「新・花の百名山」に選ばれた、美しい湿原
標高 | 山頂所在地 | 山系 | 最高気温(6月‐8月) | 最低気温(6月‐8月) |
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約2133m | 福島県南会津郡檜枝岐村 | 越後山脈 | 18.5℃ | 7.2℃ |
尾瀬の北方に位置する会津駒ケ岳は、深田久弥の「日本百名山」にも選ばれた名峰。山頂付近一帯には広大な湿原が広がり、地溏が点在しています。 山頂から北に伸びる中門岳のなだらかな稜線には、複線の木道が整備されており、奥只見湖や浅草岳、三岩山などが望めます。
新・花の百名山にも認定
夏の会津駒ケ岳山頂付近では、駒の池の周りのハクサンコザクラ群生をはじめ、ショウジョウバカマ、チングルマやタテヤマリンドウ、ミヤマキンポウゲなど、高山植物の花々が咲き誇ります。会津駒ケ岳は、田中澄江の「新・花の百名山」にも認定されています。
会津駒ヶ岳の登山適期は?
登山しやすい時期は5月~9月。冬は2mほどの高さまで雪が積もります。9月は紅葉も見事です。
会津駒ヶ岳の天気
会津駒ヶ岳に行く前に現地の天気をこちらで確認しましょう。
会津駒ヶ岳|おすすめ登山コース3選
会津駒ケ岳への日帰り登山コースとしては、滝沢登山口やキリンテからのアクセスが一般的です。また、会津駒ケ岳山頂から中門岳までの美しい稜線歩きもおすすめです。
①滝沢駐車場~駒の小屋~会津駒ヶ岳 登山コース
最高点の標高: 2112 m
最低点の標高: 944 m
累積標高(上り): 1523 m
累積標高(下り): -1523 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:6時間48分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
駒ケ岳登山口から30分ほどで滝沢登山口。そこから1.5時間ほどで水場に到着します。さらに樹林帯の中を1時間ほど歩くと一帯は湿原に。見晴らしがよく、燧ヶ岳の見事な山容を望むことができます。30分ほどで小屋すぐ手前の分岐に到着。さらに15分ほどで山頂です。山頂からは、越後三山、尾瀬の山々、帝釈山、田代山などを見渡すことができます。
下山は来た道をたどって滝沢登山口まで戻ります。
②滝沢駐車場~会津駒ヶ岳~中門岳 登山コース
最高点の標高: 2112 m
最低点の標高: 944 m
累積標高(上り): 1722 m
累積標高(下り): -1722 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:8時間17分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
※会津駒ケ岳山頂までは①のコースをご参照ください。
会津駒ケ岳から中門岳にかけての稜線は山頂とは思えない平坦な尾根を歩きます。広大な湿原が続き、池塘とお花畑の点在するとても美しい場所。尾根の突端まで木道が整備されており、周りの景色を堪能しながら歩けます。また、突端まで行って戻る途中には至仏山、尾瀬ヶ原、燧ケ岳が一望できる地点もありますよ。
帰りは来た道を戻って下山です。
③滝沢駐車場~会津駒ヶ岳~大津岐峠~キリンテ 登山コース
最高点の標高: 2112 m
最低点の標高: 944 m
累積標高(上り): 1701 m
累積標高(下り): -1628 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:7時間58分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
※会津駒ケ岳山頂までは①のコースをご参照ください。
駒ノ大池から富士見林道を通って大津岐峠まで向かいます。道中は小さな湿原や池塘もあり、ワタスゲやイワカガミ、さらにシャクナゲなど季節の花が楽しめる穴場コースです。大津岐峠からは燧ヶ岳を望むことができます。大津岐峠からキリンテへの下山路はしっかり整備され、傾斜もきつくなく歩きやすい登山道となっています。
