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富士山が世界遺産に選ばれた理由とは?今後の課題と私たちにできること(3ページ目)

世界遺産に登録されたことによるメリットとデメリット

富士山世界遺産
出典:PIXTA

世界遺産に登録されたことは、日本人の心に深く根差した象徴的な存在である富士山が世界的にもその価値をしっかり認められたことを意味するので、とても喜ばしいことです。ただ、世界遺産登録にはメリットとデメリットが表裏一体となって横たわっています。ここでは、世界遺産登録による光と影について見ていきましょう。

経済効果はどのくらい?世界遺産登録のメリット

富士山を観光する人々(富士山世界遺産)

世界遺産に登録されることで世界的な認知度が飛躍的に上がり、国内海外問わず多くの観光客が訪れるようになります。

観光客は現地で食事や宿泊、お土産の購入などにお金を使ってくれるので、周辺地域の収益が上がり経済が潤うといった効果が期待できます。さらに旅行会社がツアーを企画したり、現地までの移動で交通機関の利用者が増えたりと、現地以外でも効果が波及していきます。

世界遺産に登録された2013年は、現地周辺で前年よりも1~2割ほど観光客数が増加しており、日銀甲府支店は全体で推計194億円の経済効果があると発表しました。

気になるデメリットは?

富士山登山道渋滞(富士山世界遺産)
出典:PIXTA

観光客が増えることは経済的なメリットをもたらす一方、ゴミが増えて自然環境が害されるおそれや、交通の混雑や人が多く集まることで地元住民の生活に悪影響が出るおそれ、登山客の遭難といった事故のリスクの増加など、デメリット面も懸念されています。

今後の課題と私たちにできること

富士山登山道渋滞(富士山世界遺産)
出典:PIXTA

無事に世界文化遺産として認められた富士山ですが、課題も多岐に渡って残されています。また、世界遺産は「人類が共有すべき顕著な普遍的価値」のあるものとされているので、登録がゴールではなく、しっかりと保全して後世へ引き継いでいかなければなりません。ではどういった課題があり、私たちにできることは何があるのでしょうか。

富士山に課せられた課題とは

富士山を登るブルドーザー(世界遺産富士山)
出典:PIXTA

世界遺産への登録に際してユネスコの諮問機関イコモスからは主に「景観保全」の課題と「登山者への対応」に関しての課題が指摘されました。景観保全の課題は、富士山やその周辺で行われる開発や現代的な施設が、富士山の文化的価値を傷つけているといった内容です。また、登山者への対応に関する課題では、世界遺産を守るためには増え続ける登山者をしっかり管理する必要があるとの指摘がなされました。

ゴミ問題は特に深刻

富士山のゴミ不法投棄(世界遺産富士山)
出典:PIXTA

ボランティアや山小屋スタッフの方たちの努力をはじめ、登山客のマナーも向上してきたことからゴミは次第に減ってきてはいるものの、麓では不法投棄が続いており、ゴミ問題はまだ解決されていません。世界遺産に登録されると、保全状況を6年ごとにユネスコへ報告して審査を受けなければならず、問題の解決を怠れば登録抹消もありえるため、深刻な問題となっています。

私たちができることは?

富士山清掃活動(世界遺産富士山)

登山の際にひとりひとりがマナーを守ることはもちろん大事ですが、環境保全や登山者の安全対策などを図る「富士山保全協力金」や定期的に富士山の清掃活動を行っている団体へ参加することもできます。また、富士山の清掃ツアーを企画している旅行会社もあります。このようなツアーには、アルピニストの野口健さんや女優さんなどのトークイベントも組まれていることも多く、楽しく参加できますよ。4~5月には野口健さんも参加している富士山・エベレスト同時清掃が行われています。気になる人はぜひチェックしてみましょう。

NPO法人ピーク・エイド|清掃活動について

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