【登山中の傘使用】本当は危ないの?やっぱり便利なの?……というモヤモヤにお答えします

2021/09/13 更新

雨の日に傘をさす。街では当たり前ですが、登山ではOKなのでしょうか? レインウェアの着脱に比べると手軽だけど、傘使用を巡るトラブルも起こりそう……。そんな【登山での傘使用】の疑問を、登山道具メーカー<モンベル>に訊いてみました。あなたは使う?使わない?


アイキャッチ画像撮影:SHIN

レインウェアの着脱より傘がラクそうだけど……

トレッキングアンブレラ
撮影:akko_y
登山では急な天候の変化に備えて、レインウェアの携行は基本中の基本です。でもみなさん、こんなふうに感じたことはありませんか?
すぐに止みそうな雨だし、レインウェアを着るのが面倒。
雨の中で荷物を一旦おろしてレインウェアを着るのは大変。
レインウェアを着て行動すると、蒸れて不快……。

そんなとき、ついこう思ってしまう人もいるはず。
登山者
登山者
面倒くさいし、傘が使えればいいのになー

確かに「傘」が使えれば、上のようなレインウェアの着用で感じていた問題は解消されそうです。一方で登山ではあまり傘を使っている人を見かけることはありません。
片手がふさがって、何だか危なそう。
強風だと傘は役に立たなさそう。
傘をさしていると他人から注意されそう……。

傘が使えると便利そうだとは思いつつ、こんな懸念も浮かんできて、使用をためらっている人もいるのではないでしょうか?

傘を使うのはOK?NG?……モヤモヤするけどどっちなんだろう……。

そういえば、あのモンベルが傘を出していたのでは?!

トレッキングアンブレラ
提供:モンベル
そこでふと思い出したのが「モンベルから登山用の傘が販売されていたはず!」ということ。

日本の山岳用品において信頼のおけるメーカーに訊けば、登山における「傘」について、より明確かつ具体的な答えが得られるのでは……。

<モンベル>に登山での傘について訊いてみた

雨の多い日本では折り畳み傘も「登山用品」のひとつという考えのもと、<モンベル>では1987年に高強度で軽量な「トレッキングアンブレラ」を開発・発売し、現在まで30年以上改良を続けてきています。実は登山傘業界のパイオニア。

そこでモンベル広報部の安田翔平さんに登山用の傘が誕生した経緯や、登山者からの反応、メーカーとしての提案をうかがいました。

なぜ「登山用の傘」は誕生したの?

トレッキングアンブレラ
撮影・編集:akko_y

トレッキングアンブレラが発売された1987年当時は、山に傘を持って行くという発想はあまりなかったと思うのですが、どのようなきっかけで発売にいたったのでしょう?

雨の多い日本ではレインウエアの上下を着て、蒸し暑い中を歩くより、傘をさしたほうが快適になることもあります。そういった理由から「山歩きにも使えるものを」と開発に取り組み、誕生しました。
モンベル安田さん
モンベル安田さん

発売当時の反響はいかがでしたか?

当時は山に傘を持っていくことは一般的でなかったため、モンベルが傘を発売することに対して得意先からは驚かれ、「本当に売れるのか?」という声もありました

実際に店頭に並ぶと、軽くてコンパクトだとお客さまから好評で、山に持っていく傘として認識されるようになっていきました。
モンベル安田さん
モンベル安田さん


30余年販売をしているなかで、売れ方に変化などはありますか?

発売当時から好評いただき、ラインアップも増えました。最近では(日差し対策として)サンブロックアンブレラが好調ですね。
モンベル安田さん
モンベル安田さん

いちばん知りたい「登山で傘を使う」のは本当にOK?

山の雨
出典:PIXTA

「山で傘を使うのは危ない」という意見もありますが……

岩場や稜線、強風の中ではもちろん使えませんが、林道やなだらかで道幅のある登山道などでは傘をさすことで快適に歩けることもあります。

場所や状況にあわせて、使い分けることが大切だと考えます。
モンベル安田さん
モンベル安田さん

傘を使う際、安全面でのポイントはありますか?

