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「高尾マナーズ」から考える、登山者とトレイルランナーは「山で共存できるのか?」問題(4ページ目)

ランナーのため、登山者のために考え抜かれたトレイルマップ

高尾山域トレイルマップ サイズは44×23cm

撮影:編集部(「高尾山域トレイルマップ」は44×23cm。詳しい地形を見るためには、地形図や登山地図も併用したほうがよいでしょう)

ところで感心するのは、裏面のマップでトレイルランナーへ紹介しているおすすめコース。一般登山者が多い登山道を見事に避けつつ、同時に「走っておもしろい」コースを8本もピックアップしているのです。

内坂さん:それでも一部区間だけは登山者に人気のコースと重なってしまいますが、ほとんどは登山者と会うことが少ない穴場のコースばかり。登山地図にも載っていないようなマイナーなコースもありますし、「難易度」や「混雑度」の表示も目安にしてほしいです。
マップ

マップのデータは、「高尾マナーズ」のウェブサイトからダウンロードが可能。※画像をクリックして拡大

「歩く人」になる疑似体験でびっくり。イベントや講習会も開催

びっくり体験

提供:高尾マナーズ、撮影:石原敦志、加工:編集部(「びっくり体験」には有名ランナーの鏑木毅さんも参加。参加者全員が交互に”恐怖”と”不愉快”を体験しました)

「高尾マナーズ」はトレイル上でのマナーをもっと普及させるために、ランナーに向けて他にもさまざまな活動を行なっています。

今年2月に高尾山域で行われたのは、マナー講習イベント「びっくり体験」。これは歩く人(登山者)は走ってやって来るランナーをどのように感じているのか、それを実際に歩く人の立場になって体験するというもの。参加者は「マナーを知らない走る人」役と、「歩く人」役を交互に行いました。

内坂さん:実際に、狭いトレイルで”歩く人”のすぐ横を「正面からやって来て」駆け抜けると恐怖を感じ、「後ろから」駆け抜けられるとびっくり、とても不愉快になるのが理解できます。われわれ高尾マナーズは「狭いトレイルでは、歩いてすれ違いましょう、歩いて追い越しましょう」と提唱していますが、「びっくり体験」をしてもらうと、その意味がよくわかってもらえます。

鏑木さんを中心にトレイル上で話し合う参加者

提供:高尾マナーズ、撮影:石原敦志(鏑木さんを中心に、トレイル上で話し合う参加者)

著名ランナーも参加し、行政担当者とも情報共有

パネルディスカッションの様子

提供:高尾マナーズ、撮影:石原敦志(パネルディスカッションには、高尾山を統括する八王子市役所・スポーツ振興課や八王子山岳連盟の方々も参加)

「びっくり体験」のあとは、日本を代表するトレイルランナーの鏑木毅さんを交え、トレイルマナーがテーマのパネルディスカッションも行われました。講習会やトークショーに鏑木さんのような日本を代表するトップランナーが続々と参加しているのも、高尾マナーズの志の高さに賛同しているからでしょう。

トレイルランナーに対し、登山者のマナーは?

高尾山で紅葉を楽しむ

出典:PIXTA(老若男女が訪れる高尾山では登山者やトレイルランナーも来訪者の一部)

先に述べたように、僕はこれまでにトレイルランナーとのトラブルまではなかったものの、「舌打ち」されるような経験は何度かしてきました。しかし、それは数年前のことで、近年はほとんど嫌な思いをしたことがありません。高尾マナーズの行動に象徴されるように、トレイルランナーのみなさんの意識が向上してきたからに違いありません

ここで思うのは、日本の山や登山道での先駆者として、登山者」がいつまでも偉そうにしていてはいけないということ。趣味、アクティビティ、遊びのひとつとして人気が出た順番が、一般的な登山のほうが先だっただけで、登山者もトレイルランナーも山を愛する人たちであることには変わらないのですから。それに、じつは登山者のマナーにも改善すべきことはいくらでもあるのではないかと思ったりして……。

「高尾マナーズ」を見習って、自分たちの意識をますます向上させていきたいものです。

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