《開発者取材》アミアミで有名なドライナミックメッシュの実力を俺たちはまだ知らなかった・・・
今や多くの登山者が着ているミレーのアミアミこと”ドライナミックメッシュ”。その実力はその折り紙付きですが、最近は似たような商品も多く販売されています。そんな中でもドライナミックメッシュが選ばれるのはなぜなのでしょうか?開発者の方に話を伺うと、そこにはミクロレベルでの工夫が隠されていました。
2023/02/28 更新
制作者
YAMA HACK編集部
YAMA HACK編集部 大迫
YAMA HACK運営担当。
六甲山で山歩きをはじめ、関西・中四国の山を中心に歩き回ってきました。
ボルダリングと自然の中を歩くのが好きなギア・ウェア好きです。最近はゴミを拾ったり、子供を背負ったりしながら山を楽しんでいます。
長く山や自然を楽しめるように、情報発信していきます。
YAMA HACK編集部 大迫のプロフィール
アイキャッチ画像撮影:YAMA HACK編集部
売れっ子ウェア”ドライナミックメッシュ”はもう使ってる?

撮影:YAMA HACK編集部(ドライナミックメッシュを着用しての鈴鹿山脈縦走)
登山では、肌を乾いた状態に保つのは重要。そこで多くの登山者から支持を得ているのがミレーから発売されている「ドライナミックメッシュ」。

撮影:YAMA HACK編集部(もはや下山後の温泉で見かけることも珍しくない)
インパクト抜群の見た目だけでなく、快適に登山を楽しむための機能性も抜群。ベースレイヤーの下に着ることで、素早く汗を乾かし濡れを肌から遠ざける役割を担っている。
実はその機能の惚れ込んでYAMA HACK編集部でも6人中4人が愛用中(未使用の1人も最近GET)。
今回ドライナミックメッシュの愛用者の編集部員が、ミレーの本社でドライナミックメッシュの開発者の方に突撃取材。超マニアックだけど知るとおもしろいアミアミの秘密を聞いてきました。

撮影:YAMA HACK編集部(ドライナミックメッシュを着て、いざ突撃)
アミアミに隠された圧倒的ドライ感の秘密とは・・・

撮影:YAMA HACK編集部(ドライナミックメッシュの生みの親)
最近はドライナミックメッシュと同じように、水分を含まない素材であるポリプロピレンを使ったドライインナーが多く発売されています。
なかには、ドライナミックメッシュの半分くらいの価格の商品も・・・。「着比べた感じ、何か違う。でも、なんで違うかがわからない」ということで、ドライナミックメッシュの開発者であるミレー・マウンテン・グループ・ジャパン株式会社の櫻井さんにお話を伺いました。
※この記事では、汗を処理するためのインナーを「ドライインナー」として紹介します。
最近は、ドライナミックメッシュを着た登山者が増えたように感じます。しかし同時にドライナミックメッシュと同じような役割、つまり
「かいた汗を処理するウェア」も増えてきました。
種類がたくさんあるので迷う人も多いと思うんですが、他のドライインナーとドライナミックメッシュって何か違うんですか?正直、低価格はそれだけでうれし・・・。

撮影:YAMA HACK編集部
(思ったよりも勢いが凄い!)具体的には、どんな違いが?
アミアミの部分がまったく違います。主に2つの違いがあるんですけど、そこがドライナミックメッシュの圧倒的な汗を吸い上げる力を生み出しています。

作成:YAMA HACK編集部
これだけだとまったくわからないので、詳しく見ていきましょう。
《秘密①》ミクロにまでこだわった穴の構造

撮影:YAMA HACK編集部
ミクロレベルで見てみると、ニット状に編まれているドライナミックメッシュの繊維には細長い穴が空いています。それが汗を吸い上げる力の違いを生んでいます。
水分の拡散力を穴のカタチで最大化!

