「登山ビギナーはミッドカットシューズが最適」は本当か? 履き比べてわかった、山の歩き方の修得方法!

2022/08/22 更新

初めての一足として勧められるトレッキングシューズの定番は、ミッドカットシューズ。しかし、登山初心者はミッドカットを選ぶのが本当に正解なのでしょうか? そんな疑問を解決するため、登山ビギナーにミッドカットとローカットを実際に履き比べてもらいました。

そこで気がついたのは、ビギナーが山の歩き方を身につけるために、ローカットが有用であるということ。なぜ、そう思ったのかを解説しましょう!

制作者

モノ書き

ポンチョ

アウトドアライター歴25年。「細かすぎるライター」としてアウトドア道具のレビューが評判。登山はファストハイクからコーヒーやハンモックでくつろぐのんびりハイクまで。日本山岳耐久レース完走7回のトレイルラン好き。自転車雑誌&WEBでもアウトドアと組み合わせた記事を執筆。低山ハイクとヨガをMixしたツアー・イベント『ちょい山CLUB』の案内人。

ポンチョのプロフィール

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アイキャッチ画像:ポンチョ

「登山ビギナーにオススメは、ミッドカットシューズ」は本当か?

ミッドカットシューズとローカットシューズ、どちらが登山向きか
撮影:ポンチョ
春~秋、無雪期のトレッキングにおいて幅広いシーンで使えるシューズは、ミッドカットシューズと言われています。

私もこれから登山をはじめたいという人や、低山から3,000m未満の山を登ることが中心のハイカーさんに「どんなトレッキングシューズがオススメですか?」と質問されると、

①足首までしっかりと包み込み、サポート力のあるミッドカットシューズ

②とはいえ重いシューズは、山歩きに慣れていないと5時間以上行動する際に負担になるので、片足500g前後以下

③雨に降られてもシューズ内に雨水が侵入しにくい防水透湿素材が施されているもの

と答えてきました。

でも、私が愛用しているシューズは、ローカットシューズ。

オススメを聞いたら「ミッドカットシューズ」と言っていたのに、「自分はローカットシューズなの?」と怪訝な顔をされたことが、しばしばあります。

撮影:ポンチョ
では、なぜ私はローカットシューズを履いているのか?
 

◆頻繁に山に登り、また日々ランニングをして必要な足の筋力が備わっている

◆トレイルランニングもしているので、軽量なローカットシューズの方が動きやすい

◆あえて不安定なローカットを履いて、足を鍛えている

ざっくりと言えば、こんな理由です。

ミッドカットシューズを履いていても、尻もちをつくのはなぜか?

ローカットシューズとミッドカットシューズ、どちらが登山向きか
撮影:ポンチョ
でも本当に、ミッドカットシューズは体力のないハイカーや、登山経験の少ないハイカーの1足目で正しいのだろうか?

また、ローカットシューズは、体力に自信のあるハイカー、山を走るトレイルランナー用のシューズなのだろうか?

そんなことを自問自答するようになりました。

私は、これまでミッドカットシューズをオススメしたハイカーさんの多くと、一緒に登山をしてきました。

そこでわかったのは、「安定感があるミッドカットシューズを履いていても、5時間、10キロ近く行動していると、下りで尻もちをつく人が多い」ということです。

その原因は、疲労が溜まり、足を思う通りに動かせなくなったから。そう思っていたのですが……

下りで尻もちをつく原因は?
撮影:ポンチョ
ミッドカットシューズを履いていても尻もちをつくハイカーさんをよく観察しているうちに、その根本の原因は、歩き方にあるのではないかと思うようになりました。

ミッドカットシューズかローカットシューズかではなく、疲労も直接の理由ではなく、そもそも山の歩き方ができていないことが、原因として大きい。歩き方がよくないから、疲労が溜まりやすいのではないかと。

登山ビギナーさん曰く、「やっぱりミッドカットが安心です!」の理由

シューズテスター
撮影:ポンチョ(長谷川拓司カメラマン)
さて今回、「歩き方がよくないから尻もちをつきやすく、疲労も溜まるのではないか?」という考察を深めるために、ミッドカットシューズとローカットシューズの歩き方の違いを観察することにしました。

テストに協力してくれたのはYAMA HACKの企画で撮影を担当してくれている長谷川拓司カメラマン。

スポーツカメラマンとして活躍している長谷川カメラマンの登山経験は、低山を中心にまだ10回未満。

普段から重い機材を背負って撮影をし、30代という若さもあって、体力は充分。実際、撮影で行動時間8時間、高低差1,000m強の山行でもヘバることなく歩き通すことができるので、彼は登山経験値だけがビギナーです。

ミッドカットとローカットで歩き方が違っていた!

