防水機能と着心地を追求したミレーのティフォン50000シリーズ
フランス発のアウトドアブランド「ミレー(Miilet)」。100年近い歴史の中で、数々の登山用品を送り出してきました。そのミレーを代表するアイテムのひとつ「ティフォン50000」は、蒸れにくい、着心地が良いなどから人気のレインウェアです。
今回は、その「ティフォン50000」について説明します。
ティフォン50000ストレッチジャケット・パンツ・トレックパンツの詳細情報
ストレッチジャケット | ストレッチパンツ | ストレッチトレックパンツ | |
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価格 | 31,900円(税込) | 22,990円(税込) | 21,890円(税込) |
重さ | 304g | 228g | 214g |
カラー | SHARK、MUSTARD、
JET BLACK、OLIVE、MASTIC |
BLACK-NOIR | SAPHIR、BLACK-NOIR |
素材 | DRYEDGE™ TYPHON 50000 3L KNITTED BACK ナイロン100% | ||
耐水圧 | 20,000mm | ||
透湿性 | 50,000g/㎡/24h | ||
サイズ | XS、S、M、L、XL | XS、S、M、L、XL | XS、S、M、L、XL |
ティフォン50000の特徴
雨の侵入を防ぐ以外にも、レインウェアは寒暖差の大きい環境で防寒着の役割を果たしたり、風の強い時にはウインドシェルのように使うなど活躍の場が多いアイテムです。
使用頻度の多いアイテムだからこそ、備えている機能も着心地も妥協せずに良いものにこだわりたいところ。高い機能性を持ちつつ着心地も良いと言われる、ティフォンの特徴を詳しく見ていきましょう。
ティフォン50000とは
「ティフォン50000」は、20,000mmの耐水性・50,000g/㎡/24hの透湿性を持つ、ミレー独自開発の防水透湿素材のこと。
この素材が使われているレインウェアは、汗をかいても蒸れにくく快適。さらに、ストレッチ性も備えており、体の動きを妨げずに軽快に動くことができます。
ティフォン50000の真価は“透湿性”と”ストレッチ性”
透湿性とは、図の水色線のように生地の内側から外側へ水蒸気を逃がす性質のこと。製品名の50000は、透湿性の数値「50,000g/㎡/24h」が由来で、一般的なレインウェア素材の2倍前後。暑い時季でも衣服内を常に快適に保てる数値です。
また、適度なストレッチ性を備えているのもティフォン50000の魅力のひとつです。
登山は意外と激しく体を動かすアクティビティ。ウェアにより体の動きを妨げるようなことがあると、無駄な体力を消費することに。
例えばティフォンのパンツはフィット感があり見た目は少し細身ですが、足を大きく上げても突っ張ることもなく、裾もそれほどズリ上がりません。これはストレッチ性が高い証拠。
斜面で足を大きく上げても、腕を前に伸ばしても、突っ張ることなくストレスフリーです。雨の中では、ただでさえストレスがあるのに、ウェアにひっかかりがあると疲労感倍増なので、このストレッチ性は大きなメリットです。
ティフォン50000は、耐水圧20,000mmと大雨でも行動できる防水性を持ちながら、透湿性とストレッチ性を高めることで、雨の登山の快適性を追求したレインウェアです。
雨が侵入しやすい首元などはフィット感の調整が可能
生地自体の性能とは別に、登山者を雨から守る細かい仕様が施されているのもティフォン50000の特徴。
防水性とフィット感を兼ね備えたフードは、ヘルメットや帽子を着用していても被ることができるゆとりのある大きさが特徴です。また、大きすぎてフィット感を損ねないように、ベルクロとドローコードで調整することができます。
パンツは好みに合わせて選べる2タイプ展開
パンツは好みに合わせて選べる、トレッキングパンツの上に重ねて着用する「オーバーパンツタイプ」と、1枚でトレッキングパンツとレインパンツの両方を兼ね備えた「直穿きタイプ」があります。
直穿きタイプは、重ね穿きのごわごわ感が嫌な人にもおすすめですが、一方で気温やシーンに合わせた脱ぎ着の調整ができません。
一日中雨予報の日帰り登山では「直穿きタイプ」、最初は降っていなかったり宿泊を伴う山行などでは「オーバーパンツタイプ」、など使い分けるのもいいかもしれないですね。
ティフォン50000の使用感レビュー
レインウェアの性能を確認するには、雨の中で使ってみることが一番。ということで、下記の環境で着用して1時間ほど樹林帯を歩いてみました。
【着用時のデータ】
気になる防水性と透湿性の実力は?
