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伯母子岳

伯母子岳|奥高野の隠れた名山。歴史を感じながら絶景を堪能

熊野古道 小辺路の一部としても知られている伯母子岳。アクセスが困難で奥深い場所にあるその山は比較的登山者の少ない山ですが、実は登山道や山頂からの美しさは格別の隠れた名峰。萱小屋跡や上西旅籠跡など、古い歴史を感じながらの静かな山歩きを堪能できます。今回は熊野古道の一部でもある大股登山口から登るコース、さらに標高差も少なく初心者でものんびり山歩きを楽しめる奥千丈林道登山口から登るコースを紹介します。

目次

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、山小屋営業ならびに交通状況などに変更が生じている可能性があります。
山小屋や行政・関連機関が発信する最新情報を入手したうえで登山計画を立て、安全登山をしましょう。
アイキャッチ出典:PIXTA

【熊野古道 小辺路】の通り道、伯母子岳(おばこだけ)

伯母子岳 遠景
標高山頂所在地最高気温(6月-8月)最低気温(6月-8月)
1,344m奈良県野迫川村・十津川村9.7℃23.8℃
参考:ヤマレコ

伯母子岳は紀伊山地西部・奥高野の山であり、日本二百名山の一座。山頂からは360度のパノラマが広がり、奥高野随一の展望を誇ります。熊野古道・小辺路(こへち)を通る登山コースもあり、名所旧跡など歴史的な側面があるにも関わらず、アクセスの悪さから訪れる人が少ない静かな山でもあります。

熊野古道の中でも厳しいルート【小辺路】

熊野古道 マップ

熊野と各地を結ぶ熊野詣の道の総称である熊野古道。そのうちの、高野山と熊野本宮までを最短距離で結ぶ街道を熊野古道・小辺路といいます。最短ルートといえども、1,000m級の峠越えがあるかなり険しい山岳道。伯母子岳はその小辺路で山越えをする一座です。

熊野古道についての詳細はコチラ

熊野古道には熊の出没情報アリ!

伯母子岳 紀伊山地 ツキノワグマ
出典:PIXTA(ツキノワグマ)

熊野古道は熊の生息域となっています。伯母子岳周辺でも熊の目撃情報があるため対策は必須。登山者の少ない山であるため、熊鈴や熊よけスプレーなどを必ず携行しましょう。

伯母子岳の天気と地図をチェック

人の少ない山へ行く際には、より事前の準備が大切になります。天気をしっかりと確認し、地図は必携です。

伯母子岳のふもと(田辺市)の10日間天気

日付09月27日
(水)
09月28日
(木)
09月29日
(金)
09月30日
10月01日
10月02日
(月)
10月03日
(火)
10月04日
(水)
10月05日
(木)
10月06日
(金)
天気晴
曇のち晴
曇のち晴
晴
晴時々曇
晴時々曇
曇のち晴
曇のち晴
晴時々曇
晴時々曇
晴時々曇
晴時々曇
曇時々晴
曇時々晴
曇
曇時々晴
曇時々晴
気温
(℃)
31
22
31
24
31
22
29
20
30
21
27
18
27
15
28
20
29
21
26
19
降水
確率
20401040301020403020

伯母子岳の登山指数

日付09月28日
(木)
09月29日
(金)
09月30日
10月01日
10月02日
(月)
登山
指数
A A A A A
登山指数の留意点

登山をするための快適さを、山頂や山麓の気象条件から、気象学的知見を用いて登山指数A~Cで表現をしています。降水量、風速、雲量などを総合的に考慮し、気象条件を独自計算したものです。
ただし、以下のリスクは含まれておりません。

  • 雷の発生の可能性
  • 前日の天気による道のぬかるみ
  • 局地的大雨
  • 土砂災害の発生の可能性
  • 雪崩の発生の可能性
  • 噴火の可能性
  • 積雪の有無
  • 濃霧
  • 低温または高温
  • 虫やヒルなどの発生状況

山の天気は大きく変わりやすいため、登山指数はあくまで目安としてご利用頂き、最新の気象データや天気図、各登山道情報をご確認ください。
なお、本情報に基づいた行為において発生したいかなる人物の負傷・死亡、所有物の損失・損害に対する全ての求償の責は負いかねます。ご了承下さい。

伯母子岳周辺の山と高原地図

アクセス困難…でも登りたい3つの魅力

紀伊山地の奥深くに位置する伯母子岳は、アクセスが非常に悪いという難点があります。それでも、どうしても登りたくなる魅力があるんです。

【魅力①】絶景を独り占め!