作成:YAMA HACK編集部(一般的なドライインナーのイメージ図)
他のウェアの場合、繊維に規則正しく穴を空けているものが多いです。
その場合、糸が同じ力で縦横に伸びると規則正しいまま丸が広がります。

作成:YAMA HACK編集部(ドライナミックメッシュのイメージ図)
ドライナミックメッシュの場合は、細長い穴が空いています。なので、
引っ張られると細長く広がるんです。
これが毛細管現象の力を引き出し、ドライ感を実現しています。
毛細管現象って、細い空間を液体が浸透していくあれですか?植物が根っこから水や養分を吸い上げる時の。
そうです。毛細管現象は、広い所から狭い所にドンドン向かっていきます。なので、規則正しい丸と縦長で比べると、縦長の方が汗の拡散スピードが速いんです。

撮影:YAMA HACK編集部(ドライナミックメッシュの仕組みを再現したもの。どんどん水分を吸い上げます)
ドライナミックメッシュは毛細管現象をうまく機能させ、吸い上げた汗を素早く拡散して乾かすために穴の細長くしています。グングン水分を吸い上げてるでしょ?
普通のTシャツのメカニズムの生地だと穴が均一なので、ここまでブワっと拡散できないんです。
その拡散力は他のスポーツでも実証済!

撮影:YAMA HACK編集部
サッカーをしている人に着てもらったことがあるんですけど、ハーフタイムまで外側のユニフォームをビショビショにできなかったんですよ。
ドライナミックメッシュは水分の拡散力が凄いから、上のウェアに届く前に乾いていることもあるんですよ。水がポタッとつくと、ビュンっと汗が吸われるのも感じられます。真夏の暑い時期でないと、上の服をビショビショにすることは難しいですね。
例えば、大量に汗をかいてドライナミックメッシュの上のウェアが飽和状態(水分を吸えない状態)になった時って、吸い上げられた汗はどうなるんですか?

作成:YAMA HACK編集部
行き場をなくしますね。ただ、ドライナミックメッシュはかさが高く潰れないので、
水分が順番待ちしている間にも乾いていきます。
空気に触れる面が多いので、ウェアに移さなくても乾かすことが可能です。

作成:YAMA HACK編集部
撮影:YAMA HACK編集部
かさが高いというポイントだと、ザックと背中の間の汗をあまり感じないのもいい。汗っかきなので、春夏秋は基本的に背中がびしょびしょ。下手したら冬も・・・
ミレーはザックブランドなので、そこは相互にいい影響を与えますね。
ザックを下ろしたら背中がびっしょりなんてこともあるんですけど、濡れを感じないのであまり汗で冷えることはないですね。
《秘密②》糸の構造が吸水力と着心地に効果大!?

撮影:YAMA HACK編集部
ミクロの世界での工夫には、感謝しかありません。登山者の安全や快適性のために、いろいろと工夫がされているんだと感心します。
しかし、アミアミにはもう一つ隠された秘密が。次は謎のカバーヤーンについて聞いてみましょう。
汗を吸い上げる秘密は”糸”にあり

撮影:YAMA HACK編集部
ずっと気になってたんですが、ポリプロピレンって水分を含まない素材じゃないですか。いくら毛細管現象があるからといっても、それだけであんなに汗を吸い上げるものなんですか?
良い質問ですね。正直、穴だけだとどうしても入っていきにくいので、ドライナミックメッシュは素材の混率の部分で他では真似できない仕掛けをいれています。
それは、ポリプロピレンの糸とポリウレタンにナイロン繊維をグルグル巻いたものを使用していること。

撮影:YAMA HACK編集部(ドライナミックメッシュの糸のイメージ図)
安価なドライインナーを電子顕微鏡で見たことがあるんですけど、繊維がまとまっているだけでカバーヤーン構造になっていないんですよ。
ドライナミックメッシュの場合、ポリウレタン繊維にナイロンを巻きつけている糸の構造のことです。
ポリプロピレンよりも水を吸いやすいナイロンを合わせることで、機能をアップさせているんですね。
ナイロンの効果は着心地にも

