登山入門|ステップ③:山に持っていくリュック、登山用じゃないとダメ?

「登山用」のリュック(ザック)って、普段街で使っているリュックと何が違うのかわかりますか?みんなガッシリとした大きいリュックを背負っているイメージはありますが、最初から買う余裕もないし…これから使うかもわからないし…。「できれば買わずに登りたい!」というのが正直な気持ち。そんな初心者の疑問をプロに聞いてみました!登山用と街用は何が違うの?登山用がないとダメ?といった事から、初心者におすすめのザックまで、初心者がまず知っておきたい情報を紹介します。新人編集者による体験記事・第5弾!


撮影:YAMAHACK編集部

”登山用”と”街用”のリュックの違いがわからない…

新人編集者J(以下編J):「うーん…。」

友人Sさん(以下Sさん):「どうしたの?」
三種の神器?
撮影:YAMAHACK編集部
編J:「登山道具で大事な”登山靴・ザック・レインウェア”【三種の神器】って呼ばれているのは覚えたんだ!登山靴は足が痛くなるから大事でしょ、レインウェアは身体が冷えると低体温症の恐れがあるから大事!
…でも、ザックってリュックのことだよね?登山用ザックの重要性がいくら考えてもわからない…荷物が入れば何でもいいのでは…?」

Sさん:「あぁ、なるほどね。たしかに高尾山のような、登山道が整備されている日帰り登山やハイキングだと、重要性はわかりにくいかもしれないな~。」

ザック背負う
撮影:YAMAHACK編集部
編J:「でしょ!!!だから普段使ってるリュックでまだいいよね♪」

Sさん:「うーん…使ってみると全然違うし、できれば登山用を使ったほうがいいと思うんだよね…。
そうだ、Jさん登山用のザック背負った事ないでしょ?説明するより実際背負ってみたら違いがわかるから、とりあえずお店に背負いに行ってみたら?」

編J:「たしかに背負った事ないかも!でも…いらないと思うんだけどな……。(渋々)」

本当に”登山用ザック(リュック)”は必要なのか?

ICIの木村さん
撮影:YAMAHACK編集部
今回色々と教えていただいたのは、石井山専新宿東口ビックロ店 副店長・木村さんです。

編J:「今日はよろしくお願いします。ザックの事何もわからないので、色々と教えてください!」

木村さん:「はい。よろしくお願いします。」

編J:「あのー…、友人に登山用と街用のザックって違うよ、って教えてもらったんですが、登山用ザックって絶対ないと登山できませんか?ザックってリュックの事ですよね?」

山専の木村さん
撮影:YAMAHACK編集部
木村さん:「そうですね~。登山用のリュックの事を「ザック」と呼ぶんですが、ザックが絶対ないとダメ!とは正直言えません。実際、ハイキングや高尾山のような軽登山では使っている人たくさんいますよね。ただ、できれば登山用のザックを使ってもらったほうがいいかな、と私は思います。

編J:「Sさんだけじゃなく…木村さんまでも…。登山用と街用って何がそんなに違うんですか?」

木村さん:「細かく見ていくと色々違うのですが…ざっくり言うと登山用には「より登山が快適になるための機能」がたくさんついています。ただ機能に関してはザックの中でもモデルによって異なってくるので、今回は「形」の違いに注目して説明しますね。」

街用ザックとの違い①:【雨蓋】雨対策もバッチリ!

ザックの雨蓋 撮影:YAMAHACK編集部
木村さん:「一般的にザック(リュック)には、開口部がファスナーのタイプと、開口部が巾着型で上に雨蓋というものがついているタイプのザックがあります。この雨蓋は、ザックの中に雨が入るのを防ぐ役割をしてくれます。」
街用ザック
撮影:YAMAHACK編集部
木村さん:「雨蓋がないと、このファスナー部分から雨が入ってきてしまうんですね。デイパックと呼ばれるような普段使い向きのリュックは、開口部がファスナーになっているタイプが多く、登山用のザックは雨蓋がついているタイプが多いです。」

編J:「雨蓋は絶対ないとダメですか?」

木村さん:「絶対ないとダメ!というわけではないですね。ただ雨蓋がついていると少しの雨であればザック内への雨の侵入は防げるので、ついている方がおすすめです。」

レインカバーはどっちのタイプでも必ず必要!

