自分に合った登山保険を選ぶために必要な2ポイント

自然に触れ、気分もリフレッシュできる登山。楽しいことばかりではなく、時には危険にさらされることもあります。怪我や遭難事故は毎年多く発生しており、遭難すると救助にかなりの金額がかかってしまうことも。そのため、登山をするときは必ず保険に入ることをおすすめします。
《1》一般登山向けか、本格登山向けの保険か
登山保険には大きく分けて2つのタイプがあります。1つは、ハイキングや軽登山のような一般的な山行を目的とした人向けの保険。2つ目は、アイゼンやピッケルなどの登山用具を必要とする、雪山登山や登攀といった本格的な山を登る人向けの保険です。
《2》1日単位の掛け捨て契約か、年間契約か
保険期間にも、単発と年間契約の2つのタイプがあります。
単発で契約するタイプは、年に数回ぐらいの登山を楽しむ人におすすめ。1日数百円で契約できるものもあります。
年間契約は、頻繁に登山をする人におすすめの契約プラン。月払と年払の2種類用意している保険会社もあります。月払の場合は、月ごとに解約できるプランが多いので(※プランによって解約条件が異なるので注意)、夏山だけなど特定のシーズンのみ登山をするにおすすめです。1年を通して登山をする人は年払の方がお得な場合もあるので、保険料や保険内容、解約時の手続きなど事前にチェックしておきましょう。
それぞれの契約タイプごとに比較表を作成しているので、保険料と補償限度額を見比べてみましょう。ここでは、おもに遭難した時の捜索費用である「遭難救助費用または救援者費用(※種類によって名称が異なります)」の金額を比較しています。
▼1日単位の掛け捨て契約
保険名 | 対象 | 契約期間 | 保険料 | 補償限度額 |
---|---|---|---|---|
モンベル 野あそび保険 | 一般登山 | 1泊2日〜6泊7日まで | 250円、500円 | 救援者費用 300万円まで |
YAMAP 外あそびレジャー保険 | 一般登山 本格登山 | 7日、30日、90日 | 580円、1,470円、2,630円 | 救援者費用 300万円まで |
ドコモ ワンタイム保険 | 一般登山 | 1日または1泊2日 | 590円 | 救援者費用 200万円まで |
ソフトバンク レジャー・スポーツ保険 | 一般登山 | 1日 | 300〜600円 | 救援者費用 100〜200万円まで |
やまきふ ワンタイム保険 | 一般登山 | 1日〜3泊4日まで | 660〜1,600円 | 救援者費用 100万円まで |
▼年間契約
保険名 | 対象 | 契約期間 | 保険料 | 補償限度額 |
---|---|---|---|---|
モンベル 野外活動保険 | 一般登山 | 1年 (3年と5年もあり) | 年払:3,420〜65,360円 | 救援者費用 500万円まで |
YAMAP 外あそびレジャー保険 | 一般登山 本格登山 | 1年 | 年払:5,840円 | 救援者費用 300万円まで |
やまきふ エキスパート保険 | 一般登山 本格登山 | 1年 | 年払:10,000円 | 救援者費用 500万円まで(※登山届の提出で1,000万円まで) |
日本山岳共済会 ハイキングコース | 一般登山 | 1年 | 年払: Ⅰタイプ2,620円 Ⅱタイプ6,930円 (※途中加入は料金に変動あり) | 救援者費用 500万円まで |
ABC少額短期保険 レスキュー費用保険 | 一般登山 本格登山 | 1年 | 年払:4,000円 | 捜索・救助費用 300万円まで |
Yahoo!保険 ちょこっと保険 山大好きプラン | 一般登山 | 1年 | 月払:300〜1,110円 | 救援者費用 100〜500万円まで |
三井住友VISAカード ポケット保険 トレッキングコース | 一般登山 | 1年 | 月払:460〜1,610円 | 救援者費用 100〜500万円まで |
楽天 超簡単保険 アウトドアプラン | 一般登山 | 1年 | 年払:1,750〜10,210円 | 救援者費用 100〜300万円まで |
ほかにも個人賠償責任保障や携行品保障などもそれぞれ保険の種類によって変わってくるので、あくまでも表を参考にして各保険の内容を詳しくみてみましょう。
それではそれぞれの契約タイプごとに、全13種類の山岳保険の特徴や補償内容についてご紹介していきます。
ご自身の登山スタイルにマッチした保険を探してみてください。
1日単位の契約タイプ|お試し加入にもおすすめ4選
モンベル 野あそび保険

