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「高尾マナーズ」から考える、登山者とトレイルランナーは「山で共存できるのか?」問題(2ページ目)

登山者数が世界一。高尾で活動をする意味とは?

薬王院

撮影:高橋庄太郎(ケーブルカーが山腹へ延び、神社も建つ高尾山は一大行楽地。登山者、トレイルランナーだけでなく、観光客も多く見られます)

高尾山はこれからのトレイルランニングにとって、大きな意味を持つ場所だと内坂さんはいいます。

内坂さん:高尾は年間260万人、日本だけではなく世界中から人が集まる行楽地です。ここで何かが起き、例えばトレイルランニングの禁止や規制という「前例」ができてしまったりしたら、六甲だとか八ヶ岳だとか、日本中の山に波及しかねません。そこで、有志とともに活動を開始したんです。

東京の街並み 遠望

撮影:高橋庄太郎(高尾山は東京の都市部と至近距離。山頂付近からは東京の街並みが遠望できます)

「登山道」はいったい誰のもの?

山は誰のもの?

出典:PIXTA、いらすとや 加工:編集部(登山道にはいろいろな人がいます)

この記事を担当している僕は、トレイルランニングの経験もありますが、基本的には自分のことを山を歩く「登山者」だと思っています。その視点からこれまでの経験を振り返ると、たしかにトレイルランナーから不快な思いをさせられたことがないわけではありません。

例えば、のんびりと登山道を歩いていたとき。後ろから走ってきたトレイルランナーに追い付かれてしまったのですが、登山道が狭くてすぐには追いこしてもらえない状況でした。すると、僕を邪魔に思ったのでしょう。まるで「遅い!」「どけろ!」とでもいうかのように、「チッ!!」と舌打ちされてしまいました……

じつはそんな経験は一度だけではなく、同じような体験を何度かしたことがあります。いくら速く歩ける人でも「登山者」から追い抜かれるときはこういう舌打ちのようなことはされたことはありませんでしたが、内坂さんの話に出てくるハイカーも僕と同じような経験をしていたのかもしれません。

先駆者である「登山者」と後発の「トレイルランナー」

一方で、本来、登山道とは山を愛するみんなのものであり、「登山者」が独占すべきものではありません。しかしながら、日本にトレイルランニングが根付いていなかったころから、多くの登山関係者が「安全に歩ける」トレイルを地道に整備してきたことも事実です。

そう考えると、登山道の利用の方法を登山者中心の視点で考えてしまうのは、現状では仕方がないこと。日本の山をレジャーで利用する「先駆者」は登山者だったわけで、トレイルランナーの立場に立てば、少し肩身が狭い思いをしているに違いありません。

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