カリマーのレインカバー
出典:karrimor
木村さん:「雨がたくさん降ってきた時、ザックを雨から守る”レインカバー”も登山には必要な道具なのですが、登山用には付属しているザックが多いのも特徴。レインカバー専用の収納場所もついていたりしますよ。逆に、街用リュックにはレインカバーがついていないため、別途購入する必要があります。」

編J:「街用を使う場合、レインカバー買わないとまずいですか?」

木村さん:「そうですね。ザックは雨に強そうな素材に見えますが防水ではないので、レインカバーはあった方がいいですよ。」

▼レインカバーについてもっと知りたい方はこちらの記事もチェック!

街用ザックとの違い②:【ベルト】重さによる体への負担を軽減

木村さん:「街用と登山用で大きく違うのが『ベルト』です。ザックにはさまざまなベルトがあるので、順番に説明していきますね。」

【1】ウエストベルト:ザックは”腰”で背負う!

ウエストベルト
撮影:YAMAHACK編集部
木村さん:「登山では水や食料、レインウェアや救急セットなど、さまざまな道具を持って歩きます。歩く距離が長くなればなるほど、水の量が増えたりと重さは重くなってきますね。そんな時に大切なのがこの「ウエストベルト」。腰の位置で固定して使います。」
紐の違い 撮影:YAMAHACK編集部(左:登山用ザック、右:街用ザック)
木村さん:「登山用ザックのウエストベルトにはパッドがついていたりとしっかりしているものが多いですが、街用ザックにはウエストベルトがついていない、もしくはついていても細い紐だけがついているものが多いです。」

編J:「ウエストベルト…?でも苦しそうだし使い方わからないので別になくてもいいのでは…。」
重さが肩にかかる
撮影:YAMAHACK編集部
木村さん:「ザックに荷物を入れると、全て下に向けて重さがかかるので、ザックが重くなればなるほど肩紐が食い込んできます。それを軽減するのが、ウエストベルトの役割!肩だけでなく腰でも支える事で、肩への負担を軽くします。登山をする時にはこのベルトがとっても重要!」

編J:「なるほど…。たしかにウエストベルトを付けると、下に沈む感じがあまりありませんね。」

ウエストベルトのポケット
撮影:YAMAHACK編集部
木村さん:「他にも、ウエストベルトにはポケットがついている物も多く、携帯電話や小物を入れるのに便利ですよ。」

編J:「ほんとだ!このポケットは登山用ザックには全部ついているんですか?」

木村さん:「このポケットは、登山用でも付いている物と付いていない物がありますよ。軽さを重視したザックにはついていないことが多いですね。必須な訳ではなくあくまでも便利機能の一つです。」

編J:「でも携帯はパンツのポケットに入れるので、付いてなくても大丈夫ですよ~。」
足があげにくい
撮影:YAMAHACK編集部
木村さん:「初心者の方はできるだけパンツのポケットには物を入れないことをおすすめします。」

編J:「え、何でですか?落とすからですか?」

木村さん:「パンツのポケットに物を入れたままウエストベルトを付けます。その状態で足をあげようとすると、ウエストベルトが小物にあたって足があげにくいんです。特に登りの時は歩くのに邪魔になってしまうので、パンツのポケットには入れずにウエストベルトのポケットやサコッシュなどに入れたほうがいいですね。」

【2】肩ベルト:クッション性のあるベルトで痛みを軽減

ザックの紐が痛い
撮影:YAMAHACK編集部
木村さん:「さっきもお話したように、ザックが重くなればなるほど、肩紐が肩に食い込んでしまいます。そのため、登山用ザックのショルダーハーネスと呼ばれる肩ベルトは、クッション性のあるベルトになっています。」

編J:「厚くないとそんなに痛くなるんですか?」
指が痛い
撮影:YAMAHACK編集部
木村さん:「厚手のウェアを着ている時はまだいいのですが、Tシャツだけで登る暑い時期などはさらに痛くなってしまいます。イメージは…例えばスーパーで5kgのお米を入れたビニール袋を持つと、薄いビニールが指に食い込んで痛くないですか?持ち手にクッションあったらいいですよね。肩ベルトもそれと同様に、クッションがあると負担が緩和されますよ。」

【3】コンプレッションベルト:荷物の量に合わせてサイズを調整!

