山での不安がなくなる!?プロに聞いたリスク管理に紐づくある体力の鍛え方とは

2020/11/25 更新

山ではリスク管理が重要!ってよく耳にしますよね。安全に配慮しているつもりだったけど、完璧にできているかと聞かれたら自信がない…。そんな不安を持っている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、なんと日本山岳ガイド協会の理事である近藤謙司さんに、ズバリ「山でのリスク管理とは」について答えていただきました。


アイキャッチ提供:近藤謙司さん

リスク管理が必要ってよく聞くけど…

登山のリスク管理
出典:PIXTA
楽しさだけでなく、山には危険もたくさん。登山では、その危険を予測して対応する「リスク管理が大切」とよく耳にしますよね。

安全に登山できているか不安…

登山のリスク
出典:PIXTA
安全に配慮しているつもりだったけど、完璧にできているかと聞かれたら自信がない…。そんな不安を持っている人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、リスク管理について詳しい山岳ガイドの方に話を聞いてみました。

この人に聞いてみた

近藤さん
撮影:YAMA HACK編集部

近藤謙司さん
国際山岳ガイド連盟認定山岳ガイド。日本山岳ガイド協会の理事。高校から本格的な登山を始め、世界最高峰であるエベレスト(チョモランマ)を踏破。

一般の人も気軽にエベレストへ行けるようにと、自身で株式会社アドベンチャーガイズを設立し、多くの人を海外の名だたる山々へ案内。

高山だけでなく低山でのツアーや講習会も行っており、登山の安全や魅力を普及しています。

自分の状態を説明できることがリスク管理?

近藤さん
撮影:YAMA HACK編集部
編集部 宮下
ズバリ登山でリスク管理ができているとは、どんな状態なのでしょうか?
近藤さん
「登山中は常に周りや自分の状態を把握しながら、こういう危険があるからこう対処したと自分で理論立てて説明し実行できる」状態かな。
編集部 宮下
わかるようでわからないです…詳しく教えてください!

自分の弱いところを知ることが大切

近藤さん
撮影:YAMA HACK編集部
近藤さん
例えば、自分は今寒いと感じているから上着を着るとか喉が乾いたから水を飲むなど、自分の感じたことの改善のために行動すること。
編集部 宮下
当たり前のようだけど、確かに意識をしていないと気づけないかも。

近藤さん
僕のお客さんでも登るのに夢中で自分のちょっとした変化に気づかない人が多くいるんだよ。だからそこを気づかせてあげて、自分の弱いところを知って対応することが大切なんだ。

編集部 宮下
自分でも気付きにくい変化とは、生理的や精神的なものも含まれますか?私は山で寝られないことが多くて、翌日がいつもきついです。
近藤さん
まさにそう。山で感じるストレスにどのくらい「気付けるか」がポイントだね。

仲間と山でのストレスポイントを共有してみる

登山のストレス共有
作成:YAMA HACK編集部
近藤さん
お客さんと一緒に登山へ行く時は、言葉で伝えたり、行動で見せてあげたりとお客さん自身に気づきを与えることを大切にしているんだ。

編集部 宮下
ガイドさんと一緒じゃないと気づくのは難しいですか?
近藤さん
そんなことないよ。ポイントは、自分がどんな状態かを常に意識して、何に違和感を感じているかを覚えておくこと。
グループ登山するときに、自分が感じた「違和感」を共有しあうと他の人から気づかされて学べるよ。

編集部 宮下
他の人が感じたことを意識することで、自分の新しい気づきを得られますね。
近藤さん
あとは対応することが大切だよね。実は防衛体力を鍛えると、ストレスはコントロールできるようになるんだ。

山でのストレスを減らすための防衛体力って?

