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ご存知「キキョウ(桔梗)」の高山種

イワギキョウは「キキョウ科 ホタルブクロ属」の植物。 「キキョウ(桔梗)」といえば秋の七草としても有名な植物ですが、「イワギキョウ」はその高山種です。漢字で書くと「岩桔梗」で、その名の通り高山の岩場や砂礫地(されきち)を中心に生息しています。

ただその背丈の割には大きな花を咲かせ、荒涼とした岩場に爽やかな彩りを加えてくれるため、登山者からも人気の高い植物です。
ラテン語で「小さなベル」の学名

学名はラテン語で「Campanula lasiocarpa Cham」といい、Campanula(カンパニュラ)は「小さなベル」の意味。その学名通り釣鐘型のベルのような形をしています。

ちなみにキキョウは星形に広がって花開くため、花の形の点でも少し特徴が異なっていますね。
へら状でギザギザのある葉

イワギキョウの葉は1.5~5cmほどで、細くへら状の形。葉の周りにはギザギザとした鋸歯があります。 キキョウの葉にも同じく鋸歯がありますが、イワギキョウのほうが幅の狭い葉を持っています。
風に負けない!「風衝地」でも育つ強い植物

ここは常に強い風が吹き続ける「風衝地(ふうしょうち)」というエリア。強風が吹き付けるゆえ岩肌が露出し、動物はもちろん、植物にとっても生息が難しい場所です。
そんな風衝地でも力強く自生するのが今回のイワギキョウ。はかなげな見た目とは裏腹に、実はタフな植物でもあるんです。
過酷な環境でも根をはり、健気に花を咲かせるイワギキョウはより一層きれいに見えるかもしれませんね。
「キキョウ」は絶滅危惧Ⅱ類に指定

ホームセンターなどで見かけるキキョウは人工的に改良された品種であり、野生種は近年の開発に伴い大幅に数を減らしてしまっているんです。
イワギキョウはまだ絶滅の心配はないとされていますが、それでも貴重な高山植物の一種。悪い影響を与えないよう、大切に見守っていきたいですね。
見つけたらラッキー!白いイワギキョウ

その名も「シロハナイワギキョウ」で、名前の通り真っ白な花をつけます。
イワギキョウと同じ環境に自生するため、イワギキョウを見つけたらぜひ白い花弁も探してみてください。ただ見つけるのはかなり難易度が高いかも‥!?
「チシマギキョウ」との見分け方は「毛」と「がく片」
見た目が似ている高山植物としてよくあげられるのが「チシマギキョウ」です。生息域も似ているため間違いやすいですが、見分けるポイントは2つ。一つが「花弁に細長い毛があるか否か」。

もう一つが花の付け根にあたる「がく片にギザギザがあるか否か」。

これはどっちかな?と思ったら、「花弁の周りの細い毛」と「がく片」に注目して確かめてみてください!
イワギキョウを見つけに行こう!
標高こそ高いエリアに生息するイワギキョウですが、比較的アクセスのしやすい山々で見つけることができます。いつもの登山に加えて、ぜひ道中で山に咲くイワギキョウを見つけてみてください。大雪山 旭岳付近

見頃:7〜8月
立山

見頃:7〜8月
八ヶ岳

見頃:7〜8月
高山のキキョウを見つけてみて!

イワギキョウとセットでチシマギキョウも覚えられたら見つける楽しみも2倍!
野生種を見ることができる喜びを噛み締めながら、是非イワギキョウを見つけてみてください。