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富士山が世界遺産に選ばれた理由とは?今後の課題と私たちにできること(2ページ目)

21年をかけて……富士山が世界遺産に登録されるまでの道のり

世界遺産のロゴ(富士山世界遺産)

多くの人の努力が実り、無事世界遺産へ登録された富士山ですが、そこへ至るまでには実に21年もの長い時間がかかりました。富士山は山なので、本来は世界「自然」遺産になるんじゃないの?世界「文化」遺産へ登録されたのはなぜ?といった疑問も、登録までの経緯を知ることで見えてきます。富士山の世界遺産登録までの歴史を見ていきましょう。

世界遺産条約加盟から15年かけてユネスコに提出

書類を提出している風な画像(世界遺産富士山)
出典:PIXTA

1992年に日本が世界遺産条約に加盟して以降、民間を中心に富士山の世界自然遺産への登録を目指した動きがスタート。2003年には国の検討会で検討対象として取り上げられるものの、ユネスコへの推薦候補からは外れました。その後、文化遺産登録を目指す方針に切り替え、2007年にユネスコの暫定リストに登録されました。

「自然遺産」登録から「文化遺産」登録へ目標転換

自然遺産に登録されている屋久島(富士山世界遺産)
出典:PIXTA(自然遺産に登録されている屋久島)

世界遺産はその内容によって自然遺産・文化遺産・複合遺産と3つに分類されます。自然遺産は後世に引き継いでいくべき自然環境について認定され、文化遺産は建築物や遺跡、複合遺産はその両方があるもの、とされています。

富士山も当初は自然遺産登録を目指していましたが、登山者のし尿処理の不備やごみ投機問題など環境保全の状況が障害になり、推薦候補からは外れました。

富士山は日本最高峰として古くから信仰対象で、浮世絵など多くの芸術に影響を与えてきた存在です。そこで視点を変え、富士山の文化的意義に着目。世界文化遺産としての登録を目指すことにしたのです。

2013年、世界遺産登録が決定

富士山世界遺産

一連の手続きや現地視察などを経て、2013年に富士山は世界遺産に認定されました。荘厳な姿を見せる富士山は、古来より山岳信仰といった宗教的側面やその姿に対する深い憧憬、自然との共生を重んじる伝統などを育み、日本はもとより、世界的にも多くの芸術の源泉となってきたことが評価されました。

三保の松原も含めて認定

三保の松原(富士山世界遺産)
出典:PIXTA

富士山の南西45kmの距離に位置し、富士山の構成資産としては最も離れたところにある「三保の松原」。歌川広重の浮世絵をはじめ数々の芸術作品で三保の松原から見た富士山が織りなす美しい風景が表現されています。

当初ユネスコの諮問機関イコモスから、登録対象から除外すべきとの勧告を受けました。しかし、日本の説得が実ってその文化的価値が認められ、無事に含められて認定されました。

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