テント泊登山はじめの一歩【装備編】~準備するべき服装&持ち物~

2020/11/27 更新

いざテント泊に挑戦しようと思ったとき、頭を悩ませるのが道具の準備。「いったい何を揃えたらいいの?」というテント泊初心者の疑問を解消すべく、多くのテント泊講習会などで講師を務める登山ガイドの平川陽一郎さんに、テント泊道具の基本を教えていだだきました。はじめてのテント泊を快適に楽しむために、『必ず準備するもの』と『あると便利なもの』に分けてチェックしていきましょう!


アイキャッチ画像撮影:YAMA HACK編集部

テント泊登山はじめの一歩|装備編

テント場
出典:PIXTA
いざテント泊に挑戦しようと思ったとき、頭を悩ませるのが道具の準備。「いったい何を揃えたらいいの?」というテント泊ビギナーの疑問を解消すべく、多くのテント泊講習会などで講師を務める登山ガイドの平川陽一郎さんに、テント泊道具の基本を教えていだだきました。

日帰りと何が違う? テント泊装備に必要なアイテムをチェック!

テント泊登山はじめの一歩【装備編】~準備するべき服装&持ち物~ 簡単にいえば、テント泊は家を自分で背負って歩くようなもの。衣・食・住をまかなうための、さまざまな道具が必要です。

行動中に必要なものは、いつもの日帰り登山と同じですが、空の下で長い夜を過ごすために必要なものを、『必ず準備するもの』と『あると便利なもの』に分けてチェックしていきましょう。

必ず準備するもの

テント【住】


撮影:ぶん/YAMA HACK編集部
建物のない場所に、安心して過ごせるスペースを作るのがテント。これなしでテント泊は始まりません。登山で使うなら、軽さと耐候性を備えた、山岳用テントのなかから選びましょう。
平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
テントには大きく分けて、「自立式」と「非自立式」があり、また「シングルウォール」と「ダブルウォール」の2タイプがありますが、ビギナーが最初に手に入れるなら、ズバリ、「ダブルウォールの自立式」を選ぶのが正解! 設営が簡単で居住性が高く、初心者でも扱いやすいことが理由です。

シュラフ【住】


撮影:YAMA HACK編集部(マミー型シュラフ)
シュラフ選びで最も重要なのは、安眠できる充分な温かさがあること。季節や標高、天候など、使用する環境に合わせて選びます。登山用モデルのほとんどは、軽量コンパクトで保温性に優れるマミー型です。
平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
モデルによって快適温度が異なりますが、迷ったら保温力の高いほうを選びましょう。寒くて寝られないと、次の日の行動にも影響し、事故を起こすきかっけにもなりかねません。暑ければ中に入らず、布団のようにかけて使えばいいのです。

シュラフマット【住】


撮影:YAMA HACK編集部([左]クローズドセル[中]インフレータブル[右]エアー)
寝心地と保温性を高めるため、シュラフの下に敷くマット。ベッドや敷布団の役割を果たし、寝心地を大きく左右します。大きく分けて3つのタイプ(クローズドセル/インフレータブル/エアー)があります。
平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
軽さと収納性、保温性や寝心地の好みも大切。ショップなどで実際に寝心地を試してみることをおすすめします。寝心地と保温力を考えると、ある程度厚みのあるものがいいでしょう。

火器・燃料【食】


撮影:YAMA HACK編集部(調理だけでなく、万一のときに暖をとったり、煮沸して飲み水を作ったりするのにも役立つ)
お湯を沸かしたり調理をしたりするために、火を起こす道具はマストアイテム。日帰りや小屋泊でお茶を飲む程度なら、保温ポットで過ごすこともできますが、テント泊ではそうはいきません。

食事はすべて山小屋で食べる場合でも、山で長時間過ごすときは、エマージェンシー的な意味合いからも、火を起こすものは必要です。
平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
直結型シングルバーナー
撮影:YAMA HACK編集部
初心者にはコンパクトで扱いやすく、パワーのあるOD缶(アウトドア缶)直結型のバーナーがおすすめ。湯沸かしだけでなく調理もするのなら、加熱面積が広く、火加減の微調整がしやすいものが便利です。

