北八ヶ岳の苔の森、白駒池
標高 | 所在地 | 最高気温(6月‐8月) | 最低気温(6月‐8月) |
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約2115m | 長野県南佐久郡佐久穂町・小海町 | 20.3℃ | 6.1℃ |
白駒池は北八ヶ岳のふもと八千穂高原にある池で、標高2,000m以上の高地にある日本最大の湖です。透明度が5.8mと高く、美しい白駒池を見たいと多くの人々が訪れる人気のスポットとなっています。アクセスしやすいのも人気の理由のひとつでもあります。
白駒池周辺は日本の3大原生林のひとつに数えられている原生林があり、コメツガ、トウヒ、シラビソ、ダケカンバなどが生い茂ります。樹齢数百年の木々に覆われ、昼間でも薄暗くとても神秘的な森が広がっています。白駒池周辺は木道が整備されており、観光の方にも森の中を歩きやすくされています。
白駒池の天気と地図
白駒池周辺は遊歩道があり、歩きやすくはなっていますが、雨が降ると滑りやすくなります。特に周辺の高見石などまで足を延ばす場合は必ず天気を調べてから出かけましょう。
おすすめハイキングコース3選【初心者向け】
白駒池周辺には登山初心者でも楽しめる標高差が少なく周回できるコースがいくつかあります。時間と体力に合わせて選びましょう。
①高見石〜白駒池|まずは2時間歩こう!お気軽ハイキング
最高点の標高: 2263 m
最低点の標高: 2097 m
累積標高(上り): 324 m
累積標高(下り): -324 m
- 【体力レベル】★☆☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:2時間
- 【技術的難易度】★☆☆☆☆
- ・歩きやすい靴と動きやすい服装が必要
白駒池駐車場を出発し、苔を眺めながら遊歩道を歩きます。途中の分岐で高見石小屋方面へ。ゆるやかに登っていく途中も美しい苔の生えた景色を堪能できます。
高見石小屋から裏手を登ると高見石に到着。高見石からは北アルプス・中央アルプス、そしてこれから向かう白駒池を望むことができます。
景色を堪能したら、高見石を白駒池方面に下っていきます。白駒池の付近はぐるりと遊歩道があるので、そこを回って白駒池と苔の作り出す景色を堪能。白駒池を一周したら駐車場に戻ってゴールです。
②麦草峠~丸山~高見石~白駒池|苔の森と高見石の眺望を堪能!
最高点の標高: 2321 m
最低点の標高: 2097 m
累積標高(上り): 491 m
累積標高(下り): -491 m
- 【体力レベル】★☆☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:2時間30分
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
麦草峠を出発して、丸山の森の中を登っていきます。森の中は苔が美しく、道中はさまざまな種類の苔を見ることができます。幻想的な森の雰囲気を楽しみながら歩きましょう。
丸山山頂はあまり開けていないので、そのまま高見石小屋へ下り、景色を堪能しましょう。高見石小屋からは①のコースと同じルートで白駒池に下り、ぐるりと池の周りを歩いて、麦草峠に戻ってゴールです。
③白駒池~にゅう~中山周遊|しっかり登山ならこのコースへ!
最高点の標高: 2485 m
最低点の標高: 2097 m
累積標高(上り): 725 m
累積標高(下り): -725 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:4時間55分
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
このコースはコースタイムが5時間近いため、登山初級者〜中級者向けになります。
白駒池駐車場を出発して最初の十字路を左に曲がり、白駒池の周りを半周ほど回ります。もののけの森、にゅうの森は苔の美しさを楽しんで。何度か分岐がありますが「にゅう」の方向へ進めば迷うことはありません。山頂までは少し急な登りなので、無理せず進みます。
にゅう山頂からは天狗岳や硫黄岳、蓼科山など八ヶ岳の山々が望め、景色は最高です!
そこからさらに中山方面へ登っていきます。標高2496mの中山山頂から少し行くと中山展望台という開けた場所があり、眺めを堪能するのはもちろん休憩にもピッタリ。中山展望台を出た後は高見石小屋、そして白駒池へと下り、白駒池駐車場へ戻ってゴールです。
白駒池に行くなら「苔」を見るべし!
白駒池周辺は国内でも有数の苔の森で、日本蘚苔類学会により「日本の貴重なコケの森」に選定されています。
何種類の苔が見られるの?
白駒池周辺では485種類もの苔が確認されています。一面の苔の絨毯を眺めながら森歩きをするのもいいですし、虫めがねで葉の形などを細かく見ていくのも楽しいです。形だけではなく、感触や苔が生えている木の種類の違いにも注目してみましょう。
ただし、苔や木を傷つけないように登山道を外れないように注意しましょう。
苔の見ごろはいつ?
