アイキャッチ画像撮影:ポンチョ
その道具、ウエアはどのようにつくられたものか?

登山、道具を選ぶ際に、重視していることはなんですか?
価格、ブランド、軽さ、機能、使い勝手、デザイン……等々、いろいろと気になる部分があります。もちろん、それらを総合的に勘案して決定しているのですが、私が一番気にしているのは、その道具をつくった人の、人たちの考えです。
今回取り上げるのはマイルストーン。2014年、電球色のLEDヘッドランプで既存ブランドとの差別化を図って登場。これまでのヘッドランプにはなかったデザイン性も注目集め、多くのハイカー、アウトドア好きに知られるようになりました。間もなく、ブランドを立ち上げた西岡修平氏が取り組むトレイルランニング、ファストハイク関連のウエアも充実させていきます。

私自身も登山に加えて、トレイルランニング、ファストハイクに取り組んでいることもあり、そのウエア群に注目していました。
なかでも、2022年に発売された『オニオンフーディ』というウィンドシェルは、道具好き、ランニング好きが「こういう装備、機能があったらいいな!」が、ほぼすべて網羅されています。このシェルをつくった人自身が、楽しんでつくっていることが、手に取って、機能を確認、発見するたびに、実感できるモノです。
大手アウトドアブランドのように、トップアスリートからのフィードバックをベースにつくると、軽さを優先させたり、一般ランナー、ハイカーレベルでは使いこなせない機能が装備されたりします。もちろん、それはそれで、道具としての面白さがあります。ありますが、やっぱり特別なんですよね。滅多に使うことのない機能が多かったりするんです。
体力や技術が劣る多くのフツーの山好き、アウトドア好きのポテンシャルを下げない、モノによって押し上げてくれるような道具は、そのフツーのレベルの経験やスペックが具現化されたモノだと思うんです。
道具好きなんだなぁという“こだわり”を感じる、11の圧倒的な魅力

マイルストーンのオニオンフーディは、フツーのハイカー、ランナーが使って便利です。この「フツー」とイコールなのは、道具好きです。それは、山の経験が少ない方だと「?」と思うだろう、こだわりが詰まったウエアです。山も道具も好きなヒトなら、思わずニヤッと笑ってしまう、違いのわかるウエアです。
例えば、上画像でフードの下にキャップを被っているのが透けて見えると思いますが、このポーラー・ホワイトというカラーは、ランニングレースに出場した際、シェル上からTシャツに付けたゼッケンが透けて確認できるので、便利なんです。
こだわり①:落ち着いたカラー

ですが、多くのハイカーさんは、レースに出ないので、汚れやすいと思うポーラー・ホワイトよりも、他にラインナップされているロイヤルネイビー(中)、ブリティッシュグリーン(右)を選ぶでしょう。これらはこれらでウィンドシェルにありがちな光沢がなく、マットなカラーの特別感があります。
テカテカしてないウィンドシェルなら、街で着ても違和感ないよねと、オススメされているようです。
ちなみにポーラー・ホワイトは透けるけれど、透けすぎてはいないから、昭和のアイドルのようなシースルー感がなくて、安心です。
こだわり②:シャリシャリしていない、軽くやわらかな着心地

透け感は先に書いた通り。それよりもこの素材、とてもソフトで肌触りがいいんです。ウィンドシェルにありがちなテカテカがないので、シャリシャリしていなくて、フワッとした着心地。ストレッチ性はわずかですが、激しい動き、大きく身体を動かしても、突っ張るところがありません!
だから、着心地も軽いんです。実際の重量もLサイズで107g。これは私も愛用しているウィンドシェルの定番、パタゴニア/フーディニ・ジャケットの105g同等です。それなりのに、着心地がよく、ソフトさが際立っています。
その理由は、さらに生地の織りにあります。
こだわり③:縦横編みリップ素材で肌離れがいい

上画像は、腕をビショビショに濡らしてオニオンフーディに袖を通した状態です。これ、薄く平織りされた生地だと肌にペッタリと張り付いてしまい気持ちが悪いんです。
オニオンフーディの生地は薄いけれども薄すぎない20デニール。それを凹凸をつけて織っているので、肌離れがいいんです。濡れた腕=汗をかいた腕は、張り付くのは張り付きます。でもすぐに離れます。大汗をかいても快適でいられるレベルでした。
こだわり④:凸凹織り+通気性のある素材ですぐに乾く

実際に山で大汗をかくくらいに動いてみると、上画像の通りにTシャツには汗染みができましたが、オニオンフーディは、サラり!触ってみると少し濡れてはいますが、このくらいの汗では染みになる前に乾いているようです。
汗っかきには、ありがたい機能です!
こだわり⑤:薄いけれども、基本性能は十分!

