年間テント泊数100日の山岳ライターが語る! 本当にあった嘘のようなテント場での迷惑話

2020/06/11 更新

山で静かな夜を過ごしたいのに、「隣のテントが騒がしくて落ち着けない」なんて経験ありませんか?今回は、山岳系アウトドアライター高橋庄太郎が実際に山中で経験した「テント泊時のこんなマナー違反は、大問題!」といういくつかの事例をご紹介します。


撮影:高橋庄太郎
こんにちは。山岳系アウトドアライターの高橋庄太郎です。

僕は山中でのテント泊を愛し、時期によっては家のベッドを使うよりも、寝袋&マットで眠る日が多いことも。
そんな僕が今回ご紹介するのは、この数年の山中で見かけたテント泊時のこんなマナー違反は、大問題ですよ!」といういくつかの事例です。自分は大丈夫だよ、などと思わず、間違ってトラブルの原因にならないようにぜひとも耳を傾けてください!

トラブル寸前! 本当にあったテント場での迷惑話

撮影:高橋庄太郎(日本でいちばん人気の山中のテント場が、北アルプスの涸沢。1日1200張りという記録も)
老若男女、さまざまな登山者が集まるのが、山中のテント場です。
クルマで行けるオートキャンプ場ならば自分好みの場所を選ぶこともできますが、山中のテント場はいくつもあるわけではなく、目的の山を決めた時点でほとんど選択の余地はありません。

その限定された狭い空間で、楽しい一晩を過ごそうとしたとき……。周囲の人のちょっとした行為が、厳しい状況を生み出すことがあるのです。例えば「騒音」「汚物処理」、そして「場所取り」など……。

撮影:高橋庄太郎(山の夜はじつに静か。隣の登山者が何をしているのか、すぐにわかるくらいです)

《1》夜の宴会! 逆ギレ! そして大騒ぎの早朝出発!

撮影:高橋庄太郎(北アルプス餓鬼岳のテント場。この日は混みあい、この後、中央の空きスペースにもさらにテントが張られました)
険しい稜線に作られていることが多い北アルプスのテント場は、非常に狭いところも珍しくありません。
日本200名山の餓鬼岳のテント場もそのひとつ。まともには10張りも難しく、だからこそ隣接して眠る登山者はマナーを守らねばいけないのです。

ある日、早着していた僕のテントのすぐ近くに東京・某区の〇〇〇山岳会のご一行が2つのテントを張りました。どうやら大きいほうが男性用で、小さいほうが女性用。そして夕方から宴会となりました。

そして始まった、終わることのない山中の大騒ぎ……

撮影:高橋庄太郎(テントの壁は、ただの布。寝転んでいると、すべての音が聞こえてきます)
楽しそうなのはいいのですが、山中は夕暮れとともに眠る人が多いというのに、その宴会は21時を超えても終わりません。山岳会に入っている人が知らないはずがないと思うのですが……。
彼ら以外の登山者は眠れないで苦しんでいるだろうと想像し、僕自身もイライラし始めたころ、とうとう我慢できなくなった人が突然声を上げました。

「いいかげん静かにして!」

だけど、静かになったのは一瞬だけ。次の瞬間……

「あーあ、怒られちゃったよ!」

「なんだよ、つまんねえな!」

酔っぱらっている2人の男性が大声を上げました。

「ゴメンなさい、静かにしますね……」

女性の声が続きますが、注意されたのが気に入らない男性たちは、収まりません。大声は上げなくなったものの、なにやらブツブツいいながら、寝床の準備をし始めた様子です。
テント内の荷物をガサゴソと盛大に移動し始め、耳障りなシャリシャリという異音を立てるレジ袋をいじりまわしています。さらにはペットボトルをガシャガシャとつぶし始めました!

撮影:高橋庄太郎(スーパーやコンビニで使われるレジ袋が立てる音は、想像以上。テント場はもちろん、小屋内でも気を付けましょう。ペットボトルも要注意です)
ちょっと不自然で、ワザと物音を大きく立てているのは間違いありません。腹を立てて、逆ギレしているんですね。昼に見かけたときは年配の男性だと思いましたが、本当は幼児だったのかもしれません。

それでも30分後には静かな夜が訪れました。他のテントの登山者もやっと眠れるようになって喜んでいることでしょう。しかし、この話は翌朝に続きます。

まだ終わっていなかった! 騒音は朝にも

撮影:高橋庄太郎(餓鬼岳近くから眺める朝の光。この時間、某山岳会の人たちはとっくに出発しておりました)
それはまだ真っ暗な3時前。大騒ぎの宴会で疲れていそうなのに、その山岳会の人たちが出発準備を始めました。大半の人はまだ眠っているのに、話声の大きさは、昼間と同様。テントについた結露を振り払うために盛大にバサバサやっていて、周囲への配慮まったくありません。
夜は眠りに入れなくてイライラさせられましたが、今度は強制的に目覚ましをかけられたのと同じです。

でも、夜よりも我慢しやすいのは、彼らが出発してくれれば、必ず静かな時間が訪れること。それなのに、こういう人たちに限って撤収がスムーズではなく、いつまでも騒がしいのでした……。

テント場の騒音に負けないために、「耳栓」は必需品!

