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黄色く可愛らしいイワベンケイ。なんと由来はあの「武蔵坊弁慶」

高さは5~35cmほどで、一つの株から多数の茎を広げて自生します。

弁慶といえば、矢を受けながらも倒れず「立ち往生」した伝説が有名ですが、イワベンケイもその丈夫さから「弁慶」になぞらえて名付けられたと言われています。
その名にふさわしく、高山の岩場や砂礫地でも育つことができ、さらには切っても枯れない丈夫さを兼ね備えています。他には植物がないエリアでも生えているため、登山中でも目に止まりやすい存在です。
高山に耐え抜く秘密は「葉」にあり
なぜイワベンケイは高山の厳しい環境でも育つことができるのか?その秘密はイワベンケイが「多肉植物」であることにあります。

イワベンケイは黄緑色のぷっくりとした葉を持っており、その中にたっぷりと水分を蓄えています。そのおかげで水が少なく、乾燥した環境でも育つことができるんです。
力強いだけじゃない!かわいらしい花を咲かせるイワベンケイ


「弁慶」の名前からはイメージがつかないほど可愛らしく、明るい黄色で高山を彩ってくれます。
秋には、鮮やかな紅色に様変わり。

一つの花に対してたくさんの実をつけるため、遠目から見るとまるで花のようにも見えます。
「緑」→「黄色」→「紅色」と季節によって異なる姿を見せてくれるのもイワベンケイの魅力の一つです。
「ホソバイワベンケイ」と見極めよう!
よく似た植物としてあげられるのが「ホソバイワベンケイ(細葉イワベンケイ)」。イワベンケイと同じく、高山で見られる植物ですが、その違いは「葉の形」です。

イワベンケイの葉は丸い形をしている一方、ホソバイワベンケイは細長く、ギザギザしているのが特徴です。似てはいますが葉の形は大きく異なるため、山の上で見つけたらその違いをぜひ見極めてみてください。
植物界では4%しかいない雌雄異株(しゆういしゅ)
イワベンケイは、一株の花が「すべて雄花」か「すべて雌花」の種子植物を指す「雌雄異株(しゆういしゅ)」と呼ばれる種類で、実は種子植物界では珍しい存在。
一つの株にメシベとオシベの両方を持つ「雌雄同花(しゆうどうか)」の種子植物が80%と大部分を占めている中で、イワベンケイを含む「雌雄異株」はわずか4%しか存在していません。(※)
イワベンケイを見つけたら、雄株なのか雌株なのか、その違いを見比べるのも面白いかもしれませんね。
イワベンケイを見つけるならここ!
イワベンケイの生息域は高山に限られるものの、比較的アクセスしやすい山々で見つけることが可能です。その中でも多く見られる場所をご紹介します。仙丈ヶ岳

見頃:7月
主なコース:大滝ノ頭〜小仙丈ケ岳〜仙丈ケ岳〜馬ノ背
木曽駒ヶ岳

見頃:7〜8月
主なコース:千畳敷駅〜木曽駒ヶ岳
北岳

見頃:7〜8月
主なコース:広河原〜白根御池小屋〜北岳
植物界のベンケイを探しに行こう!

イワベンケイの性質を抑えた上で、ぜひ意識して見つけてみてください。