スリルと達成感にアドレナリン放出!首都圏から日帰りで鎖場を堪能できる4山

2021/04/13 更新

日本アルプスの剱岳や槍・穂高連峰など、ロングな鎖場を絶妙なスリル感と共に踏破するのは登山の醍醐味のひとつ。とは言え一般登山者がこれらの山にチャレンジできるのは夏山シーズンのみで、それなりの日数と旅費が必要。そこで今回は関東圏から日帰り可能で、歯応えある鎖場を楽しめる山を紹介します。

コロナウイルス感染拡大防止のため、山小屋営業ならびに交通状況などに変更が生じている可能性があります。 山小屋や行政・関連機関が発信する最新情報を入手したうえで登山計画を立て、安全登山をしましょう。

アイキャッチ画像出典:PIXTA(乾徳山の鎖場)

スリルと達成感を求めて!魅惑の鎖場トレッキング

北アルプス・剱岳の鎖場
撮影:washio daisuke(北アルプス・剱岳の鎖場)
目の前にそびえる険しい岩場。そこに架けられた鎖を頼りに山を登る行為は、スリリングかつ達成感抜群ですよね。日本アルプスや八ヶ岳、修験道の行場となった戸隠山や石鎚山など、日本全国には「鎖場のある名山」がたくさん!鎖場のスリルや達成感にアドレナリンがどばどばと出て、病みつきになる人も多いのではないでしょうか。

ただ前述の山々は、日数が必要だったり遠方であったりと、なかなか気軽に行けないのが残念…。

そこで今回は、首都圏から日帰り可能で本格的な鎖場を体験できる、

●首都圏から電車で簡単アクセス!埼玉と神奈川エリアの2山
・破風山(埼玉県)|コースタイム約4時間30分
・三峰山(神奈川県)|コースタイム約5時間45分

●中央線特急で約1時間!山梨エリアの2山
・岩殿山(山梨県)|コースタイム約3時間50分
・乾徳山(山梨県)|コースタイム約6時間40分

4つの登山コースを紹介していきます!まずは鎖場での注意点をおさらいしていきましょう。

まずはおさらい!鎖場で気をつけるべき3つのポイント

鎖場特有のマナーとリスクをおさらい
撮影:washio daisuke(鎖場特有のマナーとリスクをおさらい)
鎖場には、鎖が設置された必然性があります。それは「滑落・転落する恐れがある急斜面・危険箇所である」ということ。
そのために、気をつけておきたい3つのことを頭に入れておく必要があります。

①ピッチに入るのは1人まで
②状況に応じてグローブやヘルメットを用意
③岩が滑りやすいコンディション化では特に注意を

それでは各項目を細かくみていきましょう。

①ピッチに入るのは1人まで

支点と支点の間が「ピッチ」
撮影:washio daisuke(支点と支点の間が「ピッチ」)
一定の間隔で岩に打ち込まれたボルトなどに、鎖が固定されている「支点」があります。そして支点と支点の間が「ピッチ」。

もし先行の登山者と同じピッチにあなたが入ってその登山者がバランスを崩したら…。先行の登山者の巻き添えで転落したり、振り落とされてしまったりと事故や怪我に繋がる恐れがあります。そのため、前を進む登山者とは一定の距離をおいて、原則として1つのピッチに入るのは1人までにしましょう。

②状況に応じてグローブやヘルメットも着用!

