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※記事内のコースタイム・距離・標高はらくルートを参考にしています
日本の紅葉、楽しまなければもったいない!

日本の秋の山は、まるでカラフルな絨毯を広げたかのような美しさ。
赤や黄、オレンジに染まる山々は、実は世界でもトップクラスの美しさと言われています。その秘密は、落葉広葉樹の種類が豊富なこと。世界的にみても日本の植生は豊かなので、葉が色とりどりに染まり景観に深みをだしているのです。
せっかくこの国にいるのなら、絶景の紅葉を見逃す手はありません!
今回は難易度別に、関東近郊の紅葉を楽しむトレッキングコースをご紹介していきます。
難易度の目安
初心者向け:特別な登山装備は不要。滑りにくいスニーカーで、ゆるやかな道をのんびり楽しめるコース。
初級者向け:登山装備が必要。アップダウンもあり、3〜4時間かけて歩くコース。
中級者向け:登山装備が必要。登りごたえがあり、4時間以上かかる本格登山コース。
難易度 | 山(所在地) | 例年の見頃 | コースタイム目安 |
---|---|---|---|
初心者向け | 榛名富士(群馬県) | 10月中旬〜11月上旬 | 1時間4分 |
初心者向け | 戦場ヶ原・小田代原(栃木県) | 9月下旬〜10月下旬 | 2時間10分 |
初心者向け | 戸隠鏡池・小鳥ヶ池(長野県) | 10月中旬〜10月下旬 | 2時間30分 |
初級者向け | 三頭山(東京都) | 10月下旬~11月上旬 | 4時間 |
初級者向け | 赤城山/黒檜山(群馬県) | 10月中旬〜10月下旬 | 3時間40分 |
初級者向け | 大菩薩嶺(山梨県) | 10月下旬〜11月上旬 | 3時間47分 |
中級者向け | 谷川岳(群馬県) | 10月中旬〜10月下旬 | 4時間54分 |
中級者向け | 瑞牆山(山梨県) | 10月中旬〜11月上旬 | 5時間 |
中級者向け | 雨飾山(新潟県) | 10月中旬〜10月下旬 | 6時間10分 |
初心者向け|体力に自信がなくても行きやすい

まずはアップダウンが少ない初心者向けコースをご紹介します。体力に自信がない登山初心者や家族連れでも歩きやすく、手軽に紅葉トレッキングが楽しめます。
- 榛名富士(群馬県)
湖と紅葉のコラボレーション - 戦場ヶ原・小田代原(栃木県)
黄金色に染まる湿原の草紅葉 - 戸隠鏡池・小鳥ヶ池(長野県)
紅葉した戸隠連峰のリフレクション
群馬県|榛名富士

群馬県・榛名山の主峰のひとつである榛名富士(はるなふじ)は、標高1,391mの美しい円すい形の山。その形はまるで小さな富士山のよう。山麓には榛名湖が広がり、風がない日は湖面に榛名富士が映り込む「逆さ榛名富士」が楽しめます。
秋になると周囲の山々が一斉に色づき、カエデやモミジが赤や黄に染まる姿は圧巻。湖と山、そして色鮮やかな紅葉のコラボレーションは、この季節ならではの特別な景観です。

おすすめのコースは、登りは榛名山ロープウェイを使う方法。一気に榛名富士山頂まで行き、山頂から榛名湖と周辺の紅葉を楽しんだ後に、榛名湖の湖畔を半周してビジターセンターに向かいます。
時間と体力に余裕があれば榛名湖を一周するのもよいでしょう。
榛名湖のワカサギは9月から解禁なので、周辺のレストランでワカサギ料理を楽しむのもおすすめです。

榛名富士コース基本情報
コースタイム:1時間4分
歩行距離:2.5km
歩いて登る標高差:登り26m / 下り304m
絶景ポイント:榛名富士山頂から眺める榛名湖と周辺の紅葉
例年の見頃:10月中旬〜11月上旬
※コースタイム・距離・標高差はいずれもロープウェイによる移動を含まない
栃木県|戦場ヶ原・小田代原周回コース

日光国立公園内に位置する人気ハイキングエリア「戦場ヶ原(せんじょうがはら)」と「小田代原(おだしろがはら)」は、標高1,400m前後に広がる湿地帯。
世界的にみても貴重な湿原が残る場所で、「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地」としてラムサール条約湿地に指定されています。
木々の葉が赤や黄色に色づく一般的な「紅葉」とは異なる、「草紅葉(くさもみじ)」がこのコースの見どころ。草紅葉とは、湿原に生える草が一斉に色づく現象のこと。
例年9月下旬から10月中旬にかけて黄金色に染まる草原は、まるで絵画の中に入ったかのような風景です。

おすすめは、戦場ヶ原を南北に走る自然散策路を歩き、小田代原を周回して戻ってくるコースです。距離は長めですが、高低差はほとんどありません。
湿原を痛めないように敷かれた木道が続くので、普段山道を歩き慣れていない方でも安心です。

