遭難10日目「神戸の高校生、大峰山遭難事故の捜索、本日で打ち切り」まじかよ、おれたち生きてるよ…

気づけば遭難から10日も経っていました。ラジオからは捜索打ち切りの知らせが流れ、極度の空腹と、寒さ、そして幻覚や幻聴が止まらなくなり、全員が平常心を保つのが不可能な状況になっていました。
子供の声が聞こえる…。幻覚や幻聴が止まらない。遺書を書きはじめた

子供の声が聞こえる・・・橋を見つけたよ!……水道の蛇口があるよ……お経が聞こえてくる……。私たちは4人とも幻覚と幻聴が見えている状態でした。食料もすでになく、「もう死ぬんだな」と全員が声をかけあうわけでもなく、それぞれ遺書を書き始めたのです。死を覚悟した、いや、半ば生きることを諦めかけていたのかもしれません。
その時だった。「あの滝にひっかかっているモノ、なんですかねえ?」10日目にして奇跡の救出へ

一瞬、幻聴かと思いました。遺書を黙々と書いていた手が止まり、4人で顔をあわせました。足音と共に、会話が聞こえてきたんです。それは幻聴ではなく捜索を切り上げ引き返す、救助隊の方だったのです。大滝にロープで垂らしておいた黄色いポンチョを偶然発見し、私たちは10日目にして奇跡の生還を果たしました。
しかし、そこからがキツかった。マスコミからの追求、数百万に登る捜索請求…。その全貌は第二弾で!

救出されてホッとしたのは束の間、私たちを待っていたのはマスコミや学校からの追求、無期限停学処分、そして高級車は軽く1台は買えるであろう救助費用の請求でした。
自分たちを助けてくれた救助隊長に、2016年再会も。

2016年の秋には、私たちを助けてくれた当時の隊長に再会もしました。下山後のマスコミ、学校からの追求や隊長との再会エピソードは第二弾でお伝えします。
▼第二弾はこちら
遭難は誰でも起こりうる。どうか十分な準備と、過信をしすぎず自分の力を見極め行動を

私は、自分の力量を過信し、尚且つ様々な情報を的確に分析し判断をせずに道迷いを起こしてしまいました。年々増加する山岳事故。どうか十分な準備と、状況判断をして山を楽しんでほしい。
by jyunntarouさん
道迷い対策・遭難の際に対応にあたって
今回ご紹介した内容は、実話に基づく情報であり対応方法など推奨するものではありません。必ず、経験や体力にあったルートの作成、装備の準備など、事前準備を行いましょう。また、是非お近くの山岳連盟や登山用品店が開催している地図読み講座や安全登山対策講座に参加し知識と経験を積んで、万が一の時に対応できるように備えましょう。
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