初夏を告げる花「ハクサンイチゲ」
雪解けが進む6月から8月まで、白く綺麗な花を咲かせるハクサンイチゲ。
花言葉は「清潔」、「幸せを招く花」。花言葉の通り、群生を見かけると幸せな気分になる可憐な花です。
花びらが無い花!?
ハクサンイチゲは「花びらが無い」という非常に珍しい特徴が。花びらに見える白い部分は、植物の世界では萼片(がくへん)と呼ばれています。花の真ん中をよく見ると、みどり色の雌しべの周りに黄色い雄しべが点在しており、その周りを白い萼片が囲っているという構造になっています。
山ではたくさんの植物がありますがそれぞれ個性があり、その違いを知るのも山の楽しみ方の1つですよね。
「白山一花(ハクサンイチゲ)」名前の由来とは
ハクサンイチゲ以外にも「ハクサン」と名の付く花はたくさんあります。それらは全て石川県の白山で最初に見つけられたという理由で「ハクサン○○」と名付けられました。白山以外でも見られる植物なのになぜ白山で最初に発見されたのでしょうか。
白山には当時、登山の案内人がいたから
今では山も整備され地図アプリの普及などにより気軽に行ける山も増えましたが、植物研究者が調査を始めた当時は入山が難しい山も多くありました。
昔から宗教登山として登られてきた登山道があり、案内人もいて比較的入山しやすい環境にあった白山。そのため植物研究者たちは白山で植物の調査を開始しました。そこで発見したものは「ハクサン○○」と名付けられ、その後もその名称が浸透しています。
1つの株に花がたくさん咲くのに「一花(イチゲ)」
イチゲとは、一株に一つの花をつける花のこと。一つの株に複数の花をつけるハクサンイチゲにこの「一花(イチゲ)」という名前を付けるのはなんだか可笑しい気がしますが、イチリンソウ属は一花(イチゲ)と名付けられることが多い種類。
ハクサンイチゲはイチリンソウ属に分類されるため、「一花(イチゲ)」という名前がつけられました。
パッと見では似ているチングルマ
同じ時期に開花する「ハクサンイチゲ」と「チングルマ」。白と黄色の配色とフォルムが似ているため、遠目だと同じ花に見えてしまい区別がつかないという方も多いのではないでしょうか?2つの植物の見分け方について説明していきます。
よく似ていますよね。筆者も遠くから見るとどちらか分からない、なんてことも良くあります。
近くで見比べてみると、ハクサンイチゲの花びら(正式には萼片ですが、ここでは分かりやすいように花びらと表記します。)は尖っていて、チングルマの花びらは丸い。
ハクサンイチゲは湿った湿原に咲いていますが、チングルマは岩場や砂場にも生息しているなど、生息地域も少し異なります
ハクサンイチゲの名所
特に景色が素晴らしいハクサンイチゲの名所を3か所を紹介します。