レインウェアの最重要機能である防水性は、スペック上は耐水圧20,000mm。この数値は、たとえ嵐の中でも生地が水を通さない基準とされています。実際に着用して歩いてみてもジャケット・パンツともに浸水はありませんでした。
また、高い防水機能を実現する上で、耐水圧と同様に重要なのが撥水性。この撥水性の高さは期待以上の驚きがありました。
それなりに雨が降っていたのですが、それを思わせないような画像になっているのは、この高い撥水性(水を弾く性質)のせい。雨が表面に付かずにどんどん落ちるので、まるで雨に濡れていないかのようですが、よく見ると、左の画像のように小さな水滴が……。
しかも軽く腕を振っただけで、右の画像のようにすっかり水滴がなくなりました。この撥水性のおかげで表面でも水をブロックして、濡れずに快適に過ごせました。
ちなみに今日使ったリュックカバーはこの通り水滴がたくさん。これぐらい雨が降っていました。ティフォン50000の撥水性の高さがよくわかりますね。
気になる透湿性の方は、梅雨のジメジメ感が高い雨の中ではまったくのドライというわけにはいかず、着用していたアンダーには湿り気を感じました。
レビュー時には、ジャケットの中は吸水速乾性の半袖アンダーと、同じく吸水速乾性を持つ長袖シャツを着用。透湿性50,000g/㎡/24hとはいえ、雨の中でさらに防水性のあるウェアを着て、全く蒸れを感じないというのは、現実的に考えづらいのが正直なところ。
レインウェアは、雨の中で体が冷えないよう保温するのも重要な役割なので、そういった意味では不快感を軽減しながら、暖かい空気を逃しすぎないちょうど良いバランスに保たれている印象でした。
パンツもジャケットと同じく防水性は高レベル。水分がとどまらず、生地は外側も内側もドライのままでした。
また透湿性の方は、ジャケットと比較して蒸れも感じづらかったです。ストレッチパンツの中にもトレッキング用パンツを履いていましたが、ジャケットよりは1枚少なかったことと、上半身よりも汗をかかなかったので蒸れづらかったのだと思います。
事前に雨の山行とわかっていれば、レインウェアを着る前提で薄めのものをチョイスするか、アンダーをドライナミックメッシュなどの肌から汗を離してくれる機能を持ったウェアにすることで、より湿り気なく快適に過ごせそうです。
試してわかった細かい仕様の「良いところ」「気になるところ」
雨の侵入を防ぐ首元・袖口・裾
フードのフィット感が甘いと首元に雨が侵入しますが、ティフォン50000のフードは頭にしっかりとフィットするので中のシャツも画像の通り、濡れませんでした。
袖口はベルクロと伸縮ゴムでしっかり密着するので、腕を上げても水が入ることはありません。
ベンチレーション代わりにもなるポケット
両側のハンドポケットの裏はメッシュなので、ベンチレーターにもなっています。暑く感じた時に開けば、内部の温まった空気を一気に放出できます。
ただし、すこし前側に付いているので、雨が強いと中に水が入ってきそう。濡れやポケットに入れたモノの落下も怖いので、大雨の中で開けたまま歩行するのは躊躇してしまいます。
休憩中に開けたり、小雨ならポケットを空にすればベンチレーションとしても使えそうでした。できれば、ピットジップ(脇下の専用ベンチレーター)もあれば、上からの雨が吹き込みづらいので、風雨が弱めのときには開けたまま歩くこともできそうです。
パンツの右にもポケットが付いており、同じくこちらもメッシュなのでベンチレーターにもなります。レインパンツにポケットが付いているものは少ないのでとても便利。車のカギなど、撤収時にすぐに必要なものを入れておくのに便利です。
開け閉めしやすいジッパー
ジャケット・パンツ、総じてジッパー類は止水ジッパーではありません。止水ジッパーは軽量化には貢献しますが、開閉しにくかったり、表面のポリウレタンフィルムが劣化しやすかったりとデメリットも。
意見が分かれるところですが、筆者的には通常のジッパーが好きなので、使いやすかったと思います。
不快感を軽減する顔まわりの裏地
スタッフバッグなしでも小さくまとめられる
サイズ感は?175cm標準体型の筆者はSサイズがちょうど
今回、Mサイズ(日本Lサイズ)とSサイズ(日本Mサイズ)の2サイズを着用してみました。
Mサイズはフードが少し大きめでしたが、フィット感の調節ができるので首元から浸水することもなく、レインウェアとしては問題なし。正直なところどちらも不便なく使えるサイズ感でした。
3シーズンのレインウェアや普段使いならSサイズ、冬でもジャケットとして使うなら中に服を着込むことも考えてMサイズをおすすめ。
ただし、あくまでも体形や好みが関係するので、ショップで実際に試着してみることをおすすめします。
ティフォン50000のメンテナンス方法は?
