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夏道と冬道はこんなに違う!雪山に挑戦する前に知っておきたい「冬の登山道」のこと(2ページ目)

固い斜面・雪稜・岩稜|滑落や雪庇の踏み抜きに気を付けて!

西穂高の夏道と冬道

撮影:筆者(西穂高岳独立標高点手前の岩稜)

特に斜面のトラバースするところや雪庇が発達する場所では、転落や滑落防止のためにルートが一時的に閉鎖されたり、稜線や尾根にルートが変わることがあります。現場でよりリスクが少ない場所を判断して歩くことが必要です。

写真の稜線は、無雪期は黄色のルートで右側斜面をトラバースしますが、道が雪で埋まってしまうと滑落リスクが高くなります。このため、積雪期は尾根を行く赤色のルートに変わります。ただし、左側に雪庇が張り出しているので踏み抜かないように注意も必要です。

雪崩地形の中|巻きこまれないのがいちばん。リスクを考えた行動を!

千畳敷カール

撮影:筆者(木曽駒ヶ岳千畳敷から駒ヶ岳へ登るルートは雪山入門とされるが、雪崩への備えが必要という点で経験者向きのルートである)

雪崩が起きる可能性のある「雪崩地形」を登山道が通っている場合には、雪崩地形を避けるようにルートを変えましょう

やむを得ず通る場合には、ビーコン、ショベル、プローブなどセルフレスキューに必要な装備を携行した上で、雪崩地形にいる時間を最小限に、万が一雪崩が起きても複数人が埋まるように間隔をあけて行動します。雪崩れた雪が堆積したデブリでトレースが途絶えていることもあります。周りをよく観察して道迷いしないようにしましょう。

写真では雪崩が流れ下る可能性のある場所で固まってパーティが休憩しています。過去にはこの遥か下まで流れ下った大規模な雪崩も起こっていて、もし巻き込まれれば全滅する可能性が高いです。

降雪、風雪、濃霧|そもそも視界がなくなる。撤退の判断も重要

撤退する勇気も大事

撮影:筆者(雪の中を西穂高岳登頂を試みるも、視界もなく、雪も強くなって、帰りのトレースが見えなくなってしまうと判断して手前で撤退した)

なかなか想像がつきにくいかもしれませんが、雪が強く降っているときは、自分の歩いた足跡でさえすぐに消えていってしまうことがあります。霧が出ていればなおさらです。帰り道が分からなくなったり、滑落や雪崩の危険がある場所に気づかずに踏み込んでしまう可能性があります。道がまだわかるうちに引き返す、目印の旗を持って行くなど対策が必要です。

残雪期の雪稜・雪渓|「雪が厚そうな部分」をつないで歩こう

残雪

撮影:筆者(梅雨頃の剱沢雪渓の真砂沢ロッジ付近)

春から夏にかけてのいわゆる残雪期になると、雪もしまり、雪渓や雪田、雪稜も歩きやすくなりますが、雪が融けて雪が割れたり薄くなったりしていきます。薄いところを踏み抜いたり割れ目にはまって冷たい流れに落ちないよう、どのあたりを歩けばよりリスクが低いか判断しながら歩きましょう。

写真の雪渓は夏山シーズンには橋が架かるところですが、梅雨時にはこのように橋はなく雪渓を渡るか渡渉するしかありません。地面から雪渓への段差が大きく、渡るにはアイゼンピッケルが必要でした。

「雪山ならではの自由」とそれを楽しむために必要なこと

道がわからなくなったり変わったりするのは不自由なことばかりではありません。雪のないときと比べて逆に自由度も上がります。

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