会津駒ヶ岳|縦走コース2選
会津駒ケ岳は日帰りでも十分楽しめますが、もっと満喫したい方は大杉岳や燧ヶ岳、至仏山までの縦走がおすすめです。尾瀬国立公園内はテント泊ができる場所が限られています。その代わり宿泊施設は充実していますので、事前にしっかりと計画を立てていきましょう。
④会津駒ヶ岳~大津岐峠~大杉岳~尾瀬御池|1泊2日縦走コース
最高点の標高: 2112 m
最低点の標高: 944 m
累積標高(上り): 2258 m
累積標高(下り): -1690 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 1泊2日
- コースタイム:10時間37分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
大津岐峠から電発避難小屋手前の鞍部までは、開けた気持ちのいい稜線で、燧ヶ岳、至仏山、奥白根山~男体山をはじめとする日光の山々が望めます。
電発避難小屋から大杉岳の間も周囲の山を望める気持ちの良い稜線歩きですが、雨の後はぬかるんでいる箇所もあるので足元には注意です。大杉岳から御池までは樹林の中、歩きやすい登山道を一気に下ります。秋には色づく紅葉の木々を楽しみながらのんびり下山するのも楽しいですね。
⑤会津駒ヶ岳~燧ヶ岳~至仏山|3泊4日縦走コース
最高点の標高: 2308 m
最低点の標高: 944 m
累積標高(上り): 4462 m
累積標高(下り): -3810 m
- 【体力レベル】★★★★★
- 3泊4日
- コースタイム:23時間55分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
御池ロッジを出発し、御池の登山口から広沢田代方面へ。途中岩場の急登もありますが、広沢田代からは燧ヶ岳を望みながら、湿原や池塘の点在する木道を歩きます。途中岩場の急登を経て燧ヶ岳(俎グラ)に到着。さらに20分で燧ヶ岳山頂(柴安グラ)です。俎グラや柴安グラからの眺望は素晴らしく、尾瀬沼や至仏山などが見渡せます。
燧ヶ岳からはナデッ窪を沼尻まで下ります。尾瀬沼を見渡せ眺望はよいのですが、ゴロゴロした岩場の下りになっているので足元には注意。沼尻休憩所ではトイレが使用できます。
沼尻からは、白砂峠を経て見晴に向かいます。樹林の中の木道や岩場、池塘の点在する湿原など、バリエーション豊かな登山道を下ると見晴に到着。見晴で1泊します。
見晴から山ノ鼻までは池塘の点在する尾瀬ヶ原の湿地帯の中を進みます。山ノ鼻からが至仏山への登山道。樹林帯の中をしばらく登ると森林限界となり、展望が開けます。岩場の急登もありますが、高山植物や景色を楽しみながら山頂に向かいましょう。山頂からの眺めは八海山や越後駒ケ岳、谷川岳まで見渡せる絶景です。
至仏山山頂から小至仏山まではハイマツと砂礫の登山道です。小至仏山から悪沢岳分岐(オヤマ沢田代)までは岩場や足元の悪い箇所もありますが、見晴らしの良い稜線歩きになります。オヤマ沢田代周辺は池塘の点在する湿原で、日光白根山などを望めます。ここから鳩待峠までは樹林の中を下ります。
山と高原地図「尾瀬 燧ヶ岳・至仏山・会津駒ケ岳」
会津駒ヶ岳登山の山小屋情報
会津駒ケ岳周辺には、駒の小屋をはじめ、尾瀬御池ロッジ、見晴の小屋など、縦走や前泊にも利用できる山小屋があります。
駒の小屋
駒の小屋は、会津駒ケ岳山頂直下にあり、夜はランプの灯りだけという雰囲気のある素敵な山小屋です。素泊まりのみで食事の提供はありません。
電話番号:080-2024-5375
1泊の料金:3000円(素泊まり)
収容人数:28名
※宿泊には事前の予約が必要です。
尾瀬御池ロッジ
国道352沿いに位置する、湿原とブナ林に囲まれ静寂に包まれた山小屋。尾瀬入山の基地となっています。展望風呂があり、「尾瀬ブナの森ミュージアム」が併設されています。