撮影:高橋庄太郎(左右ペアで数グラムの各種耳栓。これがあるだけで、周囲がうるさくても平穏な夜に)
こんなとき、勇気を出して注意するのは間違った行為ではありませんが、じつはこのときのように逆ギレする登山者は珍しくないんですね。その結果、トラブルがもっと大きくなったりして。

そこでお勧めしたいのは、騒音対策に「耳栓」を持っていくこと。逆ギレ登山者とケンカになるよりも、無抵抗に受け流したほうがラクなんです。ちょっと悔しいけれど……。それに、イビキをかく人が近くにいる場合も有効です。

撮影:高橋庄太郎(柔らかな化繊のスタッフバッグはレジ袋が立てる耳障りな音と無縁。長く使えるのだから、必要な数を買い揃えてもソンはなし)
自分が「加害者」にならないために、夜になったら不必要な音を立てないようにすることは言うまでもありません。また、朝は気が緩みがちになるのか、夜は静かだった人が大きな声を出してしまうこともあり、注意が必要です。

それと見落としがちなのは、先にも述べたレジ袋。これは静かな山中では驚くほどの騒音源! 個人的には禁止したいくらいですが、しなやかな生地のスタッフバッグを使えば音は立ちません

《2》なんだこの臭い!? 上のスペースから流れてきたのは……

撮影:高橋庄太郎(ひな段のようになった穂高岳山荘のテント場。この写真はイメージで、実際の事件は少しずれた場所で起きました)
次の話は、同じく北アルプスの穂高岳山荘のテント場で経験したことです。

北アルプスでもトップクラスで険しい環境に作られたテント場は、小屋の方々の努力できれいに守られています。それなのに、よろしくない人も利用することがあるようで……。

もしも”催した”とき、悪条件が重なっていたら?

このテント場にはいくつかの特徴があります。ひとつは小さなスペースが段々になっていること。もうひとつはペグも打ちにくい岩石のうえで、その代わり水が浸透しやすいこと。
そして悪天候時に風雨にさらされやすいこと。僕が遭遇した問題は、そのすべての要因が悪い方向で重なって生まれました。

その日の夜は暴風雨。トイレに行きたくなっても、出ていくのがためらわれる状況です。そんなとき、ひとりでテントを使っている男性ならば、「ペットボトル」が活躍します。わかりますよね?

もちろん、よほどの悪条件のとき以外は面倒でもトイレを利用すべきですが、無理にトイレに行こうとして危険な目に合う場合は仕方ありません。この手の処理は昔から山では行われていたことでもあり、汚物は最後に適切な処理をすればいいのです。

撮影:高橋庄太郎(男がトクだと思えるのは、緊急時のペットボトルとの相性! 口が大きいほうが便利ですよね)
ところが! 段々になったテント場で僕の上に泊まっていた40代くらいの男性は面倒くさかったのでしょう。どうやらテントのそばの岩の隙間にペットボトルの内容物(つまり「小」)を流し込んで、立ち去ったようなのです。
僕はテント内にいて、直接その現場を見たわけではありませんが、ペットボトルの中身をジャバジャバと外に流しだす音は聞こえていました。

朝は晴れていました。しかし夜の雨で地中はすでに水がたっぷり浸透しており、それ以上浸透しきれない彼由来の水分は、少しずつ下の段の僕のテントのほうへ流れ出し……。テント場にありえない異臭が漂い始めたのでした。

緊急時の行為でも、常識とマナーは守りたい

小屋の方がきれいに整備してくれ、他の人も利用する場所に、どうして平気で流してしまうのでしょう。下界まで運ぶか、出発前に“内容物”だけ小屋のトイレに捨てさせてもらい、汚れたペットボトルだけゴミとして持ち帰ればいいのに……。

撮影:高橋庄太郎(山小屋のトイレ。通常のトイレ料金を払いつつ、衛生的な配慮をして処理しましょう。注/穂高岳山荘のトイレではありません)
話はズレますが、ソロテント泊ならば、緊急時は携帯トイレを使って「大」すらテント内でできなくもありません。その際、使用後に小屋のトイレに捨てるのはマナー違反! 絶対に持ち帰りましょう。

