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トレッキングシューズのミッドカットとローカット

「登山ビギナーはミッドカットシューズが最適」は本当か? 履き比べてわかった、山の歩き方の修得方法!

初めての一足として勧められるトレッキングシューズの定番は、ミッドカットシューズ。しかし、登山初心者はミッドカットを選ぶのが本当に正解なのでしょうか? そんな疑問を解決するため、登山ビギナーにミッドカットとローカットを実際に履き比べてもらいました。

そこで気がついたのは、ビギナーが山の歩き方を身につけるために、ローカットが有用であるということ。なぜ、そう思ったのかを解説しましょう!

目次

アイキャッチ画像:ポンチョ

「登山ビギナーにオススメは、ミッドカットシューズ」は本当か?

ローカットシューズとミッドカットシューズ
撮影:ポンチョ

春~秋、無雪期のトレッキングにおいて幅広いシーンで使えるシューズは、ミッドカットシューズと言われています。

私もこれから登山をはじめたいという人や、低山から3,000m未満の山を登ることが中心のハイカーさんに「どんなトレッキングシューズがオススメですか?」と質問されると、

  1. 足首までしっかりと包み込み、サポート力のあるミッドカットシューズ
  2. とはいえ重いシューズは、山歩きに慣れていないと5時間以上行動する際に負担になるので、片足500g前後以下
  3. 雨に降られてもシューズ内に雨水が侵入しにくい防水透湿素材が施されているもの

と答えてきました。

でも、私が愛用しているシューズは、ローカットシューズ。

オススメを聞いたら「ミッドカットシューズ」と言っていたのに、「自分はローカットシューズなの?」と怪訝な顔をされたことが、しばしばあります。

ローカットシューズでの登山
撮影:ポンチョ

では、なぜ私はローカットシューズを履いているのか?

  • 頻繁に山に登り、また日々ランニングをして必要な足の筋力が備わっている
  • トレイルランニングもしているので、軽量なローカットシューズの方が動きやすい
  • あえて不安定なローカットを履いて、足を鍛えている

ざっくりと言えば、こんな理由です。

ミッドカットシューズを履いていても、尻もちをつくのはなぜか?

ローカットシューズとミッドカットシューズ、どちらが登山向きか
撮影:ポンチョ

でも本当に、ミッドカットシューズは体力のないハイカーや、登山経験の少ないハイカーの1足目で正しいのだろうか?

また、ローカットシューズは、体力に自信のあるハイカー、山を走るトレイルランナー用のシューズなのだろうか?

そんなことを自問自答するようになりました。

私は、これまでミッドカットシューズをオススメしたハイカーさんの多くと、一緒に登山をしてきました。

そこでわかったのは、「安定感があるミッドカットシューズを履いていても、5時間、10キロ近く行動していると、下りで尻もちをつく人が多い」ということです。

その原因は、疲労が溜まり、足を思う通りに動かせなくなったから。そう思っていたのですが……

ローカットシューズの足元
撮影:ポンチョ

ミッドカットシューズを履いていても尻もちをつくハイカーさんをよく観察しているうちに、その根本の原因は、歩き方にあるのではないかと思うようになりました。

ミッドカットシューズかローカットシューズかではなく、疲労も直接の理由ではなく、そもそも山の歩き方ができていないことが、原因として大きい。歩き方がよくないから、疲労が溜まりやすいのではないかと。

登山ビギナーさん曰く、「やっぱりミッドカットが安心です!」の理由

長谷川拓司カメラマン
撮影:ポンチョ(長谷川拓司カメラマン)

さて今回、「歩き方がよくないから尻もちをつきやすく、疲労も溜まるのではないか?」という考察を深めるために、ミッドカットシューズとローカットシューズの歩き方の違いを観察することにしました。

テストに協力してくれたのはYAMA HACKの企画で撮影を担当してくれている長谷川拓司カメラマン。

スポーツカメラマンとして活躍している長谷川カメラマンの登山経験は、低山を中心にまだ10回未満。

普段から重い機材を背負って撮影をし、30代という若さもあって、体力は充分。実際、撮影で行動時間8時間、高低差1,000m強の山行でもヘバることなく歩き通すことができるので、彼は登山経験値だけがビギナーです。

ミッドカットとローカットで歩き方が違っていた!

ローカットシューズを履いて歩いているシーン
撮影:ポンチョ

上の写真はローカットシューズを履いて歩いているシーンです。長谷川カメラマンの歩き方を見ていて、なんだか、ちょっと違和感が……。

ミッドカットシューズで歩いているシーン
撮影:ポンチョ

ミッドカットシューズのときには、上の写真のように、下りで踏み出す足が地面に対して比較的フラットに近いのに……

ローカットシューズでの下り
撮影:ポンチョ

ローカットシューズになると、この写真のように踏み出す足がカカト着地になっています!

そもそも重心が後ろに残っている歩き方なので、カカト着地になるのは必然です。これは、わざとそのように歩いてと指示を出して撮影した訳ではありません。下りを普通に歩いてもらった写真です。

ミッドカットとローカットの違いは、足首の可動域

可動域の違い
撮影:ポンチョ

ミッドカットシューズとローカットシューズでの長谷川カメラマンの歩き方は、想像以上に極端に違っていますが、なぜなのでしょう?

下記のように推察しました。

《ミッドカットシューズ》
足首から甲部分をしっかりホールドされているので、足首の動きが制限されて、つま先を上げられない。だからフラットに近い着地になる。結果、安定を感じる。

《ローカットシューズ》
足首の可動域が大きく、自由なので、普段通り、つま先を大きく上げてカカト着地になってしまう。だから下りの斜度がキツくなると、歩いていて不安定さを感じる。さらに、重心が後ろになる歩き方なので、足への衝撃は大きめ、疲労も大きくなりがち。

長谷川カメラマンの感想
撮影:ポンチョ

結果、長谷川カメラマンの感想は、
「やっぱりミッドカットシューズの方が、安定感があって、登山で履くならこちらですね!」

「う~ん、ローカットシューズは、足首の可動域があってスニーカー的でラクですが、ちょっと……」とのこと。

はい、そうなるでしょう。

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