ファーストクラスの背負い心地!? ミレーの定番ザック「サースフェー」
背負い心地の良さに定評がある<MILLET(ミレー)>のトレッキングバックパック。その中でも、今やミレーの定番とも言われるほど人気のモデルが「サースフェー」です。
公式サイトを見てみると、そこにはこんなキャッチコピーが。
ファーストクラスの背負い心地
行く場所や背負う人を選ばない
ミレーの定番・登山用バックパック
これって、実際どんな感じなのでしょうか?
人気の理由を探るべく、気になる背負い心地と、各種機能を様々な角度からをチェックしてみました。
快適性を左右する各パーツの特徴をチェック!
まずは、バックパックの背負い心地の肝となるパーツや構造を見てみましょう。いったいどんな工夫がされているのでしょうか。
背面クッション|柔らかでドライな肌当たり
背中に直接当たる部分はクッション性が良いに越したことはないですが、通常のスポンジの場合、雨や汗で水を溜め込み重くなってしまいます。サースフェーは、“フィルターフォーム”という水はけのいいクッション材を使用し、クッション性と排水性、軽量性を実現。
実際に触ってみると、しっかりとしたクッション性を感じます。また、クッション部以外は、メッシュになっているので通気性がよく、蒸れにくい構造になっています。
ハーネス、スタビライザー類|自然な荷重をサポート
ショルダーやヒップなど、基本的なハーネスにもしっかりとクッションが入っています。それぞれ十分な長さ・太さがあって体になじみやすく、スタビライザーが付いているので、フィット感の細かい調節が可能です。
突出した工夫はないですが、基本に忠実で「抜かりない」という印象ですね。
実際に荷物を入れてチェック! 気になる背負い心地をレビュー
なにかと荷物が多い冬から春の中低山の日帰り~小屋泊りを想定したパッキングで、背負い心地を体感してみました。用意した装備は、レインウェアをはじめとして、軽アイゼン、防寒用のダウンジャケット、クッカー、バーナー、ツェルトなど。ファスナーで仕切れる可変2気室構造なのでパッキングしやすく、きれいに収まりました。
なお、筆者の身長は176cm、使用したのは「サースフェー 30+5」のMサイズです。
体にフィットし、荷重を分散
■正面から
ショルダーハーネス、ヒップベルトともにしっかりと体に沿って固定できています。バックパックの重さを感じさせません。
■後ろから
ミレーのバックパックの特徴である、縦長のフォルムが際立っています。自然と重心が中心にくるので、重い荷物でもブレにくい印象。きれいにパッキングできるので、見た目もすっきり。
■横から
背面パッドが背中にピッタリと収まり、背中全体で背負っている感覚。とっても心地いいです。
■肩まわり
ショルダースタビライザーにより、トップリッド(天蓋)が体側に引かれて、自然と肩に沿っています。
■腰まわり
ヒップベルトのランバーパットのクッション性がいいので、強く締めても痛くありません。長く歩いた時、腰が擦れて痛いようなことも少ない印象です。
歩いたりゆすったりしても、安定感あり
総じて、『ファーストクラスの背負い心地』なのか?
正直なところ、ファーストクラスに搭乗したことがない筆者には、その形容がわかりませんが、フィット感の良さはさすがミレーという感じです。
背面パッドやショルダー、ヒップなどの形状や材質もさることながら、フィッティングのための、ハーネスやスタビライザーの調整がしやすい長さ・太さであることも、フィット性の良さの要素を向上させているようです。
さすが定番!「サースフェー」には使い勝手のいい機能が充実
ミレーの定番バックパックと言われる所以は、背負い心地だけにはとどまりません。筆者が注目した便利な機能をいくつか紹介します。
岩に擦れても大丈夫!2種類の生地で耐久性と軽量性を両立
グレーで統一されたサイド部分は、軽量でありながら、裂けても広がらないダブルリップストップナイロンを使用。岩に擦れたり、枝に引っ掛かたりして傷つきやすいトップから配面のカラー部分は、強靭なコーデュラナイロンを使用しているので、バックパックを心配することなく、思い切り藪漕ぎや岩登りができます。
バックパックが伸びる!容量が増える!