クッカー・食器類【食】

クッカー・食器類
撮影:YAMA HACK編集部
コッヘルやシェラカップなど、火にかけられる調理器具類。何を作るかや量(人数)によって必要な道具が違うので、実際に調理する場面を考えて、必要なものを取りそろえましょう。スプーンや箸なども忘れずに。
平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
さまざまなタイプがありますが、最初からあまり多くを揃える必要はありません。経験を重ねるうちに、必要なもの、ほしいものがわかってくるはずです。

食材【食】

食材(レトルト・アルファ米・フリーズドライなど)
撮影:YAMA HACK編集部
軽量化のためには、フリーズドライやレトルトなど、湯沸かしだけで手軽に食べられる食品を選ぶと、調理器具や燃料の量も減らせて効果的。テントに泊まって食事だけを食べられる小屋もあるので、うまく利用するといいでしょう。
平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
コーヒーやお酒などの嗜好品にこだわったり、1点豪華主義やちょい足しで味の変化を楽しんだり、おいしく食べる工夫ができると、テント泊の楽しさが格段にアップします。

防寒着【衣】


撮影:YAMA HACK編集部
真夏でも標高の高いところでは、夜間や早朝は想像以上に冷え込みます。行動中は使わなくても、テントの設営や食事の準備の間、夜寒くて寝られないときのために、防寒着は絶対に忘れてはいけない重要アイテム。小屋泊と違い、屋外で一夜を過ごすのだということをしっかりと意識しておきましょう。
平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
フリースは代表的な防寒着ですが、少しかさばるのがネック。軽量ダウンや化繊綿入りのものなど、保温力に優れコンパクトに収納できるものが最近の主流です。

最低限の着替え【衣】

撮影:YAMA HACK編集部
普通の旅行と違い、一般的に山では行動着を毎日は着替えません。1~2泊程度の山行なら、同じものを着るのは当たり前。メリノウール製など防臭効果のあるものを選べば、ニオイもさほど気になりません。

ただし、大量に汗をかく季節や、雨が降る可能性が高い場合など、山行の内容によっては、直接肌に着けるアンダーウェアとソックスだけ、着替えを用意しておくと快適に過ごせます。
平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
昼間汗をかいて湿気を帯びた衣類を着たままだと、夜になって体が冷え、寒くて寝られないということも。就寝用に着替えを用意して、乾いたシャツとボトムス、靴下に着替えれば、リラックスできて疲れも取れます。昼間着ていたものは、テント内で干しておけば朝までに乾くでしょう。


テント泊装備(必ず準備するもの)

あると便利なもの

テントマット【住】

テントマット
撮影:YAMA HACK編集部
テントが家なら、テントマットは畳のようなもの。地味な存在ですが、快適性に大きく関わるアイテムです。一番の目的は、地面の温度を遮断して冷えや湿気を防ぐこと。保温断熱性のある、薄手の銀マットなどのアルミ製シートなら、特別なものでなくても充分に目的は果たせます。

浸水時に対応するための防水性などもあればベター。テント内全体に敷き詰められるサイズを用意しましょう。

シュラフカバー【住】


撮影:YAMA HACK編集部
防水加工がされていないシュラフが濡れて保温性が落ちるのを防ぐために使う、シュラフの雨具のような存在。1枚重ねることで保温力アップもできるので、寒さが心配な時には一石二鳥です。寝ている間に体から出る水分を吐き出すために、必ず防水透湿素材のものを選びましょう。

シーツ【住】


撮影:YAMA HACK編集部
シュラフの中に入れて使うインナーシーツ。汗などによるシュラフの汚れを防ぐほか、暑いときはさらりとした肌触りのもの、寒いときにはフリースなどの保温性があるものなどを選んで、快適性をアップさせることもできます。

ピロー【住】


撮影:YAMA HACK編集部(エアー枕)
安眠のためには欠かせない枕。膨らませて使うエア式のものが軽くて便利です。衣類などを重ねて代用することもできますが、滑り止めがついた枕用のスタッフバッグを使うと、滑ったり崩れたりせず快適。

ランタン【住】

さまざまなタイプのランタン
撮影:YAMA HACK編集部
テント内や食事の際の照明に、軽量なランタンがあると便利。全方向に優しい光を放つので、長いテント場の夜をリラックスして過ごせます。

ソーラー充電タイプなら軽くてコンパクト。ヘッドライトにコンビニ袋をかぶせると、光が拡散してランタン代わりになりますが、バッテリー切れでいざというときにヘッドライトが使えないということがないように!

