ポイズンリムーバーの使用は意味がないってホント?
様々な検索エンジンで「ポイズンリムーバー」と入力すると、かなりの確率で「意味ない」の言葉も表示されるこのアイテム。
けれども登山者のみならず、キャンプや釣りなどのアウトドアアクティビティや、森林を仕事場とする人でもポイズンリムーバーを常に携帯している人が多いのも事実です。
今回は国際山岳医・稲田千秋先生の監修で、効果的な使用法と様々なポイズンリムーバーを実際に使用してみたレビューを紹介します。
医学的には解明されていない虫刺されに対するポイズンリムーバーの効能
残念ながら、現段階で医学的にはポイズンリムーバーの効能は実証されていません。
まったく効果がないとも断言はできないのですが、虫刺されに対するポイズンリムーバーの研究報告自体が存在しないのです。その理由を、稲田先生に伺いました。

効いたか効かなかったかも個人の感じ方に違いがあり、実際のアレルギー反応にも個人差があるため、定量的に評価することや正しい結果を得られる研究モデルを作ること自体が難しいのではないでしょうか。
ポイズンリムーバーの有効性が報告されている事例も
害虫に刺されたり咬まれたりしたときに、体内に侵入した蚊・ブヨによるアレルギー性皮膚炎を引き起こす唾液腺物質や、蜂による毒液を体外に吸い出すのがポイズンリムーバーの役割。
あくまでも個人的な体験談の範疇ですが、ポイズンリムーバーを使用することで腫れ・痒み・痛みなどが軽減されたという報告も複数存在します。
また蜂刺されにおいては、医師により「ポイズンリムーバーによって毒液が吸引される」という診療事例が掲載されている書籍も。
とはいえこれらは唾液腺物質や毒液を「吸い出す効果」であり、「症状を軽減する」という医学的根拠は、やはりないのが現状なのです。

また、刺されてから時間がたつと吸い出す効果はほとんどなくなってしまうため、なるべく刺されてすぐに使用するのが有効という意見があります。
ポイズンリムーバーを正しく使おう!害虫被害の対処手順
このように医学的な根拠はないものの、体内に注入された物質を吸引することで症状の軽減につながったという実例もあるポイズンリムーバー。まったく意味がないとは言い切れないかもしれません。それでは実際に害虫に刺された場合、どのような手順で対処すれば良いのでしょうか。
1. 安全な場所へ素早く移動する
蜂に刺された場合、近くに巣があることが想定されます。また毒液や唾液腺物質が注入されてから時間を空けずに処置することが、症状の軽減に有効という意見も。再び刺される心配がなく、落ち着いて処置できる場所へ素早く移動しましょう。
2. ポイズンリムーバーでの吸い出し
続いてポイズンリムーバーを使用しての、毒液や唾液腺物質の患部からの吸い出し。吸引器具はモデルによって、ピストンを「押し下げる」タイプとレバーを「引き上げる」タイプがあります。
使用方法は各アイテムの取扱説明書に従いますが、基本的には以下の手順です。
素早くきちんと吸い出しを行うために、ザックの雨蓋など取り出しやすい場所に収納しておくのがおすすめ。もちろん事前に取扱説明書を読んだ上で、吸い出しの処置を練習しておくことも重要です。
3. 真水での洗浄
ポイズンリムーバーでの吸い出しが完了したら、患部を真水で洗浄します。山中には水道がないので、飲料水以外に500mlペットボトル1本程度の真水を常に用意しておきましょう。
同じ製品の蓋に穴をあけておいて付け替えると、水鉄砲のような強い水圧でピンポイントに洗浄することが可能。これは出血をともなう外傷を負った際に、傷口をきれいにするためにも役立ちますよ。
4. 軟膏(抗ヒスタミン・ステロイド剤)の塗布
患部を洗浄したら、虫刺され用の抗ヒスタミン剤(痒みを抑制する)を含む、ステロイド剤(炎症を抑制する)を塗りましょう。可能であれば患部を冷やしておくと良いでしょう。

こうした場合は無理に引き抜かないで、なるべく早く医療機関を受診してください。
ここで紹介した
という手順は治療ではなく、あくまでも現場での応急処置。ミツバチ以外の害虫の場合も、なるべく早めに医療機関を受診するようにしましょう。
ポイズンリムーバー選びでチェックすべきポイントは?