近藤さん 写真
提供:近藤謙司さん
編集部 宮下
防衛体力?持久力とか筋力とかではなくてですか?
近藤さん
体力には持久力や筋力などの「行動体力」と精神的や生理的なストレスに対応する「防衛体力」があって、2つを均等に持つことが大事なんだよ。

防衛体力は4種類のストレスに対応する力

ストレス要因
作成:YAMA HACK編集部
近藤さん
防衛体力とは、「精神的」「物理的」「生理的」「生物的」ストレスに対応する力のこと。
編集部 宮下
4つも種類があるんですね。
近藤さん
人間はビタミンなどを使ってストレス処理をする。そうすると本来山を登るためのエネルギーが不足してしまうから、持久力や筋力も落ちてしまうんだ。
編集部 宮下
なんと!防衛体力はどうやって鍛えればいいのか気になります。

鍛えるには、山にたくさん登るのが1番

出典:PIXTA
近藤さん
防衛体力を鍛えるには、山にたくさん登るのが1番!経験をつめば積むほどその耐性がつくから、年齢が高い人は自然に身についていることが多いんだ。
編集部 宮下
例えば年齢を重ねて行動体力が落ちているはずなのに、山をスイスイ登るおじさんやおばさんがいるのは防衛体力を持っているからなんですね。
近藤さん
そう。だからいろんな経験をして、経験値をアップさせれば自然と鍛えられるよ。
編集部 宮下
あれ、でも高いところや難しいエリアの緊張感や恐怖感は、たくさん登って鍛えられるものなんでしょうか。

山の不安や怖さに打ち勝つには、安心材料を用意しておく


近藤さん
高いところは怖い、それは人間だから当たり前のこと。僕もね、画像のようなところによくお客さんと行くんだけど、毎回怖いよ。

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提供:近藤謙司さん
編集部 宮下
見ているだけで冷や汗をかきますね。
近藤さん
ただね、高いところってわかってて自分の足で登ってきた、目的を持ってきただから大丈夫って理論立てることで自分を落ち着かせられるんだ。
編集部 宮下
客観的に自分の恐怖心と向き合うことが大切なんですね。
近藤さん
そうだね。それでも自分が恐怖心にやられそうになったときは別の方法を考えておく。エネルギー補給に何か食べたり、深呼吸をしてみたり、自分が安心できる方法を見つけることがポイントかな。

編集部 宮下
自分がストレスを感じないように安心材料をたくさん用意しておかないとですね。

近藤さん
そう!それこそがリスク管理できている状態だよ。

結論|状態を把握して適切に対応できること=リスク管理

近藤さん
撮影:YAMA HACK編集部
常に周りや自分の状況を把握しながら、危険を予測して対処していると理論立てて説明し、実行できること

編集部 宮下
なぜ自分がこういう対応をしているのか、というのをしっかり認識していることがポイントなんですね。

近藤さん
とても重要なことだけど、なかなか登山をしている人全員に伝わっていないことでもある。自分で状況を判断して対応する力を持った登山者が増えて、より山を楽しんで欲しいと思っているんだ。

もっと近藤さんから安全管理について聞きたい

近藤さん プロフィール写真
提供:近藤謙司さん
山岳ガイドとして、多くの人と登山の楽しみを共有してきた近藤さん。現在は登山者自身がリスク管理ができて、誰でも気軽に山を楽しめる世界になって欲しいとガイド業はもちろん講演会や講習会に尽力しています。

その中の活動の1つとして、ユーチューブにて登山の安全講習会を無料で配信。今回のリスク管理や防衛体力のお話を聞くことができます。

近藤さんが気さくに話してくれるため、肩の力を抜きながら飽きることなく登山の安全について学ぶことができるのも魅力の1つ。

安全講習会の動画はこちら
また、ココヘリの会員はライブ配信で近藤さんの講習会に参加できます。
直接近藤さんやゲスト講師の人に相談できるので、気になるポイントも解決できるのはうれしいですね。

ココヘリに入会したい人はこちら
ぜひ参加して、登山での安全について改めて考えてみてはいかがでしょうか。

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YAMA HACK編集部 宮下
YAMA HACK編集部 宮下

YAMAHACK記事編集担当。大学時代に入部したワンダーフォーゲル部をキッカケに登山好きに。マイテントを担いでソロ登山を楽しんでいます。登山の魅力や新しい発見を届け、1人でも多くの人に登山っていいなって思ってもらえるような記事制作に励みます。

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