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【初心者歓迎】GWの狙い目は「雪山歩き」?残雪の山をゆるーく楽しむ、スキーハイキングの世界

目次

歩き出したくなる軽やかなスキー

3月の終わりに、新潟県・妙高高原のストライド・ラボ妙高で開催されたイベント「妙高高原Neighbors」のBCクロカンツアーに参加しました。

BCクロカンとは、クロスカントリースキーの道具を使った遊びの1スタイル。
スキーと聞くとまず思い浮かべるのはアルペンスキーですが、クロスカントリースキーは歩くことに特化したスキー。道具もちょっと違います。

スキーもブーツも圧倒的に軽い。この軽さが、足取りも軽やかにしてくれます。

スキーのソールにはウロコ状の凹凸があるため、「ウロコ板」とも呼ばれています

クロスカントリースキーの道具にもいくつか種類があります。
スキーハイキングで使うスキーは、整地されたトラックで使用する競技用のスキーよりも幅が広く、エッジが付いているので自然の雪面でも安定感があります。
また、雪と接するソールにはウロコ状の凹凸が付いていて、滑るだけでなく登ることもできます。

軽量で柔らかいブーツ。固定するのはつま先のみ。かかとが上がるので歩きやすい

ブーツは、まるでトレッキングシューズ。革や合成皮革を使ったアッパーは柔らかく、アルペンスキーのプラスチックブーツとは別物です。

ポールは、使い慣れたトレッキングポールと似ているようで違います。
トレッキングポールが不整地でバランスを取ることを主眼にしているのに対して、クロスカントリースキーのポールは、腕の力を地面に伝えて推進力に変えるためのもの。トレッキングポールよりも長く、振りやすくなっています。

それぞれの道具についてはさらに深掘りすることもできますが、このくらい理解しておけば大丈夫。たとえ何も知らなくても、レンタルなら「ちょうどいい」道具が揃っています。

「道具から入る」という手もありますが、いきなり道具を揃えるよりも、まずは体験してみるのがおすすめ。雪の上を歩けるウエアを着て、さっそく行ってみましょう。
あ、帽子とサングラス、日焼け止めはくれぐれもお忘れなく。

コツはひとつ。びびらずリラックスしてスキーに乗ること

お店に集合してレンタルのブーツを合わせたら、クルマに分乗してフイールドへ。この日向かったのは、神奈山の山麓にかつてあったスキー場の跡地。夏はハイキングコースになっています。

林のなかで板を履いたら、さっそくスタート。いきなり本番だと不安になるかもしれませんが、逆にいえば、そのくらい簡単ということです。
ちょっとしたコツはありますが、雪の上をただ歩くなら、教えるほどのことはあまりありません。

ストライド・ラボ妙高の店長、駒村さん

この日案内をしてくれたのは、ストライド・ラボ妙高の店長、駒村さん。クロスカントリースキーの選手としてトリノオリンピックにも出場したオリンピアンです。
板の履き方を説明したあと、そのコツをひとこと。

「ひざの力を抜いて、リラックスしてスキーに乗ること。これだけです」

えっ、それだけ?と思うほどシンプルですが、ホントにこれだけ。

ただ、初めてだとすぐにできない人も意外と多いです。大切なのはびびらないこと。
斜面にびびって腰が引けると、かかとに重心が乗ります。これがNG。この状態でスキーが滑り出すと、バックパックの重さもあってさらに姿勢が後傾になり、耐えきれずに尻餅をつくことになります。

びびらずに足首を柔らかく、リラックスして下りを楽しむこと。大丈夫。そんなにスピードは出ないし、転んでも痛くないから。

すーっと体が前に進む、心地よい感覚

暗い林を抜けると、一転して視界が開けました。周囲は、すっかり葉を落とした広葉樹。風もなく、抜けるような青空。絶好のハイキング日和です。

片足に体重を乗せてスキーを踏むと、ウロコがしっかりと雪を掴むのがわかります。そのままぐっと踏み込み、前に出すもう片方の足に乗り込むと、すーっとスキーが滑ります。
これが気持ちいい。

走るときのような体の上下動がなく、一歩一歩足を持ち上げるときに感じる重さもありません。スノーシューとのいちばんの違いはここ。
スキーという乗り物を操る感覚が新鮮で楽しいし、体力的にも楽です。

滑れるだけでなく、そのまま登れるのがウロコ板のいいところ

ゆるやかな起伏の広葉樹の林を抜けると、目の前に上り坂。スキー場の迂回コースの名残のようです。
斜度が急になると、ちょっとコツが必要。

「前屈みにならないように、体をしっかり起こして。きつかったらジグザグに歩くのも手です」 

斜度に合わせて前屈みになってしまうと、雪面に対してまっすぐスキーを踏むことができません。スキーを踏めないとウロコを利かせることができず、後ろにスリップしてしまいます。

