、山小屋も点在しているので快適な山旅が味わえますよ。天狗岳登山は、魅力ある八ヶ岳へ始めの一歩、ぜひ挑戦してみてください。
登山前のしっかりとした準備と心構えを忘れずに、安心・安全な登山を楽しんでくださいね。