当たり年はいつ?!初夏の山を彩る白と緑のコントラスト「コバイケイソウ」の群生風景を見てみたい!

2022/01/17 更新

地面を這うように咲く花が多い高山植物の中で、コバイケイソウは珍しく背丈が高い花。一目でそれと分かる、見つけやすい植物です。しかしコバイケイソウの花は当たり年と外れ年があり、毎年咲くとは限りません……。当たり年に出会いたい!そんなコバイケイソウの魅力に迫ります。

制作者

ライター

KaoA

神奈川県在住。登山歴は十数年。 夏は登って冬は滑って…まだまだ山の楽しみは尽きません。 忙しくても山には行きたい!日帰りでも充実の山遊びを日々計画しています。 好きなエリアは八ヶ岳。トレーニングは丹沢大倉尾根。冬は白馬や群馬に遠征します。

KaoAのプロフィール

...続きを読む


アイキャッチ画像出典:PIXTA

数年に一度しか咲かないコバイケイソウ

コバイケイソウ 霧ヶ峰
出典:PIXTA
初夏の湿地に広がるコバイケイソウ。
本州中部以北から北海道まで広く分布し、山地から亜高山の草地や湿地などの湿気の多いところに生えるユリ科シュロソウ属の多年草です。
6月から7月に山を彩る代表的な高山植物のひとつですが、残念なことに花は毎年は咲きません。

コバイケイソウ
出典:PIXTA
時季になってもほとんど咲かない年があり、花の咲く風景は毎年見られるわけではありません。
花が多い年は「当たり年」と呼ばれ、その周期は予測不能の不定期。
咲く時季にならないとその年が当たり年かどうかも分からないという、なんともミステリアスな植物です。

白くて小さく可愛らしいコバイケイソウの花

コバイケイソウ 花
出典:PIXTA(コバイケイソウの花)
コバイケイソウは1メートル程の高さに成長する、高山の中では背が高い植物。
茎先から枝分かれした穂先に、8ミリ程の乳白色の花を円錐状に咲かせます。
群落を形成するため、当たり年は一体が白く染まり、穂先が風に揺れる様子は遠くから見るとトウモロコシ畑のようにも。
コバイケイソウ 群生
出典:PIXTA(コバイケイソウの群生風景)

鮮やかな緑が目を引くコバイケイソウの葉

コバイケイソウ 葉
出典:PIXTA(コバイケイソウの葉)
葉は幅の広い、先の尖った楕円形。茎を包むように交互に生える大きめの葉は力強く、花が咲いていなくてもコバイケイソウだとすぐに分かります。
コバイケイソウ 新芽
出典:PIXTA(コバイケイソウの新芽)
そして新芽は大きなフキノトウのように地面からニョキニョキと生え、こちらも特徴的で目を引く存在感。

ミステリアスなコバイケイソウの豆知識

コバイケイソウ
出典:PIXTA
名前が似ているバイケイソウとは違う花……?名前の由来は?コバイケイソウについてもう少し深掘りしてみましょう。

コバイケイソウ?バイケイソウとの違いは…?

バイケイソウ 戦場ヶ原
出典:PIXTA(バイケイソウ)
コバイケイソウによく似た名前の植物、バイケイソウ。それぞれ漢字で書くと、小梅蕙草と梅蕙草と書きます。
小さい梅蕙草と書く通り、バイケイソウよりも小さいので、コ(小)バイケイソウ。1メートル程のコバイケイソウと比べ、バイケイソウは高さは2メートル程に育つこともある、より大型の植物です。

コバイケイソウ バイケイソウ 花
出典:PIXTA(左/コバイケイソウの花,右/バイケイソウの花)
また、大きさだけではなく花にも違いがあります。
乳白色のコバイケイソウに対して、バイケイソウの花はやや緑がかった白。花の付き方を見ても、異なる種類ということが分かります。

バイケイソウ 丹沢
出典:PIXTA(丹沢のバイケイソウ)
他にも、生息地の標高も異なります。 バイケイソウはコバイケイソウよりも低い、標高700メートル程の場所にも生息しているので、丹沢や箱根でも見ることが出来ます。

漢字で書くと「小梅蕙草」。その名前の由来は?

