白い花が鈴なりに咲く「ヤマボウシ」
初夏の山に咲く「ヤマボウシ」。空に向かって咲くことから、山頂から見るとまるで雪を被っているようにも見え、多くの登山者に人気のある花のひとつ。山中だけではなく里山などにも生育しており、街路樹としても植えられることもあることから、身近な木としても親しまれています。
ヤマボウシはミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属の落葉高木。東北地方南部から九州屋久島まで、野山では割とよく見かけることができます。そんな身近な木のヤマボウシには、どんな特徴があるのでしょうか?
実は花びらじゃない?ヤマボウシの特徴は
ヤマボウシといえば印象的なのが大きな白い花びら。しかし、本来の花は中心部の淡黄緑色の球状の部分なのです。
白い部分は「総苞片(そうほうへん)」と呼ばれる葉が変形したもの。たまに白い部分に緑が混ざっているものがあるのはそのせいです。
白い部分は「総苞片(そうほうへん)」と呼ばれる葉が変形したもの。たまに白い部分に緑が混ざっているものがあるのはそのせいです。
総苞片が赤い品種の「ベニバナヤマボウシ」もあり、白い花よりも少しあとに咲きます。白に比べると稀なため、見つけると良い事があるかもしれませんね。
花も実も紅葉も!見どころいっぱい

白く大きな花、青々とした葉、その後の赤い実、紅葉と見どころが多いことが特徴で、木としてはそれほど大きくならない事から、庭木や街路樹など、シンボルツリーとしても人気です。

中心の淡黄緑色の球状の部分は、9月から10月に赤い果実になります。果肉は食べることができ、マンゴーのような甘さ。ドライフルーツから、ジャム、果実酒など様々な使い方ができます。また、疲労回復に効く、ビタミンやアントシアニンなども含まれており栄養豊富です。
「ヤマボウシ」名前の由来は「山法師」
ヤマボウシという名は、中心部の淡黄緑色の花を僧侶の頭、白い総苞片を頭巾に見立てた姿が、比叡山延暦寺の僧兵「山法師」のように見えることが由来です。
ちなみに、中国名は「四照花」。白い総苞片が4隅を照らしている様子を表しているそう。いずれも、印象的な花の形が名前の元になっているようですね。
ハナミズキによく似ている!だけど要注意

近縁種に、シンボルツリーとして人気の「ハナミズキ」があります。よく似ていますが総苞片の先が上の画像のように違います。また、ヤマボウシは葉が出て花が咲きますが、ハナミズキは先に花が咲き葉が出ます。
花はよく似ていますが、実はちょっと違います。しかも、毒があるので注意。誤食しないように公園や街路樹はヤマボウシに置き換えられる所もあるほどです。
ヤマボウシを見に行こう!
ヤマボウシは東北から九州まで日本各地で見ることができますが、その中でも特に有名な名所を紹介します。