それでは、もしもに備えてポイズンリムーバーを携行するとしたら、どのような点をチェックして選べば良いのでしょうか。
「なるべく刺されてすぐに使用するのが有効という意見がある」ことや、「とっさに処置できるよう使いやすいものが良い」という稲田先生のアドバイスなどを踏まえると、以下のような点をチェックするのが良いでしょう。
ポイズンリムーバー12アイテムを比較レビュー
今回は12アイテムを用意し、筆者と編集部員が実際に使用しながら各ポイントをチェックしてみました。ただしあくまでも主観でのレビューであることを、ご了承ください。重量もレビュー時の実測値です。
1. ASPILABO(アスピラボ) エクストラクター
ケース付きの宿命で取り出すには蓋を開ける必要がありますが、組み立ては容易。吸引カップは4種類ついています。今回用意したアイテムの中でも、吸引力は抜群でした。
難点は操作性。ピストンを押し下げる“最後のひと押し”にかなりの力を必要とし、女性編集部員の場合はピストン上端を身体に押し付けてようやく吸引できました。手の小さな人や握力の弱い人には、扱いが難しいと感じました。
アスピラボ エクストラクター | |
取り出しやすさ | ★★★☆☆ |
組み立てやすさ | ★★★★☆ |
逆利き手での操作性 | ★★☆☆☆ |
吸引力 | ★★★★★ |
ASPILABO(アスピラボ) エクストラクター
抜群の吸引力と4種類のカップ
ケースを含む重量 | 83g |
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本体重量:カップ装着時(複数ある場合は最大サイズのカップ) | 28g |
吸引方法 | ピストンを押すタイプ |
2. ASPILABO(アスピラボ) アスピブナン
フランス製らしく洗練されたデザインのケースですが、開け方が独特なので慣れが必要。3種類の吸引カップを含めてコンパクトに収納されている分、取り出して組み立てる作業に少し手間がかかります。
吸引時のピストンを押し下げる動作にはそこまで力を必要とせず、手だけで吸引を完了することができました。ただしサイズは大ぶりで、手の小さな人には、少し扱いが難しいと感じました。
アスピラボ アスピブナン | |
取り出しやすさ | ★★☆☆☆ |
組み立てやすさ | ★★★☆☆ |
逆利き手での操作性 | ★★★☆☆ |
吸引力 | ★★★★☆ |
ASPILABO(アスピラボ) アスピブナン
洗練されたデザインのケース
ケースを含む重量 | 97g |
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本体重量:カップ装着時(複数ある場合は最大サイズのカップ) | 28g |
吸引方法 | ピストンを押すタイプ |
3. SAWYER(ソーヤー) エクストラクター ポンプキット
4種類の吸引カップと体毛処理用のカミソリがケースに収まったアイテムです。
こちらも難点は操作性。1の「アスピラボ エクストラクター」同様にピストンを押し下げる“最後のひと押し”にかなりの力を必要とし、かと言って途中までしか押し下げられないと吸引力が弱くなってしまいます。最終的な吸引力は強いのですが、それを発揮するには相応の握力が必要です。
ソーヤー エクストラクター ポンプキット | |
取り出しやすさ | ★★★☆☆ |
組み立てやすさ | ★★★★☆ |
逆利き手での操作性 | ★★☆☆☆ |
吸引力 | ★★★★★ |
SAWYER(ソーヤー) エクストラクター ポンプキット
体毛処理用のカミソリ付き
ケースを含む重量 | 92g |
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本体重量:カップ装着時(複数ある場合は最大サイズのカップ) | 29g |
吸引方法 | ピストンを押すタイプ |
4. CAPTAIN STAG(キャプテンスタッグ) ポイズンリムーバー
一見するとカミソリの有無以外は3の「ソーヤー エクストラクター ポンプキット」とまったく同じアイテム。このため、取り出しやすさ・組み立てやすさも同じ★の数となりました。
ところが、吸引してみるとまったく違う感覚。ピストンを押し下げる動作にはそこまで力を必要とせずに吸引が完了。ただし吸引力自体は少し弱いと感じました。