ティフォンをはじめとする防水透湿素材は、長期間の使用や経年劣化での加水分解は避けられません。この加水分解によって、素材の耐水性や透湿性が低下し、機能性が失われます。また、生地表面の撥水性能も汚れなどのダメージで低下していきます。
レインウェアの機能低下を引き起こす原因は、汚れたままレインウェアを放置することや、湿気の多いところに保管するなどで、日々のメンテナンスで予防できるものもあります。こまめな洗濯や適切に保管することで劣化しづらくなり、使用期間を伸ばすことができます。
洗濯する前に注意点を確認
洗濯が効果的とはいえ、間違った洗濯方法は逆効果。ティフォン50000には適切な洗濯方法があります。
例えば、
・ドライクリーニング禁止
・漂白剤・柔軟剤使用禁止
ウェアの洗濯タグを必ず確認し、適切に洗濯することが大切です。ミレーの公式サイトにも注意事項が記載されており、こちらから確認できます。ミレー公式|ティフォンシリーズお手入れ方法
ティフォンシリーズは手洗いでの洗濯を推奨。次項では手洗いでの洗濯方法を解説します。
手洗い洗濯の仕方
手順①:準備
バケツなどにぬるま湯を入れ、水量に応じた量の洗剤を入れて良く混ぜます。
手順②:洗濯・脱水
ファスナーやベルクロをすべて閉じ、レインウェアを入れてやさしく洗います。その後はしっかりとすすぎ、やさしく押すように脱水。
手順③:乾燥
風通しの良い日陰に干して乾燥させます。また乾燥後に乾燥機やアイロンで熱処理をおこないます。
・熱処理は撥水機能の回復につながりますが、種類によって最適な熱処理方法が変わるため要注意。誤った方法は劣化原因になるので洗濯表示を必ず確認しましょう。
劣化させないための保管方法
畳んで収納・直射日光・高温多湿はNG
折り目がついたまま収納すると生地にダメージを与えてしまうので、風通しの良い場所につるして保管します。また、紫外線も生地を劣化させる原因になるので日陰に干しましょう。
高温多湿の場所は、カビが発生することもあるので、湿気が少ない風通しのいい場所で保管を。クローゼットの中は湿気が多くなりやすいので、防虫剤や乾燥剤を入れ、カビや虫による腐食を防ぐのもおすすめです。
乾燥機などで熱処理をした後にすぐにしまうのもNG。熱処理後は風通しのいい場所に干し、ウェアにこもった熱や湿気を除いてから収納しましょう。
もっと詳しく知りたい人はこちらの記事から確認できます。
ティフォン50000はずっと着ていられるレインウェア
一番の売りである透湿性は、「明らかに違う」というほどの実感は得られませんでしたが、雨の中を歩いていても逆に冷えすぎることもなく、十分快適に過ごせるだろうという印象でした。
一方で、筆者が一番感心したのは着心地です。生地の中も外もサラっと肌触りがよく、生地自体が柔らかいので、レインウェアにありがちな「早く脱ぎたい!」という気持ちになりませんでした。実際、レビュー後、少し雨を落としただけで、そのまま車に乗り込み街に下りたぐらい。雨でも晴れでもティフォン50000はずっと着ていられる、そんなレインウェアでした。
ティフォンシリーズのアイテム一覧
ミレー独自の防水透湿素材ティフォンを使用したアイテムをご紹介。今回レビューしている春夏用以外に、オールシーズン対応のモデルもあります。
ティフォン50000ストレッチ ジャケット|パンツ|トレック パンツ
今回、レビューしている春夏用のモデルです。レインウェアとしてはもちろんのこと軽量でしなやかなので、風が強い時のウィンドシェルとしても最適です。
メンズ
レディース
トリロジー ティフォン タフ II ストレッチ ジャケット|パンツ(男女対応)
より過酷なアウトドアアクティビティでの着用を想定した、トリロジーシリーズのオールシーズン対応のジャケットとパンツ。快適性と耐久性を両立したレインウェアです。1年中、使用頻度が高いならおすすめ。男女対応です。