電話番号:080-2844-8873(4月下旬~10月)、0241-75-2350
収容人数:80人
※宿泊には事前の予約が必要です。
1泊2食付 | |
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大人(1名1室) | 10,000円 |
大人(2名1室) | 9,500円 |
大人(3名以上1室) | 9,000円 |
小学生 | 7,000円 |
見晴エリアの山小屋
尾瀬の中心に位置する見晴には小屋がたくさんあります。
尾瀬小屋:収容人数 200名(個室は繁忙期以外可、相室可)
衛星回線の公衆電話有。館内禁煙。尾瀬ヶ原に面し朝夕に湿原の景色を楽しめます。
弥四郎小屋:収容人数 250名(個室は特定日以外可、相室可)
部屋やお風呂から湿原の景色を楽しむことができます。併設の喫茶室では手作りパンと挽きたての珈琲が人気。
第二長蔵小屋:収容人数 98名(個室は繁忙期以外可、相室可)
山小屋らしいシンプルな造りながらも、清潔感ある館内です。
桧枝岐小屋:収容人数 100名(個室は繁忙期以外可、相室可)
小屋オリジナルの「尾瀬花ごよみ」は宿泊者だけの特典。家庭料理の食事をいただくことができます。ガイドも勤める名物オーナー「ひげくま」さんがお出迎え。
原の小屋:収容人数 173名(個室可、相室可)
ゆったり、のんびりとした雰囲気の小屋です。地元の食材を使った手料理をいただけます。衛星回線の公衆電話有り。
燧小屋:収容人数 99名(4名以上個室可、相室可)
奥まった立地で静かに寛げます。舞茸御飯などの郷土食や清潔な館内にオーナー夫婦の誠実な心遣いを感じます。
尾瀬山小屋組合 宿泊施設一覧
テントが張れる場所は?
会津駒ヶ岳は尾瀬国立公園内なので、テント泊が禁止されています。国立公園内でテント泊ができるのは、
・尾瀬沼地区
・尾瀬ヶ原見晴地区
・尾瀬ヶ原山の鼻地区
のみです。ルールを守ってテント泊をしましょう。
会津駒ヶ岳登山口へのアクセス情報
会津駒ケ岳登山口である滝沢駐車場とキリンテへのアクセス・駐車場情報です。滝沢駐車場の駐車可能台数は約20台です。
滝沢駐車場(駒ヶ岳登山口)へのアクセス
【クルマの場合】
東北道 西那須野塩原IC→国道400号線→国道121号線→国道352号線→滝沢駐車場(西那須野塩原ICより約2時間)
【公共交通の場合】
会津鉄道会津高原尾瀬口駅→会津バス乗車→駒ヶ岳登山口バス停下車(会津高原尾瀬口駅より約1時間10分)→徒歩30分
会津バス|路線バス
キリンテへのアクセス
【クルマの場合】
西那須野塩原IC→国道400号線→国道121号線→国道352号線→キリンテ(西那須野塩原ICより約1時間50分)
【公共交通の場合】
会津鉄道会津高原尾瀬口駅より会津バス乗車→キリンテバス停下車(会津高原尾瀬口駅より約1時間10分)
会津駒ヶ岳の立ち寄り温泉
会津駒ケ岳登山後に立ち寄れる、日帰り温泉施設の情報です。駒の湯と燧の湯は、桧枝岐村の伝統芸能である桧枝岐歌舞伎の上演日には遅くまで営業しています。
檜枝岐温泉 駒の湯
会津駒ケ岳登山口に近く、登山やハイキング、観光の拠点として人気の温泉です。川に面した露天風呂があり、景色を楽しみながら、ゆったりリラックスできます。
檜枝岐温泉 燧の湯
桧枝岐村の川窪橋を渡った所にあります。源泉は単純硫黄泉を単独で使用しています。源泉かけ流しはうれしいですね。また、露天石風呂もありますよ。
アルザ尾瀬の郷
温水プールも併設した総合温泉スポーツ施設。木立に囲まれた大露天風呂をはじめ、打たせ湯、寝湯、泡風呂など、種類も充実していますね。子供たちも楽しめる温泉です。
湿原と池塘、高山植物の美しさを堪能する
会津駒ケ岳に登り、山頂一帯の湿原、点在する池塘、高山植物の美しさ、山頂からの尾瀬一帯の風景を目の当たりにすると、その美しさに心底感動してしまいます。尾瀬ヶ原だけでなく、会津駒ケ岳に登り、尾瀬の美しさをさらに堪能したいですね。