傘をさしていると上方の視界が狭くなるので、頭上の木の枝などの障害物に気をつけてください。
モンベル安田さん
モンベル安田さん

歩く時以外で「傘があった方がいい」という、おすすめの使い方はありますか?

山小屋やテント場についた後、トイレなど少し外に出るときなど、レインウェアを着なおさなくてよいので便利ですよ。
モンベル安田さん
モンベル安田さん

傘のメリットとデメリットを考えてみた

ここでは安田さんに教えてもらったポイントを踏まえて、傘を使うことによるメリットとデメリットを整理してみました。
メリット・蒸れない
・涼しい
・顔まわりが濡れず、前を見やすい
・雨水が当たることによる冷えを防げる
・開閉だけで使用できる
・仲間と会話しやすい
・炎天下の日除け・熱中症対策
・下山後でも使える
デメリット・片手が使えず、突然のアクシデントに対応できない
・傘の向きにより、視界が遮られる
・風の影響を受けてバランスを崩しやすい
・強い雨の場合、下半身が濡れる
・強風時に壊れる可能性がある
・周囲の人の迷惑になる可能性がある
・荷物が増える
ほぼ互角のメリット&デメリット。シチュエーション別に「危険なシーン」「便利なシーン」を考えてみました。

【NGシーン】自分も他人も危険にさらされる!

1. 足元が不安定な場所

トレッキングアンブレラ
出典:PIXTA
岩場や鎖場のあるような場所や、ザレ場やガレ場など、バランスを崩しやすい場所などでは、傘をさしていることで手がふさがり、不測の事態に対応できない可能性があります。

2. 風が強い時

トレッキングアンブレラ
出典:PIXTA
傘をさしていて強風にあおられると、バランスを崩して転倒する可能性があります。また、うっかり手を離してしまうと、傘が飛び、他の登山者に当たってケガをさせてしまうことも。また、回収不能になった場合はゴミの原因にもなります。

3. 登山道が細い、または人が多い場合

出典:PIXTA
細い登山道では、すれ違う時に傘が相手に当たってしまうことがあります。また、小屋前など人が多い場所でも同じく、他人に危害を与えてしまうかもしれません。

4. 雨が激しく降っている時

トレッキングアンブレラ
撮影:akko_y
傘で守れるのは、主に上半身です。激しい雨の中では下半身は濡れてしまい、低体温症などを引き起こす可能性があります。レインウェアを併用するなど、着衣や体を濡らさない工夫が必要です。

【OKシーン】傘を使うことで、より快適な登山に!

1. なだらかで、広い道

トレッキングアンブレラ
撮影:akko_y
傘をさしていても、転倒などの危険性のない道。また、すれ違う人にも迷惑をかけない余裕のある場所では、傘があると快適に歩けます。下山時の林道歩きなどの際にも便利です。

2. 強風から守られる樹林帯

トレッキングアンブレラ
出典:PIXTA
樹林帯では風が避けられるので、傘が飛ばされたり、風にあおられてバランスを崩すことも起こりにくくなります。また、湿度が高い場所も多いので、レインウェアより快適に歩けます。ただし、枝に傘を引っ掛けるなどの危険もあるので注意を!

傘は雨の日登山の強い味方。うまく取り入れよう!

トレッキングアンブレラ
撮影:SHIN
使用するシチュエーションを見極める必要はありますが、使い方次第では、雨の登山を快適にしてくれる傘。特にモンベルのトレッキングアンブレラは150gと軽いので、携行しておいてもあまり重さのストレスを感じなさそうです。

全身を濡れから守るレインウェアとうまく使い分けをしながら、ぜひ登山に取り入れてみてくださいね。

モンベル|オンラインショップ

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トレッキングアンブレラ
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akko_y

兵庫県在住。ある日ふとテレビに映ったヒマラヤへ行きたくなり、山活をスタート。気付けば登山の魅力にどっぷりはまっておりました。ただいま登山ガイド修行中。まだまだ修行が足りませんが、皆さんと一緒に楽しみながら成長していければ幸いです。

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