コバイケイソウと梅
出典:左/PIXTA(コバイケイソウの花),右/PIXTA(梅の花)
字の通り、花が梅に、葉が蕙蘭(ケイラン)に似ていることからこの名前が付きました。
花びらの枚数は違いますが、形は確かに梅の花と似ています。

コバイケイソウと恵蘭
出典:左/PIXTA(コバイケイソウの葉),右/楽天 片岡笑幸園(蕙蘭の葉)
そして蕙蘭とは、台湾と中国が原産地の蘭。洋ラン、シンビジウムの仲間です。
様々な種類がある蘭の中で、蕙蘭は葉を楽しむ蘭のひとつ。「葉芸」と呼ばれる、葉に出る柄が観賞の対象になる品種です。
コバイケイソウの葉の、光沢のあるツルっとした表面や濃い緑色、はっきりと出る葉脈が蘭の葉と似ていますね。

実は毒を持っている危険な植物

出典:PIXTA
白く小さく可愛らしい花を持つコバイケイソウですが、可憐な見た目とは裏腹に全草に毒成分を有する危険植物。
特に根や茎は強毒で、食用の山菜と間違える誤食事故も発生し、最悪は死に至ることも。
登山中に山草を食べることはあまり無いので心配する必要はないかもしれませんが、”毒を持っている草”ということは頭に入れておきましょう。

控えめな花言葉「遠くから見守っています」

コバイケイソウ 遠景
出典:PIXTA
なんとも奥ゆかしい花言葉を持つコバイケイソウ。登山の安全を遠くから見守ってくれているようです。
毒を持っていますが、眺めるだけはもちろん無害。私たちも見守るように楽しみましょう。

名所はどこ?コバイケイソウを見に行こう!

花が見られない時もあるのは残念ですが、見つけやすい見た目に加えて生息地も行きやすい場所が多く、ハイキングコースからでも観賞できる高山植物。
安全にお花畑を堪能出来る、コバイケイソウの名所を紹介します。

北海道 サロベツ湿原

出典:PIXTA(サロベツ湿原)
北海道からはサロベツ湿原を紹介。整備された木道から、四季折々の景色や野鳥の姿を楽しめます。
サロベツ湿原
出典:PIXTA(サロベツ湿原)
サロベツを代表するエゾカンゾウとの共演も見事。遠くに利尻富士を望む雄大な光景は、一度は見てみたい絶景です。
見ごろ:6月~7月
直近の当たり年:2019年

尾瀬

コバイケイソウ 尾瀬沼
出典:PIXTA(尾瀬沼)
水芭蕉のイメージが強い尾瀬も、コバイケイソウの群生地です。
湿原の散策シーズンは雪解け後の5月下旬から。尾瀬も植物の種類が豊富なので、水芭蕉、ニッコウキスゲ、レンゲツツジなどが春から夏の湿原を彩ります。
見ごろ:6月~7月
直近の当たり年:2021年

北アルプス 白馬栂池自然園

コバイケイソウ 栂池
出典:PIXTA(栂池自然園)
白馬三山を望む高山植物の宝庫、栂池自然園でもコバイケイソウが楽しめます。残雪の山、初夏の新緑に白い花がとても映えますね。

栂池自然園のグリーンシーズンは6月頃から10月頃までですが、高山の夏は短く8月はもう秋の始まり。高山植物を堪能するには7月頃がベストです。
見ごろ:7月
直近の当たり年:2021年

霧ヶ峰高原

コバイケイソウ 霧ヶ峰
出典:PIXTA(霧ヶ峰)
霧ヶ峰や車山を抜けるビーナスラインは、自分の運転で非日常的な景色を楽しめる絶景ドライブスポットです。
車を降り、一歩足を踏み入れると広がるいくつもの湿原は亜高山植物の宝庫。
霧ヶ峰~車山周辺は散策コースも多く、ドライブ途中でも気軽に高山を感じられます。
白いコバイケイソウとオレンジのレンゲツツジが緑に映えて美しい!
見ごろ:6月~7月
直近の当たり年:2021年

中央アルプス 千畳敷カール

コバイケイソウ 千畳敷
出典:PIXTA(千畳敷カール)
秋の紅葉を代表に、四季折々どの季節も感動の景色が見られる千畳敷。
初夏にカールを埋め尽くすコバイケイソウも、一見の価値ありです。
ロープウェイを降りたらすぐに絶景が待っています!
見ごろ:7月
直近の当たり年:2021年

コバイケイソウの当たり年に期待!

コバイケイソウ 雲ノ平
出典:PIXTA
辺り一面に咲くコバイケイソウが見たい!しかしこの景色は毎年見られるわけではありません。
当たり年は不定期。2021年は関東甲信越の広い範囲で盛大に咲いた場所も多くあり、次がいつなのか…気になるところです。
せっかくなら一面に花が咲く光景を見たいですが、コバイケイソウは葉も特徴的。
ニョキニョキと生える新芽や濃い緑の葉が地面に生い茂る光景は、花が無くても楽しめるでしょう。
コバイケイソウ 葉
出典:PIXTA
今回紹介した生息地はアクセスも良く、ハードな行程を踏まなくても観光気分で行ける場所ばかり。
来春の登山シーズンに向け、「コバイケイソウを見に行く旅」を計画してみてはいかがでしょうか。


関連する記事

関連する山行記録 byヤマレコ

この記事が気に入ったら
「いいね!」をしよう
登山専用コミュニティサイト「ヤマレコ」