蔵王山

蔵王山|神秘的なお釜や可憐なコマクサ。熊野岳・刈田岳・地蔵岳をめぐる登山ルート3選

お釜や樹氷見物や蔵王温泉など観光地として有名な「蔵王山」。日本百名山でもあり、夏や秋は登山客で賑わいます。特にリフトやロープウェイなどがあるので、登山初級者でもいろいろなルートを楽しめるのが魅力。初級者向けのルートから、中級者以上も楽しめる周回コースを紹介。アクセスや立ち寄りどころについても案内します。

目次

アイキャッチ画像出典:PIXTA

蔵王連峰の主峰!蔵王山とは?

熊野岳

出典:PIXTA(熊野岳)
標高所在地最高気温 (6月-8月)最低気温 (6月-8月)
1841m(熊野岳)山形県山形市蔵王温泉
宮城県刈田郡蔵王町
14.8℃7℃
参考:ヤマレコ

蔵王連峰の主峰「蔵王山」。蔵王山とは、熊野岳(山形県)・刈田岳(宮城県)を中心とした山域の総称で、「蔵王山」という名前の山はありません。日本百名山に選ばれる名峰で、四季折々、多くの登山者が訪れる人気の山です。

蔵王山のシンボル「お釜」|火山活動で形成された火山湖

お釜

出典:PIXTA(お釜)

蔵王山のシンボルであり、湖面を深緑やブルーに色を変える「お釜」。正式には「五色沼」で、自然の造形美であるその美しさで多くの観光客が訪れる人気スポットです。

蔵王山は、有史以来火山活動を繰り返した火山で、お釜はその際に形成された火口湖。最近は、目立った火山活動はありませんが、現在でも噴火警戒レベル1の活火山。登山前には必ず火山情報チェックしましょう。
気象庁|蔵王山の活動状況

樹氷|冬に現れるモンスターたち

樹氷

出典:PIXTA

冬の蔵王といえば「樹氷」。スノーモンスター、アイスモンスターとも呼ばれ、多くの観光客やスキーヤーがその姿を見に訪れます。シーズン中、スノーシュートレッキングが開催されているので、参加してみてはいかが?想像より大きく、迫力あるモンスターたちに圧倒されますよ。

地図は必ず携帯しよう!

蔵王山登山する際、地図は必ず携帯しましょう。コースタイムなどが見やすい登山地図がおすすめです。

昭文社 山と高原地図 蔵王 面白山・船形山

登山する前は天気もチェック

蔵王山登山する前は、必ず天気をチェックしましょう。
てんきとくらす|蔵王山

ほかにも見どころたくさん!蔵王山の魅力は?

見どころたくさん!蔵王山の魅力は?

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有名すぎる蔵王山の「お釜」や「樹氷」はみなさんも知っているはず。しかし、蔵王山にはそれ以外にも魅力や見どころがたくさんあります。

蔵王の山を守る「蔵王地蔵尊」

蔵王地蔵尊

出典:PIXTA

赤い頭巾と前掛けが印象的な蔵王地蔵尊は、蔵王三山のひとつである地蔵岳頂上に鎮座しています。1775年に造立以後、なぜか遭難者が少なくなったということから、「災難よけ地蔵」として多くの人の信仰を集めています。蔵王山登山の際は、ぜひ、参拝しましょう。
冬の蔵王地蔵尊

出典:PIXTA

冬の名物、雪に埋もれた蔵王地蔵尊。雪に埋もれても私たちを見守って下さる、ありがたい地蔵様。でも、寒そうでちょっと気の毒ですね。

高山植物の女王「コマクサ」

コマクサ

出典:PIXTA

7月になると蔵王山頂付近では、“高山植物の女王”と呼ばれるコマクサが咲き誇ります。熊野岳と刈田岳の間の「馬の背」周辺でよく見られ、アクセスも容易であるため、多くの登山者や観光客が訪れるスポットになっています。

蔵王を錦に彩る紅葉

蔵王の紅葉

出典:PIXTA

秋は見事な紅葉で彩られる蔵王山。9月中旬の山頂付近の草紅葉から始まり、徐々に麓へ下りながら、カエデやナラ、ブナなど広葉樹が織りなす、色とりどりの紅葉。約1か月程度楽しむことができます。