■保険期間:1泊2日~6泊7日
■保険料:250円、500円
■補償内容:死亡保険、後遺障害保険、入院保険、手術保険、個人賠償責任、携行品損害賠償、救援者費用等補償
■ネット申し込み:可
ハイキングやトレッキングなど軽登山をする方におすすめの登山保険。手ごろな値段で最低限の補償がついています。モンベルメイト(無料)への加入が条件となります。
YAMAPアウトドア保険|外あそびレジャー保険
期間 | 個人またはグループプラン | 家族プラン |
---|---|---|
7日 | 580円 | 1,570円 |
30日 | 1,470円 | 3,940円 |
90日 | 2,630円 | 7,080円 |
対象種別 | 金額 |
---|---|
傷害保険 (ケガの補償) | 傷害部位症状ごとに 1人あたり 最大30万円 |
遭難捜索費用 (レスキュー費用の補償) | 1人あたり 最大300万円 |
■保険期間:7日、30日、90日
■保険料:【7日】580円(個人、グループプラン)、1,570円(家族プラン)、【30日】1,470円(個人、グループプラン)、3,940円(家族プラン)、【90日】2,630円(個人、グループプラン)、7,080円(家族プラン)
■補償内容:傷害、遭難捜索費用、救援者費用
■ネット申し込み:可
個人だけでなく、グループや家族での申し込みができます。グループのリーダーの方は全員分の手続きをまとめて行うことが可能。また、家族プランは個別に加入するよりも保険料がお得になります。
7日プランだけでなく、30日、90日の中期プランがあるのが他の保険と異なる部分。登山をする期間が限定的な方には嬉しいプラン設定です。
レジャー保険以外に、アウトドア道具の破損を保証してくれる「アウトドア家財保険」も用意されています。登山やキャンプなどアウトドア活動中の道具破損はもちろん、家具・家電も対象になるので、気になる方は併せてチェックしてみましょう。
ドコモ ワンタイム スポーツ・レジャー保険

■保険期間:1日、1泊2日
■保険料:
・しっかりプラン:590円
■補償内容:死亡・後遺障害、入院日額(手術)、賠償責任、携行品損害、救援者費用等(しっかりのみ)
■ネット申し込み:可
15歳以上で、iモード契約が保険加入の条件となる登山保険。簡単に登録でき、毎月の携帯代と一緒に支払えるので便利です。救援者費用は「しっかり」のみなので、こちらの加入がおすすめです。
ソフトバンク スポーツ・レジャー保険

■保険料:
・ちょこっとプラン:300円
・あんしんプラン:450円
・しっかりプラン:600円
■補償内容:傷害死亡・後遺障害、傷害入院保険、賠償責任、携行品損害(しっかりプランのみ)、救援者費用
■ネット申し込み:可
ソフトバンクの携帯を利用している人におすすめの保険。ハイキングでの事故から地震などの天災の事故までも対象です。My SoftBankからいつでも簡単に申し込めるため、手軽にできるのがポイント。
やまきふワンタイム

■保険期間:日帰り、1泊2日、3泊4日
■保険料:
・日帰り:660円
・1泊2日:990円
・3泊4日:1,600円
■補償内容:傷害死亡・後遺障害、傷害入院、傷害手術、賠償責任、救援者費用
■ネット申し込み:可
日帰りから、3泊4日までの短期間加入できる登山保険。地震や噴火によるケガについても補償されます。各日の会員数に上限があるので、できるだけ早めに申し込みましょう。
年間契約タイプ|1年を通して頻繁に登山へ行く人におすすめ8選
モンベル 野外活動保険
▼補償内容
▼プランの料金
■保険期間:1年、3年、5年
■保険料(年払):[1年]3,420円~65,360円
■補償内容:死亡・後遺障害、個人賠償責任、救援者費用等補償、入院保険金(安心プランのみ)、通院保険金(安心プランのみ)、傷害医療費用(安心プラン、スタンダードプランのみ)、携行品損害賠償(安心プランのみ)
■ネット申し込み:可
モンベルメイトの加入が条件になります。仕事中の事故を除き私生活のみを補償する「就業中対象外プラン」と、就業中か否かを問わず補償する「24時間補償プラン」があります。ピッケル、アイゼンを使用する登山は対象外です。
YAMAPアウトドア保険|外あそびレジャー保険
契約期間 | 個人プラン | 家族プラン |
---|---|---|
1年 | 5,840円 | 15,730円 |
対象種別 | 金額 |
---|---|
傷害保険 (ケガの補償) | 傷害部位症状ごとに 1人あたり 最大30万円 |
遭難捜索費用 (レスキュー費用の補償) | 1人あたり 最大300万円 |
■保険期間:1年
■保険料(年払):5,840円(個人プラン)、15,730円(家族プラン)
■補償内容:傷害、遭難捜索費用、救援者費用
■ネット申し込み:可
個人だけでなく家族での申し込みができ、個別に加入するよりも保険料がお得になります。
レジャー保険以外に、アウトドア道具の破損を保証してくれる「アウトドア家財保険」も用意されています。登山やキャンプなどアウトドア活動中の道具破損はもちろん、家具・家電も対象になるので、気になる方は併せてチェックしてみましょう。
やまきふ|エキスパート保険

