特別な体験だけどリスクもある!最低限の安全対策

冬の夜の山は昼間の山とは全く別物。さまざまなリスクがあります。
難しい技術は必要なくても、装備不足や認識不足によって大きな事故につながりやすいのも事実です。ここでは、最低限おさえておきたい注意点を整理していきます。
体感温度は−10℃を下回るかも!?山の寒さは想像以上

積雪がないような低山であっても、夜の寒さは想像以上。標高が100m上がるごとに気温は0.6℃低くなり、風速1m/sごとに体感温度は約1℃下がると言われています。
仮に平地の気温が0℃だとしても、標高1,000mで風速5m/sの風が吹いていれば、体感温度は−10℃を下回ることに。
また天気予報の気温はあまり低くなかったとしても、ひとたび風が吹けば体感温度は急激に下がるため注意が必要です。さらに、ご来光待ちで山頂に長く滞在すると、動かない分だけ体はどんどん冷えていきます。防寒装備と、待機中に体温を保つ工夫は必須です。
混雑によるペース乱れや渋滞リスク

初日の出の定番ルートでは、深夜の登山口から人が集中することもあります。
また、夜間は視界が限られ、暗い中での追い越しは転倒リスクが高くなりがち。混雑でペースが乱れることも想定し、出発時間には余裕を持ち、無理に急がないことが大切です。
夜の山は真っ暗。足元の凍結リスクにも気をつけて

ご来光登山では、ヘッドライトなしで歩くことはできません。場所によっては、登山道が凍結していることもあり、歩行の難易度が高くなります。こうした状況は初心者にはハードルが高め。自分の経験やスキルを冷静に見極め、無理をしない判断をしましょう。
初日の出登山を安全に楽しむための必須アイテム
寒くて暗い野外で、初日の出を安全に楽しむための必携アイテムをご紹介します。
ヘッドライト
- 夜道を歩く時に必ず必要です。スマホのライトで歩行するのはやめましょう。万が一に備え、予備電池やモバイルバッテリーも持っていくと安心です。
ブラックダイヤモンド スポット400
| 重量 | 78g(電池込) |
|---|---|
| 全光束 | 400ルーメン |
| 照射距離 | 高照度100m/低照度12m(アルカリ電池) 高照度100m/低照度12m(BD1500バッテリー) |
| 照射時間 | 高照度2.5時間/低照度200時間/リザーブ32時間(アルカリ電池) 高照度4時間/低照度225時間/リザーブ2.5時間(BD1500バッテリー) |
| 電池 | 単4アルカリ電池×3本(付属) |
| 防水等級 | IPX8 |
コンパクトなデザインなのに、夜間登山に必要な機能がしっかり詰まったヘッドライト。大きめな照射モード切り替えボタンや、ライトの角度調整のしやすさがビギナーにも使いやすいポイントです。
冬用グローブ
防風・防水機能に優れたものを選びましょう。ニット素材は濡れるとかえって指先が冷えるため単体での使用はおすすめしません。シェル素材のアウターグローブも用意してください。
ブラックダイヤモンド ディプロイウィンドフードグローブ
| 重量 | 43g(ペア/Mサイズ) |
|---|---|
| 素材 | リサイクルポリエステル88%、ポリウレタン12% |
| 特徴 | ・人差し指と親指はタッチスクリーン対応 ・リストウォッチ用スリット |
「本格的な雪山用のグローブはちょっとオーバースペックかも......」という人にちょうどいいのが、こちらの2wayタイプ。本体は吸湿速乾性に優れたフリース素材で指先を暖かくつつみ、急な雨や風による温度変化には収納式防風フードで本体グローブの上からカバーをかけられます。着用したままスマホ操作も可能。
ダウンパンツ
- ダウンジャケットに加えて、ダウンパンツやダウンスカート等の用意も必要です。軽くて暖かく、コンパクトになるためダウンがおすすめですが、ない場合は厚手の膝掛けのような下半身を保温するグッズを忘れずに持っていきましょう。
ネイチャーハイク ダウンパンツ(ユニセックス)
| 重量 | 約320g(Lサイズ) |
|---|---|
| 中わた素材 | 90%750FPダックダウン/90%グースダウン(2タイプ展開) |
| 生地素材 | 20D 400T ナイロン |
| サイズ | S、M、L、XL、XXL |
手頃な価格が魅力的なダウンパンツ。暖かさ、軽さに加えて、撥水性もあるのでアウトドアシーンでの利用も安心です。付属のスタッフバッグに入れればコンパクトになるので、持ち運びも楽々。
暖かい飲み物
体が冷えた時は、ホットドリンクで内側から温めましょう。外気温が低くても冷めにくいよう、保温ボトルの使用がおすすめです。
サーモス ステンレスボトル FFX-502
| 重量 | 280g |
|---|---|
| 容量 | 500ml |
| 保温効力(6時間) | 77℃以上 |
| 保冷効力(6時間) | 10℃以下 |
| 口径 | 3.6cm |
「山専ボトル」の愛称で親しまれる保温保冷ボトル。グローブをつけたままでも使いやすいです。
チェーンスパイク
夜間は舗装路でも凍結して滑りやすくなります。万が一に備えて、軽アイゼンやチェーンスパイクがあると安心です。
エバニュー U.L.Chain cleat
| 重量(ペア) | 68g(SM)、72g(ML) |
|---|---|
| サイズ | SM(対応靴 約23~25cm) ML(対応靴 約25~28cm) |
爪の数も最低限で、非常にコンパクトになる軽量チェーンスパイク。スニーカーやトレランシューズにも装着可能です。爪が短く、岩や土が露出している道でも歩きやすいので着脱の手間も省けます。
バラクラバ・帽子・ネックウォーマーなどの防寒小物
気温が低い時に、頭部や首元を保温することはとても効果的。おすすめは一体型のバラクラバタイプ(目出し帽)です。
ミレー ワッフル ウール フェイス マスク
| 素材 | ウール70%/ナイロン26%/ポリウレタン4% |
|---|---|
| サイズ | フリー |
高品質な極上メリノウールで編み上げているため、薄手なのに抜群に暖かいバラクラバ。肌触りが良く、チクチクしません。ネックウォーマーとしても使い勝手の良いアイテムです。
敷物(座布団)
冬の地面はとても冷たく、直接座るとどんどん腰回りから体が冷えていきます。断熱性のある敷物をもっていくと、待っている間にお尻が冷えるのを防げますよ。
エバニュー コンパクト折りたたみマット
| 重要 | 20g |
|---|---|
| 材質 | 発泡ポリエチレン |
| サイズ | 335×265×5mm |
わずか20gと軽量で、折りたたむとコンパクトになる携行性に優れたミニマット。程よいクッション性と断熱性をもち、冷えた大地の上に座っても快適さをキープできます。
安全第一で、一年の始まりを特別な一日にしよう!

遮るもののない山頂で迎える初日の出は、一年の始まりを特別な思い出にしてくれます。
「いいスタートが切れた」と感じられる体験は、それだけで気持ちを前向きにしてくれるもの。
ただし、初日の出登山は夜間歩行や寒さなど、普段の登山とは違うリスクも伴います。
無理のない計画と十分な装備を整え、安全第一でご来光登山を楽しみましょう。