絶景の熊野岳山頂

蔵王山頂

出典:PIXTA

最高峰「熊野岳」山頂は、遮るもののない360度ビューの絶景。眼下に蔵王の高原帯、天気が良ければ、朝日岳や吾妻連峰をはじめ、月山や鳥海山などの東北の名峰を見ることができます。

ロープウェイやリフトなど交通機関が充実

ロープウェイ

出典:PIXTA

刈田岳山頂直下までは、蔵王刈田リフト。地蔵山には蔵王ロープウェイ。蔵王エコーラインや蔵王ハイラインなどの自動車道路など、交通機関が充実しています。例えば、刈田リフトで刈田岳へ登り、地蔵山から蔵王ロープウェイで下ることも可能。体力に応じて様々な行程が組めるのも魅力のひとつです。

蔵王三山コース|初級者も歩きやすく、距離も短め!

合計距離: 9.45 km
最高点の標高: 1835 m
最低点の標高: 1603 m
累積標高(上り): 778 m
累積標高(下り): -778 m
【体力レベル】★★☆☆☆
日帰り
コースタイム:3時間40分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★☆☆☆
・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
凡例はこちらをクリック:グレーディング表
ルート概要(往復)
刈田駐車場(35分)→刈田岳(45分)→熊野岳(45分)→地蔵山(蔵王地蔵尊)(50分)→熊野岳(45分)→刈田駐車場

蔵王連峰の核心部、蔵王三山の「刈田岳」「熊野岳」「地蔵山」を縦走するコース。行程が短く、登山道が整備されているので、初級者にもおすすめです。

刈田駐車場を出発

刈田駐車場

刈田駐車場を出発。ここから刈田岳へ、よく整備された遊歩道を35分程度登ります。リフトを使えば、山頂直下まで8分、そこから刈田岳まで徒歩15分。時間と体力で選択しましょう。

■刈田リフト
電話:023-679-2311
料金:往復750円 片道450円

蔵王ライザワールド|刈田リフト

蔵王三山1座目|刈田岳

刈田岳山頂

出典:PIXTA

蔵王三山、1つ目のピーク「刈田岳」へ到着。お釜や、今から向かう熊野岳方向の馬の背などがよく見えます。
刈田岳お釜

出典:PIXTA

登ってきた道を一旦引き返し、熊野岳方面を目指します。

馬の背のコマクサ

馬の背

出典:PIXTA

刈田岳から熊野岳までは、馬の背と呼ばれる火口縁を歩きます。なだらかな砂地が続く道ですが、このあたりはコマクサの群生地。7月になるといたるところにかわいらしいピンク色の花を見ることができます。
コマクサ

出典:PIXTA

これほど多くのコマクサを見ることができる場所はめったにありません。シーズン中なら、ぜひ鑑賞しながら歩きましょう。

蔵王三山2座目|熊野岳

熊野岳山頂

出典:PIXTA

馬の背を歩き、避難小屋への分岐を左に登ると、蔵王三山2つ目のピーク熊野岳山頂へ。360度ビューの絶景を楽しみましょう。

蔵王三山3座目|地蔵山山頂から蔵王地蔵尊へ

地蔵山

出典:PIXTA

熊野岳より一旦下り、地蔵山山頂へ。ここから蔵王地蔵尊が鎮座する一帯が地蔵山の山頂です。
蔵王地蔵尊

出典:PIXTA

蔵王地蔵尊に参拝して往路を戻ります。
なお、地蔵山からすぐのところに、蔵王ロープウェイの「地蔵山頂」駅があります。戻る必要が無ければ、ロープウェイで下山することも可能です。

■蔵王ロープウェイ
電話:023-694-9518
料金:(蔵王山麓駅~地蔵山頂駅)おとな:往復3,000円 片道1,500円 こども:往復1,500円 片道800円

