黄色く可愛らしいイワベンケイ。なんと由来はあの「武蔵坊弁慶」
北海道や本州の一部高山帯に自生し、毎年7〜8月頃に花を咲かせる「イワベンケイ」。世界に1300種生息すると言われるベンケイソウ科のイワベンケイ属に分類される高山植物です。
高さは5~35cmほどで、一つの株から多数の茎を広げて自生します。
そんなイワベンケイの一番の特徴は、過酷な環境でも生き抜く「タフさ」。
弁慶といえば、矢を受けながらも倒れず「立ち往生」した伝説が有名ですが、イワベンケイもその丈夫さから「弁慶」になぞらえて名付けられたと言われています。
その名にふさわしく、高山の岩場や砂礫地でも育つことができ、さらには切っても枯れない丈夫さを兼ね備えています。他には植物がないエリアでも生えているため、登山中でも目に止まりやすい存在です。
高山に耐え抜く秘密は「葉」にあり
なぜイワベンケイは高山の厳しい環境でも育つことができるのか?
その秘密はイワベンケイが「多肉植物」であることにあります。
「多肉植物」とは、サボテンやアロエからイメージするような、葉や根に水分を蓄える性質を持った植物のこと。
イワベンケイは黄緑色のぷっくりとした葉を持っており、その中にたっぷりと水分を蓄えています。そのおかげで水が少なく、乾燥した環境でも育つことができるんです。
力強いだけじゃない!かわいらしい花を咲かせるイワベンケイ
イワベンケイは開花時期は7~8月。複数の小花が密集して、一つの黄色い花を咲かせます。
一つの株からたくさんの茎に花がつくため、ひとつの花束のように見えることも。
「弁慶」の名前からはイメージがつかないほど可愛らしく、明るい黄色で高山を彩ってくれます。
秋には、鮮やかな紅色に様変わり。
紅色の部分は花にも見えますが、花ではなく「実」。
一つの花に対してたくさんの実をつけるため、遠目から見るとまるで花のようにも見えます。
「緑」→「黄色」→「紅色」と季節によって異なる姿を見せてくれるのもイワベンケイの魅力の一つです。