■保険料(年払)=10,000円
■補償内容= 傷害死亡、後遺障害(1〜3歳)、入院、手術(入院時と外来時)、賠償責任、救援者費用
雪山やクライミング中の事故にも対応しているエキスパート保険。登山届けの提出で、救援者費用は1,000万円までの高額補償となります。登山やハイキングはもちろん、災害特約付きなので地震や噴火の際のケガまでも補償対象。また、登山時のほかに日常生活での法律上の賠償責任も補償されます。
日山協山岳共済会 山岳保険

■保険期間:1年(中途加入可能)
■保険料(年払):Iタイプ:2,620円、Ⅱタイプ:6,930円(※途中加入は料金に変動あり)
■補償内容:傷害死亡・後遺障害、救援者費用、傷害入院保険、傷害手術保険、傷害通院保険、日常生活賠償
■ネット申し込み:可
日本山岳協会の会員(年会費1,000円)になることが必要。登山コース、ハイキングコース、クライミングプラン、トレランプランなどいろんな登山スタイルにあった保険が用意されています。4月1日からの1年間契約で、途中から加入する場合は料金が変わるので公式HPを確認してください。
レスキュー費用保険

■保険期間:1年
■保険料:4,000円
■補償内容:捜索・救助費用
■ネット申し込み:可
捜索・救助対応費用がメインの保険です。ハイキングからピッケル、アイゼンを使う冬山、渓流釣りやハンググライダーなど様々なアウトドア中の遭難事故が補償の対象になります。(海での活動は除く)
Yahoo ちょこっと保険山大好きプラン

■保険期間:1年
■保険料(本人型|月払):
・スモール:330円
・ミディアム:710円
・ラージ:1,110円
■補償内容:傷害死亡保険・傷害後遺障害保険、傷害入院保険、傷害通院保険、携行品損害保険、救援者費用等保険
■ネット申し込み:可
申し込みの翌日から補償が開始。1年契約ですが、保険料は月払い。加入には、「Yahoo!プレミアム会員(月額508円)」になることが条件です。
会員に料金がかかってしまいますが、保険金額の増減や補償内容の追加などを自分でカスタマイズできるところがポイント。ほかの保険で傷害保険に加入していて、救援者費用だけ充実させたいという人にもおすすめです。
三井住友VISAカード|ポケット保険トレッキングコース

■保険期間=1年
■保険料(本人型|月払)=460円~1,610円
■補償内容=傷害死亡・後遺障害、入院、通院、携行品損害、救援者費用等
三井住友VISAカードを持っている人にはおすすめのトレッキング保険。S、M、Lと基本のパッケージを選んでから、補償内容や保険金額を自由に変更できます。サイトから保険料のかんたん試算もできるので、ぜひチェックしてみてくださいね。
楽天|超かんたん保険 アウトドアプラン

■保険期間=1年
■保険料(本人型|年払)=節約コース:1,750円、標準コース:3,670円、充実コース:10,210円(それぞれ月払プランもあり)
■補償内容= 死亡・後遺障害(※節約コース対象外)、入院、通院(※充実コースのみ)、携行品損害補償、救援者費用等
楽天会員向けのアウトドア保険。節約・標準・充実コースから選択でき、本人型以外にも夫婦型、家族型のプランがあるので、家族揃ってのハイキングや軽登山にもおすすめです。
保険料金により楽天ポイントを獲得できる(※支払いはクレジットカード決済のみ)ので、楽天会員の人は必見ですよ。
保険と併せて利用したい、新サービスとは?

ヘリの出動による費用は非常に高額。遭難者が見つからず、継続的な捜索が続くと、登山保険で補償される救援者費用の上限(300〜500万円程度)を越えてしまう可能性も。
また、登山保険の他に生命保険に加入している方もいると思いますが、「生命保険が下りるのは遭難者が見つかった後」。万が一遭難者が見つからなかった場合、「死亡」ではなく「失踪」扱いとなるため、すぐに生命保険は適用されません。
遭難者をできるだけ早く見つけ出すサービスが登場
そんな保険だけではまかなえない負担をなくすために新しいサービスが始まりました。それが、会員制捜索ヘリサービス「ココヘリ」。入会すると「ヒトココ」というコンパクトな発信機が、一日わずか10円でレンタルできます。

登山中に携行し、万が一遭難したときにはその発信機によってすぐに位置を特定できる、という仕組み。これで「登山保険でまかなえない長期の捜索費用負担」や「生命保険が適用されないリスク」をなくすことができるんです。保険と併せて入会しておくとさらに安心、入会する人もどんどんと増えています。
登山保険に入ろう

登山をするなら必ず入っておきたい、登山保険。合わせてココヘリの捜索サービスに入会するとさらに安心です。万が一に備えて、自分に合った保険を見つけてくださいね。
※この記事の情報は、2024年7月12日現在のものです。内容が変更する場合もありますので、リンク先のHPで確認してください。
▼山岳遭難について学びたい人はこちらをチェック
山岳遭難エマージェンシーBOOK