苔は1年中あるものですが、雪に覆われると見ることはできないので、6月から11月初旬に見に行きましょう。しっとりとした梅雨の時期や雨の日、雨のあとは苔がイキイキときれいに見えます。
苔の観察会に参加すれば、もっと苔の世界が近くなる!
毎年初夏~秋にかけて、「苔の観察会」が開催されています。2時間ほどの会と、1泊2日の充実体験コース、どちらも予約制ですので、気になる方は事前に調べて参加しましょう!
湖面に映える「秋の紅葉」も魅力のひとつ
常緑の針葉樹が多い森ですが、白駒池の周りには黄色く染まるダケカンバや赤く染まるサラサドウダンが多く、ナナカマドやカエデなども紅葉します。青空と燃えるような紅葉の鮮やかな対比や紅葉が湖に映る景色を見ることができます。
紅葉の見ごろは年によって違いますが、10月上旬〜中旬あたりです。
紅葉の撮影おすすめスポットは?
①白駒荘前
白駒池を撮影する定番スポットで、多くのカメラマンが三脚を立てて撮影しています。白駒山荘前は池を手前にして朝焼けや日の出を撮影するのに適しており、桟橋付近は池全体を見渡すことができる良い場所です。
②青苔荘付近
青苔山荘付近では白駒池と池に映る紅葉の写真を撮るのにおすすめの場所です。太陽の当たり方で時間を変えて撮影するといいでしょう。少し突き出た「にゅう」を背後に撮影することもできます。
紅葉の状況は山小屋のSNSをチェック!
青苔荘のFacebookで、紅葉の状況がこまめに更新されています。
登山口へのアクセス
白駒池はメルヘン街道の終点にある白駒池駐車場から徒歩15分ほどです。マイカーのほか電車、バスでアクセスすることができます。
クルマの場合
・中央自動車道「須玉」IC-国道141号-国道299号(メルヘン街道)-白駒池駐車場/麦草峠(須玉ICから約1時間15分)
・中央自動車道「諏訪」IC-ビーナスライン-国道299号(メルヘン街道)-麦草峠/白駒池駐車場(諏訪ICより約1時間)
・上信越自動車道「佐久」IC-国道141号-国道299号(メルヘン街道)-白駒池駐車場/麦草峠(諏訪ICより約1時間)
※ハイシーズンは朝の時点で満車になることもあります。また、混雑緩和のため交通規制がかかる場合もありますので注意しましょう。
公共交通の場合
・北陸新幹線「佐久平」駅にて下車-千曲バス白駒線乗車-「白駒池入口」または「麦草峠」バス停下車(佐久平駅より約1時間50分)
・JR中央線「小淵沢」駅にてJR小海線に乗り換えー「八千穂」駅にて下車-千曲バス白駒線乗車-「白駒池入口」または「麦草峠」バス停下車(八千穂駅より約1時間10分)
・JR中央線「茅野」駅にて下車-アルピコ交通バス麦草峠線乗車-「麦草峠」または「白駒の池」バス停下車(茅野駅から約1時間20分)
散策で立ち寄りたい、山小屋情報
白駒荘
山麓の茅野市の農園で育てた自家栽培を使った料理を提供しています。ランチタイムには自家製野菜カレーなどの食事や、カフェタイムには濃厚なソフトクリームなどのデザートを食べることができます。
宿泊は古き良き山小屋風情ある「本館」と2018年に再建した「新館」になります。1日3組限定の「湖上星空ボートプラン」など宿泊ならではの体験もありますよ。
青苔荘
「青い苔」と書いて「せいたい」と読む、苔の森らしい名前の山小屋です。館内には「コケコーナー」がありますよ。基本的に全個室相部屋なし(冬期以外は大部屋あり)で要予約となります。
湖畔のキャンプ場も運営しているので、テント泊をしたい人にはおすすめです。
高見石小屋
高見石小屋の「あげパン」は山小屋グルメとしてよく知られていて人気。テラスにはリスや小鳥もやってきて、森の中らしい時間を楽しめます。
「星とランプの高見石小屋」というだけあって、夜の星空観察にもぴったりですよ。また小屋裏手の「高見石」の眺望もすばらしいと評判です。
麦草ヒュッテ
麦草峠にあり、苔の森へのスタート&ゴールに立ち寄りたい山小屋です。手作りのパウンドケーキやプリンに山歩きの疲れも癒やされます。
苔の森ガイドプランやクリスマス会、忘年会などイベントもあり、リピーターになる楽しみがあります。
神秘的な白駒池周辺をトレッキング!
白駒池周辺の森に足を一歩踏み入れるとそれは神秘的な空間が広がっています。すぐそこに道路があるとは思えないほど深い森に包まれます。池まではよく整備されているのでどなたでも歩きやすく、気軽に自然を楽しむには最適です。
天気の良い日はもちろん、曇りの日や小雨の日にも苔の森だからこそのしっとりとした趣きがあるかもしれませんよ!