ローカットシューズで歩いてみると
撮影:ポンチョ
上の写真はローカットシューズを履いて歩いているシーンです。長谷川カメラマンの歩き方を見ていて、なんだか、ちょっと違和感が……。

ミッドカットシューズで歩いてみると
撮影:ポンチョ
ミッドカットシューズのときには、上の写真のように、下りで踏み出す足が地面に対して比較的フラットに近いのに……

撮影:ポンチョ
ローカットシューズになると、この写真のように踏み出す足がカカト着地になっています!

そもそも重心が後ろに残っている歩き方なので、カカト着地になるのは必然です。これは、わざとそのように歩いてと指示を出して撮影した訳ではありません。下りを普通に歩いてもらった写真です。

ミッドカットとローカットの違いは、足首の可動域

ローカットシューズとミッドカットシューズの違い
撮影:ポンチョ
ミッドカットシューズとローカットシューズでの長谷川カメラマンの歩き方は、想像以上に極端に違っていますが、なぜなのでしょう?
 
下記のように推察しました。
 

《ミッドカットシューズ》
足首から甲部分をしっかりホールドされているので、足首の動きが制限されて、つま先を上げられない。だからフラットに近い着地になる。結果、安定を感じる。

《ローカットシューズ》
足首の可動域が大きく、自由なので、普段通り、つま先を大きく上げてカカト着地になってしまう。だから下りの斜度がキツくなると、歩いていて不安定さを感じる。さらに、重心が後ろになる歩き方なので、足への衝撃は大きめ、疲労も大きくなりがち。

 

長谷川カメラマン
撮影:ポンチョ
結果、長谷川カメラマンの感想は、
「やっぱりミッドカットシューズの方が、安定感があって、登山で履くならこちらですね!」

「う~ん、ローカットシューズは、足首の可動域があってスニーカー的でラクですが、ちょっと……」とのこと。

はい、そうなるでしょう。

「だから安定のミッドカットを選択!」ではなく……

撮影:ポンチョ
振り返ってみると、これまで私が長谷川カメラマンと一緒に登った山行で、後半にフラついたり、尻もちをつくことが何度かありました。そしてこのミッドカットシューズとローカットシューズの履き比べテスト登山の際も、ミッドカットシューズを履いているときに、下りで尻もちをついていました。

長谷川カメラマンに限らず、登山の経験値が浅いハイカーは、街での平坦な舗装路での歩き方のまま、山で歩いている人が多いのです。カカト着地で、ドスンドスンと広めの歩幅で歩いています。

しかし山の歩き方は、歩幅を狭め、地面に対してフラットに着地させることが基本です。

靴ズレ
撮影:ポンチョ
足首のサポート力の高いミッドカットシューズで、ドスンドスンと広めの歩幅で歩いていると、靴ズレも起きやすい。

実際、長谷川カメラマンは、新品のトレッキングシューズだったという影響もありますが、内くるぶし部分がシューズと干渉、靴ズレになってしまいました。

ちなみに、同様の新品シューズでテストした私は、靴ズレの気配さえありませんでした。

やはり、歩き方の違いが大きく影響していると推測できます。

ローカットシューズで歩き方を修得してみよう!

ミッドカットシューズとローカットシューズ
撮影:ポンチョ
前述の通り、足首の可動域が制限=サポートされるミッドカットシューズなら、山の歩き方の基本、歩幅を狭め、地面に対してフラットに着地させることができます。

だから、「安定した歩行が可能なミッドカットシューズを選択する」というのが、初めてのトレッキングシューズ選びの正解です。

でも、そもそも山の歩き方の基本が身に付いていなければ、ミッドカットシューズであっても、ローカットシューズであっても、行動時間が長くなるほど疲労は増し、結果的に尻もちをついたり、靴ズレが起きることを防げません。

フラット着地で歩く
撮影:ポンチョ
そこで、提案です。

動きが矯正されるミッドカットシューズではなく、あえて自由度の高い、ローカットシューズで歩き方を見直してみては!

