夏の高原を彩る”黄色いじゅうたん”は圧巻の景色!見る人に安らぎを与えてくれる「ニッコウキスゲ」

2022/01/17 更新

夏の高山植物の代表「ニッコウキスゲ」。青い夏空の下、黄色い花が一面を埋め尽くすその光景は壮観で、多くの登山者や観光客を魅了します。そんなニッコウキスゲの特徴や名所、近似種との違いや見分け方をまとめました。

制作者

ライター

黒田猫太郎

近所の山から遠くの山まで、春夏秋冬、毎週のように山で遊んでいたら、いつの間にか25年、山歴だけは長くなってしまいました。山遊び経験を活かした様々なウェアやギアのレビュー、身近な山や自然の魅力を発信していきます。特に「くじゅう連山」や「脊振山地」あたりに出没中。

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アイキャッチ画像出典:PIXTA

咲くのは1日だけ!高原の「夏美人」、ニッコウキスゲ

ニッコウキスゲ(八島ヶ原湿原にて) 出典:PIXTA
毎年5月上旬~8月上旬頃、高山や高原を中心に咲く「ニッコウキスゲ」。夏空のもと、50cm〜80cmの花茎(花を付ける茎)に、直径7センチ程度の黄色の花を付け群生する姿はとても華やか。
「夏美人」と称される花言葉がよく似合います。
ニッコウキスゲ 車山高原
出典:PIXTA
とても鮮やかで多くの人に愛されるニッコウキスゲは、朝咲いて夕方にしぼむ1日花。同じ株で長く咲いているように見えるのは、ひとつの株に数個のつぼみが付き1日ずつ咲くためです。
ちなみに、学名は「Hemerocallis(ヘメロカリス)」、「hemera(一日)」+「callos(美)」。
つまり、「一日だけの美」ということですね。

ニッコウキスゲの和名は「ゼンテイカ」

ゼンテイカ
出典:PIXTA
ニッコウキスゲは呼び名で、日光で多く自生していることから、そう呼ばれ始めました。
ニッコウキスゲの本来の和名は「ゼンテイカ」。ニッコウキスゲが多く自生する栃木県日光の戦場ケ原を日光の中禅寺の庭に見立て「ゼンテイカ(禅庭花)」と命名された事が由来です。
今では「ゼンテイカ」よりも「ニッコウキスゲ」のほうが、登山者を中心に一般的になっていますね。

日光だけではないニッコウキスゲ

三陸海岸のニッコウキスゲ
出典:PIXTA(三陸海岸のニッコウキスゲ)
”ニッコウ”と名前に入っていますが、栃木県日光地方の固有種ではなく、日本各地に自生しています。分布は北海道から本州(中部地方以北)。
高原や高地で咲くイメージがありますが、奥多摩、埼玉、茨城県の低地でも自生しており、東北地方や北海道では海岸近くでも見ることができます。

ニッコウキスゲは食べられる!?

ニッコウキスゲ 食用
出典:PIXTA(調理前のつぼみ)
新芽はてんぷらや和え物に、花やつぼみは酢の物や炒め物にして食べることができます。ただし、自生している場所は採取禁止エリアが多いので、勝手に採取しないようにしてください。
ちなみに、”おいしい”と感じるのは鹿も同じ。各地で鹿の食害が発生し、激減しているエリアもあり問題になっています。

また、似ている花には毒があるものもあり、誤食や過剰摂取で中毒者も出ています。食用として提供されているもののみを食べるように注意しましょう。

【毒があるキツネノカミソリ】
キツネノカミソリ
出典:PIXTA

ニッコウキスゲを見に行こう!

ニッコウキスゲを見られる場所は日本各地にあります。その中から、いくつかを紹介します。

北海道では「エゾカンゾウ」|【北海道】サロベツ湿原

エゾカンゾウと利尻富士
出典:PIXTA(エゾカンゾウと利尻富士)

見ごろ:5月~7月

北海道ではニッコウキスゲはエゾカンゾウとして親しまれています。北海道の中でもエゾカンゾウの名所として知られるのがサロベツ湿原。日本三大湿原の一つで、大きさはJR山手線内側が入るほど。
見渡せないほどの広大な湿原に無数に咲き乱れるエゾカンソウ、天気が良ければ「利尻富士」がそびえる利尻島をバックにした絶景を楽しめます。

サロベツ湿原センター

日本一の密度で咲き誇る!|【福島県】雄国沼湿原

 ニッコウキスゲの雄国沼 福島・裏磐梯
出典:PIXTA( ニッコウキスゲの雄国沼 福島・裏磐梯)

見ごろ:6月下旬から7月初旬

標高1,000mの位置にある裏磐梯の雄国沼(おぐにぬま)湿原は、なんと「ニッコウキスゲの面積当たりの生息株数 日本一」を誇ります。
湿原に高い密度で咲き誇る姿は圧巻、日本全国から観光客やハイカーが訪れる絶景スポットです。

