熊対策はしているんだ……
熊対策をしているA男さん。熊よけ鈴をつけて、いざという時用にスプレーも持っています。ルンルン、山頂まで行くぞ〜。
するとサルの赤ちゃんを発見。かわいい〜と近づいて写真を撮っていると……
親猿が威嚇しながら襲いかかってきた!!!
たたたた、たすけて!!!
(ガバッ)
なんだ、夢だったのか……
熊対策はしていたけど、ほかの動物に襲われるなんて考えてもいなかったな。熊以外にも山には、危険な動物がたくさんいるのかもしれない。
悪夢のせいで、山へ行くのが不安になってしまったA男さん。山で出会う可能性がある動物に対して、どんな対策をしていったらいいのでしょうか。
専門家へ「登山中の危険動物への対策法」について聞きました!
一社)セルズ環境教育デザイン研究所|西海太介氏
神奈川県横浜市生まれ。『危険生物対策』や『アカデミックな自然教育』を専門とする生物学習指導者。現在、危険生物のリスクマネジメントをはじめとした指導者養成、小中学生向けの「生物学研究コース」などの専門講座を開講。監修書籍に『すごく危険な毒せいぶつ図鑑』(世界文化社)。著書に、『身近にあふれる危険な生き物が3時間でわかる本』(明日香出版社)など。
いざというときのために、どんな動物に気を付けたらいいのかを事前に知っておくのは大切なこと。たしかに山には、熊以外にもいろいろな動物たちが生息しています。付き合い方を間違えてしまうと、自分自身はもちろん、ほかの誰かの事故につながってしまう場合も……。
今回は、比較的山で出会う可能性がある大型哺乳類の動物(熊以外)と事故を起こさない工夫について、説明していきます!
これだけは抑えておきたい!野生動物にナメられない2つの対策
まず、いろいろな動物について知る前に共通の認識として持っておいてほしいことが2つ。
本来の形であれば「動物はヒトを怖がる」もの。ただ、我々の行動によってはその印象を崩し、動物たちに「ナメられてしまう」場合があるんです。
安易にエサを与えてしまったり、山で食べ散らかしたままにしておくと、大変……!「いつもエサを持っている」とか、「ヒトは襲えばエサが手に入る」と学習されて、どんどん行動がエスカレートしていってしまいます。
「野生動物にエサを与えてはならない」という言葉は、「生態系を守る」という意味で使われていることも多い。ただ実際には「事故を防ぐ」という意味合いも含まれるので、しっかりと意識しておくことが必要です。
今回は山で出会う可能性が高い、3種の動物をご紹介。
・ニホンザル
・イノシシ
・シカ
それぞれ出会わないようにするための対策法について、チェックしていきましょう!
ニホンザル|頭の良さがピカイチ!だからこそ学習させない
サルは頭がいい。場所によっては餌付けされていたり、ヒトから食べ物を奪ったりと経験すればするほど学習していきます。
ヒトとの距離が近くなってしまったサルは、食べ物を盗んでやろうと向こうから近づいてくることすらあるんです。
盗られれば、その成功経験が増えるので、また盗りに行く……。そんな悪循環が生まれるので、ヒトは怖い生物だと学習させておかないと大変なんです。
対策方法|食べ物を《見せない・匂わせない》工夫が大切
コンビニで買ったお弁当が入ったビニール袋を持っていたり、リュックに食べ物の袋をむすんで歩いていたら、突然奪われる!なんてことが発生しかねません。
登山中はもちろんですが、サルの生息域ではキャンプにも要注意。
食べ物を外に出したま、なんてことをしていたら、盗られる可能性は十分あります。
食べ物はしっかりとリュックの中にしまって、食べ物の気配を感じさせない工夫が大切。
「奪いに行けそう」と思われないように、しっかりと荷造りをしましょう。
イノシシ|タックルされたら大ケガ!?出会わないように対策を
イノシシの体重は50kg~150kg!20kg程度の小さな子どもでも、向かってこられると、なかなかの迫力です。
イノシシとの事故で一番怖いのは、タックルでしょう。
打撲、骨折、裂傷する可能性に加えて、咬まれると感染症などの危険も考えられます。
向かってきたら目の前で傘を広げるといった対策もありますが、「突然至近距離で出会う」なんていう状況を作らないことが1番です。つまり、出会う前にイノシシに逃げてもらう、これに尽きます!