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紅紫色の花が鮮やかなクリンソウ

クリンソウ(九輪草)は、北海道、本州、四国に分布するサクラソウ科の多年草。せせらぎや渓谷の湿地などを中心に、春から初夏、鮮やかな紅紫色の花を咲かせます。

日本原産でピンク色や白色の花もあります。サクラソウ科の中では大型といえる30-90cmほどの高さで際立ち、花が美しいため山野草として人気。各地でレッドデータブックに登録されている貴重な植物でもあります。
花が九輪咲くからじゃない!?名前の由来

九輪草という名前から花が九輪咲くのかと思っている人も多いのでは(実は筆者もその一人)。名前の由来は、茎に何段もの花を円状につける姿が、仏閣の屋根にそびえる「九輪」に似ているから。

そして、その姿が「幸福を重ねる」という花言葉にもなっています。花言葉と仏様との縁もあり、縁起がいい花としても人気があります。
そんな「縁起のいい」花のクリンソウを見ることができる山を、おすすめ登山コースとともに紹介します。
クリンソウの花見登山におすすめの山
①千手ヶ浜(せんじゅがはま:栃木県)

千手ヶ浜は奥日光の中禅寺湖畔に広がる林で、クリンソウの群生地として有名です。マイカー乗り入れ禁止地区なので、徒歩か低公害バス、中禅寺湖遊覧船でしか行くことができません。そのため、赤沼から歩く戦場ヶ原トレッキングも組み合わせたコースがおすすめです。

体力レベル:★★☆☆☆
日帰り|約5時間25分
参考:らくるーと
技術的難易度:★★☆☆☆
・急な登下降がある
・案内標識が不十分な箇所が含まれる
・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
凡例:グレーディング表
コース概要
赤沼駐車場(5分)→赤沼分岐(21分)→展望台(20分)→泉門池(38分)→弓張峠(54分)→西ノ湖入口(8分)→千手ヶ原(20分)→千手ヶ浜バス停(6分)→千手ヶ浜(6分)→千手ヶ浜バス停(21分)→千手ヶ原(8分)→西ノ湖入口(60分)→弓張峠(9分)→小田代原(20分)→展望台分岐(24分)→赤沼分岐(5分)→赤沼駐車場

初夏の戦場ヶ原を楽しみながら千手ヶ浜へ。

6月中旬~下旬、中禅寺湖畔の千住ヶ浜にクリンソウが咲き乱れます。
②鹿田山(かだやま:群馬県)

鹿田山は八王子山・御嶽山・弥右衛門山の3つのピークを持つ、標高232mのなだらかな丘陵の総称。鹿田山フットパスとして、ウッドチップが敷き詰められた全長4kmの散策路が整備されています。
約30分で周回できるミニ縦走が楽しめるほか、清水新沼の周りを中心に多彩な花々が咲き、様々なハイキングコースを楽しむことができます。

体力レベル:★☆☆☆☆
日帰り|約30分
参考:らくルート
技術的難易度:★☆☆☆☆
・概ね整備されている
・道迷いの心配が少ない
・歩きやすい靴と動きやすい服装が必要
凡例:グレーディング表
コース概要
鹿田山フットパス駐車場(12分)→弥右衛門山(6分)→御嶽山(5分)→八王子山(7分)→鹿田山フットパス駐車場

クリンソウの見頃は5月中旬~6月下旬、清水新沼の上流側に群生します。

近くには旧石器時代の遺跡「岩宿遺跡」があるので、ぜひ、見学しましょう。
③荒船山(あらふねやま:群馬県・長野県)

荒船山は標高1,423m、日本二百名山のひとつ。荒波の中を進む軍艦を思わせることから、その名前がついたともいわれる山頂台地の艫岩(ともいわ)が印象的な山です。
紹介するのは、内山峠より荒船山(経塚山)を往復するコース。見た目とは裏腹に登山初心者も楽しめるため、一年を通して多くの登山者が訪れます。

体力レベル:★★☆☆☆
日帰り|約5時間27分
参考:らくルート
技術的難易度:★★☆☆☆
・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
凡例:グレーディング表
コース概要
内山峠(65分)→鋏岩修験道場跡(58分)→艫岩展望台(14分)→相沢分岐点(29分)→経塚入口(15分)→荒船山(経塚山)(9分)→経塚入口(27分)→相沢分岐点(8分)→艫岩展望台(52分)→鋏岩修験道場跡(50分)→内山峠

クリンソウは艫岩の一角に群生し、6月に見頃を迎えます。

なお、艫岩からは絶景を眺望できますが、崖下を覗き込む際の転落事故が発生しているので注意しましょう。