ゴミ袋【食】

ゴミ袋
撮影:YAMA HACK編集部
テント場で出たゴミは、すべて持ち帰るのがルール。水分を含んだゴミは意外と多いので、ファスナー付きのビニール袋など、しっかりと閉じられるタイプの袋があると便利。

ゴミを減らすために、食材や調味料などのパッケージを、できるだけ外し、1回の食事ごと、メニューごとにまとめて袋に入れておけば、細かなプラゴミを減らすことができます。

水筒・ウォーターバッグ【食】

水筒・ウォーターバッグ
撮影:YAMA HACK編集部
テント場についたら、まずはその次の日の朝食までに使う水を調達しましょう。行動中の水分補給のためのものでもいいですが、別の容器を用意しておくと、調理の際にも扱いやすく、水汲みの回数も減らせます。

ほとんどのテント場で、水を汲んだり購入したりできますが、念のため事前にチェックしておきましょう。次の日の行程の途中に水場がなければ、出発前に充分な水を確保するのを忘れずに。

テーブル【食】


撮影:YAMA HACK編集部
食事や飲み物を置くところがあると、山の食事も少しランクアップ。登山用に作られたものなら、軽量でコンパクトに持ち運びできます。

サンダル【衣】


撮影:YAMA HACK編集部
テント泊ならではのおすすめアイテムがサンダル。テント場に着いたらまずは靴を脱いで、疲れた足を登山靴から解放したくなりますよね。簡単に脱ぎ履きできるものがあれば、水汲みやトイレに行くときなどに、いちいち登山靴を履きなおす手間がありません。

登山口までの移動用シューズと兼用してもいいでしょう。多少荷物にはなりますが、持って行くだけの価値はあり!

下山後の着替えとお風呂セット【衣】

下山後の着替えとお風呂セット
撮影:YAMA HACK編集部
行動中は同じウェアで過ごしても、下山後の温泉でさっぱりした後は、やはり着替えて帰路につきたいもの。車での移動なら車中に置いておけますが、公共交通機関を利用する場合は、山の中でも持ち歩かなければなりません。できるだけ軽くてかさばらないものを選びましょう。

その他

水のいらない使いきりメイク落とし・化粧水・乳液、歯磨きジェル・耳栓
撮影:YAMA HACK編集部
水の節約や環境への配慮のため、山では洗顔フォームや歯磨き粉を使わないのがマナー。「1日の汚れを落としたい!」そんなときは、水のいらない使いきりのスキンケアセットや、ゆすぐ必要のない歯磨きジェルが重宝します。

また、普段から物音が気になると眠れないという人は、耳栓を用意しておくと良いでしょう。

テント泊装備(あると便利なもの)

バックパックと登山靴は、いつも使っているもので大丈夫?

バックパック

大型ザック
撮影:YAMA HACK編集部
必要なすべてのものを運ぶためのバックパックは、当然ながら日帰りや小屋泊用のものに比べて容量もサイズも大きくなります。日数や食事の内容によって変わりますが、すべての荷物の重量は、一般的に15~20㎏前後になります。

大型ザック
出典:PIXTA
バックパックの容量に、実は各メーカー共通の基準はありません。テント泊では女性で60ℓ、男性で70ℓサイズを目安に、実際に物を見て、自分が普段使っているモデルと比較してどれくらいの荷物が入るかを予測しましょう。数字だけで判断すると、思いのほか入らなかったということになりかねません。
平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
ただでさえ荷物が重いのだから、バックパックも少しでも軽いほうがいいように思いますが、持ち運ぶ荷物が重くなるほど、バックパック自体に剛性があるものを選ぶのが正解。しっかりとしたフレームが入っていて、荷重を腰で受け止められるよう設計されたものを選びましょう。