トップリッド(天蓋)の接続が可変になっているので、上の画像のように、上に伸ばして容量を増やすことができます。これが、商品名の「+5」の意味です。
登山途中、暑くなってジャケットをしまう場合、容量を増やせると便利。また、岩場まで使用しないヘルメットのパッキングにも不自由しません。その日の山行に合わせてアレンジできるのはうれしいですね。
水筒の出し入れ簡単!イージーアクセスポケット
登山中、水筒の出し入れは意外と面倒。背負ったままだと手が届かず、サイドポケットから上手く取り出せないなんてことも。
サースフェーには、“イージーアクセスポケット”というサイドポケットが付いています。上の画像のように横から水筒出したり、入れたりすることができ便利。
今回ステンレスボトルを使用したので、頭が少々引っ掛かり入れにくかったのですが、頭が細いタイプのボトルであれば、スムーズに出し入れできそうです。
腕の重さを分散&むくみ軽減!ミレー定番の“ハンドレストループ”
かなり便利!大型フォールディングポケット
最近では、腰のランバーパッド部分には小物入れ的なポケットが付いていることがほとんどですが、サースフェーはなんと、折り畳み式で縦に伸ばすことができます。
上の画像のように、登山地図の定番・昭文社の「山と高原地図」も楽々収まる大きさ。大きめのスマートフォンも入るサイズで、かなり使えそうです。
ポケットを延ばすことができるのは左側だけですが、両側ともベルクロで浮かすことができ、余ったヒップベルトを簡単に収納できる点も便利です。
切り離し可能なコンプレッションストラップ
コンプレッションストラップは、バックルで切り離し可能。トレッキングポールなどを固定するとき、ここが外れないと上から差し込む必要があり地味に不便です。サースフェーのコンプレッションストラップは、上下左右4本とも切り離し可能になっています。
ココが惜しい!
様々なポイントを確認し、大きな欠点は見出せませんでしたが、あえて残念な点を挙げるとすると・・・
イージーアクセスポケットが右側だけにしかないこと。
水筒を背負ったまま出し入れできる“イージーアクセスポケット”は右側だけに搭載。左側は、ジッパーポケットがあるためなのか、かなり浅いのです。水筒を収めるのは、必然的に右側だけになりそうです。左利きの人は使いにくいかもしれません。個人的には両側にほしかったですね。
とは言え、致命的なポイントではなく、「できれば・・・」というレベル。
紹介した以外にも、ハイドレーションシステム対応、レインカバー搭載、チェストストラップのバックルがホイッスルになっているなど、機能満載のサースフェー。登山に必要な機能がびっしり詰まっており、定番人気である理由がよくわかります。
日帰りから長期縦走まで 「サースフェー」全ラインナップ
サースフェーは容量やサイズ展開が豊富なので、登山スタイルや自身の体型に合ったモデルを選ぶことができます。カラーバリエーションが充実しているのもうれしいですね。
サースフェーのサイズ展開をちょっと解説
サースフェーの背負い心地の良さをチェックしました。しかし、バックパックの背負い心地の基本は、背面長を合わせる事が前提。いくら、高機能なバックパックでも正しい背面長を選択しないと意味がありません。
参考のために、サースフェーのサイズ展開を表にしてみました。なお、60+20は、背面が可変で調節できるようになっています。
女性用のLDは、背面長が短いとともに、ショルダーやヒップのハーネスなど、女性の身体にフィットするように作られています。
今回、身長176cmの筆者は、Mサイズを背負いました。正直なところ、もう少し背面長があってもいいかなとも感じました。実際にフィットするかどうか、ショップで確認することをおすすめします。
背負えば納得の快適性!迷ったら「サースフェー」で決まり
もともと定評があるミレーのバックパック。その中でも、定番と言われる「サースフェー」を実際に使ってみた感想は『やっぱり間違いない!』ということ。背負い心地や使い勝手の良さを考えると、バックパックとしての完成形と言っても過言ではありません。
初心者からベテランまで、どんな人にもおすすめできるモデルです。バックパックを何にしようか迷っているなら、ぜひ候補のひとつにしてみては。