着心地がよく、ソフトだと、風を防ぐ性能が低くなるように感じますが、抜かりはありません。防風性は間違いなく、かといって暑くなり過ぎることはなく、薄手軽量な保温ウエアとしての役割をしっかりと果たしてくれます。
上画像は日没間際の富士山麓で標高1500m付近。気温は10℃前後。弱い霧雨と風に吹かれました。私が暑がりということもありますが、インナーはウール半袖Tシャツ1枚で、問題なく過ごせました。
こだわり⑥:ウィンドシェルでは少数派のサムホール装備

行動保温着のフーディの多くは装備していますが、ウィンドシェルではあまり見かけないサムホールを装備しています。そのため、サムホールに指を通した際に突っ張らないように、ほんの少し袖は長めになっています。サムホールを使用しない場合はやや気になる長さですが、許容範囲です。
こだわり⑦:両袖にウォッチウィンドウ装備

腕時計を左右どちらに装着してもよいように、両袖にウォッチウィンドウが切られています。サムホールを使用した際に、腕時計のデータやマップを、袖まくりすることなく確認できます。こういう機能を装備していると、やはりこのオニオンフーディをつくった人は、道具好きなんだなぁと感じます。アームウォーマーやリストウォーマー、行動保温着のフーディで切られることはありましたが、ウィンドシェルでは初だと思います。
今や、地図ではなく、スマホでもなく、GPSウォッチで現在地確認、進行方向を決めれられる時代です。安全を優先できる、こうした機能を取り入れるブランドがもっと増えて欲しいと感じさせます。
こだわり⑧:ウィンドシェルのキモ、秀逸なフードのつくり

登山やトレランで使うウィンドシェルは、基本的に防風防寒性の高い、フード付きを指します。このフードは実に難しい装備で、被ると突っ張ったり、浅かったり深すぎたり、ビミョーにフィット感が悪かったり……することが多いんです。
だからウィンドシェルを購入する際には、かならずフードまで試着してみてほしいのですが、オニオンフーディのフードはジャストフィット、完璧でした!

前立てジッパーは、フードを被っていないときに左右非対称になってしまうので、好みが分かれるオフセット仕様です。ジッパーを上まで上げた際に、アゴの当たりがやわらかく、アウトドア好きに多いアゴヒゲを生やした方はヒゲがジッパーに引っ掛からず、安心です。
こだわり⑨:換気能力の高さが随一で、着たくなる!

ウィンドシェルではなく、レインウエアのジャケットを着れば、余計な重量増をせずに済むじゃない!と、ウィンドシェルを着ない人は思うかもしれません。
でもフィルムがラミネートされたレインジャケットと、極薄生地のウィンドシェルとでは、モデルにもよりますが、通気性がまるで違います。オニオンフーディは、生地の通気だけでなく、前立てをダブルジッパーにしてあるので、羽織るようにして着用することも可能です。

脇下にはベンチレーションホールも装備。今回、どこまで機能しているかは感じられませんでしたが、しかし換気だけでなく、インナーに保温着を着た際に、アームホールの窮屈さを軽減してくれそうです。
実際、バタつきを抑えることを重視してタイトなデザインを採用したウィンドシェルでは、アームホールが窮屈なものが案外多くあるんです。
こだわり⑩:ハイカーには関係ないかもしれませんが……背中に換気ホールあり

背中の肩甲骨の間あたりにも、換気のホールが開いています。が、コレはトレランパックを背負ったままオニオンフーディを着用しても突っ張らないためのマチの役割が大きそうです。
ハイカーには関係ない……とも思いますが、最近はトレランパックを背負い、走ることなく、デイハイクをする軽量装備のハイカーもいるので、紹介しました。
こだわり⑪:フード内のポケットに収納可能

フード内には四角いポケットがあり、裏返すようにして、シェルを収納できます。

ポケッタブル仕様もパッカブル仕様も、小ささを際立たせるために、収納がかなり窮屈なものがありますが、オニオンフーディは、ちょうどよいサイズです。しっかりと収納のしやすさ、広げやすさを検証して、ちょうどよいところに落とし込んでいます。

ちなみに、収納したオニオンフーディは、マイルストーンが手掛ける速乾伸縮性に長けたトレイルパンツの『ナッティ ロングパンツ プラス』のバックポケットに収納可能です。
最近のトレイルパンツは、スマホや行動食等の収納性に注力していますが、ナッティ ロングパンツ プラスも同様です。このバックポケットの左右には、スマホを収納しても揺れないポケットが装備されています。