高山植物は登山の楽しみの1つ!
荒々しい岩稜帯、涼しい樹林帯、眺望の良い稜線…登山道にはそれぞれの良さがありますが、途中で出会える花や植物もまた、辛い登りを支えてくれるエッセンスの1つです。さらに花を見て「これは〇〇だよ」と同行者に説明できると、尊敬のまなざしで見られるかもしれませんね。
高山植物は、高山にあるものだけじゃない?
一般的には、高山植物は森林限界より高い場所に生息している植物のことを指します。しかし森林限界自体が地域によって異なるため、北アルプス2,500m付近で見られる植物が、北海道では平地で見られる場合もあります。
<各地方の森林限界>
・北海道の利尻島:標高約500m
・北海道の大雪山や日高山脈:約1000?1500m
・東北地方:約1600m
・日本アルプス中央部や富士山:約2500m
可愛いお花を見に行こう!山でよく見る高山植物
今回は、山でよく見る高山植物をピックアップ!1つの種につき低地型などの派生種も存在しますが、メインのものを紹介します。また、その種が見られる山も併記していますので、行く予定がある場合はチェックしてみてくださいね!
ニッコウキスゲ
ニッコウキスゲは、北海道から本州の中部地方の山地の草原に咲いているユリ科の高山植物で、花は黄色くラッパ状に開き、直径7cmくらいの大きさになります。車山高原や霧ヶ峰、日光の霧降高原は特に有名な群生地とされています。開花時期には一面の草原の緑にニッコウキスゲの黄色が映え、とても美しい景色をつくりだしています。
<ニッコウキスゲが見られる主な山>
霧ヶ峰、尾瀬ヶ原、鳥海山、白馬山麓、常念岳、蝶ヶ岳、笠新道など
コバイケイソウ
コバケイソウは、日本の本州中部地方より北側と北海道に見られ、山地から亜高山の草地や湿地のような比較的湿気の多いところに生えている高山植物です。6月から8月には穂の先に小さい白い花たくさん咲かせ、大きさはとても大きく、高さは1m程にまで成長します。
<コバイケイソウが見られる主な山>
霧ヶ峰、木曽駒ヶ岳、立山、爺ヶ岳、会津駒ヶ岳、白山など
コマクサ
コマクサは「高山植物の女王」の呼び名で広く知られ、高山植物の中でも代表的かつとても人気のあるピンクと白の花びらが可愛らしい高山植物です。群生地は主に日当たりがよく、砂や小石で覆われた場所に自生しています。5月から7月に高山に咲き、岩場に美しいピンク色が映え、見ているだけで癒されるとても可愛らしい高山植物です。
<コマクサが見られる主な山>
燕岳、御嶽山、草津白根山、硫黄山、蓮華岳、根石岳など
ワタスゲ
ワタスゲは、北海道,本州中北部のミズゴケ湿原等にはえる高山植物です。穂全体が熟すとふわふわとした白い綿毛が球状におおいます。見た目にも可愛らしく、稀にキッコウキスゲと一緒に咲く姿が見られ、黄色と白が一面に咲き、美しい景色のコラボレーションを見せてくれます。
<ワタスゲが見られる主な山>
尾瀬ヶ原、苗場山、火打山、妙高山、草津白根山、燧ケ岳など
ハクサンイチゲ
ハクサンイチゲは草地や岩場に生える、日本アルプスの花畑を構成する代表的な高山植物の一つです。主に北海道から本州の中部地方の亜高山や高山の湿り気のある草原や砂礫地に咲きます。花はスイセンによく似ており、花の中心には黄色い雄しべが密集し白の花びらが印象的な高山植物です。
<ハクサンイチゲが見られる主な山>
白馬岳、聖岳、北岳、鳥海山、乗鞍岳など
チングルマ
チングルマは、主に東日本の高山の雪渓周辺の草地や砂礫地に生え、花茎の先に3cmほどの白い花を1つ咲かせるとても可愛らしい高山植物です。白の花びらと黄色の雌しべと雄しべの色合いがハクサンイチゲと似ていますが、チングルマの方が花びらが丸く、真ん中の雄しべももさもさとしています。
<チングルマが見られる主な山>
立山、木曽駒ヶ岳、白山、秋田駒ヶ岳、会津駒ヶ岳など
イワベンケイ
イワベンケイは北海道を含む亜寒帯地方のほか、富士山や立山を除く本州中部地方の山々に咲く高山植物です。緑色の多様な形をした多肉質の葉と黄緑色の花が特徴的で、栄養に乏しく風当たりの強い、岩場などの厳しい環境でも生息することができる高山植物です。
<イワベンケイが見られる主な山>
北岳、尾瀬、仙丈ケ岳、鳥海山など
シナノキンバイ
北海道から中部地方より北の高山地帯の湿った場所に生える高山植物で、黄色が特徴の花は比較的大きく直径3~4cmあります。名前の由来は、信濃地方に多く咲き、黄金色で梅のような花を咲かせることから「信濃金梅」と名付けられています。
<シナノキンバイが見られる主な山>
木曽駒ヶ岳、北岳、表銀座コース、仙丈ケ岳、白馬岳など
ミヤマキンバイ
ミヤマキンバイは、本州中部より北から北海道、千島列島、サハリン、済州島の高山帯の砂礫地、草地に生育する高山植物です。ミヤマキンバイはシナノキンバイと色形ともにとても似ており、見分けがつきにくいですが、ミヤマキンバイの方が花びらが丸く、大きさもシナノキンバイに比べ花径は2cmと少し小さめとなっています。
<ミヤマキンバイが見られる主な山>
鳥海山、仙丈ケ岳、木曽駒ヶ岳、御嶽山、磐梯山、乗鞍岳など
アプリや図鑑で知識を得られる!
多くの方がスマホを持つ時代、高山植物がすぐわかるアプリもあります!webにつなぐ必要がないので、電波のない山でも大丈夫。花や葉の形をセットするだけで何の植物かわかる優れものです。
高山植物がすぐわかるフリー版
書籍でさらに知識を深めよう!
新潮文庫 ひと目で見分ける250種 高山植物ポケット図鑑
サイズ:174p 15cm
A6
販売年:2003/5/28
エイ出版社 高山植物の基本 (OUTDOOR POCKET MANUAL)
サイズ:125p
販売年:2012/6/25
高山植物を知れば山がもっと魅力的に
高山植物はその種類も様々で、地域や場所によっても異なります。山に行くたびに知らない高山植物との出会いがあり、高山植物を知れば登山がより楽しくなること間違いなしです。まずは今回紹介した代表的な高山植物を覚えて、咲いている高山植物たちに会いに行ってみてはいかがでしょうか?