蔵王ロープウェイ|公式サイト

祓川コース|リフト利用も可能。蔵王の魅力を周回で満喫

合計距離: 14.15 km
最高点の標高: 1835 m
最低点の標高: 860 m
累積標高(上り): 1579 m
累積標高(下り): -1579 m
【体力レベル】★★★☆☆
日帰り
コースタイム:6時間25分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★☆☆☆
・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
凡例はこちらをクリック:グレーディング表
ルート概要(周回)
蔵王温泉(125分)→御田神様(40分)→ワサ小屋跡(25分)→熊野岳(20分)→ワサ小屋跡(25分)→地蔵山(35分)→片貝沼(20分)→鳥兜山(27分)→中央高原(65分)→蔵王温泉

観光地の蔵王温泉から出発し、熊野岳から地蔵山を巡る周回ルートです。一帯は、スキー場になっており、よく整備され、ロープウェイやリフトが通年で営業しているので、それらを利用すれば、行程の短縮も可能です。開放的なゲレンデや沼、森林など飽きることなく蔵王の魅力がいっぱいです。

蔵王温泉から祓川コース登山口へ

祓川コース登山口

蔵王温泉からスタートし、蔵王中央ロープウェイ「温泉」駅付近の祓川(はらいがわ)コース登山口へ。ここから登山道スタートです。
ブナ林の中、祓川コースを登ります。途中、スキー場のゲレンデの芝生、ロープウェイの下など、変化に富んで飽きません。

熊野岳へ到着

熊野岳

出典:PIXTA

熊野岳へ到着しました。絶景を楽しんだら、地蔵山へ。

地蔵山へ

地蔵山

出典:PIXTA

石畳の遊歩道を歩き熊野岳から地蔵山へ。この付近は観光客も歩くので、よく整備されています。

秋は絶景の片貝沼

片貝沼

出典:PIXTA

地蔵山から、冬はスキーコースになるザンゲ坂などのゲレンデを下り、片貝沼へ。秋は沼を彩る紅葉が絶景です。

鳥兜山山頂へ

鳥兜山

出典:PIXTA

片貝沼から鳥兜山山頂へ。眼下には蔵王温泉街、天候が良ければ月山や朝日連峰、飯豊連峰、吾妻連峰などを望めます。

エメラルドグリーンのドッコ沼

ドッコ沼

出典:PIXTA

鳥兜山からドッコ沼へ下ります。日差しによって水が青色やエメラルドグリーンに変化する「ドッコ沼」。蔵王の観光スポットです。秋には紅葉とグリーンの湖面のコントラストでますます美しくなります。
蔵王スカイケーブルの中央高原駅より蔵王温泉へ下ります。疲れたら蔵王スカイケーブルで下る事も可能です。

■蔵王スカイケーブル
電話:023-694-9420
料金:おとな:往復1,500円 片道800円 子ども:往復750円 片道400円

蔵王中央ロープウェイ・蔵王スカイケーブル|公式サイト

坊平周回コース|豊かなブナの森や静かな湿原を歩く

合計距離: 11.18 km
最高点の標高: 1833 m
最低点の標高: 1102 m
累積標高(上り): 1189 m
累積標高(下り): -1189 m
【体力レベル】★★☆☆☆
日帰り
コースタイム:5時間16分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★☆☆☆
・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
凡例はこちらをクリック:グレーディング表
ルート概要(周回)
蔵王ライザワールド(105分)→中丸山(85分)→熊野岳(40分)→刈田岳(86分)→蔵王ライザワールド
蔵王温泉側ではなく、坊平高原から熊野岳、刈田岳を周遊するコース。観光地化された蔵王温泉側と違い、静かで自然豊かな山歩きを楽しむことができます。

蔵王ライザワールドを出発

ゲレンデ脇からスタート

スキー場の「蔵王ライザワールド」、ゲレンデ脇の散策路よりスタート。10分程度で、仙人沢遊歩道入口に入ります。

仙人橋を渡る

仙人橋

遊歩道を歩き、仙人橋を渡ります。ここからしばらく仙人沢の森の中を登ることになります。ブナなどの自然林が生い茂り、夏は緑、秋は錦に彩られる、とても美しい道が続きます。