また、パッキング慣れしていない人には、容量もあまりギリギリでなく少し大きめのほうが扱いやすいでしょう。

登山靴

サイズをもとに靴を選んでみましょう
撮影:YAMA HACK編集部
日帰りや小屋泊とテント泊で靴を使い分けるというのがピンとこない人も多いかもしれませんが、荷物が重くなるほど、しっかりとした硬さのある靴を選ぶのが鉄則。アウトソールが厚手で硬く、アッパーにも剛性があるものでないと、重い荷物を背負って長距離を歩くのには適しません。
平川ガイド
▼ワンポイントアドバイス
ハイキングシューズやアプローチシューズなど、「軽くて柔らかく楽に歩ける靴」は、荷物が重くなったとたんに、「疲れて安定しない頼りない靴」に変わってしまいます。

頼れる相棒を見つけて、快適なテント泊を

夜のテント場 今回は、日帰りや小屋泊とは違う、テント泊ならではのアイテムについて紹介しました。他にも細かな必要なものはいろいろありますが、大切なのは、自分がテント泊をする場面を想像してみること。一度にすべてを手に入れることが難しければ、手持ちのもので使える代用品がないか、人に借りたりレンタルを利用したりできないかも考えましょう。

大きな買い物なので、必ずお店で実物を見て、試して検討することが大事。ビギナーならではの経験の少なさを、カバーしてくれる道具が見つかるはずです。

教えてくれた人|登山ガイド・平川陽一郎さん

平川ガイド
(公)日本山岳ガイド協会 正団体マウンテンガイド協会 会長
(公)日本山岳ガイド協会 認定登山ガイドⅡ
(公)日本山岳ガイド協会 危急時対応技術指導員
(株)finetrack  直営店ゼネラルマネージャー
(公)日本山岳会 埼玉支部国内山行委員
登山クラブ やま塾 代表
日本ノルディックウォーキング協会認定インストラクター
 
高校・大学の山学部、社会人山岳会で登山を学び、国内では剱岳や穂高岳を始めアルプスの山々や谷川岳などで夏冬クライミングを中心に登山活動を行なう。海外は、チベットやカラコルム ヒマラヤの山々に登る。大学卒業後は登山業界に入り、登山用具やウエアの企画・制作開発・販売、製品コンサルタント、登山ライター、スキーインストラクター、登山講習会の講師など登山や自然に関する事なら何でも行なう。
 
好きな山域は、学生時代からずっと通っている北アルプスと谷川連峰。以前は夏冬クライミング一本だったが、最近は日本の自然の良さを再確認し、積雪期登山、アイスクライミングも楽しむが、沢登りやテント泊縦走、バックカントリースキーやテレマークスキーとマルチに山と自然を愉しむ。
 
現在は、ガイドの他にfinetrackの「TOKYO BASE」と「HIBIYA HUT」を拠点に直営店全国各地で年間100回を超える安全登山啓蒙関係の講習会を行なっている。
 

日帰り登山装備にプラスして、準備するものリスト

必ず準備するものチェック
テント
シュラフ
シュラフマット
火器・燃料
クッカー・食器類
食材
防寒着
最低限の着替え
 
あると便利なものチェック
テントマット
シュラフカバー
シーツ
ピロー
ランタン
ゴミ袋
水筒・ウォーターバッグ
テーブル
サンダル
下山後の着替えとお風呂セット
 

日帰り登山の装備はこちら

テント泊用品の選び方やおすすめをチェック

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テント泊登山はじめの一歩|実践編


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小川 郁代
小川 郁代

犬と音楽とお酒大好きのインドア派が、クライミングと出会ってアウトドアの世界へ。登山、ハイキング、最近は沢登りとBCクロカンに夢中。山に行くだけじゃわからない「山のコト」を伝えたい。

登山専用コミュニティサイト「ヤマレコ」

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