コンプレッションベルト
撮影:YAMAHACK編集部
木村さん:「あとはコンプレッションベルトと呼ばれるザックの横についているベルトも、街用リュックにはあまりない機能。荷物が少ない時にこのベルトを引っ張る事でザックを小さくし、中の荷物が動かないよう固定できるんです。」

編J:「固定?別に割れ物持っていかないので、動いても問題ないように思うのですが…?」

木村さん:「ザックに余裕があると、荷物が一か所に集中するため重心が下に下がってしまうんです。重心が下がると、肩に負担が大きくなりますよね。また、ザックは大きければ大きいほどグラつきやすいので、出来るだけコンパクトにしたほうが歩きやすさにもつながります。」

編J:「へーーー。それは全然考えたことありませんでした。たしかに動かない方が歩きやすいですね!」

街用ザックとの違い③:身長や性別に合わせたサイズ展開

ザックのサイズ展開
撮影:YAMAHACK編集部
木村さん:「ザックにはできるだけ体にフィットするよう、同じモデルの中でもS/M/Lなどのサイズやメンズ・レディースがあったりと、サイズ展開が豊富です。
色味が違ったりするので女性でメンズモデルを希望する方も多いのですが、女性と男性では体つきが違うので、できるだけ男性の方はメンズモデル、女性の方はレディースモデルを選ぶ事をおすすめします。」

編J:「たしかに!メンズモデルの色の方が私は好きなので、メンズを選んでしまいそう…。具体的にどこが違うのですか?」
ショルダーハーネスの角度
撮影:YAMAHACK編集部(左:レディース、右:メンズ)
木村さん:「背面サイズ(ザックの背中部分のサイズ)も違うのですが、大きく違うのがショルダーハーネスの角度です。女性は胸があるので、男性とはフィットする角度が異なるんですね。」

編J:「小さなザックの中にこんなにこだわりが…。」

木村さん:「一人ひとり体型は異なるので、背負い心地の良いザックを探すには試着するしかないんですよね。今はネットで気軽に購入する事もできますが、初心者の方は必ずお店で試着して自分の体にぴったりのフィット感を体験してみてくださいね。」

最初に買うなら”30リットル”

たくさんのザック
撮影:YAMAHACK編集部
編J:「街用ザックと登山用ザックの違いについて、とてもよくわかりました!今まで知らなかった『快適に登るための機能』がたくさん詰まっていてびっくり!登山用のザックは必要ない、と思っていましたが、実際背負ってみると違いが実感できますね。」

木村さん:「そうですね。長時間歩く登山では出来る限り体への負担を減らすため、ザック選びは大切なんです。」

編J:「ただ…、こんなにたくさんのザックがあると、どれを選んだらいいか難しいですね…。これを買っておけば間違いない!という初心者におすすめのザックってありますか?」

ザックの容量選び
撮影:YAMAHACK編集部
 木村さん:「そうですねぇ…ザックは背負う人の体に合うかどうかなので、一つだけをおすすめするのはとても難しいです。ただ、初めて買う場合は”30L”くらいの容量のザックを購入すると、様々な場面で活躍できますよ。石井スポーツでは、シーン別におすすめの容量を紹介しています。」

編J:「”30L”ですね。」

木村さん:「あとは、出来るだけ初心者の方は”黒”と”黄色”は避けておくと安心です。」

編J:「色も大事ですか?実は、黒買おうと思ってました!」

木村さん:「たしかに黒格好いいですよね!ただ黒は、蜂が熊と間違えて襲ってくる可能性が高いんです。同様に黄色は虫が集まってきやすいですよ。」
ザック2種
撮影:YAMAHACK編集部(左:カリマー ridge30、右:ミレー サースフェー30+5)
編J:「蜂は怖いです!!黒、避けておきます…。」

▼黒はハチに狙われる?!

木村さん:「先ほどもお話したように、コレ!と一つのザックをおすすめする事は難しいです。あくまで体に合うかどうかなので…。ただ、カリマーのridgeやミレーのサースフェーなどは、バランスが良いので初心者にはおすすめですよ。」

 編J:「なるほど…これから本格的に登山始めてみたい!と思っているので、ザック、大事ですね。自分にピッタリのザックを探すために、まずはたくさん試着してみます!」

今回は”登山用ザック”と”街用ザック”の違いや、登山用ザック素晴らしさについて色々と教えていただきました。是非いろいろ試着をして、自分に適したザックを見つけてください。

▼自分の体サイズに合ったザックを見つけたい!そんな方はこちらの記事もチェック

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YAMA HACK編集部
YAMA HACK編集部

YAMA HACK運営&記事編集担当。登山をきっかけに自然の力に魅了される。山で飲むコーヒーが大好き。何かあれば必ず山に行き、心身共に整える。山について新しい視点を与えられるような記事作りを心がけて日々執筆活動を行う。

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