そもそも、山で野生のイノシシに出逢ったときは、基本的には向こうから逃げていくことがほとんど。
ただ、「窮鼠猫を噛む(※1)」のことわざのように、追い詰められた状況と判断したときは抵抗のために攻撃してくることもあります。
そのために、こちらの存在を事前に伝えることが大切!
人間がそこにいるとわかれば、基本的に向こうは先に逃げていくはずです。熊よけ鈴はイノシシなどのほかの生物に対しても存在を伝えるという意味で、役に立つでしょう。
シカ|襲われる可能性は低いけど……身近にいるヤツに要注意
関東周辺でも奥多摩や丹沢をはじめ、八ヶ岳や富士山など、シカの分布するエリアはたくさん。登山中に見かけた経験がある人も多いのではないでしょうか。
ただシカは、襲うことはないとは言い切れませんが、ほかの動物に比べると、攻撃されることは極めて稀です。
そのため、イノシシの対策と同じように、ヒトの存在を伝えられれば、ほとんどの場合事故に遭う可能性は低いと考えられます。
どちらかというと、シカの場合はその身近にいる要注意生物に対して、対策をしていった方がいいかもしれません。
対策方法|シカがいるエリアでは、虫除けスプレーを!?
実は、シカが多いエリアでは、吸血ヒルであるヤマビルが生息している場合が多い。
そのためシカに突撃されるよりも、このヤマビルの被害に遭う方が圧倒的に可能性が高いので、注意が必要です!
標高が高い場所では冬を乗り切れなかったりもするので、「シカがいるエリアに必ずヤマビルがいる」というわけではないですが、分布するエリアはかなりシカに紐づいているといわれているので、参考になるはず。
一般的な虫よけスプレー(有効成分ディート10%やイカリジン15%)でも十分忌避効果があるので、こうしたスプレーを靴や足元にかけているだけで違うでしょう。
ヤマビル対策として、ぜひ役立ててみてくださいね。
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もしも出会ってしまったら!そんな緊急時にはどうしたらいい?
どんなに気を付けていても、出会うときは出会ってしまうかもしれません。そんな緊急時にはどう対応したらいいのでしょうか。
シーンに応じて、考えてみましょう。
▼自分だけ気付いて、動物は気がついていない状態
それ以上近くづくことはせず、向こうが去るか、こちらが迂回して別ルートを通るようにしましょう。
▼比較的近い距離で遭遇し、動物がこちらに気付いている場合
人慣れしていない地域の動物たちであれば、まず向こうから逃げていくことがほとんどです。
ただし、地域や個体によっては逃げていかない可能性も。その場合は、近づいたり、目を合わせたり、大きな声を出したりしないこと。そっと後退りするように距離を取っていきましょう。
共通する基本的なルールとしては、「相手を驚かせる可能性がある行為は避ける」ことです。
ここに注意をしながら対策をとるといいでしょう。
知ることは最初の事故予防!より安心安全の登山を
野生動物には、野生動物の暮らしや事情があります。頭のいい彼らだけに、対応を誤ると怪我や事故の原因になる場合があることを、我々はしっかりと理解する必要があります。
山は彼らの住み家でもあるので、そこに入っていく以上、彼らとの付き合い方はしっかりとわきまえていかないといけません。
うまく付き合ってあげれば、お互いに安全に自然を楽しめるはずです。彼らの暮らしや事情を知って、安全な登山を楽しんでいきましょう。
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