キャプテンスタッグ ポイズンリムーバー | |
取り出しやすさ | ★★★☆☆ |
組み立てやすさ | ★★★★☆ |
逆利き手での操作性 | ★★★☆☆ |
吸引力 | ★★★★☆ |
CAPTAIN STAG(キャプテンスタッグ) ポイズンリムーバー
スムーズな操作で高い吸引力
ケースを含む重量 | 85g |
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本体重量:カップ装着時(複数ある場合は最大サイズのカップ) | 29g |
吸引方法 | ピストンを押すタイプ |
5. TIGER(タイガー) エクストラクター 強力型
カップが5種類(最小サイズは上下両方で使えるので6通り)と豊富。カラビナ付きの大きめのソフトケースに入っており、カップをつけたまま収納できるので、素早い処置に役立ちます。
ピストンを押し下げる動作は2の「アスピラボ アスピブナン」・4の「キャプテンスタッグ ポイズンリムーバー」と同様でそこまで力を必要としません。ただしやはり吸引力自体は少し弱いと感じました。
TIGER エクストラクター(強力型) | |
取り出しやすさ | ★★☆☆☆ |
組み立てやすさ | ★★★★☆ |
逆利き手での操作性 | ★★★☆☆ |
吸引力 | ★★★★☆ |
TIGER(タイガー) エクストラクター 強力型
豊富な吸引カップとゆとりあるケース
ケースを含む重量 | 116g |
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本体重量:カップ装着時(複数ある場合は最大サイズのカップ) | 29g |
吸引方法 | ピストンを押すタイプ |
6. Care Plus(ケアプラス) ベノムエクストラクター
ケースを開ける手間はあるものの、大きい方のカップは予め吸引器具に装着されており、こちらが患部に適合すれば即時に処置が可能なアイテムです。ただし全アイテム中で飛び抜けて重いモデルでもあります。
吸引方法も独特。ピストンでなく本体ごと押し込むと、ストッパーが外れて自動的に吸引してくれます。あとはこの状態を保持するだけですが、吸引力は★3つ。再度の吸引の際には本体を元の状態に戻す必要があり、操作にも慣れが必要です。
Care Plus ベノムエクストラクター | |
取り出しやすさ | ★★☆☆☆ |
組み立てやすさ | ★★★★☆ |
逆利き手での操作性 | ★★★★☆ |
吸引力 | ★★★☆☆ |
Care Plus(ケアプラス) ベノムエクストラクター
本体を握って押すだけで吸引可能
ケースを含む重量 | 139g |
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本体重量:カップ装着時(複数ある場合は最大サイズのカップ) | 85g |
吸引方法 | 吸引器具本体を押すタイプ |
7. OHKEY ポイズンリムーバー
しっかりとしたケースに、4種類のカップとカミソリ・止血バンド・ホイッスルも入ったモデル。セット内容の充実度は、今回用意した中でも指折りと言って良いでしょう。
こちらも吸引時の操作性が難点。吸引器具が大ぶりな上に、1の「アスピラボ エクストラクター」・3の「ソーヤー エクストラクター ポンプキット」同様にピストンを押し下げる動作に常に力が必要でした。ただし吸引力は五つ星。吸引時に求められる握力と吸引力は、ある程度比例するようです。
OHKEY ポイズンリムーバー | |
取り出しやすさ | ★★★☆☆ |
組み立てやすさ | ★★★★☆ |
逆利き手での操作性 | ★★☆☆☆ |
吸引力 | ★★★★★ |
OHKEY ポイズンリムーバー
豊富な付属アイテムも魅力
ケースを含む重量 | 105g |
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本体重量:カップ装着時(複数ある場合は最大サイズのカップ) | 29g |
吸引方法 | ピストンを押すタイプ |
8. Safety Life(セーフティライフ) ポイズンリムーバー
比較的コンパクトなケースに3種類のカップと止血バンドが入ったモデル。取り出しやすくはありませんが、ケースのポケットに絆創膏なども入れておけそうです。
