咲くのは1日だけ!高原の「夏美人」、ニッコウキスゲ
毎年5月上旬~8月上旬頃、高山や高原を中心に咲く「ニッコウキスゲ」。夏空のもと、50cm〜80cmの花茎(花を付ける茎)に、直径7センチ程度の黄色の花を付け群生する姿はとても華やか。「夏美人」と称される花言葉がよく似合います。

ちなみに、学名は「Hemerocallis(ヘメロカリス)」、「hemera(一日)」+「callos(美)」。
つまり、「一日だけの美」ということですね。
ニッコウキスゲの和名は「ゼンテイカ」

ニッコウキスゲの本来の和名は「ゼンテイカ」。ニッコウキスゲが多く自生する栃木県日光の戦場ケ原を日光の中禅寺の庭に見立て「ゼンテイカ(禅庭花)」と命名された事が由来です。
今では「ゼンテイカ」よりも「ニッコウキスゲ」のほうが、登山者を中心に一般的になっていますね。
日光だけではないニッコウキスゲ

高原や高地で咲くイメージがありますが、奥多摩、埼玉、茨城県の低地でも自生しており、東北地方や北海道では海岸近くでも見ることができます。
ニッコウキスゲは食べられる!?

ちなみに、”おいしい”と感じるのは鹿も同じ。各地で鹿の食害が発生し、激減しているエリアもあり問題になっています。
また、似ている花には毒があるものもあり、誤食や過剰摂取で中毒者も出ています。食用として提供されているもののみを食べるように注意しましょう。
【毒があるキツネノカミソリ】

ニッコウキスゲを見に行こう!
ニッコウキスゲを見られる場所は日本各地にあります。その中から、いくつかを紹介します。北海道では「エゾカンゾウ」|【北海道】サロベツ湿原

見ごろ:5月~7月
北海道ではニッコウキスゲはエゾカンゾウとして親しまれています。北海道の中でもエゾカンゾウの名所として知られるのがサロベツ湿原。日本三大湿原の一つで、大きさはJR山手線内側が入るほど。
見渡せないほどの広大な湿原に無数に咲き乱れるエゾカンソウ、天気が良ければ「利尻富士」がそびえる利尻島をバックにした絶景を楽しめます。
サロベツ湿原センター
日本一の密度で咲き誇る!|【福島県】雄国沼湿原

見ごろ:6月下旬から7月初旬
標高1,000mの位置にある裏磐梯の雄国沼(おぐにぬま)湿原は、なんと「ニッコウキスゲの面積当たりの生息株数 日本一」を誇ります。
湿原に高い密度で咲き誇る姿は圧巻、日本全国から観光客やハイカーが訪れる絶景スポットです。
裏磐梯観光協会|雄国沼湿原
本場!日光のニッコウキスゲ|【栃木県】霧降高原キスゲ平

見ごろ:6月中旬から7月
ニッコウキスゲの呼び名の由来になった日光。日光の中でもニッコウキスゲの観賞スポットとして、特に有名なのが「霧降高原キスゲ平」。標高1,300m~1,600mにかけて広がる高原の霧降高原のキスゲ平園地があり、たくさんのニッコウキスゲが群生することで有名です。
1,445段の階段が整備された「天空回廊」はニッコウキスゲが咲く斜面の散策を楽しむことができます。
日光市霧降高原 キスゲ平園地
まるで絵画のような美しさ|【群馬県・福島県】尾瀬・大江湿原

見ごろ:7月中旬から7月末
日本一有名な湿原といっても過言ではない「尾瀬」。この尾瀬の夏の主役は「ニッコウキスゲ」です。
唱歌「夏の想い出」がヒットするまでは、尾瀬の花といえばミズバショウではなくニッコウキスゲだったそう。尾瀬ヶ原も有名ですが、大江湿原のニッコウキスゲは植生密度が高くオススメ。尾瀬沼とカラマツを背景にビッシリと咲き誇る風景は、まるで絵画のようだと人気です。
見ごろは2週間程度と短いのでご注意。
天空の湖畔を黄色に染めあげる|【群馬県】野反湖

見ごろ:7月上旬~7月中旬
標高1,500m「天空の湖」とも称される野反湖。野反湖ではニッコウキスゲは「ノゾリキスゲ」と呼ばれます。そのノゾリキスゲは、見ごろを迎えると湖畔を黄色に埋め尽くすことで有名。付近は散策路やキャンプ場もあり、1日中ノゾリキスゲを楽しむことができます。
六合の里温泉郷組合|野反湖
さわやかな高原のニッコウキスゲ|【長野県】霧ヶ峰・車山高原

見ごろ:7月上旬から8月上旬
どこまでもなだらかな丘が続く「霧ヶ峰・車山高原」。7月中旬をピークとしてニッコウキスゲが咲き乱れます。特に「車山」の斜面に咲くニッコウキスゲは圧巻!
ニッコウキスゲをはじめとして夏の花が咲く「八島湿原」と一緒にめぐるトレッキングコースが人気です。
様々な変異種や近似種が日本各地に
ニッコウキスゲによく似た花を近所などで見た人も多いのでは?実は日本各地に近似種や変異種が自生しています。例えば、以下のような花があります。
危険有毒!|ヒメカンゾウ

東京の希少種|ムサシノキスゲ

北海道の固有種|エゾキスゲ

飛島と佐渡島しか自生しない|トビシマカンゾウ

夕方から咲く|ユウスゲ

どれもよく似ていてパッと見では区別がつきません。場所や花期、大きさなどで区別しましょう。
日々新たに咲くニッコウキスゲ

夏になったら、ぜひ、高原の”美人”に会いに行ってみましょう。