テント場での迷惑話

年間テント泊数100日の山岳ライターが語る! 本当にあった嘘のようなテント場での迷惑話

2022/09/05 更新

山で静かな夜を過ごしたいのに、「隣のテントが騒がしくて落ち着けない」なんて経験ありませんか?今回は、山岳系アウトドアライター高橋庄太郎が実際に山中で経験した「テント泊時のこんなマナー違反は、大問題!」といういくつかの事例をご紹介します。

目次

高橋庄太郎さん

撮影:高橋庄太郎

こんにちは。山岳系アウトドアライターの高橋庄太郎です。

僕は山中でのテント泊を愛し、時期によっては家のベッドを使うよりも、寝袋&マットで眠る日が多いことも。
そんな僕が今回ご紹介するのは、この数年の山中で見かけたテント泊時のこんなマナー違反は、大問題ですよ!」といういくつかの事例です。自分は大丈夫だよ、などと思わず、間違ってトラブルの原因にならないようにぜひとも耳を傾けてください!

トラブル寸前! 本当にあったテント場での迷惑話

涸沢 テント場

撮影:高橋庄太郎(日本でいちばん人気の山中のテント場が、北アルプスの涸沢。1日1200張りという記録も)

老若男女、さまざまな登山者が集まるのが、山中のテント場です。
クルマで行けるオートキャンプ場ならば自分好みの場所を選ぶこともできますが、山中のテント場はいくつもあるわけではなく、目的の山を決めた時点でほとんど選択の余地はありません。

その限定された狭い空間で、楽しい一晩を過ごそうとしたとき……。周囲の人のちょっとした行為が、厳しい状況を生み出すことがあるのです。例えば「騒音」「汚物処理」、そして「場所取り」など……。

夜のテント場

撮影:高橋庄太郎(山の夜はじつに静か。隣の登山者が何をしているのか、すぐにわかるくらいです)

《1》夜の宴会! 逆ギレ! そして大騒ぎの早朝出発!

餓鬼岳のテント場
撮影:高橋庄太郎(北アルプス餓鬼岳のテント場。この日は混みあい、この後、中央の空きスペースにもさらにテントが張られました)

険しい稜線に作られていることが多い北アルプスのテント場は、非常に狭いところも珍しくありません。
日本200名山の餓鬼岳のテント場もそのひとつ。まともには10張りも難しく、だからこそ隣接して眠る登山者はマナーを守らねばいけないのです。

ある日、早着していた僕のテントのすぐ近くに東京・某区の〇〇〇山岳会のご一行が2つのテントを張りました。どうやら大きいほうが男性用で、小さいほうが女性用。そして夕方から宴会となりました。

そして始まった、終わることのない山中の大騒ぎ……

テント 内部

撮影:高橋庄太郎(テントの壁は、ただの布。寝転んでいると、すべての音が聞こえてきます)

楽しそうなのはいいのですが、山中は夕暮れとともに眠る人が多いというのに、その宴会は21時を超えても終わりません。山岳会に入っている人が知らないはずがないと思うのですが……。
彼ら以外の登山者は眠れないで苦しんでいるだろうと想像し、僕自身もイライラし始めたころ、とうとう我慢できなくなった人が突然声を上げました。

「いいかげん静かにして!」

だけど、静かになったのは一瞬だけ。次の瞬間……

「あーあ、怒られちゃったよ!」

「なんだよ、つまんねえな!」

酔っぱらっている2人の男性が大声を上げました。

「ゴメンなさい、静かにしますね……」

女性の声が続きますが、注意されたのが気に入らない男性たちは、収まりません。大声は上げなくなったものの、なにやらブツブツいいながら、寝床の準備をし始めた様子です。
テント内の荷物をガサゴソと盛大に移動し始め、耳障りなシャリシャリという異音を立てるレジ袋をいじりまわしています。さらにはペットボトルをガシャガシャとつぶし始めました!

レジ袋

撮影:高橋庄太郎(スーパーやコンビニで使われるレジ袋が立てる音は、想像以上。テント場はもちろん、小屋内でも気を付けましょう。ペットボトルも要注意です)

ちょっと不自然で、ワザと物音を大きく立てているのは間違いありません。腹を立てて、逆ギレしているんですね。昼に見かけたときは年配の男性だと思いましたが、本当は幼児だったのかもしれません。

それでも30分後には静かな夜が訪れました。他のテントの登山者もやっと眠れるようになって喜んでいることでしょう。しかし、この話は翌朝に続きます。

まだ終わっていなかった! 騒音は朝にも

餓鬼岳近くから眺める朝の光

撮影:高橋庄太郎(餓鬼岳近くから眺める朝の光。この時間、某山岳会の人たちはとっくに出発しておりました)

それはまだ真っ暗な3時前。大騒ぎの宴会で疲れていそうなのに、その山岳会の人たちが出発準備を始めました。大半の人はまだ眠っているのに、話声の大きさは、昼間と同様。テントについた結露を振り払うために盛大にバサバサやっていて、周囲への配慮まったくありません。
夜は眠りに入れなくてイライラさせられましたが、今度は強制的に目覚ましをかけられたのと同じです。

でも、夜よりも我慢しやすいのは、彼らが出発してくれれば、必ず静かな時間が訪れること。それなのに、こういう人たちに限って撤収がスムーズではなく、いつまでも騒がしいのでした……。

テント場の騒音に負けないために、「耳栓」は必需品!

耳栓

撮影:高橋庄太郎(左右ペアで数グラムの各種耳栓。これがあるだけで、周囲がうるさくても平穏な夜に)

こんなとき、勇気を出して注意するのは間違った行為ではありませんが、じつはこのときのように逆ギレする登山者は珍しくないんですね。その結果、トラブルがもっと大きくなったりして。

そこでお勧めしたいのは、騒音対策に「耳栓」を持っていくこと。逆ギレ登山者とケンカになるよりも、無抵抗に受け流したほうがラクなんです。ちょっと悔しいけれど……。それに、イビキをかく人が近くにいる場合も有効です。

スタッフバッグ

撮影:高橋庄太郎(柔らかな化繊のスタッフバッグはレジ袋が立てる耳障りな音と無縁。長く使えるのだから、必要な数を買い揃えてもソンはなし)

自分が「加害者」にならないために、夜になったら不必要な音を立てないようにすることは言うまでもありません。また、朝は気が緩みがちになるのか、夜は静かだった人が大きな声を出してしまうこともあり、注意が必要です。

それと見落としがちなのは、先にも述べたレジ袋。これは静かな山中では驚くほどの騒音源! 個人的には禁止したいくらいですが、しなやかな生地のスタッフバッグを使えば音は立ちません

《2》なんだこの臭い!? 上のスペースから流れてきたのは……

穂高岳山荘のテント場

撮影:高橋庄太郎(ひな段のようになった穂高岳山荘のテント場。この写真はイメージで、実際の事件は少しずれた場所で起きました)

次の話は、同じく北アルプスの穂高岳山荘のテント場で経験したことです。

北アルプスでもトップクラスで険しい環境に作られたテント場は、小屋の方々の努力できれいに守られています。それなのに、よろしくない人も利用することがあるようで……。

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