夏の高原を彩る”黄色いじゅうたん”は圧巻の景色!見る人に安らぎを与えてくれる「ニッコウキスゲ」

夏の高山植物の代表「ニッコウキスゲ」。青い夏空の下、黄色い花が一面を埋め尽くすその光景は壮観で、多くの登山者や観光客を魅了します。そんなニッコウキスゲの特徴や名所、近似種との違いや見分け方をまとめました。

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咲くのは1日だけ!高原の「夏美人」、ニッコウキスゲ

ニッコウキスゲ(八島ヶ原湿原にて)
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毎年5月上旬~8月上旬頃、高山や高原を中心に咲く「ニッコウキスゲ」。夏空のもと、50cm〜80cmの花茎(花を付ける茎)に、直径7センチ程度の黄色の花を付け群生する姿はとても華やか。
「夏美人」と称される花言葉がよく似合います。
ニッコウキスゲ 車山高原

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とても鮮やかで多くの人に愛されるニッコウキスゲは、朝咲いて夕方にしぼむ1日花。同じ株で長く咲いているように見えるのは、ひとつの株に数個のつぼみが付き1日ずつ咲くためです。
ちなみに、学名は「Hemerocallis(ヘメロカリス)」、「hemera(一日)」+「callos(美)」。
つまり、「一日だけの美」ということですね。

ニッコウキスゲの和名は「ゼンテイカ」

ゼンテイカ

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ニッコウキスゲは呼び名で、日光で多く自生していることから、そう呼ばれ始めました。
ニッコウキスゲの本来の和名は「ゼンテイカ」。ニッコウキスゲが多く自生する栃木県日光の戦場ケ原を日光の中禅寺の庭に見立て「ゼンテイカ(禅庭花)」と命名された事が由来です。
今では「ゼンテイカ」よりも「ニッコウキスゲ」のほうが、登山者を中心に一般的になっていますね。

日光だけではないニッコウキスゲ

三陸海岸のニッコウキスゲ

出典:PIXTA(三陸海岸のニッコウキスゲ)

”ニッコウ”と名前に入っていますが、栃木県日光地方の固有種ではなく、日本各地に自生しています。分布は北海道から本州(中部地方以北)。
高原や高地で咲くイメージがありますが、奥多摩、埼玉、茨城県の低地でも自生しており、東北地方や北海道では海岸近くでも見ることができます。

ニッコウキスゲは食べられる!?

ニッコウキスゲ 食用

出典:PIXTA(調理前のつぼみ)

新芽はてんぷらや和え物に、花やつぼみは酢の物や炒め物にして食べることができます。ただし、自生している場所は採取禁止エリアが多いので、勝手に採取しないようにしてください。
ちなみに、”おいしい”と感じるのは鹿も同じ。各地で鹿の食害が発生し、激減しているエリアもあり問題になっています。

また、似ている花には毒があるものもあり、誤食や過剰摂取で中毒者も出ています。食用として提供されているもののみを食べるように注意しましょう。

【毒があるキツネノカミソリ】
キツネノカミソリ

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ニッコウキスゲを見に行こう!

ニッコウキスゲを見られる場所は日本各地にあります。その中から、いくつかを紹介します。

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