こちらの吸引器具も独特。ループ型のホルダーを持って内側のレバーを何度か引き上げることで過度な握力を必要とすることなく吸引されます。
吸引器具を外してもカップ内が真空状態に保たれるため、最大3箇所を続けて吸引することも可能です。ただし吸引力自体は、あまり強くはありませんでした。
Safety Life ポイズンリムーバー | |
取り出しやすさ | ★★☆☆☆ |
組み立てやすさ | ★★★★☆ |
逆利き手での操作性 | ★★★☆☆ |
吸引力 | ★★★☆☆ |
Safety Life(セーフティライフ) ポイズンリムーバー
複数の患部を連続して吸引可能
ケースを含む重量 | 74g |
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本体重量:カップ装着時(複数ある場合は最大サイズのカップ) | 29g |
吸引方法 | レバーを数回引くタイプ |
9. Dr. Hessel’s(ドクターヘッセル) インセクトポイズンリムーバー
ここからはケースなしの小型・軽量で安価なモデル。収納場所にもよりますが持ち運びや取り出しやすさには分があります。カップは1個のみですが、裏返すことで大きな患部・小さな患部と使い分けることが可能です。
吸引時のレバーを引く動作も軽く、強い握力は不要。ただし吸引されたら、そのままレバーを引き続けていないと戻ってしまいます。吸引力も、ここまでの大型モデルと比べると弱い印象。
またカップを裏返して吸引器具に取り付ける際にカップの口径が小さいため、2枚目の写真の通りかなり苦労しました。
ドクターヘッセル インセクトポイズンリムーバー | |
取り出しやすさ | ★★★★★ |
組み立てやすさ | ★★☆☆☆ |
逆利き手での操作性 | ★★★★☆ |
吸引力 | ★★☆☆☆ |
Dr. Hessel's(ドクターヘッセル) インセクトポイズンリムーバー
シンプルかつ無駄のないアイテム
ケースを含む重量 | ケースなし |
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本体重量:カップ装着時(複数ある場合は最大サイズのカップ) | 12g |
吸引方法 | レバーを引くタイプ |
10. TIGER(タイガー) NEWポイズンリムーバー
こちらは同じ大きさのカップが2個付属しているモデル。裏返すことで吸引部の大きさを変えることが可能です。カップを裏返して吸引器具に装着する際の感触は、9の「ドクターヘッセル インセクトポイズンリムーバー」よりかなりスムーズでした。
このモデルもレバーを引く動作が軽く、吸引時の操作性は良好。ただし吸引されたら、そのままレバーを引き続けていないと戻ってしまいます。吸引力も、9の「ドクターヘッセル インセクトポイズンリムーバー」より若干弱めに感じました。
TIGER NEWポイズンリムーバー | |
取り出しやすさ | ★★★★★ |
組み立てやすさ | ★★★★☆ |
逆利き手での操作性 | ★★★★☆ |
吸引力 | ★☆☆☆☆ |
TIGER(タイガー) NEWポイズンリムーバー
吸引カップの裏返し装着がスムーズ
ケースを含む重量 | ケースなし |
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本体重量:カップ装着時(複数ある場合は最大サイズのカップ) | 14g |
吸引方法 | レバーを引くタイプ |
11. TIGER(タイガー) SUCTION-X
こちらも同じ大きさのカップが2個付属しているモデルで、裏返すことで吸引部の大きさを変えることが可能。カップを裏返して吸引器具に装着する作業もスムーズでした。
このモデルの特徴はレバーを引き上げた後に、回すことでロックできる機構を備えていること。レバーをおさえ続ける必要がない上、吸引力も小型・軽量モデルの中では強めなのは3枚目の写真の通りです。
TIGER SUCTION-X | |
取り出しやすさ | ★★★★★ |
組み立てやすさ | ★★★★☆ |
逆利き手での操作性 | ★★★★★ |
吸引力 | ★★★☆☆ |
TIGER(タイガー) SUCTION-X
引き上げたレバーをロック可能
ケースを含む重量 | ケースなし |
---|---|
本体重量:カップ装着時(複数ある場合は最大サイズのカップ) | 13g |
