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チェアリング

『チェアリング』で新たな山を見つけませんか? おすすめの超軽量イスも選んでみました!

イスに座って、景色を眺め、ゆっくりとした時間の流れを感じる。それだけで山の魅力を再発見できる『チェアリング』。おすすめの理由を実体験と共にお届けします。山で座るのに快適な超軽量イスも5つセレクトしてみました!

目次

アイキャッチ画像:PONCHO

イスに座って、ただ、のんびりすること

撮影:PONCHO

『チェアリング』という、野外での楽しみ方があります。

荷物とやることが多い昨今のキャンプとは逆に、近所の公園や川沿いなどのお気に入りの場所、心地よい場所でイスに座ってのんびりしようというアクティビティです。

必要なのはイスとのんびりしたい気持ちだけ。

ならば山との相性もいいんじゃないかとやってみると、街以上にのんびりでき、新たな山の魅力に気が付きました。

初めてのチェアリングは秋の夕暮れだった

撮影:PONCHO

さて、私にとって心地よいと思える場所。それはどこだろうか?と、自分が暮らす街のなかで考えてみると、自宅からすぐ近くの土手が思い浮かびました。空が広くて、東京の景色の向こうには富士山や丹沢、秩父、日光の山並みを望める場所です。

3年前、チェアリングを知ったばかりの私は、その土手に、座り心地のよさと軽量コンパクトさで人気のヘリノックスのイスを持って行き、チェアリングを体験してみました。

それは秋の夕暮れ。空気が澄んで、西の空だけでなく世界全部が美しい朱色に染まった日でした。その朱色は東の空から迫ってきた藍色とグラデーションを描き、間もなく金星の輝きだけが、西の空に残されました。

撮影:PONCHO

いつもはランニングやウォーキングをしているその土手で、のんびりと小一時間。

それは山歩きとはまたひと味違った、ココロが和らぐ時間でした。

街であっても自然を感じることはできる。チェアリングによって、忙しない日常の中に自然のリズムを奏でることができ、山で過ごす時と同じようにココロがすっきり。

それからというもの、なんだか「落ち着かないなぁ」と感じた時には、土手でチェアリングが、私の大切な時間になりました。

自然の中に溢れている、移ろいを楽しむ

撮影:PONCHO バックパックの前面に括り付けた赤いモノが、クレイジークリーク/ヘクサライトだ。

『チェアリング』という言葉、アクティビティを知り、新しいことをしているように思っていました。

でも、『チェアリング』という言葉自体がなかったずっと以前から、私は山の中でイスに座って寛ぐ時間が好きで、当たり前にやっていたのです。

ただし、以前は山に持って行けるような軽量コンパクトなイスがほとんどありませんでした。

唯一、持って行く気になれたのが、アウトドア用の座椅子として知られる『クレイジークリーク/ヘクサライト』でした。重さは約600g。スツールと違って背もたれが備わり、長時間座っていても本当に快適。

そのクレイジークリークを山の頂上だけでなく、景色のよい場所、そして心地よい場所で広げて座り、しばらくのんびり過ごすことが好きでした。

チェアリングで出合った奇跡のような朝

撮影:PONCHO

特に思い出に残っているのは、長野と新潟県境の里山を巡る全長80kmの信越トレイルを旅した時。

日の出前にテントから這い出て、クレイジークリークに座ってコーヒーを淹れて飲んでいると、空は白みはじめ、周囲の森からヒグラシゼミが少しずつ鳴きはじめました。

間もなく、森全体がその鳴き声に包まれたのです。夜明けの静寂のなかで、「カナカナカナカナカナ~」という音は耳ではなく、肌で感じられる程に反響し、大きくなっていきました。

そんな大音量の鳴き声にに迎えられるように、空は深い青から赤みを帯びて間もなく黄色に。光の移ろいに合わせるように、小鳥たちのさえずりが重なっていきました。

やがて太陽が出切って空が見慣れた青色になると、唐突にヒグラシゼミは鳴き止み、森は再び静寂へ。

撮影:PONCHO

それは、1日のはじまり、光の到来を喜ぶ森の交響曲のようでした。毎日訪れる夜明けは、時に、奇跡に満ちた世界になることを、私はこの時はじめて知ったのです。

もしかしたら、それまでもそんな朝に出合っていたのかもしれないけれど、気が付いていなかったのでしょう。

それは普段山を登り、歩いている時も同じで、先を急ぐあまり、見落としてしまっている風景、感づいていない気配、素通りしてしまっている色彩が、たくさんあるのかもしれません。

その朝を過ごしてから、私は山登りの際に時々歩みを止めて、森の中、山の中でイスに座って過ごすようになりました。

感じること、想像すること

撮影:PONCHO

『チェアリング』をして、移ろい、通り過ぎていくいろいろを、木や花の目線、ヒグラシゼミの感覚で出迎えてみてください。

光、風、雲、香り、虫や鳥、その鳴き声、陽光のぬくもり、木々がつくる影、草木の色合い、梢が揺れるカサコソ音、遠くからは飛行機、里からは自動車や飼い犬の鳴き声、そしてトレイルを歩くハイカーのお喋り、トレイルランナーの息づかい・・・。

イスに座って、のんびりする。『チェアリング』は、それだけでも気持ちがいいです。

でも、もし山で『チェアリング』を楽しむなら、自分のまわり、目に見えるところだけでなく、目に見えていない景色まで、ココロを落ち着かせて、感じること、想像することを試してみてほしいと思います。

ただ山を登っている時には出合えなかった山の景色に、出合えるはずですから!

山での『チェアリング』にオススメの超軽量イス5選!