ヘルメットやグローブは鎖場での心強いパートナーに
撮影:washio daisuke(ヘルメットやグローブは鎖場での心強いパートナーに)
鎖場のある岩場では浮石も場合も多く、先行の登山者が誤って起こした落石があなたの頭部を直撃する可能性が。そんな時は、頭部を守ってくれる「ヘルメット」があると安心です。

鎖だけでなく岩も掴んで行動するのが、鎖場での身体の動かし方の基本。花崗岩のような表面がザラついた岩も、グローブがあれば手のひらに負担をかけずに登れますよ。

③岩が滑りやすいコンディションでは特に注意を

新雪で岩が滑りやすくなった八ヶ岳・地蔵尾根
撮影:washio daisuke(新雪で岩肌が滑りやすくなった八ヶ岳・地蔵尾根)
危険なコンディションは、雨や霧で濡れている、雪が積もっていて“岩が滑りやすくなっている”状態。こうした場合は特に足場に注意を払い、天候によっては撤退・停滞やルート変更など鎖場での行動を控えるのも賢明な選択肢です。

首都圏から行きやすい!埼玉・神奈川エリアのおすすめ2山

三峰山と背後にそびえる大山
出典:PIXTA(大山三峰山と背後にそびえる大山)
では最初に、首都圏から行きやすい奥武蔵・丹沢エリアからそれぞれオススメの山をピックアップ。おなじみの山域でも鎖場を楽しめる、こんなコースがあるんです。

破風山(埼玉県)|奇岩の連続!低山といえどあなどれない強者

地図の出典:YAMAP
【体力レベル】★★☆☆☆
日帰り
コース全長:約7.6km
コースタイム:約4時間30分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★★☆☆
・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
凡例はこちらをクリック:グレーディング表
*交通アクセス*
・往路:池袋駅〜皆野駅・東武東上線(小川町駅経由)で約90分
・復路:秩父華厳前〜皆野駅前・皆野町コミュニティバスで約24分/皆野駅〜池袋駅・東武東上線(小川町駅経由)で約90分
 
ルート概要
皆野駅(25分)→大渕登山口(100分)→風戸分岐(30分)→破風山(10分)→札立峠(25分)→大前山(25分)→天狗山(50分)→秩父華厳の滝登山口(5分)→秩父華厳バス停
皆野町と秩父市の境にそびえる皆野アルプス。破風(はっぷ)山周辺は猿岩・如金峰などの奇岩が点在し、大前山・天狗山へ続く稜線上には手応えのある鎖場が。低山とは思えない充実感を味わえるルートです。

提供:ヤマレコ/chumo(樹林帯の中の登山道)
皆野駅から車道を歩き、大渕登山口から樹林帯の中のなだらかな稜線を進みます。風戸分岐を直進し、猿岩という巨岩の下を通過すると、破風山山頂に到着です。

提供:ヤマレコ/chumo(武蔵展望台手前の鎖場)
札立峠まで下り大前山へ向かうと登山道は一変、痩せた尾根にロープや鎖場が点在する手強いルートに。武蔵展望台を越えて、大前山に登頂します。

提供:ヤマレコ/chumo(大前山からの下り斜面)
大前山からも気の抜けない岩稜が続き、小さな祠のある天狗山に登頂。ここからは沢沿いの樹林帯を秩父華厳の滝登山口まで下り、車道を5分程歩けば秩父華厳バス停に到着します。バスの時刻に余裕があれば、秩父華厳の滝を鑑賞するのもオススメです。

三峰山(神奈川県)|鎖場と梯子の連続!狭くて細い稜線にドキドキ

地図の出典:YAMAP
【体力レベル】★★☆☆☆
日帰り
コース全長:約10.5km
コースタイム:約5時間45分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★★☆☆
・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
凡例はこちらをクリック:グレーディング表
*交通アクセス*
・往路:新宿駅〜本厚木駅・小田急線で約50分/本厚木〜煤ヶ谷・神奈川中央交通バスで約30分
・復路:広沢寺温泉〜本厚木・神奈川中央交通バスで約30分/本厚木駅〜新宿駅・小田急線で約50分
 
ルート概要
煤ヶ谷(90分)→物見峠(115分)→三峰山(80分)→不動尻(30分)→山神隧道(30分)→広沢寺温泉
丹沢山塊のランドマーク・大山から北東方向に伸びる稜線上にある三峰山。その名の通り、北・中・南と3つの峰で構成されます。山頂付近の稜線はアップダウンも激しく、まるでナイフリッジ。丹沢主脈などのメジャールートとは異なる様相を見せてくれます。

