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「高尾マナーズ」から考える、登山者とトレイルランナーは「山で共存できるのか?」問題(3ページ目)

「登山者」の本音に耳を傾けてみたところ……

内坂さん:ハイカーのなかにはトレイルランナーを感情的に嫌う方もいらっしゃいます。以前、鎌倉市ではトレイルランニングが市によって規制されそうになったことがあり、その問題を解決するには時間がかかりました。そこで高尾山で登山者にアンケートを取ってみたんです。

内坂さんは仲間とともに多くの人に直接声をかけ、登山者の「本当の気持ち」を探ったそうです。

内坂さん:すると、ハイカーとトレイルランナーの関係が比較的よいと僕が思っている高尾ですら、山中を猛スピードで走ってくるという行為自体が怖い、崖や岩がある場所でぶつかったらどうしよう、などという声が聞かれました。だから、”歩いている人に出会ったら、走ることをやめて、歩いてすれ違いましょう”なのです。”追い越すときも歩いて”です。歩く者同士なら不安や恐怖は感じません。そして安全ですから。高尾では鎌倉のように大ごとになる前に、我々からトレイルランナーにマナーを提唱していくのが大事だと感じています。

内坂さんは、トラブルが頻出してなんらかの規制が行なわれたりしないように、ランナーの良心に訴えようとしたのでした。

マナーガイドに発揮された、フィールドを守る気持ち

高尾山山域トレイルマップ 高尾山、歩いてすれ違いましょう

撮影:高橋庄太郎(こちらが「高尾山山域トレイルマップ」。雨に濡れても破れないように耐水紙に印刷されている)

そんな高尾マナーズの精神を表現しているのが、地図を兼ねた一枚の紙に示された「マナーガイド」。

このなかに書かれているのは以下の5つの文言と、その説明です。

 

「歩いてすれ違いましょう」
「譲り合いましょう」
「山々を大切にしましょう」
「トレイルから外れない」
「ゴミは持ち帰りましょう」

「歩いてすれ違いましょう」以外は、一般登山者にも共通する大切なマナーであることは、いうまでもありません。

撮影:高橋庄太郎(説教臭くならないように、表現はシンプル。イラストは人気アーティストのジェリー鵜飼さんが担当)

賛同者、賛同メーカーも増加中

内坂さん

撮影:編集部(内坂さんは月に何度か高尾の路上に立ち、このマナーガイドを自ら配布しています)

このマナーガイドは、内坂さんをはじめとする高尾マナーズのメンバーが高尾山口駅の駅前で手渡ししたり、趣旨に賛同してくれる団体やアウトドアメーカーを通じて配布されたりしています。

裏面は高尾山域のマップになっていて、しかも費用がかさむ耐水紙。手間だけではなくお金もかかり、高尾マナーズの熱意が感じられます。

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