海を越えてやってきたクモ
1995年に国内で初めて発見され、以来、日本のほとんどの県に定着が確認された「セアカゴケグモ」。元々は原産地のオーストラリアからの貿易物資などにくっついて日本に入ってきてしまったと考えられています。
セアカゴケグモはもともと亜熱帯環境に近い15~30℃程度が適温とされる生物です。そのため、本来の日本の本州以北は、地域によっては気温も低く、セアカゴケグモにとって厳しい環境のはずです。しかし、配電盤や自動販売機などの熱を発する機械の下などの環境をうまく利用することで、冬の寒さを乗り切り、定着しているものと考えられています。
セアカゴケグモをもっと知る
オス | メス | |
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大きさ(胴体部分) | 3.5-6mm | 7-10mm |
特徴 | 背中に白い模様 | 背中に赤い模様 |
毒 | なし | あり |
セアカゴケグモは神経毒をもつ毒グモですが、この毒をもつのはメスだけで、オスは持っていません。名前の「背赤(セアカ)」の名の通り背中が赤いのもメスだけで、オスはもっと地味な色合いをしています。そのため、危険なメスは特徴的な模様をしていることから、見つけた時の判断はしやすいクモといえます。
またこのクモは、外来種の中でも特に生態系や人間活動への影響が大きい生物のリスト、「日本の侵略的外来種ワースト100」にも選ばれています。
セアカゴケグモの巣は、絵にかいたようなクモの巣のかたちではなく、3次元的な巣をつくり、卵の維持と餌の確保を同時にできるような構造になっています。
巣は地面に近く、直射日光が当たらない場所に巣を造ることが多く、自販機の下、側溝のふたの裏側、駐車場のカラーコーンの中、プランターのふちや裏など、都市環境をうまく利用して生息をしています。人間活動の物資の移動によって分布が広がっているものと考えられることから、アウトドア活動として行く山や渓流などよりも、都市部や駐車場などの生活圏で出会う可能性の方が高い生き物です。
駆除・対処法は?
セアカゴケグモの攻撃性は極めて低く、触れない限り咬まれることはありません。一番事故として起こりやすいのは、セアカゴケグモがいるであろうプランターなどの下に、いきなり手を突っ込み、クモに触れて咬まれるようなケースです。刺激すると巣から落ちるように逃げる性質があるので、駆除する場合は巣を刺激しないようにして殺虫剤をかけるか、踏みつぶすなどの方法があります。