吸引方法 | レバーを引くタイプ |
12. アメージングクラフト ポイズンリムーバー
最後のモデルも同じ大きさのカップが2個付属。ケースはありませんが、外装袋がジップ式になっているので、そのままケースとして使用しても良いでしょう。
こちらはロック機構がないため、9の「ドクターヘッセル インセクトポイズンリムーバー」・10の「TIGER NEWポイズンリムーバー」同様にレバーを引き続けていないと戻ってしまいます。また吸引器具の蓋が外れやすく、吸引時には親指でおさえていた方が良さそうです。
アメージングクラフト ポイズンリムーバー | |
取り出しやすさ | ★★★★★ |
組み立てやすさ | ★★★★☆ |
逆利き手での操作性 | ★★★★☆ |
吸引力 | ★★☆☆☆ |
アメージングクラフト ポイズンリムーバー
ジップ付きの外装袋がそのままケースに
ケースを含む重量 | ケースなし |
---|---|
本体重量:カップ装着時(複数ある場合は最大サイズのカップ) | 15g |
吸引方法 | レバーを引くタイプ |
総評
今回は12モデルをレビューしましたが、吸引力は総じてピストンを押し下げるタイプが強め。ただしモデルによっては大ぶりで押し下げるために握力が必要なモデルもあり、手の小さな人や握力の弱い人には扱いにくい場合もあります。
レバーを引き上げるタイプは、総じて小型・軽量・安価で持ち運びや取り出しやすさには優れています。吸引時に過度な握力も必要ありませんが、カップが不透明のため吸引されているかを目視できない上、吸引力は全体的に弱めでした。
全12モデルの各チェックポイントのレビューを、一覧表にしてみました。重視したいポイントなど、ポイズンリムーバー選びの参考にしてみてください。
使い回しはNG!ひとりひとつのポイズンリムーバーを
体液・血液を吸引するポイズンリムーバー、様々な感染症防止の観点から他人との使い回しはNGです。害虫の活動が活発化している季節や害虫の多い低山に行く際のエマージェンシーキットには、ひとりひとりがポイズンリムーバーを入れておきたいものです。
また使用後は薬用石鹸で洗浄したり煮沸消毒するなど、それぞれの取扱説明書にしたがってきれいな状態に戻しましょう。吸引器具は故障防止の観点から洗浄できず使い捨てとなるアイテムも多いので、あわせて確認してください。
ポイズンリムーバーでは太刀打ちできないケースも……!
場合によっては、ポイズンリムーバー以外の対処法が適しているケースもあります。
毒蛇には逆効果
ポイズンリムーバーの使用は意味がないとされる代表例が、毒蛇に咬まれた場合です。毒は血液とともに身体を循環しているため、すぐにでも病院で毒による影響を除去する「抗毒血清」を注射するのがベスト。ポイズンリムーバーで吸い出すことは局所の組織壊死をむしろ増悪させる可能性があります。
恐ろしい蜂毒のアナフィラキシーショック
腫れ・痒み・痛みなどの症状は、害虫により体内に注入された物質が引き起こすアレルギー反応。そして短時間のうちに、全身症状を伴って生じるアレルギー反応がアナフィラキシーです。蜂アレルギーがある人は、蜂刺されによって発症するリスクがあります。
ポイズンリムーバーの使用では対処できず、呼吸困難や急激な血圧の低下などのショック状態(アナフィラキシーショック)に陥り、最悪の場合心肺停止に至ることも。アナフィラキシーショックについての稲田先生のアドバイスは以下の通りです。

また、その場で症状がおさまっても再びぶり返すことがあるので、エピペンを注射したあとは必ず速やかに病院を受診しましょう。
そもそも害虫の被害に遭わないために
ここまで様々なポイズンリムーバーを紹介してきましたが、使用しないに越したことはありません。まずは長袖・長ズボンの着用など、なるべく肌を露出しないことが重要です。
また稲田先生によると、害虫ごとに対策が異なるそうです。

ディートは小児に対し使用制限があるので、小児の場合はイカリジンのスプレーが推奨されます。

冒頭でも述べた通り、医学的には効能が実証されていないポイズンリムーバー。けれどもせっかく持っていくなら、自分にとって扱いやすく効果的に吸引できるモデルを選びたいもの。
そして何よりも、もし害虫に刺されたり咬まれたりした時に速やかに対処できるよう、日頃から自分の持っているポイズンリムーバーの使用法に慣れておくことが重要と言えるでしょう。