中丸山山頂へ

中丸山

森を抜け、次第にあたりが開けてくると中丸山山頂。今から向かう、熊野岳や刈田岳が遠望できます。

展望の良い尾根道を歩く

熊野岳手前

中丸山を過ぎ、次第に展望が。眼下には蔵王温泉街などが見下ろせ、気持ちのいい尾根歩きになります。

熊野岳山頂

熊野岳

出典:PIXTA

熊野岳山頂へ到着。絶景を楽しんだら、蔵王山神社に参拝し、次の刈田岳を目指します。

馬の背から刈田岳へ

馬の背

出典:PIXTA

熊野岳から馬の背を歩き刈田岳へ。よく整備された遊歩道が続きます。

刈田岳山頂

刈田岳

出典:PIXTA

刈田岳山頂に到着。向こうにお釜が見えます。

花がいっぱいの御田ノ神園地

御田ノ神園地

出典:PIXTA

刈田岳から下ると刈田駐車場。そこから5分ほどの場所にあるのが、このコースのクライマックス「御田ノ神園地(おだのかみえんち)」。広い高層湿原で、木道が整備され、散策することができます。春から夏にはチングルマやキンコウカ、コバイケイソウなどが咲き乱れ、秋には草紅葉を見ることができます。

この後は、蔵王ライザワールドスキー場のゲレンデを、登山口へと下ります。

蔵王山登山口までのアクセス

刈田駐車場

【クルマの場合】
東北中央自動車道「かみのやま温泉」IC−国道13号、県道12号経由−刈田駐車場

■刈田駐車場
台数:50台
トイレ:あり
料金:無料

【公共交通機関の場合】
東北・山形新幹線「かみのやま温泉」駅−無料シャトルバス「グリーンエコー号」−刈田駐車場
蔵王ライザワールド|アクセス

蔵王温泉

今回紹介したコースの場合、クルマは蔵王中央ロープウェイ「温泉」駅、公共交通機関の場合は「蔵王温泉バスターミナル」が便利です。
【クルマの場合】
東北自動車道・山形自動車道「山形蔵王」IC−県道167号、県道53号経由−蔵王中央ロープウェイ「温泉」駅駐車場

■蔵王中央ロープウェイ「温泉駅」駐車場
台数:約100~150台(但し、12月下旬~3月末は約50~110台)
トイレ:あり
料金:無料(但し、12月下旬~3月末は土日祝祭日 1,000円/1日(普通車) 平日無料)

蔵王ライザワールド

【クルマの場合】
東北中央自動車道「かみのやま温泉」IC−国道13号、県道12号経由−蔵王ライザワールド駐車場

■蔵王ライザワールド駐車場
台数:1300台
トイレ:あり
料金:無料

【公共交通機関の場合】
東北・山形新幹線「かみのやま温泉」駅−無料シャトルバス「グリーンエコー号」−蔵王ライザワールド
蔵王ライザワールド|アクセス

下山後のおすすめ立ち寄りスポット

蔵王まで来たならば、下山後の温泉や地元グルメも楽しんでみましょう。

蔵王温泉大露天風呂

蔵王温泉大露天風呂

出典:PIXTA

蔵王温泉大露天風呂は、野趣あふれる大きな露天風呂。渓流の音を聞きながらのんびりと登山の汗を洗い流すことができます。

住所:山形県山形市蔵王温泉853-3
電話:023-694-9417
料金:入浴料/大人600円 子供(満1歳以上12歳未満)350円


蔵王温泉大露天風呂|公式サイト

蔵王温泉名物「ジンギスカン」

ジンギスカン

出典:PIXTA

「ジンギスカン」というと北海道というイメージですが、発祥の地は蔵王温泉周辺。古くからジンギスカンを提供する飲食店が多くあります。蔵王登山の後は、ジンギスカンはいかが?

見どころ満載の蔵王山に登ろう

蔵王山

出典:PIXTA

お釜をはじめとする景勝地や蔵王地蔵尊、樹氷など観光地としてのイメージが強い蔵王山ですが、初級者からベテランまで楽しめる登山コースがある山でもあります。高山植物の女王「コマクサ」や、豊かなブナの森と紅葉、美しい沼など、見どころ満載の蔵王山に登ってみませんか?

※この記事内の情報は特記がない限り公開初出時のものとなります。登山道の状況や交通アクセス、駐車場ならびに関連施設などの情報に関しては、最新情報をご確認のうえお出かけください。

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