露出の多い服装は避ける
登山の際は、ハチを刺激しないように様々な対策をとるほか、刺されたときにできるだけダメージを負わないよう、肌の露出が少ない服装を心がけましょう。帽子を被ったり首にタオルを巻いたりすることも、一つの対策になります。
匂いのキツイものに注意
ハチは匂いに敏感な生物なので、山に行く時は香水や化粧品、整髪料などの匂いの強いものは避けた方が賢明です。お弁当やジュースなどの匂いにも寄ってくる場合があるので、注意してください。
ウェアの色で防衛対策
ハチは攻撃モードになると黒色を狙うため、黒っぽい色のウェアや帽子は、できるだけ避けることをおすすめします。反対に、白や黄色などの薄い色のウェアは、ハチの注意を引きづらく、攻撃の時にも優先的に狙う色ではないため、登山時に取り入れるのも対策になるでしょう。
ただし、色が何色であっても、動きがあるものに反応するため、「黒を避ければ大丈夫!」とはならないことも頭に入れておきましょう。
絶対に刺激を与えない
木の洞や地面の穴から、黒い虫が出入りを繰り返しているようであれば、それはクロスズメバチの巣である可能性があります。そのように巣である可能性のある場所を見つけら、絶対に近づかず、地面に振動を与えないように静かにその場から離れましょう。
巣の周りをウロウロするのもご法度です。ハチが自分の周りを飛ぶように近づいてきた場合は、刺激せずそっとかがんで後退りして、その場から離れてください。
ハチは基本的に「動くもの>止まっているもの」、「黒>白」に対して攻撃を仕掛ける傾向があります。「黒くて動いているものは最も刺されやすく」、「白くて動かないものは最も刺されにくい」と言えるでしょう。
もしも遭遇してしまったら
姿を確認したらそっとその場を離れる
遭遇した時は刺激を与えないように、姿勢を低くして後退りしながらその場を離れましょう。巣を見つけても絶対に刺激しないこと、驚いても急激な動きをしないでください。
ハチが人を襲う理由はただひとつ、巣を守るためです。巣にいる女王蜂や、たくさんの幼虫を守るため、巣に近づいたり攻撃をしてくる者には容赦なく襲ってきます。防衛策としてハチなりに必死で攻撃してくるので、むやみに刺激を与えるのは絶対にやめてください。
攻撃された時には
もしも間違って巣を刺激して、大量のハチに襲われそうになったら、とにかく全速力で逃げましょう。巣を刺激してハチが攻撃モードになったら、じっとしていても刺される可能性があります。ハチが追ってこなくなるまで走って逃げてください。
先にも述べましたが、クロスズメバチの場合、黒くて小さいためハエと勘違いして楽観視するケースも考えられます。そのためにも、ハエに似た小さなハチが存在することを知り、今後の予防に役立てましょう。
刺されたときの応急処置について
クロスズメバチに刺されてしまった際の応急処置についてお伝えします。まずは、刺された地点からできるだけ離れ、身の安全を確保してから応急処置を行ってください。
流水で患部を洗う
流水でよく患部をつまみながらしぼり洗いして、毒を少しでも出すことが肝要です。ハチの毒は水に溶けやすいタンパク質でできているほか、水洗いは冷却によって痛みや腫れを抑える効果も期待できるため、時間をかけてしっかり洗ってあげることが大切。
「ポイズンリムーバー」の効果については諸説ありますが、いずれにしても刺された直後でないと効果が薄いので、使う場合は水場に移動するまでの間に使用しましょう。その後水場についたら、水洗いに切り替えます。
「リムーバーを使ったからもう大丈夫」とはならないことも肝に銘じておきましょう。
抗ヒスタミン薬を塗る
抗ヒスタミン軟膏を利用することで、ハチに刺された箇所の腫れなどの症状を緩和することが期待できます。しかし、ハチ毒による影響は大きく、薬を塗ったからといって症状が大きく緩和することは期待が薄いため、冷却を行うことが肝心です。
患部を冷やす
アイシング用品や保冷剤を使って、刺されたところを冷やしましょう。冷却することで、痛みや腫れの軽減が期待できます。氷がない場合は水を利用したり、自動販売機の冷たい缶ジュースを代用するのも良いでしょう。
経過観察・病院へ
ハチ毒は、応急処置を行っても痛みが強く残ることがほとんどのため、症状がつらかったり心配な場合は、無理をせずに病院へ行くようにしましょう。
なお、刺傷後は、概ね40~60分ほど誰かと共に経過観察をするようにしてください。刺されたところ以外に腫れや蕁麻疹が起こったり、息苦しくなるなどの全身症状が出た場合は、速やかに病院を受診する必要があります。
クロスズメバチを知ることが大切
「知ることは最初の事故予防」。似たような虫を見かけた際には、十分注意して対応してください。