撮影:YAMA HACK編集部
実はドライナミックメッシュ以外にもポリプロピレン素材のインナーを使っているんですけど、着心地が全然違っていて、ドライナミックメッシュの方が柔らかいんですよね。
ポリプロピレンは、水分保有率ゼロの素材。つまり、発泡スチロールのような空気のかたまり。つまり、ポリプロピレン100%を着るということは、発泡スチロールを着ているような感じです。
発泡スチロールを着ると思うとなんだか、ゴワゴワしそうですね(笑)。
なので、ここにもナイロンが役立っています。
ナイロンはシルクのような柔らかさがある素材なので、着心地もポリピロピレンだけのものよりもずっと良いんです。
着心地の部分にも、ナイロンは深く関わっているんですね。
他にも、伸縮性に優れるナイロンと合わせることで生地にコシをプラス。耐久性にも貢献しています。
使い勝手良すぎ?相手を選ばない機能性

撮影:YAMA HACK編集部
アミアミに隠された秘密がわかるにつれ、その凄さに感動です。いろいろ話を聞いているうちに、あることに気づきました。
実は、上に着るウェアを選ばない

撮影:YAMA HACK編集部(ミレーの社員さんは普段から着用している人も多いそう)
素材も吸水速乾のものを選択することが重要です。
こう書いているんですけど、これってつまり、ドライナミックメッシュから汗を移し続けられるように飽和状態になりにくい素材(素早く乾く、保水力が高い)を着てくださいということですよね?
もちろん登山の場合はたくさん汗をかくので、吸水速乾性のウェアや保水力が高いメリノウールを選ぶんですけど、たくさん汗をかかないようなシーンの場合、綿でも着れるとか?
はい。クライマーの方は綿を着たがる人がいるんですけど、そういう人にも喜ばれていますね。社員も普段から着ている人多いですよ。

撮影:YAMA HACK編集部(お仕事中、快く撮影にご協力いただいたミレーの社員さん)
僕も着用中なんですけど、空気の層ができるからか温かいんですよね。
それはありますね。それに消臭糸を使っているので、においも出にくいですよ。
しかも、素材が持つ「水を含まない」という機能を生かしたアイテムなので機能が低下しにくいのも嬉しいポイントですね。
長く使ってもらえる、アウトドアフレンドリーな商品です。
※登山などの、発汗量が多い場合は速乾性やメリノウールのウェアなどと組み合わせましょう。
知れば知るほどドライナミックメッシュが離せない!

撮影:YAMA HACK編集部
櫻井さんに「こんなにぶっちゃけると真似される可能性もゼロではないと思うんですけど、どこまで記事にしていいですか?」と聞くと、
全部書いていいですよ。また、新しいものを作ればいいんですから。
と、商品開発者の鑑の一言。
にドライナミックメッシュが選ばれる理由がありました。
安全に登山を楽しむため、インター選びは大切です。まだ試してみたことがない人は、ぜひドライナミックメッシュを使ってみてください。
《メンズ》
■ドライナミック メッシュ ノースリーブ クルー
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ドライナミック メッシュ ショートスリーブ
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ドライナミック メッシュ 3/4 スリーブ クルー
ドライナミック メッシュ 3/4 スリーブ クルー
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ドライナミック メッシュ ボクサー
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ドライナミック メッシュ 3/4 タイツ《レディス》
■ウィメンズドライナミック メッシュ タンクトップ
【ウィメンズ】ドライナミック メッシュ タンクトップ
■【ウィメンズ】ドライナミック メッシュショートスリーブ
【ウィメンズ】ドライナミック メッシュショートスリーブ
■ウィメンズ】ドライナミック メッシュ 3/4 スリーブ
【ウィメンズ】ドライナミック メッシュ 3/4 スリーブ
■【ウィメンズ】ドライナミック メッシュ ショーツ
■【ウィメンズ】ドライナミック メッシュ 3/4 タイツ
【ウィメンズ】ドライナミック メッシュ 3/4 タイツ
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