その方法は、意識して足裏をフラットに着地させようとするのではなく、ただ静かに、そっと足を踏み出すだけです。

上の連続写真は、「足裏をフラットに着地させてみて!」というアドバイスを長谷川カメラマンが実行したものです。

正直、ぎこちない歩き方です。長年、歩き方を意識していないので、突然「足裏をフラットに!」と言われると、動きがぎくしゃくしてしまいます。このまま長い距離、時間を歩くことはできません。

フラットな着地
撮影:ポンチョ
果たして、私はどうやってフラットな着地を覚えたのかを思い返してみました。

それが、「静かに、そっと歩く」ことでした。

長谷川カメラマンに「そっと歩いてみて!」と言って実行してもらったのが、上の連続写真です。

静かにそっと歩こうとすると、必然的に歩幅は狭まり、足裏の前足部や中足部からの着地、つまりフラットめの着地になります。足裏をフラットに着地させようと意識するとぎこちない歩き方になりがちですが、そっと歩くだけなら、ぎこちなさは出てきません。

上の連続写真では平坦路ですが、この静かにそっと歩くという意識だけを持って下ってみれば、カカト着地でドスンドスンとはならず、前足部から着地。重心も後ろに残らず、シューズのグリップが効き、尻もちをつきにくくなります。

歩き方を変えるだけではなく、筋肉もつける

フラットな着地をするために
撮影:ポンチョ
でも、静かにそっと歩く意識を持つだけでよいなら、ミッドカットシューズでもよいのでは?と思うでしょう。

私の経験を踏まえると、ミッドカットシューズは、足首のサポートによって歩き方が矯正されてラクをしている分、フラット着地の歩き方に必要な筋肉がつきにくい。

足首が自由で不安定なローカットシューズの方が、バランスを取るための運動負荷が強いので、筋肉がつきやすい

だから同じ距離、時間を静かにそっと歩いた場合、ローカットシューズの方が、正しい歩き方を修得しやすいのです。

ローカットシューズで山の歩き方を身に付ける
撮影:ポンチョ
ただし、少しずつ慣らしていかないと運動負荷が強い分、疲労も大きく、ケガをする可能性があります。ウォーキングや里山、低山ハイクで短い距離からローカットシューズでの静かにそっと歩く実践を積み、足づくりをしてみてください。

歩き方に慣れてきたと感じたら、少し高い山、長めの距離を歩いてみて、最後にミッドカットシューズを履いて登山をしてみてください。

きっと「あれっ!」と、自分の歩きの安定感の違いに驚くと思います。

「あぁ、やっぱりミッドカットシューズは安定感が高いなぁ」とも思うでしょう。しかし、それは自分の足の安定感がアップした結果です。

ローカットシューズでトレーニング
撮影:ポンチョ
登山ハウツー企画の多くで、山の歩き方の解説がされていますが、フラットな着地を意識して歩くべきだと頭ではわかっていても、実行することは簡単ではありません。だからまずは、山の基本的な歩き方ができるように、ローカットシューズで足の筋肉をつけるトレーニングをすることを提案します。

頻繁に山に行くことができなければ、普段の生活のなかで実践してみてください。階段の上り下り等で、登山を想像して静かに歩く、そっと足を踏み出す。それだけでも、かなり違ってきます!

足の筋肉、カラダが変われば、歩き方も自然に変わります!

是非!!

テストに使用したシューズは、登山にぴったりOnのアウトドアモデル

Onのハイキングシューズ
撮影:ポンチョ
さて、最後に今回テストで使用したシューズを紹介。スイスのブランド『On』のアウトドアモデルです。

左:クラウドロック ウォータープルーフ
右:クラウドベンチャー ウォータープルーフ

トレッキングシューズのミッドカットとローカット
撮影:ポンチョ
どちらも峻険なスイスアルプスでテストを繰り返し、ミッドソールにはOnを象徴する世界特許技術の中空パーツ「CloudTec®」を採用。高いクッション性と反発力を備え、同社の独自素材「Missiongrip®」が、トレイルで確実な足取りを提供するでしょう。また防水透湿素材も備えているので、雨天時のハイクも安心です。

特にローカットシューズの「クラウドベンチャー ウォータープルーフ」は、街にも似合うデザイン、カラーなので、普段からのトレーニングにも活用してみてください。

オン クラウドロック ウォータープルーフ(メンズ)

重さ445g
ドロップ7mm
サイズ25~31(0.5cm刻み)、32

クラウドロック ウォータープルーフ(メンズ)の詳細はこちら

オン クラウドロック ウォータープルーフ(ウィメンズ)

重さ380g
ドロップ7mm
サイズ22~28(0.5cm刻み)


クラウドロック ウォータープルーフ(ウィメンズ)の詳細はこちら

オン クラウドベンチャー ウォータープルーフ(メンズ)

重さ325g
ドロップ6mm
サイズ25~31(0.5cm刻み)、32

クラウドベンチャー ウォータープルーフ(メンズ)の詳細はこちら

オン クラウドベンチャー ウォータープルーフ(ウィメンズ)

重量265g
ドロップ6mm
サイズ22~28(0.5cm刻み)


クラウドベンチャー ウォータープルーフ(ウィメンズ)の詳細はこちら

 

それでは皆さん、よい山旅を!

 


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