《3》テントの設営は基本的に「先着順」。それなのに……

撮影:高橋庄太郎(トムラウシ山に近いヒサゴ沼のテント場。中央は僕のテントで、問題はその右前のスペース)
最後は北海道の大雪山系・ヒサゴ沼のテント場での話です。

夏の混雑期のある日、僕はテント場が空いてる早めの時間帯に到着。そして無事に、沼のほとりのよいスペースを確保。昼寝をしているうちに、テント場に多くの登山者が到着してきました。

気付くと、僕のテントの前には石か何かで地面を引っかいて描いた大きな丸がありました。どうやらグループ山行をしている登山者の一団のうち、先についた人が後続の人のためにテント設営の場所取りをしたようなのです。

テント場の場所取りはマナー違反

撮影:高橋庄太郎(上の写真の右下を拡大したカット。青丸の部分が、場所取りのために描かれた丸です)
一部のテント場を除き、山中のテント場は「先着順」。明確な決まりがあるわけではないので、場所取りはルール違反とまでは言いませんが、明らかにマナー違反です。

その線を描いた人は近くにいないようですが、見張っている人はいなくても、ほかの登山者がその上にテントを張ることはないでしょう。それにしても、まだまだテントを張るスペースは残っていた時間帯なのに、気が早いこと……。

撮影:高橋庄太郎(同じ丸を別の角度から。これ以上大きな場所取りが、小屋近くで行なわれていました)
僕はこれまでに何百泊も山中のテント場で寝泊まりしてきましたが、場所取りされているテント場を見ることはそれほどありません。だけど、北海道ではときどき見かけるんですよね? 大雪山系は全国から多くの登山者が集まる人気山域だから、地域性ではないはずなのですが……。

これを機に、テント場の様子が気になった僕は、周囲をうろうろして状況をチェック! すると、そんな大きな丸は僕のテントのそばだけではありませんでした。
人が多くて写真撮影はできませんでしたが、さらに巨大な長方形の場所取りの線もヒサゴ沼避難小屋近くのスペースには描かれていたのです。そして、夜になって問題を起こしたのは、そこで場所取りをしていた人たちだったのでした!

その避難小屋近くの巨大スペースを確保していたのは、札幌の某山岳会。どうやら数パーティに分かれて行動していたようで、いちばん遅い人はなんと21時過ぎに到着。それから大声で宴会を始めました。

その後の流れは、先に述べた「餓鬼岳」とほぼ同じ。別の登山者に注意されて逆ギレした山岳会メンバーの一部は「だから、こんな場所でテン泊なんかしたくなかった!」「つまんねえ!」と叫び始め、興奮が収まらず……。

幸い、同じ山岳会のなかからも騒ぎ立てるメンバーを注意する声が上がり、その後はなんとか静かになったのでした。

継続するテント泊人気。だからこそ、みんなでマナーを守ろう!

撮影:高橋庄太郎(山中のテント場では、テント同士が至近距離。ますますマナーが問われます)
テント場で見かけるマナー違反の登山者は、年代や性別を問いません。ただ、女性よりも男性、若い人よりは年配のほうが多いようです。そして、若い人の多くは注意されればすぐに身を正してくれますが、年配の方には逆ギレする人も珍しくなく、僕も怖くて注意できないほどで……。ほとほと困ることがあります。

それでも近年、登山者のマナーは確実に向上しています。ほとんどの登山者は適切にテント場を利用していますし、これから山のテント場はもっと気持ちよく使えるようになるはずですよ。

ITEM
セフティー3 耳せん (40コ入(20ペア))


ITEM
イスカ スタッフバッグキット

この記事を読んだ人は、こんな記事も読んでいます


紹介されたアイテム

セフティー3 耳せん (40コ入(20ペ…
イスカ スタッフバッグキット
\ この記事の感想を教えてください /
GOOD! BAD

関連する記事

関連する山行記録 byヤマレコ

この記事が気に入ったら
「いいね!」をしよう
高橋庄太郎
高橋庄太郎

山岳/アウトドアライター。高校の山岳部から山歩きを始め、登山歴は30年以上に。好きな山域は北アルプスで、テント泊をこよなく愛する。テレビやイベントへの出演も多く、各メーカーとのコラボでアウトドアギア作りも。『トレッキング実践学 改訂版』『山道具 選び方、使い方』『テント泊登山の基本』など、著書も多数。https://www.instagram.com/shotarotakahashi/

登山専用コミュニティサイト「ヤマレコ」

アウトドアのすべてを、ひとつのアプリで。

150以上のアウトドアメディアの記事や動画、3万枚以上のみんなの写真も見られる!
アウトドアの「知りたい!」「行きたい!」がきっと見つかる!
お気に入りの記事や写真を集めて、スキマ時間に素早くチェック!