伯母子岳 山頂からの眺望

アクセスが悪く奥深い山のため訪れる人が少ない分、静かな山を楽しめる伯母子岳。さらに、山頂からは、西には和歌山県最高峰の護摩壇山、 東には大峰山、北には高野山の大パノラマを堪能できます。平日はさらに登山者が少なく、その絶景を独り占めできる可能性大!

【魅力②】歴史の面影を感じる施設跡

施設跡

熊野古道の一部 ・小辺路を通ることができ古の雰囲気を感じることができるのも魅力のひとつ。歴史のある様々な施設の跡が残っているので歴史好きにもおすすめです。

【魅力③】気持ち安らぐブナ林

ブナ林

ブナ林が続く伯母子岳の登山道は、傾斜のゆるい箇所も多く、静かにゆったりと森林浴を楽しめます。視界の開けた尾根からは、熊野の山々の美しい稜線の眺めに癒されるでしょう。

【熊野古道 小辺路を通る】大股登山口コース

まず、熊野古道・小辺路の一部を通る大股登山口コースを紹介します。歴史ある登山道ですが、急坂もあり登山経験者向けのコースとなっています。

合計距離: 12.83 km
最高点の標高: 1317 m
最低点の標高: 659 m
累積標高(上り): 2337 m
累積標高(下り): -2337 m

【体力レベル】★★☆☆☆
日帰り
コースタイム:5時間20分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★☆☆☆
・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
凡例はこちらをクリック:グレーディング表

大股(50分)→萱小屋跡(115分)→伯母子岳(15分)→伯母子峠(100分)→萱小屋跡(40分)→大股

伯母子岳 登山口
登山口へは駐車場から橋を渡り、集落を通り抜けて向かいます。民家の横から登山口へと向かう舗装路を進みましょう。
伯母子岳 登山口
提供:ヤマレコ/tetu6429
登山道の始まる登山口には道標があり、よく整備されているため迷うことはないでしょう。序盤から林の中の傾斜のややきつい坂を進みます。
伯母子岳 萱小屋

登山口から作業道に近い雰囲気の道幅の広い登山道をジグザグに30分ほど登ると萱小屋に到着です。丸太のベンチがあるので休憩するのも◎。

伯母子岳 山頂への登り
萱小屋からも樹林帯の中をひたすら登ります。伯母子岳分岐を伯母子岳山頂の方へと向かい山頂手前の急坂を上がれば山頂へ到着。
伯母子岳 眺望
広々として視界の開けた山頂からは奥高野の山々、大峰山、釈迦ヶ岳などが一望できます。紀伊山地の山々を眺めながら一息つきましょう!
伯母子岳 伯母子峠 避難小屋
下りは伯母子峠を経由して戻ります。峠には宿泊可能な無人の避難小屋とトイレもあります。峠から再び小辺路を歩き、大股登山口へと戻りましょう。なお健脚者向けですが、ここから三浦峠を越えて十津川温泉まで縦走し、小辺路をもっと堪能することも可能です。

少し足を延ばして、上西旅籠跡へ

上西旅籠跡
伯母子峠から約往復2時間の場所には、上西旅籠跡があります。 上西家とは、江戸初期に街道上の旅籠として栄えていた歴史ある旅籠。現在も石垣と杉の古木が残る風情のある史跡です。なお、伯母子峠からのルートが崩落している場合には迂回路を利用することとなります。

【ゆったり歩きやすい】奥千丈林道登山口コース

続いて、奥千丈林道登山口コースの紹介です。大股登山口コースに比べ距離は長いですが、標高差も少なく登山道も広く整備されているため、歩きやすく初心者でもチャレンジ可能。

合計距離: 14.93 km
最高点の標高: 1312 m
最低点の標高: 1160 m
累積標高(上り): 1596 m
累積標高(下り): -1628 m

【体力レベル】★★★☆☆
日帰り
コースタイム:8時間45分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★☆☆☆
・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
凡例はこちらをクリック:グレーディング表
奥千丈林道入口(120分)→伯母子岳遊歩道入口(145分)→伯母子峠(20分)→伯母子岳(120分)→伯母子岳遊歩道入口(120分)→奥千丈林道入口
奧千丈林道登山口

奧千丈林道登山口付近には駐車場がないため林道脇に路駐して登山スタート。写真左側の遊歩道を進むと、登山口に到着します。登山道は整備され、広くて歩きやすいため、ゆったりとした森林浴が楽しめます。