裏磐梯観光協会|雄国沼湿原

本場!日光のニッコウキスゲ|【栃木県】霧降高原キスゲ平

霧降高原キスゲ平
出典:PIXTA(霧降高原キスゲ平)

見ごろ:6月中旬から7月

ニッコウキスゲの呼び名の由来になった日光。日光の中でもニッコウキスゲの観賞スポットとして、特に有名なのが「霧降高原キスゲ平」。標高1,300m~1,600mにかけて広がる高原の霧降高原のキスゲ平園地があり、たくさんのニッコウキスゲが群生することで有名です。

1,445段の階段が整備された「天空回廊」はニッコウキスゲが咲く斜面の散策を楽しむことができます。

日光市霧降高原 キスゲ平園地

まるで絵画のような美しさ|【群馬県・福島県】尾瀬・大江湿原

大江湿原のニッコウキスゲ
出典:PIXTA(大江湿原のニッコウキスゲ)

見ごろ:7月中旬から7月末

日本一有名な湿原といっても過言ではない「尾瀬」。この尾瀬の夏の主役は「ニッコウキスゲ」です。
唱歌「夏の想い出」がヒットするまでは、尾瀬の花といえばミズバショウではなくニッコウキスゲだったそう。尾瀬ヶ原も有名ですが、大江湿原のニッコウキスゲは植生密度が高くオススメ。尾瀬沼とカラマツを背景にビッシリと咲き誇る風景は、まるで絵画のようだと人気です。
見ごろは2週間程度と短いのでご注意。


天空の湖畔を黄色に染めあげる|【群馬県】野反湖

野反湖のニッコウキスゲ
出典:PIXTA(野反湖のニッコウキスゲ)

見ごろ:7月上旬~7月中旬

標高1,500m「天空の湖」とも称される野反湖。野反湖ではニッコウキスゲは「ノゾリキスゲ」と呼ばれます。そのノゾリキスゲは、見ごろを迎えると湖畔を黄色に埋め尽くすことで有名。付近は散策路やキャンプ場もあり、1日中ノゾリキスゲを楽しむことができます。

六合の里温泉郷組合|野反湖

さわやかな高原のニッコウキスゲ|【長野県】霧ヶ峰・車山高原

車山高原のニッコウキスゲ
出典:PIXTA(車山高原のニッコウキスゲ)

見ごろ:7月上旬から8月上旬

どこまでもなだらかな丘が続く「霧ヶ峰・車山高原」。7月中旬をピークとしてニッコウキスゲが咲き乱れます。特に「車山」の斜面に咲くニッコウキスゲは圧巻!
ニッコウキスゲをはじめとして夏の花が咲く「八島湿原」と一緒にめぐるトレッキングコースが人気です。


様々な変異種や近似種が日本各地に

ニッコウキスゲによく似た花を近所などで見た人も多いのでは?実は日本各地に近似種や変異種が自生しています。
例えば、以下のような花があります。

危険有毒!|ヒメカンゾウ

ヒメカンゾウ
出典:PIXTA(ヒメカンゾウ)
高さはニッコウキスゲより低く花茎は25cm-40cmぐらいで、5月頃に咲きます。近畿北部~北海道に分布します。なお、有毒なので食べることはできません。

東京の希少種|ムサシノキスゲ

ムサシノキスゲ
出典:PIXTA(ムサシノキスゲ)
東京都府中市の浅間山(せんげんやま 標高79.6m)だけに自生する希少種。5月初旬から中旬にかけ開花し、翌日まで咲くのが特徴です。

北海道の固有種|エゾキスゲ

エゾキスゲ
出典:PIXTA(エゾキスゲ)
花はレモンイエローで5月から7月頃咲きます。日本では北海道のみに自生し、夕方に咲き朝方しぼむのが特徴。

飛島と佐渡島しか自生しない|トビシマカンゾウ

トビシマカンゾウと大野亀
出典:PIXTA(トビシマカンゾウ)
山形県の飛島で発見されたことが由来。花期は5~6月頃、花茎は1m以上でニッコウキスゲより大型です。新潟県佐渡島の大野亀の大群落は有名で、飛島と佐渡島のみに自生しています。

夕方から咲く|ユウスゲ

ユウスゲ
出典:PIXTA(ユウスゲ)
花期は7月から9月で、花茎は1m-1.5mと大型です。九州から本州に分布し、夕方から咲き朝方にしぼみます。

どれもよく似ていてパッと見では区別がつきません。場所や花期、大きさなどで区別しましょう。

日々新たに咲くニッコウキスゲ

夏美人
出典:PIXTA
ニッコウキスゲの花言葉は「日々を新たに」「晴れた日の喜び」「心安らぐ人」。晴れた日に、日々新たに花を咲かせ、たくさんの人々の心に安らぎを与えてくれています。そして、もう一つの花言葉が「夏美人」。
夏になったら、ぜひ、高原の”美人”に会いに行ってみましょう。


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