イスに座って、ただ、のんびりすること

荷物とやることが多い昨今のキャンプとは逆に、近所の公園や川沿いなどのお気に入りの場所、心地よい場所でイスに座ってのんびりしようというアクティビティです。
必要なのはイスとのんびりしたい気持ちだけ。
ならば山との相性もいいんじゃないかとやってみると、街以上にのんびりでき、新たな山の魅力に気が付きました。
初めてのチェアリングは秋の夕暮れだった

3年前、チェアリングを知ったばかりの私は、その土手に、座り心地のよさと軽量コンパクトさで人気のヘリノックスのイスを持って行き、チェアリングを体験してみました。
それは秋の夕暮れ。空気が澄んで、西の空だけでなく世界全部が美しい朱色に染まった日でした。その朱色は東の空から迫ってきた藍色とグラデーションを描き、間もなく金星の輝きだけが、西の空に残されました。

それは山歩きとはまたひと味違った、ココロが和らぐ時間でした。
街であっても自然を感じることはできる。チェアリングによって、忙しない日常の中に自然のリズムを奏でることができ、山で過ごす時と同じようにココロがすっきり。
それからというもの、なんだか「落ち着かないなぁ」と感じた時には、土手でチェアリングが、私の大切な時間になりました。
自然の中に溢れている、移ろいを楽しむ

でも、『チェアリング』という言葉自体がなかったずっと以前から、私は山の中でイスに座って寛ぐ時間が好きで、当たり前にやっていたのです。
ただし、以前は山に持って行けるような軽量コンパクトなイスがほとんどありませんでした。
唯一、持って行く気になれたのが、アウトドア用の座椅子として知られる『クレイジークリーク/ヘクサライト』でした。重さは約600g。スツールと違って背もたれが備わり、長時間座っていても本当に快適。
そのクレイジークリークを山の頂上だけでなく、景色のよい場所、そして心地よい場所で広げて座り、しばらくのんびり過ごすことが好きでした。
チェアリングで出合った奇跡のような朝

日の出前にテントから這い出て、クレイジークリークに座ってコーヒーを淹れて飲んでいると、空は白みはじめ、周囲の森からヒグラシゼミが少しずつ鳴きはじめました。
間もなく、森全体がその鳴き声に包まれたのです。夜明けの静寂のなかで、「カナカナカナカナカナ~」という音は耳ではなく、肌で感じられる程に反響し、大きくなっていきました。
そんな大音量の鳴き声にに迎えられるように、空は深い青から赤みを帯びて間もなく黄色に。光の移ろいに合わせるように、小鳥たちのさえずりが重なっていきました。
やがて太陽が出切って空が見慣れた青色になると、唐突にヒグラシゼミは鳴き止み、森は再び静寂へ。

もしかしたら、それまでもそんな朝に出合っていたのかもしれないけれど、気が付いていなかったのでしょう。
それは普段山を登り、歩いている時も同じで、先を急ぐあまり、見落としてしまっている風景、感づいていない気配、素通りしてしまっている色彩が、たくさんあるのかもしれません。
その朝を過ごしてから、私は山登りの際に時々歩みを止めて、森の中、山の中でイスに座って過ごすようになりました。
感じること、想像すること

光、風、雲、香り、虫や鳥、その鳴き声、陽光のぬくもり、木々がつくる影、草木の色合い、梢が揺れるカサコソ音、遠くからは飛行機、里からは自動車や飼い犬の鳴き声、そしてトレイルを歩くハイカーのお喋り、トレイルランナーの息づかい・・・。
イスに座って、のんびりする。『チェアリング』は、それだけでも気持ちがいいです。
でも、もし山で『チェアリング』を楽しむなら、自分のまわり、目に見えるところだけでなく、目に見えていない景色まで、ココロを落ち着かせて、感じること、想像することを試してみてほしいと思います。
ただ山を登っている時には出合えなかった山の景色に、出合えるはずですから!
山での『チェアリング』にオススメの超軽量イス5選!

さぁ、『チェアリング』をするなら、イスがないことにははじまりません。
最近は、登山に持って行く気になれる、軽量コンパクトなものが増えてきました。そこで実際に私が試してみて、「これはいいな!」と感じた超軽量イス5つを紹介しましょう!!
クレイジークリーク/ヘックス2.0 オリジナルチェア ¥8,580



A&F|クレイジークリーク/ヘックス2.0 オリジナルチェア
ハイマウント/フォールディングスツール ¥1,430



HIGHMOUNT|フォールディングスツール
ヒルサウンド/BTRスツール14インチ ¥8,580



HILLSOUND|BTRスツール14インチ
ビッグアグネス/スカイラインULスツール ¥11,880



big agnes|スカイラインULスツール
ヘリノックス/タクティカルチェアミニ ¥12,100



A&F|ヘリノックス/タクティカルチェアミニ
大きく息を吸って、吐いて

山で『チェアリング』をしていて、ただ座っているだけなので、なんだか手持ち無沙汰だなぁと感じたら、大きく深呼吸してみましょう。
目を閉じて、数字を数えながら1、2、3、4、5と息を吸って、6、7、8、9、10と息を吐く。ゆっくりと、深く、呼吸を見つめてみる。最初は100を数えるだけでもいいです。でも、できれば10分以上、やってみてほしい。
深呼吸をしているうちに、感覚が澄んできて、自然が発しているさまざまな変化に、気が付けるようになると思います。
そうして目を開けた時、閉じる前とは違った山の景色が、そこにあるでしょう。
それが、新たな山なのです。
それでは、皆さん、よい山旅を!
紹介されたアイテム
クレイジークリーク HEX2.0 オリジ…

ハイマウント/フォールディングスツール

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