伯母子岳 登山
登山口から口千丈山までは標識もしっかりと設置されていて安心。ミズナラやブナの林の中を緩やかに登っていきます。
伯母子岳 登山 口千丈山

徐々に標高を上げていくと、最初のピークである口千丈山に到着。山頂といえども木々に囲まれていて展望はありませんが、1331.3mの三等三角点があります。

牛首の峰手前
いくつもの小ピークを越えて山頂を目指しましょう。山頂手前までは緩やかなアップダウンの山歩きとなります。牛首の峰手前あたりからは、遠くの山々まで尾根の連なる風景を楽しむことができますよ。
牛首の峰通過後の景色
牛首の峰を過ぎれば、やがて正面に伯母子岳が見えてきます。その後、伯母子峠を経て短い急登を登れば山頂です。
伯母子岳山頂
出典:PIXTA(伯母子岳山頂)
山頂からは大峯奥駈道主峰・八経ヶ岳~釈迦ヶ岳の稜線も見え、まさに大展望が待っています。はるか遠くにごまさんスカイタワーまでも見えますよ。
伯母子岳山頂からの景色
人の少ない山頂は静かでゆっくりと景色を眺めるのに最適。晴れていれば、奥千丈林道登山口からの尾根や、さらに奥には護摩壇山を望むことができます。

伯母子岳登山で利用できる小屋・温泉情報

熊野古道の一部であるため、巡礼者のための山小屋が随所にあります。また山麓には温泉もあるので要チェック。

萱小屋跡 避難小屋

萱小屋跡 避難小屋
かつては数戸の茶屋があったとされる萱小屋跡。現在は避難小屋として利用することができ、小屋の裏には水場もあります。地元の方が整備、維持してくれているため丁寧に利用しましょう。
住所:奈良県吉野郡野迫川村

伯母子峠 避難小屋

伯母子峠 避難小屋
伯母子峠には宿泊できる無人の山小屋と、別棟になったトイレがあります。水場は三田谷側に5分程下ったところを利用できますが、枯れている場合もあるので注意しましょう。
問い合わせ先:0747-37-2101(野迫川村役場 地域振興課産業係)

登山の後はやっぱり温泉に入りたい!

伯母子岳 温泉
出典:PIXTA

登山の後はやっぱり温泉に入って汗を流したいですよね。伯母子岳周辺には良質な温泉がたくさんあります。登山の疲れを癒してリフレッシュするのにおすすめ。

【ホテルのせ川】

伯母子岳 日帰り入浴

日帰り入浴の利用も可能なホテルのせ川。アルカリ度の高い柔らかな泉質は刺激が強くなく、歩いて疲れた身体をゆっくりと休めるのに適しています。宿泊者には大股登山口までの送迎も行なっているので、利用したい場合は事前に確認しましょう。

住所:奈良県吉野郡野迫川村北今西426
電話番号:0747-38-0011
《日帰り温泉情報》
営業時間:11:00~19:00(閉館20:00)、12~翌3月は~18:00(閉館19:00)
定休日:点検期間(お問合せください)
料金:大人600円、子ども300円

【龍神温泉郷】

伯母子岳 龍神温泉郷
出典:PIXTA(龍神温泉郷)

高野龍神国定公園の日高川沿いに位置する龍神温泉郷。「日本三美人の湯」として有名な泉質はナトリウム炭酸水素塩泉で、肌触りががツルツルとする湯質が特徴。元湯には内湯の他、景色の良い露天風呂もあります。

伯母子岳へのアクセス情報

伯母子岳登山口への交通の便は非常に悪いもの。蛇行道の続く山道は道幅も狭く予想以上に時間がかかります。時間に余裕を持って出発しましょう。

奥千丈林道登山口

岸和田IC→国道480号→国道371号(龍神スカイライン)

【駐車場】

駐車場はありません。登山口周辺に数台駐車可能です。

大股登山口

岸和田IC→国道480号→国道371号(龍神スカイライン)→弓手原→大股

【駐車場】

登山口周辺に4台ほどの駐車スペースがあります。

伯母子岳で静かな山と絶景を堪能しよう!

伯母子岳 登山
出典:PIXTA(伯母子岳)

アクセスの悪さゆえに、秀峰ながらも登山者の少ない伯母子岳。熊野古道歩きで古え人に思いを馳せ、登山の疲れを温泉で癒すのも魅力的です。是非、静かな山歩きを楽しみに伯母子岳へ出かけてみてください!

【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。(足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。)
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。