さぁ、『チェアリング』をするなら、イスがないことにははじまりません。

最近は、登山に持って行く気になれる、軽量コンパクトなものが増えてきました。そこで実際に私が試してみて、「これはいいな!」と感じた超軽量イス5つを紹介しましょう!!

クレイジークリーク/ヘックス2.0 オリジナルチェア ¥8,580

撮影:PONCHO

私が長く愛用しているアウトドア用座椅子の最新バージョン。本体サイドのストラップを引くことで、背もたれの角度を調節可能。

撮影:PONCHO ※ヘックス2.0の下に敷いたシートマットは撮影用に敷いたもの

その背もたれにはカーボンフレームが配され、寄りかかった際にしっかりと背中の重みを受け止めてくれます。座り心地は、同社のザ・チェーアーの方がよいですが、ヘックス2.0は軽量性を重視して、重さ614g。

撮影:PONCHO

サイドのバックルを外して広げれば、ショートサイズのスリーピングマットの代わりにもなります。座面のフォームパターンは軽さと座り心地のよさの両方を求めたもの。これ、やっぱりイイです!


A&F|クレイジークリーク/ヘックス2.0 オリジナルチェア

ハイマウント/フォールディングスツール ¥1,430

撮影:PONCHO

私は同様の構造のスツールも使用していますが、思ったよりも座り心地がよく、ちょっとびっくりしました。折り畳むと、厚さ約3cmと薄く収納できるサイズがパック内で邪魔になりません。


座面の高さは実測27.5cm。地面に直に座るよりも身体への負担も少ないです。いや、これが案外ラクな体勢なんです。座面の大きさも、小さすぎず、程よい大きさです。

撮影:PONCHO

重量は630g。X字に配された脚が畳まれ、収納サイズは18×22.5×厚さ3cmとコンパクト。座面の布と共布の収納袋が備わり、単体での持ち運びにも便利です。


HIGHMOUNT|フォールディングスツール

ヒルサウンド/BTRスツール14インチ ¥8,580

撮影:PONCHO

軽量なクランポン等で知られる同社の今年の新作。重量357gという、超軽量スツールです。商品名のBTRは、「Better Than Rock」の頭文字を取り、「岩に座るよりも快適」という意味だそう。

撮影:PONCHO

実際に座ってみると、メッシュ地の座面が普通体型の私の尻にぴったりとフィットし、座り心地は簡易イスとは思えません。岩よりも快適なのは当然、この軽さなら登山の際には常に装備したくなるもの。

撮影:PONCHO

収納サイズはΦ7.6×2cmで、バックパックのサイドポケットに収まります。脚部はカメラの三脚のような仕組みで伸縮するタイプ。カタつきもなく、耐荷重は110kgで十分。地面と接する部分は平坦な面になっていて、脚部の潜り込みを防ぎ、安定性を増します。短時間のチェアリングの相棒は、コレがベストです!


HILLSOUND|BTRスツール14インチ

ビッグアグネス/スカイラインULスツール ¥11,880

撮影:PONCHO

スツールというと、三脚イスのイメージがありますが、これは四脚。しかも尻側が狭く、太股側は広めにフレームが配され、窮屈さを軽減してくれます。座面も尻の収まりがよい形状で、尻の上部が包まれ、腰から背中を支えてくれるようです。

撮影:PONCHO

実際に座った際の座面の高さは30cm。個人差はあると思いますが、私はこの30cmの高さが、座っていてもっともラクに感じられます。店頭で高さを計測する必要はありませんが、実際に座り心地を確かめるのは、チェア選びで大切なポイントです!

撮影:PONCHO

脚部はテントポール同様の仕様。収納サイズはΦ9×30cm。重量は510g。今日の山は、チェアリングをメインにしよう!という日には、間違いなくコレを持っていくことになりそうです。

▼現行モデルは、重539g、高さ:41cm(地面からの高さ:38cm)
big agnes|スカイラインULスツール

ヘリノックス/タクティカルチェアミニ ¥13,200

撮影:PONCHO

座り心地のよさで評判のヘリノックスのタクティカルチェアの軽量コンパクト版。重量は560g、収納サイズは26×9×高さ11cm。収納袋は、使用時にモノ入れとして使え、写真にはありませんがミニカップホルダーも標準装備しています。

撮影:PONCHO

耐荷重は90kgなので、ほとんどの成人男性は問題ないでしょう。ですが、実際に座った際の座面の高さが21cmで、座面自体も案外コンパクト。私には、やや窮屈めに感じました。

撮影:PONCHO

とはいえ、キャンプではなく、山に持って行って短時間座るなら、コレで十分。いや、小柄な男性や女性、子供なら十分どころか、快適と感じられるでしょう。

ヘリノックス/タクティカルチェアミニ

大きく息を吸って、吐いて

撮影:PONCHO

最後に『チェアリング』を楽しむためのコツをひとつ。

山で『チェアリング』をしていて、ただ座っているだけなので、なんだか手持ち無沙汰だなぁと感じたら、大きく深呼吸してみましょう。

目を閉じて、数字を数えながら1、2、3、4、5と息を吸って、6、7、8、9、10と息を吐く。ゆっくりと、深く、呼吸を見つめてみる。最初は100を数えるだけでもいいです。でも、できれば10分以上、やってみてほしい。

深呼吸をしているうちに、感覚が澄んできて、自然が発しているさまざまな変化に、気が付けるようになると思います。

そうして目を開けた時、閉じる前とは違った山の景色が、そこにあるでしょう。

それが、新たな山なのです。

それでは、皆さん、よい山旅を!