こんな注意看板も
提供:ヤマレコ/arentyou(こんな注意看板も)
煤ヶ谷バス停から杉谷戸沢沿いの道〜トラバース道と進むと尾根に出ます。途中には写真のような注意看板があり、この山が手強い存在であることを実感。崩落箇所も多い道を注意深く進むと物見峠へ、ここからが主稜線の始まりです。

鎖場や梯子が連続する稜線
提供:ヤマレコ/arentyou(鎖場や梯子が連続する稜線)
いくつもの鎖場や梯子が設置された稜線を進みます。アップダウンを繰り返して、三峰山山頂へ。鎖場がない場所でも稜線の幅が狭いため、転滑落には細心の注意を払って行動しましょう。

提供:ヤマレコ/arentyou(山神隧道)
不動尻まで下ると、沢沿いの平坦な林道歩きに。通過にはヘッドランプがあると心強い山神隧道を抜けて、広沢寺温泉バス停に到着したらゴールです。

足を伸ばしてでも行きたい!山梨エリアのロングな鎖場2山

岩殿山・兜岩
撮影:washio daisuke(岩殿山・兜岩)
少し遠方にはなりますが、中央線沿線の2つの山をご紹介。特急列車を利用すれば、時間にゆとりを持ってチャレンジすることができるので首都圏から日帰りも可能です。ぜひチャレンジしてみてくださいね。

岩殿山(山梨県)|斜度のきつい岩場と鎖場!約4時間アスレチック感覚で楽しめる

【登山道の注意】(2021年3月10日追記)
岩殿山の鎖場や鏡岩の一部が崩落したことから、現在通行できなくなっている箇所があります。大月駅から山頂へ向かう場合は、畑倉登山口から向かいましょう。詳細情報は大月市観光協会が発表している最新の情報(下記リンクボタン)を確認してください。大月市観光協会

地図の出典:YAMAP
【体力レベル】★★☆☆☆
日帰り
コース全長:約8.3km
コースタイム:約3時間50分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★★☆☆
・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
凡例はこちらをクリック:グレーディング表
*交通アクセス*
・往路:新宿駅〜大月駅・中央線特急で約1時間
・復路:大月駅〜新宿駅・中央線特急で約1時間
 
ルート概要
大月駅(30分)→岩殿上(10分)→畑倉(40分)→岩殿山(60分)→天神山(20分)→稚児落し(70分)→大月駅
中央自動車道や中央線の車窓からも露出した岩肌がひときわ目立つ岩殿山。戦国時代には武田氏の要害・岩殿城が築かれた山であり、山頂周辺は城跡になっています。春には山麓の桜が、秋には稜線の紅葉が、岩峰に彩りを添えてくれますよ。

岩殿山
出典:PIXTA(岩殿山)
岩殿山へは南麓の丸山公園から直登するのが一般的でしたが、2019年に発生した落石により通行止め。大月駅から北麓の畑倉まで車道沿いを歩き、岩殿山をめざします。東京スカイツリーと同じ標高634mの山頂周辺はベンチやあずまやも整備されており、大月市街や富士山の展望も見事。

鎧岩の鎖場
出典:PIXTA(鎧岩の鎖場)
岩殿山を後にして、稚児落し方面へと向かいます。鎧岩の鎖場は斜度がきつく感じますが、鎖に加えて梯子状の鉄杭も設置されているので、これらを頼りに慎重に進みましょう。

北斜面の迂回路へ進みます。迂回路とはいえ滑りやすい急斜面を下る場所もあり、注意が必要です。

稚児落しの絶壁
撮影:washio daisuke(稚児落しの絶壁)
数百mの断崖絶壁が山麓まで続いている稚児落しのダイナミックな景観は、見応えたっぷり。登山道はその上部を進むため、難所ではないのでご安心を。ただ興味本位で崖に近づかないようにしましょう。樹林帯を下り、浅利登山口からは再び車道を歩いて大月駅まで戻ります。

乾徳山(山梨県)|切り立つ岩場と20mものロングな鎖場にアドレナリン放出!