戦場ヶ原・小田代原コース基本情報
コースタイム:2時間10分
歩行距離:7.7km
歩いて登る標高差:登り48m / 下り49m
絶景ポイント:どこまでも広がる戦場ヶ原や小田代原の草紅葉
例年の見頃:9月下旬〜10月下旬
長野県|戸隠鏡池と小鳥ヶ池散策

長野市・戸隠エリアにある「鏡池(かがみいけ)」は、パワースポットとして知られる戸隠神社から少し足を延ばした場所に広がる静かな池です。標高1,200m前後に位置し、戸隠連峰の山々を水面に映す姿はまさに“鏡”そのもの。
例年10月中旬から下旬にかけて、池の周辺のカエデやブナなどの木々が赤や黄に色づきます。荒々しい印象の戸隠連峰の印象がガラリと変わって、優しい景色になります。
鏡池の周囲には遊歩道が整備されており、ゆったり歩いて一周することができます。

鏡池を一周しても40分程度。そこでおすすめは、戸隠神社の中社からスタートし、小鳥ヶ池に立ち寄ってから鏡池にいく2時間30分の散策コースです。
公共交通機関の場合、バスは長野駅から観光特急戸隠線を利用します(予約制)。
健脚者は、鏡池から戸隠神社奥社に足を延ばすコースもあります。

戸隠鏡池と小鳥ヶ池コース基本情報
コースタイム:2時間30分
歩行距離:7.2km
歩いて登る標高差:登り175m / 下り179m
絶景ポイント:戸隠連峰の鏡池リフレクション
例年の見頃:10月中旬〜10月下旬
初級者向け|少し本格的なコースを半日じっくり歩く

初級者向けコースは、登山装備を整えて挑みたいルートです。アップダウンがあり歩きごたえも感じられますが、3〜4時間ほどで歩き切ることができます。
- 三頭山(東京都)
カラフルな森と紅葉に包まれた見事な滝 - 赤城山/黒檜山(群馬県)
登山道から見下ろす湖畔の紅葉 - 大菩薩嶺(山梨県)
紅葉と富士山のコラボレーション
東京都|三頭山

東京の西端・檜原村に位置する標高1,531mの三頭山。歩きやすい登山道が整備されているので、ファミリーや初心者にも人気です。
樹木の種類が豊富で、紅葉シーズンにはブナの黄葉とカエデの赤色が混ざり合ったカラフルな森を楽しめるでしょう。山頂からは関東平野を一望でき、足元の森と遠くの景色を同時に眺められるのも三頭山の魅力です。

おすすめ紅葉スポットは、紅葉の三頭大滝。落差30mの見事な滝で、対岸まで渡された滝見橋からじっくりと鑑賞することができます。
都民の森をスタートし、紅葉の森歩きを楽しみながら三頭山山頂へ。そこから三頭大滝をめざしてゆっくり下山するコースであれば、ちょうど4時間程度です。

三頭山コース基本情報
コースタイム:4時間
歩行距離:5.1km
歩いて登る標高差:登り614m / 下り614m
絶景ポイント:滝見橋からながめる紅葉に包まれた三頭大滝
例年の見頃:10月下旬~11月上旬
群馬県|赤城山(黒檜山)

群馬県を代表する名峰・赤城山。その最高峰・黒檜山(1,828m)は、山麓に大沼や小沼といった湖があることが特徴です。
紅葉の時期には、鏡のように輝く湖とそれをぐるりと取り囲んだ紅葉が見事。大沼の湖畔にはパワースポットといわれる赤城神社もあり、登山でしっかり歩いてもよし、湖畔を散策してもよし、バリエーション豊かな楽しみ方ができるのが赤城山の魅力です。

黒檜山に向かう急登の途中に見える大沼周辺の紅葉が、絶景ポイントです。
おすすめなのは黒檜山からお隣の駒ヶ岳を縦走し、赤城神社に戻ってくる周回コース。途中に湖畔を歩くので山頂からの景色も、湖畔からの景色も楽しめる満喫ルートです。

赤城山(黒檜山)コース基本情報
コースタイム:3時間40分
歩行距離:5.1km
歩いて登る標高差:登り554m / 降り555m
絶景ポイント:黒檜山登山道から見下ろす大沼湖畔の紅葉
例年の見頃:10月中旬〜10月下旬
山梨県|大菩薩嶺

山梨県にそびえる標高2,057mの大菩薩嶺。日本百名山のひとつで、首都圏から日帰りできるアクセスの良さも人気の理由です。
山頂は樹林に囲まれていますが、「大菩薩峠」まで続く稜線からは南アルプスや富士山を望む大展望。
紅葉の時期にはカラマツの黄金色やナナカマドの赤が稜線を彩り、冠雪した富士山と美しいコントラストを生み出します。

歩きやすいのは、上日川峠から唐松尾根を登り山頂へ向かう最短コース。
大菩薩嶺からピストンで下山することもできますが、せっかくなので富士山の眺望を楽しみながら稜線づたいに大菩薩峠まで足を延ばしてみるルートがおすすめです。

大菩薩嶺コース基本情報
コースタイム:3時間47分
歩行距離:7.2km
歩いて登る標高差:登り506m / 下り506m
絶景ポイント:紅葉と青い富士山のコラボレーション
例年の見頃:10月下旬〜11月上旬