中級者向け|ロングコースで大自然の紅葉を味わう

本格的な登山装備で長時間歩くコースですが、その先には標高の高い場所ならではの秋の絶景がまっています。遠くまで続く雄大な山並みや、足元に広がる街並みをミニチュアのように見下ろす景色は、山深く入ってこそ。
里山のように一面が紅葉で鮮やかに染まるのではなく、渋みのある赤や深い黄がほどよく混ざり合う自然そのもののグラデーションも魅力です。秋の静けさをじっくり味わいたい人におすすめです。
- 塔ノ岳(神奈川県)
急登の登山道を彩る紅葉と富士山の絶景 - 雲取山(東京都)
1泊2日でゆっくり味わう、奥深く静かな山歩き - 南高尾・セブンサミッツ(東京都)
賑わった高尾山とは違う“もうひとつの高尾山”
神奈川県|塔ノ岳

神奈川県・丹沢エリアを代表する人気の山「塔ノ岳(とうのだけ)」は、標高1,491m。大倉尾根を直登する長い登山ルートは“バカ尾根”の愛称でも知られ、登りごたえ抜群のコースです。
塔ノ岳の紅葉の時期のお楽しみポイントは2つ。1つは赤や橙、黄色が織りなす登山道。ところどころ紅葉のトンネルができていて、疲れも忘れるほどの美しさです。
もう1つは、山頂から見る山並みと富士山のコラボレーション。まさに長い長い登りの先にある最高のご褒美です。
紅葉も雄大な景色も、両方外せない人に、ぜひおすすめしたい一座です。

大倉尾根をひたすら登るコース。登りは辛いですが、両側に広がる広葉樹林帯、樹林帯を抜けた後に見えてくる鏡のような海、そして山頂からは雄大な富士山と、次々と景色が変わっていくので飽きることがありません。
夏はヒルが多くて登るのが辛いルートなので、この時期がベストシーズンともいえるでしょう。

塔ノ岳・大倉尾根コース基本情報
コースタイム:8時間19分
歩行距離:12.9km
歩いて登る標高差:登り 1,276m / 下り 1,276m
絶景ポイント:塔ノ岳山頂から眺める山並み&大倉尾根の紅葉トンネル
例年の見頃:10月下旬〜11月中旬
東京都|雲取山

東京都の最高峰・雲取山(2,017m)は、秩父多摩甲斐国立公園に位置する奥多摩の名峰。長時間の登山ルートにはなりますが、その分奥深く静かな山歩きが楽しめます。
紅葉というと鮮やかな赤や黄色のイメージが強いかもしれませんが、この山の魅力は稜線に立ち並ぶ黄金色のカラマツと、足もとに広がる草紅葉。この渋みの混ざった色合いは、派手さはないもののまさに自然な色合いで、心が落ち着くような趣があります。
人の少ない静かな秋山をじっくり味わいたい人にぴったりです。

最も定番なコースは、雲取山荘で一泊するコース。ふもとの三峯神社からスタートし、長い樹林帯を通って稜線まで出ます。
赤く染まったカエデや黄金色のカラマツなど、登山道や稜線沿いはさまざまな色の広葉樹に覆われ、見飽きることがありません。
山頂からは南アルプスをはじめとした山梨の名峰や富士山、丹沢まで眺めることができます。

雲取山コース基本情報
コースタイム:1泊2日(1日目 7時間30分、2日目 5時間8分)
歩行距離:19.7km
歩いて登る標高差:登り 1,849m / 下り 1,851m
絶景ポイント:三峯神社付近や、登山道の樹林帯全般
例年の見頃:10月下旬から11月下旬
東京都|南高尾(セブンサミッツコース)

薬王院周辺の紅葉が大人気の高尾山ですが、落ち着いた紅葉ハイクを楽しみたいなら「南高尾」へ。
高尾山には1,300種類以上の植物が生育しているとも言われ、山道にはさまざまな広葉樹が豊かに茂っています。紅葉の時期は木々がやさしく色づき、穏やかな秋の風景が広がります。
静かな稜線歩きを楽しみながら、最終的には高尾山山頂にもアクセス可能。
賑わった高尾山とは違う“もうひとつの高尾山”の表情を味わえるのが、南高尾の魅力です。

今回おすすめするのは、南高尾に連なる7つの山の頂を縦走していく“セブンサミッツ”コース。草戸山から始まるセブンサミッツを全て歩き切り高尾山山頂へ。1号路を歩き高尾山口駅に戻ります。するとなんと歩いたコースがハート型に!
それぞれの山頂にはちょっと面白いモチーフやビューポイントがあって、宝探しのようにワクワクしながら歩けますよ。

南高尾・セブンサミッツコース基本情報
コースタイム:8時間21分
歩行距離:15.9km
歩いて登る標高差:登り 1,001m / 下り 1,000m
絶景ポイント:草戸山から続く樹林帯、とくに入沢山付近の樹林帯
例年の見頃:11月中旬〜12月上旬
冬はもうすぐそこ!防寒対策は万全で晩秋を楽しもう

11月は低山も紅葉で染まるため、渓谷や寺院と紅葉のコラボレーションが楽しめる時期。また山奥まで足を延ばせば、山麓の紅葉とは一味違った味わい深い紅葉の景色があります。
ただし11月は、冬の足音が遠くに聞こえてくる季節。低山でも朝晩はびっくりするほど冷え込むことがあります。防寒着や温かい飲み物を携行し、早めの下山を心がけましょう。
そして、気をつけたいのが日没の早さ。夕方にはあっという間に薄暗くなってしまいますので、余裕をもったスケジュールでお出かけしましょう。とくに今回ご紹介した「中級者」コースは長時間かかる健脚者向けとなっています。
また本記事で紹介している地図は概略図なので、必ず地図を確認してくださいね。
紅葉が楽しめる今年最後のチャンス!晩秋の静かな山へ出かけてみませんか?