地図の出典:YAMAP
【体力レベル】★★★☆☆
日帰り
コース全長:約10.1km
コースタイム:約6時間40分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★★☆☆
・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
凡例はこちらをクリック:グレーディング表
*交通アクセス*
・往路:新宿駅〜山梨市駅・中央線特急で約90分/山梨市〜乾徳山登山口:山梨市コミュニティバスで約30分
・復路:乾徳山登山口〜山梨市:山梨市コミュニティバスで約30分/山梨市駅〜新宿駅・中央線特急で約90分
 
ルート概要
乾徳山登山口バス停(25分)→登山口(100分)→国師ヶ原十字路(45分)→扇平(60分)→乾徳山(70分)→国師ヶ原十字路(80分)→登山口(20分)→乾徳山登山口バス停
奥秩父主脈の前衛にそびえる乾徳山。日本二百名山にも選定されており、数々の奇岩や富士山・南アルプスの展望も見事な山です。マイカー利用で中腹の大平高原まで登ることもできますが、今回は電車でもアクセスしやすい、山麓の乾徳山登山口バス停からのルートをご紹介します。

国師ヶ原にある高原ヒュッテ
出典:PIXTA(国師ヶ原にある高原ヒュッテ)
乾徳山登山口バス停から徳和渓谷沿いの車道を歩きます。登山口からは樹林帯のジグザグな登山道を進み、銀晶水・錦晶水の水場を経て高原ヒュッテがある国師ヶ原十字路に到着です。

扇平からの富士山
出典:PIXTA(扇平からの富士山)
国師ヶ原十字路を直進し月見岩で大平牧場からのルートと合流すると、展望の良い草原が広がる扇平に到着します。ここから先は髭剃岩・胎内岩・雷岩と岩場が連続する集中力が必要なルート、鎖を上手く使いながら進みましょう。
山頂直下の鳳岩
出典:PIXTA(山頂直下の鳳岩)
最大の難関が山頂直下の鳳岩(おおとりいわ)。左右からV字型に迫る岩の凹面に沿って、長い鎖が伸びています。両手で鎖と反対側の岩をしっかり掴み、クラック(岩の割れ目)を足場にしながら登ると、乾徳山山頂に到着。

水のタルと呼ばれる鞍部まで進み稜線を離れて浮石もある急斜面を下っていくと、国師ヶ原十字路に戻りますが、このルートは地図上では破線(難路)。自信がない方は、コースタイムもほとんど変わらない往路を下山しましょう。

▼乾徳山についてもっと知りたい人はこちら

充実感あふれる鎖場!正しい身体の使い方で安心安全に楽しもう

安全に鎖場を楽しもう
撮影:washio daisuke(安全に鎖場を楽しもう)
今回は首都圏近郊の鎖場をクローズアップしきましたが、これらのルートでも過去には転滑落事故が発生しています。

あくまでも鎖は難所を通過するための手がかりのひとつ。三点確保(支持)や岩にへばりつき過ぎない姿勢など、鎖だけに頼らない身体の動かし方を身につけることが大切です。その基本をマスターした上で、安全かつ楽しい鎖場登山を堪能してくださいね。
※この記事内の情報は特記がない限り公開初出時のものとなります。登山道の状況や交通アクセス、駐車場ならびに関連施設などの情報に関しては、最新情報をご確認のうえお出かけください。

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washio daisuke

登山の総合プロダクション・Allein Adler代表。 登山ガイド・登山教室講師・山岳ライターなど山の「何でも屋」です。 得意分野は読図(等高線フェチ)、チカラを入れているのは安全啓蒙(事故防止・ファーストエイド)。 山と人をつなぐ架け橋をめざしています。

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