この日は絶好のハイキング日和。稜線に出ると最高の景色が待っていました

まっすぐ上を目指すのではなく斜面に対して斜めに上がると、斜度が緩くなるので登りやすくなります。移動距離は長くなりますが、スリップがなくなると体力的にも精神的にも楽になります。

登り切ると、妙高山と神奈山が目の前にどん。最高のビューポイントです。

絶景を眺めながらの雪上ランチ

雪を掘ってテーブルをつくる。暖かい春の日は気持ちまで緩やかになります

雪山の楽しみのひとつが、雪が下草や岩を覆い隠して歩ける場所が広がること。登山道に縛られずに行動できるようになります。

休憩場所もまたしかり。夏山ではスペースに余裕がある場所が自然と休憩場所になりますが、雪山なら選び放題です。邪魔にならず、ゆっくりくつろげる場所はいくらでも見つかります。

ストーブや保温ボトルをもつのがおすすめ。温かいものが摂れるとほっとします

ビューポイントから少し歩いた林の中でハンモックを張り、雪を掘ってテーブルをつくりました。妙高高原駅前に店を構えるMyoko Coffeepain pourのサンドイッチでランチタイム。

雪がある限り、僕らのシーズンは終わらない

長めの休憩を終えたら再スタート。歩き出した直後に、少しどきどきする斜面が待っていました。道具に慣れてきたところでちょっとチャレンジという絶妙なコース設定。歓声をあげながら滑り、転び、だれもが笑顔になります。

ふたたび少し歩いたら、スタート地点に帰ってきました。どこかから、「えぇ〜っ、もう終わり?」という声。楽しい時間はあっという間に過ぎます。

初心者でも楽しめるルートを設定してくれた駒村さん。前日には下見もしてくれたそうです。参加者が楽しんでいる姿をうれしそうに見ている姿が印象的でした

例年なら5月の連休もまだまだ遊べますが、今年は雪解けが早いそうです。ツアーを開催できるかは未定ですが、駒村さん曰く、「ローカルは雪があるうちは遊んでいますから、興味がある方は気軽に問い合わせてください」

とはいうものの、初めてだとちょっと不安……。参加者の声も聞いてみました!

スキー経験者から全くの未経験者まで、参加のきっかけは人それぞれ。『スキーハイキング』の不思議な心地よさを、一緒に山を歩いた仲間にも聞いてみました。

大沼葵さん
スノーボードが好きで8年前に妙高に移住した大沼さんは、これが2度目のツアー。「体験会が楽しかったのでまた参加しました。スノーボードはふつうに滑れるので、なにか新しいことがしたかったんです」。

ひときわ明るいムードメーカーでした。


左)霜越佳代子さん
前日に手ぬぐいを買いに来て、その場でスタッフに薦められて急遽参加。「スノーシューはやっていますが、クロカンは今日がホントに初めてです」。最初はおっかなびっくりでしたが、楽しんでいる様子が伝わってきました。

右)大熊伸江さん
スキーで山に行きたいと思ってストライド・ラボを訪れ、「初めてでも大丈夫」と言われて参加。「軽いし、かかとが上がるから歩きやすいですね」。霜越さんと同じくクロカン初体験で、初対面でお友達になりました。



右)関口沙智子さん
学生時代に部活動でクロカンをしていたという関口さん。「アウトドアでは経験がなくて、できるところを探してました」。ネットで探してストライド・ラボにたどり着いた。イベント後、ストライド・ラボで一式を購入した模様。

左)荒井西夏さん
群馬県嬬恋村から。山が好きで、バックカントリースキーは経験あり。
「オリンピックを見て、山でクロカンやってみたいなと」。ドンピシャのタイミングで関口さんに誘われて参加。


右)稲葉響子さん
スタッフの友人で「初めてでも大丈夫」と誘われて、松本さんと一緒に東京から参加。
「ちょっとこわいけど楽しいです」。

左)松本亜希子さん
毎年妙高を訪れ、バックカントリーにも行くスキーヤー。
「いつものようにはいきませんね。思うように滑れないけど、それが楽しいです!」。

体力も技術も不要。必要なのは「やってみたい」という好奇心だけ

雪山を滑るのではなく、澄んだ空気と青と白の風景のなかを軽やかに歩く。スキーハイキングは、「雪が降ったら山はお休み」という人にこそ体験してほしい遊びです。

体力も、特別な技術もいりません。そこには、「リラックス」した時間と、ローカルたちが愛してやまない最高の雪景色が待っています。

「自分にできるかな」と、もしも迷っているなら、まずは一歩、雪の上に踏み出してみてください。連休も遊べる場所はまだまだありますよ。